« 〔NEWS〕 ニューヨーク・タイムズが「イラク撤退」社説 | トップページ | 〔いんさいど世界〕 破局に近づく温暖化 世界の屋根 エベレストからの警告 »

2007-07-10

〔いんさいど世界〕 サッカー・アジアカップ開幕 がんばれ、イラク・チーム 初戦はタイと引き分け

 サッカーのアジアカップが開幕しました。日本は9日、ハノイで行われた初戦のカタール戦で、1-1の引き分けに終わりました。ちょっと残念ですが、こんごの活躍に期待しましょう。

 このアジアカップで、もうひとつ、応援したいチームがあります。

 「イラク戦争」下にあるイラクの代表チームです。

 イラクといえば、やはり日本が敗れた、1994年の「ドーハの悲劇」を思い出しますね。試合終了後、カズがピッチに倒れ込んだ、あのドーハでの一戦です。

 イラクのサッカー、「戦争」に挫けていません。
 4年に一度のアジアカップの今大会に、また「駒」を進めて来ました。

 イラクの初戦の相手はタイ。7日、バンコクで行われた試合は、アジアカップ2007の開幕戦となりました。 

 タイは前半 6分に幸先良くPKで先制点を入れましたが、その後、イラクが攻め続け、32分に左クロスからクハレフが鮮やかにヘディングシュートを決め、引き分けに持ち込みました。アウェーなのに、よく戦いましたね。

 このイラク・チームですが、よくもアジア・カップへ出てきたものと、ほんとうに感心させられます。

 イラク国内は米軍との戦いに加え、シーア、スンニ派が殺し合う内戦が続いていて、地獄のような様相を示している。ことし2月にはラマディーのサッカー場に自動車爆弾が仕掛けられ、その爆発で、サッカーを楽しんでいた子どもたち18人が死亡する悲劇さえ起きています。

 イラクはもともとサッカーが盛んな国で、三部までリーグがあり、一部リーグには36チームが所属して戦っていました。バグダッドには大きな専用スタジアムがふたつあり、数万人の観客を動員していたといいます。

 
 全国リーグは中止され、クルド、スンニ、シーア派の3地域で、それぞれ試合が続けられているそうですが、テロを恐れ、試合後、選手が雲隠れするようなことにもなっているようです。

 で、今回、アジアカップに乗り込んで来た代表チームですが、リビアやアラブ首長国連邦など国外でプレーする選手を中心に編成され、隣のヨルダンで練習してチーム力をつけて来ました。

 監督はブラジル人のビエイラさん(53歳)。この5月に就任したばかりです。
 
 イラクの代表チームの監督はビエイラさんの前、3代続けて、「死の脅迫」を受けて辞任しているのですね。
 代表チームを支えるスタッフの中には、誘拐され殺害された人もいるそうです。

 「聖戦」を続行しているのに、サッカーをするなんて、許せない、ということなのでしょうか?

 ビエイラ監督はアメリカのテレビ局のインタビューに答え、こう語ったいます。

 「チームのメンバーで、家族を失っていないものはひとりもいない」と。

 でも、チームに政治を持ち込まないようにしているんだそうです。選手たちは誰一人、「政治」のことを語ろうとしない。チームの団結を優先してるのですね。

 「チームにはスンニ派の選手もいればシーア派の選手もいる。でも、トラブルはない。みんな仲間だから」と、ビエイラ監督は言っています。

 選手のなかで注目なのは、若きストライカーのユウニス・マーモウド選手だそうです。カタールのチームでプレーし、今シーズン、なんと19ゴールも上げているそうです。

 こうしたイラク・ナショナルチームのプレーぶりを固唾をのんで見守っているのは、イラクの人びとです。
 バグダッドでは電力不足が続いており、自家発電装置のある家に集まって、テレビで観戦したりしている。ゴールが決まれば、通りに出て喜びのダンスを踊る。

 イラクは「国家崩壊」の危機に立っていますが、まだまだナショナリズムは健在なんですね。

 イラクのいる組には強豪、オーストラリアがいるそうですが、ぜひ勝ち上がって、日本と対戦してもらいたいですね。

 イラクと日本が決勝戦で対決する。「カタールの悲劇」の雪辱なるか、イラクが「アラブ馬のようなプレー」(イラク紙の表現)で、日本を打ち負かすか。

 イラクに平和が訪れ、バグダッドなどのスタジアムでアジアカップが行われる日が来ることを、祈りたいものですね。

Posted by 大沼安史 at 07:36 午前 1.いんさいど世界 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 〔いんさいど世界〕 サッカー・アジアカップ開幕 がんばれ、イラク・チーム 初戦はタイと引き分け: