〔コラム 机の上の空〕 ミャンマー 将軍たちのゴルフ場
英国のジャーナリスト、ジョージ・モンビオ氏がガーディアン紙に、ミャンマーの僧を支援するさまざまなアイデアを書いていた。
ミャンマーに権益を持つ国家、企業、事業家に圧力をかけ、軍の圧制に歯止めをかけようという提案である。
ことし1月、中国政府はミュンマーでの人権抑圧を非難する決議に拒否権を行使したが、これに対し、モンビオ氏は北京五輪のボイコットをちらつかせて、こう脅しをかける。
「もし西側諸国が北京五輪をボイコットしたら、それは中国にとって1989年(の天安門事件)以来の最大の政治的危機になるだろう」と。
モンビオ氏は、「世界議会」の創設など、グローバルなガバナンスの提唱者として知られるが、中国をこうさりげなく威嚇してみせるあたり、なかなかの胆力の持ち主である。
氏はさらに、ミャンマーでビジネスを展開する、天然ガス・石油会社の「アクアティック」社などに電話をかけまくり、コメントを得ようとした努力の結果を紹介している。
ガチャンときられたことも。
それでも負けない、しつこさがいい。
結局、断られまくるが、断られたことが意味を持ち、事実として読者のわれわれに迫ってくる。
ミャンマーには日本の商社なども進出しているそうだが、日本のマスコミも氏に見習って、コメントを求めてはどうか?
モンビオ氏は、ミャンマーから撤退した企業についても紹介している。スポーツ・シューズの「リーボック」社がそうだ。
「リーボック」のCEOいわく。「体制が人権を抑圧しているとき、取引することは適切ではない」。
ミャンマーでは軍政に取り入らないと仕事ができないのである。
モンビオ氏の筆の矛先は、元ゴルファーのゲイリー・プレーヤー氏(南ア)にも向かう。
プレーヤー氏はミャンマーに、ゴルフ場をつくったそうだ。650エーカーの水田を潰して。
ミャンマーのゴルフ場は、なぜ問題か?
それは軍事独裁政権の将軍たちのためのゴルフ場だからだ。
ミャンマーではゴルフは特権階層の遊びである。
モンビオ氏は、こう指摘する。
プレーヤー氏は来月、「ネルソン・マンデラ記念招待ゴルフ大会」を開く予定だが、マンデラ氏は名前を使われるのを考え直すべきではないか、と。
ミャンマーには、プレーヤー氏がつくった以外にも、ゴルフ場がいくつかあるという。ピーナツ畑を潰したりしてつくったコースだ。
その緑の上で、日本の企業関係者らも、将軍たちと接待ゴルフを続けて来たのだろうか?
事実としたら、嘆かわしいことである。
⇒
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/story/0,,2181658,00.html
http://www.monbiot.com/archives/2007/10/02/the-juntas-accomplices/
Posted by 大沼安史 at 06:25 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 〔コラム 机の上の空〕 ミャンマー 将軍たちのゴルフ場:
» 「ミャンマー」政府へのカメラ返還要求は当然のものだ トラックバック そらねっと通信局
Invalid Text彼が死の瞬間に至るまで手にしていたカメラ、これは「その場で何が起こったのか」を証明する一番の手段だ。
これがもし失われていたとしたら、故意にしろ偶然にしろ、「事実の隠蔽」になる。
昼間、についてのmixi日記でのコメントを見て、このあたりのことが全然分かってない人が多かったように感じた。
民衆の生活そっちのけの贅沢三昧については「机の上の空 大沼安史の個人新聞: 〔コラム 机の上の空〕 ミャンマー 将軍たちのゴルフ場」その一端が記されているし、その状況を端的にまとめたわかりや... 続きを読む
受信: 2007/10/03 1:06:36