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2007-05-31

〔ジャック天野の目が点丼〕 安部首相 年金“大失言” 「国民から申請があれば、自動的に給付しろというのか?」

 季節はずれの台風のように、畏友・ジャック天野から突如、メールが飛び込んで来た。
 生きてたんだ! 忘れてた! ごめん!

 例によって「怒り」のメールだった。彼もまた「年金不払い」に、頭に来ているようだ。
 
 例によって、メールの全文を「原文」のまま、掲載する。

            ●△● *△* ・△・

 おい、大沼、どうしてる? P・コバーンの『イラク占領』って本、「突貫翻訳」して、くたばり損ねたそうだけど、大丈夫か?

 おれは元気だぜ。ああ、おれはいま怒っている。国会へ怒鳴り込みたい気持ちだ。
 「年金」だよ、「年金」。
 この国の「政府」って、ちと「国民」をなめすぎじゃないのか?……「救済策」だなんて抜かしやがって、土下座しろ、土下座を!

 でもなぁ、大沼よ、あの党首討論は何なんだ?
 安部シンゾーが致命的な「大失言」をやらかしているのに、野党代表のオザワと来たら、突っ込みを入れることさえできない。シンゾーもシンゾーだが、一郎も一郎だぜ。

 「大失言」って何、だって?

 新聞、読んでみろよ、こう出てるじゃないか? これって、テレビのニュースにも出ていたハイライト部分だぜ。

 〔For the Record〕 (朝日新聞5月31日付け朝刊2面)

  ……さらに小沢氏が食い下がると、首相は「小沢代表は国民から申請があれば、自動的に給付しろと言われるのか」と切り返し……

 そうだよ、「美しい国」の宰相は、たしかにこう言ったんだ!!!

 小沢はこう「切り返されて」、しどろもどろになっていたが、これって千載一遇のチャンス、おれが小沢なら、こう突っ込みを入れていたぜ。

 「国民から申請があれば自動的に給付するのが年金じゃないですか?」

 ついでに、「おたくはまさか、国民がデタラメ申請するとでも思っているのか? 国民はみな、年金ドロボーと言いたいのか? 年金ドロボーはいったいどっちなんだ」とも。

 銀行だって、預金の引き出し申請があれば、自動的に払い戻ししているし、当の政府だって政党助成金の交付申請があれば、ナントカ還元水であろうと、自動的に税金を回している。

 申請即交付……そう、それが行政の原則。申請を受けたら、手元の控え(記録)を参照して、それが万が一、「過少申告」とわかったら、「あなたはもっと払っています。年金、もっともらえますよ」といって、すぐさま支給するのが筋だろうに……。

 こういう国なんだよ、官僚支配のこの国は……。
 な、大沼、わかったろ?

 だったら、あれもチャラだな!
 お前、新橋の飲み屋の割りカン、払え払えってしつこいけど、お前、あのときの領収書、ちゃんと保管しているのか?

 えっ、してない?
 なら、おれは払わないぜ。申請したからといって、自動的に払ってもらえるなんて、思うなよな!!!

 ま、こんな国に生まれたのが悪い、お前も、あきらめることだな…… 

Posted by 大沼安史 at 09:55 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「美しい国」は「平和な国」 日本 平和国家ランキングで第5位を維持

 英誌「エコノミスト」の情報部門が5月30日に発表した「グローバル・平和インデックス(平和国家ランキング)」で、日本は第5位にランクされた。

 トップは、①ノルウェーで、以下②ニュージーランド、③デンマーク、④アイルランド――の順。

 日本は、⑤スウェーデン、⑥フィンランドの上を行っている。

 最悪は121位のイラクで、そのイラクに「地獄」をもたらした米国は、96位。97位のイランと肩を並べている。

 「憲法9条」がなお、日本を「平和国家」の上位国につなぎとめているわけだが、「9条」が消され、米国と「集団自衛」軍事行動をはじめるようなことになれば、この国は「国際社会における名誉ある地位」から一気に転落するだろう。

 日の丸自衛隊がイラクの最前線に投入され、自衛隊員が血を流すようなことはあってはならないことだ。

 「自主憲法」の制定の動きには、現行9条の精神をより明確化させた「新9条」制定運動で対抗するのもひとつの方法であろう。

 「美しい国」が目指すべきは、世界で最も平和な、戦争をしない日本である。


http://www.eiu.com/index.asp

http://www.commondreams.org/archive/2007/05/30/1553/

Posted by 大沼安史 at 06:09 午後 | | トラックバック (0)

〔イラクから〕 米軍 「最後」の増派部隊 バグダッド着

 米国防総省が5月3日、明らかにしたところによると、米軍「最後」の増派部隊がバグダッドに到着した。

 第13海兵隊遠征戦闘部隊で、ブッシュ政権の「攻勢」作戦を担う、第5陣、「最後」の兵力投入だ。7月半ばまでに現地での展開を終える。

〔大沼・注〕 ブッシュ政権はバグダッドを10地区に区切り、武装抵抗を抑え込む方針だが、負け戦が続いており、挽回は絶望的だ。


http://www.theconservativevoice.com/article/25522.html

Posted by 大沼安史 at 05:32 午後 | | トラックバック (0)

〔イラクから〕 トルコ軍 イラク・クルディスタン国境に展開

 トルコ軍がイラク・クルディスタン国境地帯で兵力を増強しているという。クルド労働者党(PKK)のゲリラが、国境を越えてトルコ国内に侵入していると主張、米国、イラク政府にPKKの根拠地を破壊するよう求めている。
 
 こうしたトルコの動きに対して、イラクのクルド人勢力は警戒を強めており、米軍が掃討を開始すれば、クルド人の“米国離れ”が進むと警告している。

 アンカラ発のAP電が5月30日に伝えた。

〔大沼・注〕イラク・クルディスタンの「自立」が進めば進むほど、トルコのクルディスタン侵攻の可能性は高まるだろう。
 『イラク占領』を書いた英人ジャーナリスト、パトリック・コバーン氏の「読み」通りの展開になって来た。


http://www.thestate.com/372/story/76969.html

Posted by 大沼安史 at 05:21 午後 | | トラックバック (0)

〔イラクから〕 5月は残酷な月……米軍 最悪の戦死者 ファルージャ戦以来

 ワシントン・ポスト紙(電子版、5月30日付け)によると、この5月の米軍戦死者がファルージャ戦以来の最悪を記録した。

 27日のアメリリカの祝日、戦没者追悼記念日には、この日だけで10人が死亡、月初め以来の戦死者数は117人に達し、ファルージャ戦(2004年11月、同4月)のそれぞれ137人、135人に近づいた。

 同紙によれば、武装抵抗勢力の戦術も巧妙化、ヘリ墜落現場へ向かう救出部隊を狙って、あらかじめ埋設していた路肩爆弾を爆発させる、といった高度なものになっている。

[大沼・注]  ファルージャ戦という局地的な激戦がイラク全土に拡散し、米軍はますます追い込まれて来た。

 ブッシュ政権が「ぶんどり」を狙って制定を迫る「イラク石油法」も、「イラク政府」側がレジスタンスに出て、アメリカの思惑通り進んでいない。

 アメリカの軍事的、政治的敗北が鮮血のようにはっきりして来た。


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/05/29/AR2007052900304_pf.html

Posted by 大沼安史 at 10:11 午前 | | トラックバック (0)

2007-05-29

〔イラクから〕 「戦争ですべてを失った。誇りさえも」 売春に追い込まれる難民イラク人女性

 イラクの地獄からシリアに逃れた女性たちのなかに、売春に追い込まれる者が数多くいるという。その数、「数千人」(支援活動家)。夫をテロで失うなど大黒柱をなくした難民母子家庭が、新たな逆境にあえいでいる。

 米紙ニューヨークタイムズ(電子版、5月29日付け)のシリア発の記事を読んで胸が痛んだ。
 とりわけ、まだ16歳のヒバの話には。

 ヒバの父親は糖尿病の合併症を患っていて、彼女が「ナイトクラブ」で稼いで一家を支えている。

 ヒバの一家はバグダッドから、この春、シリアに逃れて来た。バグダッドにいたころ、ヒバは敬虔なイスラム教徒で、夜明け前に起きて祈りを捧げ、ヒジャブ(スカーフ)をかぶって学業にもいそしんでいた。

 いまナイトクラブで、彼女は肩をむき出しにしたピンクの絹のドレスをまとっている。

 ヒバの母親が言った。「戦争ですべてを失った、誇りさえも」

 ダマスカスで支援活動にあたるカトリックの尼僧は最近、義理のイラク難民3姉妹に会った。3人とも母子家庭を支える“シングルマザー”。交代で売春に出て、稼ぎを分け合い、子どもたちに食べさせている。

 売春ナイトクラブの駐車場の半分はサウジ・ナンバーの車だ。自国で禁止された「酒」と「女」を求めてやってくる。

 
 難民イラク人女性らが売春で命をつないでいるのは、シリアの首都ダマスカスの近郊、マラバ地区の通称「カジノ」といわれるナイトクラブ(ギャンブルは行われていない)などが舞台。

 ダマスカス市街の路上でも、イラクなまりのアラビア語で「お茶しない」と誘う女性の姿が見られるという……。

 記事を読み終え、とくに日本の国会の与党女性議員たちの「感想」を聞きたくなった。あなたがたが「賛成」した「イラク戦争」が、こんな悲劇を引き起こしているのですよ、と。どう思いますか?――と。

 安部首相なら、こんなコメントを返すのだろうか?
 「狭義の強制性はありませんから……」


http://www.nytimes.com/2007/05/29/world/middleeast/29syria.html?_r=1&hp&oref=slogin

Posted by 大沼安史 at 07:03 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「平和の母」シーハンさん イラク反戦活動停止を宣言 民主党の姿勢に失望

 英紙ガーディアンが5月29日に報じたところによると、米国のイラク反戦運動の先頭に立ち、ブッシュ政権を許さない活動を続けてきた、「平和の母」こと、シンディー・シーハンさん(49歳)は27日付けの米連邦議会の民主党議員あて公開状のなかで、アメリカ反戦運動の“顔”としての役割を止め、母親として家庭に戻ると宣言した。

 シンディーさんは「辞任」の理由について、民主党に対して、ブッシュ政権を支える共和党と同じ基準を適用しようとしたところ、彼女への民主党の支持が揺るぎはじめ、「左翼」から悪罵を投げつけらるようになったことを挙げた。

