〔コラム 机の上の空〕 風立ちぬ 回れ、平和の風車
九月もそろそろ、終わり。秋風が、高原から平野に舞い降りて来ました。
静かな秋、祈りの秋。
秋風に運ばれ、アメリカから、うれしい「便り」が……。
「平和の風車(かざぐるま)」を回す運動が広がっているというニュースです。
Pinwheels for Peace。平和のための風車。
平和を願う人びと、手づくりの風車が、9月21日の「国際平和デー」に、アメリカを中心に全世界2500ヵ所で回ったそうです。
ジョージア州のゲインズヴィル中学校では第6~8学年の全員が、「マイ・平和の風車」を校庭に植え込んだそうです。
いろんな色、いろんなデザインの風車が、クルクルと回り続けたそうです。
「戦争」よ、「破壊」よ、風とともに去れ、と。
地元紙によると、風車の羽根には子どもたちの願いが書き込まれたそうです。
「イマジン(想像しなさい)……回る平和を!」とか「毎日が平和でありますように」とか。
フロリダのある田舎町では、2つの小学校で270個の風車が回ったそうです。
「脅かさないで」「わたしのオモチャで遊んでね」――
風車に書き込んだ、そんな1年生たちの「お願い」が、地元紙に紹介されていました。
こんな「平和の風車」運動が広がっているなんて、知りませんでした。
フロリダ州のココナッツ・クリークという町から広がったもので、ことしで3年目だそうです。
呼びかけ人は、ココナッツ・クリークの美術教諭の、アン・エイヤーズさんとエレン・マクミランさん。
彼女たちが始めた「平和の風車」プロジェクトはまさに、風に乗る勢いで北米各地、全世界に拡大し、ネット上に運動のサイトができるほどになりました。
サイトの「ギャラリー」には、写真がいっぱい載っていて、まるで「風車写真博物館」といった感じです。
眠る赤ちゃんを見守る風車があれば、お店の正面に立てた特大の風車もあります。
そのサイトに、アンとエレンさんのメッセージが載っています。彼女たちはなぜ、平和の風車プロジェクトを始めたのか?
それは、子どもたちが、テレビやビデオゲームで、戦争を重要視する映像の猛爆を受けている、という危機意識に駆り立てられたから、ということだそうです。
「子ども期のシンボル」の「風車」で、いまや子どもたちの生活の一部と化した「暴力」を鎮めようと、運動を思い立ったそうです。
しかし、「政治的な運動ではない」と彼女たちは断っています。それはあくまでも、シンプルで楽しくて、しかも平和な時間を思い出させるものであり、あとは風と創造力(想像力)があればいい、それだけで「何か」が回り始めるものであると。
平和を求める心の中心には、素朴な願いがあればいい、そこから全てが回り出すのだ、と彼女たちは言おうとしているようです。
「風車」は日本の秋の風物詩でもあります。
アンさんとエレンさんの呼びかけに応え、日本の学校でも、子どもたち手づくりの「平和の風車」が回り始める日が来るといいですね。
回れ、平和の風車。「戦争」も「いじめ」も、どこかに飛んで行け!!!
Posted by 大沼安史 at 06:21 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink