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2007-07-17

〔いんさいど世界〕 破局に近づく温暖化 世界の屋根 エベレストからの警告

 「世界の屋根」といえばエベレストですね。標高8848メートル(異説あり)。ヒマラヤ山脈のなかでもひときわ突き出た、地球で最も宇宙空間に近い山です。
 チベット名は「チュモランマ」で、これは「世界の母」の意味。

 このエベレストがいま、地球温暖化の洗礼を受けているのだそうです。あんなに寒くて高いところが地球温暖化の犠牲に?
 にわかには信じられない話ですね。

 今月(7月)初め、世界の主要都市で、地球環境を守る「ライブ・アース」という連続コンサートが開かれました。
 それに合わせて、ニュージーランド人のピーター・ヒラリーさんと、ネパール人のジャムリン・テンジンさんの2人が「エベレスト、危うし」のアピールを発して、世界中の人びとに警告したのです。
 ヒラリーさんにテンジンさん?
 聞いたこと、あるような名前ですよね。

 そう、その通り、2人は実は、1953年、エベレスト登頂に成功しエドムンド・ヒラリー卿と、シェルパのテンジン・ノルゲイさんの息子たちです。(ちなみに2人とも、エベレスト登頂成功者なんだそうです)

 その2人によると、エベレストでは氷河が溶け始め、54年前、父親たちがベースキャンプを張った氷河上の地点は、標高5320メートルから5280メートルへと40メートルも「沈下」しているそうです。標高差40メートルということは、もちろん、垂直に40メートルも低くなった、ということです。

 これは相当なものですね。

 ヒラリー卿らがその上にベースキャンプを張った氷河は、この20年間だけで、5キロほど後退(縮小)しているのだそうです。

 エベレストに限らず、ヒマラヤ山脈には氷河がたくさんあるのですが、その長さは最長のものでも5キロほど。
 これが温暖化の影響で溶け出しているのですね。

 このままでいくと、エベレストなどヒマラヤの山々の氷河はあと50年ほどで、雪渓や氷の塊がところどころに残る、荒れ果てた岩山になってしまう、と科学者たちは警告しているそうです。

 さて、エベレストのある「ヒマラヤ」山脈ですが、これはもともと、古いインド言葉で「大雪山」という意味。
 この大雪の山々は実は、世界最大の淡水供給源で、世界のフレッシュ・ウォーターの40%にあたる膨大な水が、ここから生み出されているそうです。

 氷河が消えれば、中国やインドなど周辺国が大変な事態になることは必至。このまま行くと、麓や9つの主要河川の流域に住む数十億人の生存にも影響が出かねないわけです。

 氷河が溶け出したことで、直近の危機として問題なのは、氷河湖のことです。

 国連の調査によると、氷河が溶けて生まれた湖は、ヒマラヤ山脈全体でなんと9000にも達し、そのうち200以上が決壊の危機にあるそうです。
 水がたまり過ぎて、ダムが決壊するように大規模な鉄砲水となって麓の村を襲う危険が指摘されているのです。

 現に1985年にはエベレスト山系の「ディグ・トショ」という氷河湖が決壊、高さ10メートルの水の壁になって流れ落ち、発電所や橋を流し去り、80キロ遠方に住む人びとも呑みこむ、大変な惨事を引き起こしました。

 現在、決壊の危険が指摘されている氷河湖はこの「ディグ・トショ」湖の20倍もの推量だそうです。なかでも、「イムジャ・トショ」という湖は、ヒラリー卿たちがエベレストに登った54年前には存在しなかったもので、その真下では1万人も人びとが毎日の生活を送っているそうです。

 ネパール政府がいま、最も心配しているのは、こうした氷河湖が標高の高いところから連鎖反応で決壊していく、玉突き大洪水。

 これが起きると、数千人が死亡し、表土もすべて流されて、農業を営むことも不可能になる、と恐れています。

 世界の屋根のてっぺんまで迫ってきた地球温暖化。
 いよいよ、待ったなし、です。

Posted by 大沼安史 at 09:01 午前 1.いんさいど世界 |

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