 民主党が「イラク撤退」に躊躇していることに党員としいて失望、活動からの撤退を決めたらしい。

 シンディーさんは、息子のケイシーさんがイラクで意味もない戦死を強いられたことに抗議、ブッシュ大統領のテキサス州の牧場前に座り込むなど、反戦活動を続けて来た。


http://www.guardian.co.uk/usa/story/0,,2090192,00.html

Posted by 大沼安史 at 11:44 午前 | | トラックバック (0)

2007-05-28

〔いんさいど世界〕 世界最速 女性F1ドライバー ダニカ・パトリック ことしも「インディ500」で健闘 8位に食い込む 一時は3位に ピットイン後の雨で無念の涙

 日本では競馬の日本ダービーが開催され、牝馬のウオッカが優勝した5月27日(日曜日)、米国のインディアナポリスでは、世界3大レースのひとつ、「インディ500」が行われ、アメリカの女性F1ドライバーの果敢な「走り」に、全世界のカーレース・ファンが熱い声援を送りました。
 女性ドライバーによる「インディー500」初優勝の期待も高まっていましたが、残念ながら、結局、8位に。
 一時は3位まで順位を上げる果敢な「攻め」を見せましたが、ピットインしたあと雨がふたたび降り始め、無念の涙を流しました。

 惜しかったですね。
 でも、「インディ500」の「8位「は、もちろん胸を張って誇れる成績〔ちなみに日本人ドライバー(男性)の最高は、松浦孝亮選手の16位でした〕。
 次回こそ「優勝」、の呼び声は高まるばかりです。

 「インディ500」は言うまでもなく、F1モナコGPとルマン24時間耐久レースと並ぶ、世界のカーレースの最高峰。1週2.5マイルのコースを200周、500マイル(800キロ)走行するものです。最高時速350キロ以上、平均でも240キロ以上で突っ走る、一瞬たりとも集中力を切らしてならない超過酷なレースです。

 そんなことしの「インディ500」で、「優勝」の期待を背負っていた女性ドライバーは、ダニカ・パトリックさん(25歳)。

 実績に加え、女優やモデル顔負けの美貌とスタイルの持ち主とあって、世界のレージング・ファンの憧れの的になっている人です。
 
 155センチ、45キロの小柄な体つき。

 2005年の「インディ500」で彗星のようにデビュー、いきなり4位に食い込んで、世界のトップレーサーの仲間入りを果たしました。
 そのとき、彼女が予選で記録した最高速度はなんと369.957キロ。よほど勇気と度胸のある方なんですね。

 2006年のシーズンはすこし調子を落として、「インディ」は8位の成績に終わりましたが、各レースで着実に上位をキープ(9位以内の入賞、なんと11回)。3年目の今シーズンへの期待が膨らんでいました。

 ことし2007年の「インディ500」は2度目の降雨のため、8位のポジションにつけていた165週目に入ったところでレースは打ち切られました。
 一時は3位まで順位を上げ、先行車を射程にとらえ、2位をうかがおうとするところまで行ったときに最初の降雨で中断。その後、ピットインして追い上げようとしたとき、2度目の雨になってレース終了が宣言されたそうです。
 雨が降らなければ、「優勝」もありえたわけですね。

 ことしのレースにはダニカさんのほか、女性ドライバーが2人、参加しましたが、もともとF1レースの世界は、男の世界で、女性には無理を思われていました。男性レーサーと比べ、ヒップが大きな女性には、FIレーサーとしての適性がないと考えられていたそうです。

 ダニカさんはその常識を打ち破ったわけですが、男勝りのドライブテクニックを身に着けるまでには、元レーサーの父親による、子どものころからの厳しい特訓(ゴーカートのレースから始めたといいます)と、16歳で英国に渡って始めた、欧州での「カーレース武者修行」での実戦訓練、自己鍛錬がありました。

 ダニカさんはつまり、F1界の「サラブレッド」(牝馬)だったわけですね。

 ダニカさんの活躍で、女性ドライバーの持つ、あるアドバンテージ(有利さ)が見直されてもいるそうです。つまり、男に比べ、体重が軽い……。ということはそれだけマシンの速度が上がる可能性があるわけです。

 こうなると、そのうちF1界でも「男女逆転」が起こり、「女性優位」の時代が来るかも知れませんね。

 さて、ダニカさんの「インディ」初優勝の可能性は、ほんとうのところ、どこまで現実的なものなのでしょうか?

 この点について、「インディ」の伝説的な存在であるマリオ・アンドレッティさんは、「彼女はやるよ。勇敢だから」と、太鼓判を捺しています。

 ダニカさんのこれからの「走り」に、わたしたちも声援をおくることにしましょう。  
 


http://www.danicaracing.com/

http://www.latimes.com/sports/la-sp-danica24may24,1,6776623.story

http://www.latimes.com/sports/la-spw-hinton26may26,1,492078.story

Posted by 大沼安史 at 06:17 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2007-05-24

〔イラクから〕 ケシの栽培 ひろがる デイワニア西南部 ユーフラテス流域 アフガンの2の舞? P・コバーン記者がレポート

 英紙インディペンデントのパトリック・コバーン記者(バグダッド特派員)が5月23日付け同紙電子版で伝えたところによると、イラク南部、ディワニア西南部のユーフラテス流域で、ケシの栽培が広がり出しているという。

 内戦が続くアフガンが、世界最大のアヘン供給地と化したことを思い起させる、新たな展開だ。

 現地の農民は米の栽培を止め、ケシを育て始めたというのだ。

 
 オタワ大学(カナダ)のマイケル・チョスドフスキー教授によれば、アフガンのケシ栽培=アヘンの生産は、米軍など駐留NATO軍によって「保護」され、2000億ドルもの巨額の資金を、西側諜報機関や財政機関などにもたらしているという。

 アフガンに続き、メソポタミアもアヘンの供給基地に堕してしまうのか? 


http://news.independent.co.uk/world/middle_east/article2573299.ece

http://www.globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=20070604&articleId=5514

Posted by 大沼安史 at 10:01 午後 | | トラックバック (0)

2007-05-22

〔イラクから〕 米軍 サドル師を和平交渉の場におびき出して暗殺……に失敗 パトリック・コバーン記者がスクープ報道

 英紙インディペンデントのバグダッド特派員、パトリック・コバーン記者は5月21日付けの同紙(電子版)で、米軍がイラク・シーア派の指導者、サドル師を和平交渉の場におびき出し、暗殺しようとして失敗していたことをスクープ報道した。

 米軍とサドル派の和平交渉の仲介をした、イラク政府の治安顧問、モワファフ・ルバイエ博士から証言を引き出して伝えた。

 2年半ほど前の2004年8月、イラク南部のシーア派の拠点都市、ナジャフでのこと。サドル師が、和平交渉に出席するため、現れることになっていた民家に、米海兵隊と米軍特殊部隊が攻撃を加えた。
 サドル師はまだ現場に到着しておらず、危うく難を逃れた。

 この暗殺未遂事件以来、サドル師は米軍、イラク政府に対して「ひどい不信感」を抱き、公の場に姿を見せていない。

 この暗殺未遂についてコバーン記者は、アメリカの「一連の浅はかな、政治的な爆発を引き起こしかねない」行為のひとつと指摘、「誰が命令したかはわからない」としながら、アメリカの見境のなさを厳しく批判している。

 バグダッドからの一部報道によれば、サドル師はなんとスンニ派との共闘による反米闘争を模索しているという。

 シーア、スンニの「双子の反乱」がイラクに起きれば、「イラク占領」はいよいよ最終局面に入る……。
 

http://news.independent.co.uk/world/middle_east/article2565123.ece

Posted by 大沼安史 at 09:55 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 パトリック・コバーン著『イラク占領』 増刷出来! 週刊朝日に上野昂志氏が書評

 パトリック・コバーンの『イラク占領 戦争と抵抗』(緑風出版)が増刷された。「イラクものは売れない」との、大方の予想に反した“健闘”ぶりだ。

 これはもとより、バグダッドに踏みとどまり命がけの報道を続けるコバーンに対して、日本の読書界が示した評価だが、酒井啓子氏、高橋和夫氏ら識者の鑑識眼とその書評によるところも大きいように思う。

 そんな折、本日発売の週刊朝日の読書欄「週刊図書館」に、評論家の上野昂志氏による「書評」が掲載された。

 1ページを使い切った長文の書評。イラクで起きている「事実」を直視するには、「まず本書を読むことだ」と言い切ってくださった。訳者として、とても嬉しい。

Posted by 大沼安史 at 09:16 午後 | | トラックバック (0)

2007-05-20

〔いんさいど世界〕 バルト海の小国、エストニアに対して 世界史上初の「対国家サイバー攻撃」 ロシア政府が関与の疑い 「反ロシア」に警告か?

 エストニアという国をご存知ですか? バルト海に面した、エストニア人による小さな国です。エストニア語という独自の言語も持っています。

 バルト海で、わたしたち日本人がすぐ思い出すのが、日露戦争のあのバルチック艦隊のバルト。
 エストニアはそんなロシアの海の出口、バルト海に面した、人口140万人、国土も北海道の5分の3しかない、小さな国。ソ連崩壊後の1991年に「独立」回復を宣言した、ロシアの隣接国です。
 ロシア(旧ソ連)の事実上の衛星国だったことから、残留ロシア人も多く、国民の4人に1人はロシア人だそうです。
 対岸のフィンランドと競うように、国を挙げてIT化と取り組んでおり、インターネットの普及率は世界トップクラスと言われています。
 
 そのエストニアがこの春、大規模かつ集中的な「サイバー攻撃」にさらされました。大統領府をはじめ国家機関のウェブサイトにツナミのようなアクセスがなんども押し寄せ、この国のネットを通じた活動をダウンさせてしまいました。世界初、史上初の「対国家サイバー攻撃」が、繰り返し行われたのです。

 発端は、首都タリンでの、4月27日の出来事だと言います。
 タリンは旧市街が「世界遺産」にも指定されている美しい街ですが、その中心部に立つ、旧ソ連の第二次大戦戦勝記念の銅像が、その日、エストニア政府の手で撤去、移転されました。
 これにデモで抗議したのが残留ロシア人たちで、政府当局により1300人が拘束され、100人が負傷、1人が死亡する事態になりました。

 エストニアに対する、大がかりなサイバー攻撃は、この危機のさなかに開始されたといいます。

 「DDoS(分散的サービス否定)」といわれる、アクセス集中攻撃で、英紙ガーディアンの報道によれば、少なくとも100万台のパソコンが動員され、世界中から、エストニア国内のターゲット(WEBサイト)にアクセスが殺到したといいます。

 波状攻撃の第一波は5月3日をピークに吹き荒れ、5月8、9日の第二派へと続き、同月中旬には第3派が荒れ狂いました。

 おかげで、エストニアの大統領府、国会、ほとんどの政府機関、政党のウェブサイトがダウンしたほか、主要銀行2行、通信各社、3つの主要報道機関のサイトも閉鎖に追い込まれました。

 ガーディアン紙によれば、損害の全容はまだわかっていないそうですが、かなりのダメージがあったことは確かです。同紙は「3週間にわたって、エストニアを無能化した」と書いています。

 エストニアは2004年にNATО(北大西洋条約機構)に加盟、翌2005年にはEU(欧州連合)に加わって、ロシア離れを加速していますが、新規加入の同盟国に対する「サイバー攻撃」に驚いたNATOは、専門家をタリンに急派し、エストニア防衛に乗り出しました。

 その結果、外国からのアクセスを排除する(国内からのアクセスだけを可能とする)水際作戦で「サイバー攻撃」を撥ね付けることには成功したようですが、これだとエストニアのネットがグローバルな接続から切り離され、ローカルなものになってしまうわけで、抜本的な対策にはなっていないのが実情のようです。

 サイバー攻撃者の「公式特定」もできていません。
 エストニア政府関係者らによれば、波状攻撃の初期段階でロシア政府機関発の攻撃があったことが確認されているので、どうもロシア政府が背後にいるのではないかと、そのの関与が疑われていますが、ガーディアン紙の問い合わせに対し、駐ブリュッセルのロシア大使はこれを否定、「ロシア政府が関与しているというなら、証拠を出せ」と突っぱねています。

 NATOもロシア政府追及には及び腰で、今回のエストニアという同盟国への「サイバー攻撃」を、集団的自衛権の発動対象となる「軍事行動」とはとらえず、反撃は控える態度。
 EUもロシア政府との政治的な折衝を通じ、問題解決の糸口をつかみたい考えだそうです。

 エストニア政府もロシアを公式に非難する態度には出ていませんが、エストニアの代表紙のひとつ、「ポスティメーズ」の編集長、メルト・コプリ氏が言うように、「ロシア発のサイバー攻撃。疑問の余地はない。政治的な攻撃だ」と、エストニア人の誰もがみな、信じているようです。

 かりに真犯人がロシア政府だとして、ではどうして今回、こうしたサイバー攻撃に踏み切ったのか?

 背景には個別エストニアにとどまらない、大きな広がりがあるようです。旧ソ連衛星国のポーランドやチェコなどが米欧の「反ロシア包囲網」に加わり、ブッシュ政権が進めるミサイル防衛網の整備などに同調する動きを示していることに、ロシアは神経を尖らせています。
 そうした動きに対する警告の意味が、今回のサイバー攻撃にはあったのではないでしょうか?

 ところで、こんどのエストニア攻撃に使用されたPCは、いわゆる何者かによって、いわゆる「マル・ウエア」が仕込まれたパソコンが相当数、含まれているようです。他人のPCを乗っ取って、それをサイバー攻撃に使う手口ですね。

 ガーディアン紙によると、今回と同じような攻撃は、ことし2月、インターネットの通信の流れを管理するコンピューター・サーバーのうちの3つに対して決行され、一時的なダウンに追い込んだことがあるそうです。
 アメリカの国防総省とインターネット管理団体Icann、そしてUltraDSNの3機関のサーバーで、韓国発の攻撃ではないか、と見られているそうです。

 ネット世界にも「有事」があるのですね。
 こっちの方が、よほど平和な国民生活をおびやかす脅威ですよね。 

 ネットの「専守防衛」は、日本の現行憲法上の義務であるはず。どうなっているのでしょう?
 日本政府関係者、とくに防衛省には聞いてみたいところです。

 もっとも、「イージス艦極秘情報」を全世界に「発信・大公開」しているような「お役所」ですから、聞くだけ野暮かも知れませんが……。
 「美しい国」の興廃はむしろ「ネット防衛」にあり、各自一層、奮励、努力せよ――でしょうに??!!……。 


http://www.guardian.co.uk/frontpage/story/0,,2081512,00.html

Posted by 大沼安史 at 10:26 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2007-05-15

〔NEWS〕 『イラク占領』 日経新聞でも書評 高橋和夫氏「米国の傲慢が生む無数の悲劇」

 日本経済新聞(5月13日付け)に、パトリック・コバーン著、『イラク占領 戦争と抵抗』(緑風出版)の書評が掲載された。

 高橋和夫・放送大学準教授によるもので、コバーンの本の存在価値を、その「手織り絨毯」のような「叙述」「詳述」による、「イラクの現代史」の直接的な「現場経験」感覚であると指摘し、「コバーンが達意の文章で織り上げた絨毯に浮かび上がっているデザインは、アメリカの無謀、無知、無能であり、傲慢さである。その傲慢さが無数の悲劇を生み出し、それがイラク人のアメリカへの怒りの源泉となっている」と述べている。

 コバーンの本の価値をその核心において端的に示す、見事な「評」である。訳者(わたし)が原著者(コバーン)になりかわることはできないことが、それでも、やはり嬉しい。

 先日、「朝日」に載った酒井啓子氏の力のこもった書評は、多くの読者の心を揺さぶり(その「読者」のなかにはもちろん、わたしも含まれている……)、ネット書店の「アマゾン」では掲載当日、同書がランキングの上位に突然、急浮上した。

 高橋氏の「書評」からも、同じような、こころ揺さぶられるものを、わたし自身、感じた(と同時に、小さな勇気のようなものも頂戴した……)。

 「本」と「読み手」を結んで、ひとつに織り上げる、書評のチカラ、というべきものを、あらためて「体感」した。

Posted by 大沼安史 at 09:03 午前 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 Wi-Fi(ワイファイ)に「電磁波スモッグ」の危険 欧州で学校での設備禁止の動き

 Wi-Fi(ワイファイ)……聞いたこと、あります? 正確の言うと、「ワイアレス・フィデリティー」(これはたぶん、ハイ・フィデリティーから来たコトバです。信頼性が高い、って意味の)の略。かんたんに言うと、ワイアレスの無線LANのことだそうです。
 パソコンって、コード(ワイヤ)で接続するのが、これまでの常識でしたが、いまは無線でつなぐのがフツー。
 日本ではまだまだ普及していませんが、英国では小学校の半分、中学校の4分の3に設備され、パソコンを使った学習・教育活動に役立っているそうです。
 時代物のパソコン、「期限切れ」のOSを使っている日本の公立学校とは大違いですね。

 その英国の高級紙、「インディペンデント」が先頃(電子版、4月22日付け)、「ワイファイ:〈電磁波スモッグ〉の危機に立つ子どもたち」という記事を掲載し、ワイアレス無線接続に警告を発しました。
 「電磁波スモッグ(electronic smog)」とは、日本ではおなじみ(?)の「光化学スモッグ」の電磁波版っていったところ。人体に悪影響を及ぼす、電磁波によるスモーク(煙)のようなフォッグ(霧)という意味の新造語。
 欧州ではこれまで、携帯電話による「電磁波スモッグ」の、とくに子どもたちへの影響が取り沙汰されていましたが、同じ危険が「ワイファイ」にもある、調査に乗り出すべきだという声が高まっているそうです。

 同紙によれば、オーストリアの医学協会ではワイファイの学校への設置反対活動を行っており、モーツァルトの音楽祭で有名なザルツブルクでは市当局が各学校に設置見送りを勧告、将来的には設置禁止に踏み切りそうです。

 英国ではバッキガムにある「ストウ校」という有名校で「ワイファイ」を設置後、撤去しました。その学校で28年間、「古典」を教えている校長先生が、設置後間もなく、頭痛や吐き気に悩まされるようになったからです。

 2000年5月、携帯電話の電磁波の子どもに対する影響に警鐘を鳴らす、「スチュアート報告」を発表した、英政府「健康保護局」(局長=ウイリアム・スチュアート卿)も、「ワイファイ」に対する関心を強めており、英国内の小中学校の現場の状況をモニター(監視)する方針を固めているそうです。

 ところで、日本でのすっかりフツーになった、このワイヤレス無線接続、英国では家庭とか職域を越えて、地域ぐるみ導入する方向に進んでいます。
 ノルウックという市では市役所を中心に半径4キロを「ワイファイ」化し、誰でも「1時間まで無料通信」を楽しんでいるそうです。ブライトンという保養地の街は来年、全市ワイファイ化する予定で、マンチェスターも220万市民に無料アクセスを提供する計画を立てています。前述の通り、小学校は2校に1校、中学校は4校のうち3校がすでに設置済み。
 つまり、英国では国中、すごい勢いでワイアレス化が進んでいるわけです。それだけに、ワイファイに“副作用”に対する警戒心も高い。

 携帯電話について言えば、最近、フィンランドで出た研究発表によると、携帯を10年以上、使い続けた人は、脳の受話器を当てた側に40%、脳腫瘍ができる恐れがあることが判明したそうです。スウェーデンのルンド大学の研究者は、携帯による電磁波が脳細胞を破壊し、携帯世代の若者たちは40代、50代で老化してしまう、と警告を発しています。

 欧州で点った「電磁波スモッグ」に対する赤信号……。
 これって、他人事じゃありませんね。

 日本政府、研究機関の「追試」のリサーチが求められるところです。


http://news.independent.co.uk/uk/health_medical/article2472133.ece

Posted by 大沼安史 at 08:51 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2007-05-12

〔NEWS〕 「社会のクズ(racaille)」サルコジ 仏新大統領に 「第三の道」のアンソニー・ギデンズ氏 「サッッチャーリズム・フランス版」の「強行」に警告

 地中海のマルタ島で大富豪の豪華ヨットに乗って「祝・当選バカンス」を楽しんだフランス上流「社会のクズ(racaille)」、サルコジ仏新大統領に対し、英国の社会学者、アンソニー・ギデンズがルモンド紙との会見(電子版、5月8日付け)で警告した。

 サルコジがサッチャー路線を採ろうとするのではないか、との見方に対するコメントを述べたもので、ギデンズ氏は「サッチャーリズムは移行期の一形態。どの国民に対しても薦められるものではない」と、フランスにおける適用に釘を刺した。

 ギデンズ氏はサッチャー元首相について、「彼女は不平等をひどくし、公共サービスの現代化を怠った」と指摘したあと、英国のブレア政権がサッチャー・メージャー政権後に実施した「持続可能な経済的な繁栄と社会正義を結合した」「第三の道」路線の意義、成果を強調。英国では保守派(党)も中道右寄りのスタンスながら「第三の道」に傾斜しているとして、フランスでもその方向での改革は、かんたんなものではないが実現は可能だ、と述べた。

(大沼・注)
 「経済的な繁栄(「いざなぎ」越え、したとされる、「円ジャブ(ジャブ)景気」)」と「社会正義」が結合していないのは、われらが「日本」もそうである。

 「戦時レジーム」=「1940年体制」(官僚支配+統制政治経済)がいまだ居座り、「公共サービスの現代化」に抵抗している。

 先日の日経新聞には、特殊法人が独立行政法人に移行する際、累積債務の穴埋めで政府出資金(国民の財産)を12兆円も、コッソリちょろまかしていた、というスクープ記事が出ていた。

 これはもう、ビューロクラシー(官僚政治)どころか、クレプトクラシー(泥棒政治)の世界の話ではないか!!  

 問題は「戦後レジーム」ではなく「戦時レジーム」である。
 その清算もしないで(できないで)、「サッチャー路線」に走る日本の上流「社会のクズ」たち。

 「社会正義」の実現のため、「公共サービスの現代化」に努めるのが先ではないか?

 「夕張」「人身事故」「保護費打ち切り」…………。ああ、ナントカ還元水流れる、この、美しい国よ!


http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0,36-907159,0.html

Posted by 大沼安史 at 09:27 午前 | | トラックバック (0)

2007-05-07

〔コラム 机の上の空〕 佐藤享如さんと一叩人さんのこと

 雑誌の「世界」(5月号)で、作家の澤地久枝さんが評論家の佐高信さんと、川柳作家、鶴彬(つる・あきら)をめぐって対談していた。

 日中戦争の戦時下、29歳の若さで警察署に拘留されて死んだ鶴彬は、川柳界の小林多喜二と言われる。

 その鶴彬のことを、わたしは多喜二のふるさと、北海道小樽市の、最上(もがみ)の坂上にある古い木造の民家で、貸間業を営みながら、国を相手に裁判を闘っていた川柳作家、故・佐藤享如(きょうすけ)さんから教わった。1970年代の後半、わたしがまだ20代だったころ。

 当時、北海道新聞の小樽報道部に所属し、新聞記者をしていたわたしは、在宅投票制度の復活を求めて闘う「享如さん」の元へ取材で通い出した。

 享如さんは寝たきりの身障者。玄関を入ったすぐ横に居間(寝室)があって、寝床で腹ばいになった享如さんのそばに腰掛け、話を聞く。

 自身、「冬児(とおる)」を名乗る川柳作家。裁判の話のついでその口から飛び出す政治批判は、自作の川柳同様、辛辣かつ痛快で、わたしは暇ができると、最上の坂の中腹にあるその家まで、話を聞きに出かけるようになった。
 「鶴彬」という、聞いたこともない川柳作家のことを教わったのは、そんなある日のことである。

 享如さんが諳んじてみせた鶴彬の作品は痛烈なもので、わたしはすぐ覚えてしまった。

 たとえば、

   手と足をもいだ丸太にしてかへし

 や

   貞操を為替に組んでふるさとへ

 などの句……。

 言論による批判・抵抗の意味、実例を、わたしはそのとき教わったのだ。

 いまのわたしに、もしも「反骨の小骨」(そういえば、当時、わたしは小樽の飲み屋の女将に、「あんたは軟骨漢ね」と言われたことがある。いま思い出した……)の一本でもあるとすれば、それは鶴彬を高く評価し、国を相手に寝床のなかから、敢然と立ち上がり抵抗を続けた享如さんが遺してくれたものだろう。
 わたしもまた、佐藤享如さんに出遭ったことを、宝のように誇ることができる一人である。

 わたしはその最上の享如さん宅で、川柳仲間の一叩人(いっこうじん)さんにも会った。一叩人さんが小樽までわざわざ訪ねて来たとき、わたしは偶然、寝床のそばにいたのだ。

 一叩人さんは独力で鶴彬の作品を収集、ガリ版刷りで手製の「鶴彬全集」を出版した人である。

 澤地さんは佐高さんとの「対談」のなかで、故・一叩人さん(本名・命尾小太郎)のことを熱く語っていた。一叩人さんなくして「鶴彬全集」もなく、澤地さんが「私家版」を出すこともなかったろう。

 その一叩人さんに関するわたしの記憶は2つ。
 ひとつは、享如さん宅の玄関先で挨拶を交わしたときの、柔和な笑顔と、その周りを包んでいた柔らかな日の光で、もうひとつは、何度かもらった手紙の、新聞のチラシでつくった手製封筒のことである。

 一叩人さんはつましい暮らしを続けながら「全集」刊行という大事業を成し遂げ、享如さんは享如さんで、国を裁判で追い詰め、在宅(郵便)投票制度の復活につながる「実質勝訴」を手にして、生涯を閉じた。

 ふたりとも、見事な人生を生き切ったと思う。

 享如さんの川柳でよく知られているのは、

   投票所 月より遠く 寝たっきり

 だが、わたしは、

   神風が 吹かない空を 赤とんぼ

 が一番好きである。敗戦の年の初秋の作だ。

 
 軍靴の音が遠くに聞こえる2007年のいま、もしも仮に、享如さん、一叩人さんが生きていたなら、どんな川柳を作ることだろう。

 それを想像することが、わたしの義務であり、わたしの指針でなければならないと、わたしはいま思う。

 臨終の際、享如さんは両目を、真正面に向けて、焦点を一点に合わせて亡くなった。そのこともまた、わたしはいま思い出す。

Posted by 大沼安史 at 09:32 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (1)

〔NEWS〕  ロサンゼルス・タイムズが「イラク撤退」社説

 米ロサンゼルス・タイムズ(LAT、電子版)は5月6日、「兵士たちを帰還させよ―イラク人に必要なのは占領ではなく政治的和解だ。米軍はイラクの内戦の審判をするべきでない」と題する社説を掲げた。

 有力紙のひとつが「イラク撤退」の社説を掲げたことは、米国の世論の動きを反映したもので、ブッシュ政権は国内的にますます追い込まれたかたちだ。

 社説のなかでLATは、

 「3500億ドル以上の戦費を費やし、3363人の米兵が殺され、24310人の米兵が戦傷した戦争の4年間が過ぎたいま、イラクの政治的な解決は外国軍による無期限の占領の影の下では達成できないことが、ますますハッキリしたように思われる」

  After four years of war, more than $350 billion spent and 3,363 U.S. soldiers killed and 24,310 wounded, it seems increasingly obvious that an Iraqi political settlement cannot be achieved in the shadow of an indefinite foreign occupation.

 と述べ、

 「イラクに多大な投資をしたことで、アメリカ人は撤退を戦争をほとんど同じくらい苦痛に感じてしまいそうだ。しかし、わたしたちが不可避のことへの計画づくりを遅らせれば遅らせるだけ、結果はさらに悪いものになりそうだ。いまや引き揚げの時である」

  Having invested so much in Iraq, Americans are likely to find disengagement almost as painful as war. But the longer we delay planning for the inevitable, the worse the outcome is likely to be. The time has come to leave.

 と、早期撤兵を呼びかけた。


http://www.latimes.com/news/opinion/editorials/la-ed-iraq6may06,0,6475755.story?coll=la-news-comment-editorials

Posted by 大沼安史 at 07:44 午後 | | トラックバック (0)

2007-05-06

〔NEWS〕 P・コバーン著『イラク占領 戦争と抵抗』 酒井啓子氏が朝日新聞で書評

 「中東現代政治」のわが国における第一人者、酒井啓子氏(東京外語大学教授)が5月6日付け、朝日新聞の「読書」欄に、パトリック・コバーン著、『イラク占領 戦争と抵抗』(緑風出版)の書評を寄せた。
 
 熱がこもった、しかも的確な書評だった。そんな酒井氏の評価を受けたのはもちろん、原著者のP・コバーン氏だが、イラクで起きている真実のため、一日も早く、そして何としても必ず、原著の邦訳を送り出そうと、突貫で翻訳した訳者としては、酒井氏の書評は身にしみてありがたく、嬉しかった。

 酒井氏はたとえばこう書いている。

 「情報の精度だけではない。米政権がどう失敗していったか、なぜイラク人が反米化していったか、かつて存在しなかった宗派対立がいかに醸成されたか、政治分析の的確さも抜群だ」

 的を射抜いた指摘である。酒井氏が言うように、「情報収集、分析力、表現力のいずれも優れた、超一流のイラクウオッチャーである」P・コバーンの筆致は深く鋭く、イラクを「完全な無法状態」に突き落とした「米政権のイラク政策の大失敗」を徹底的に暴露しているのである。

 原著の出版後、コバーン氏を通じて「イラク政府」関係者が「和平案」を提起したり、コバーン氏の「(一定)評価」する人物が駐留イラク米軍の最高司令官に抜擢されるなど、本書の影響力はかなりのものである。「教科書」とは言わないまでも、ロンドンやワシントンの政府当局者の「参考書」になったことは間違いないところだ。

 酒井氏からは書評のなかで、「誤植」「誤記」が多すぎるとお叱りをいただいた。今後、「重版」に向けて全面的に見直しをするつもりだが、イラクをめぐる一般マスコミ(各社間の違いもある)の表記と、専門家の正確な表記のズレをどうすべきか、頭を痛めている。
 (酒井氏が書評で教示してくださったように、イスラム教「スンナ派」と、一般マスコミの「スンニ派」の違いは、その一例である。「アル」を消してしまっていいのかどうか、など、いろんな問題がある)

 訳者としては通信社の表記を基準としたいわゆる「新聞表記」に拠ったつもりでいたが、力及ばずだった。申し訳ない。 

Posted by 大沼安史 at 12:40 午後 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 「北風」よりも「太陽」? ドイツに大規模「太陽光発電所」続々

 たった一度だけ、ドイツに行ったことがある。ロンドンのサマースクールで仲良くなったドイツ人らに誘われ、帰国前に、ケルン、ベルリンと、列車で旅した。
 ベルリンの壁が消える10年ほど前。ドイツとベルリンが東西に分かれていたときのことである。
 夏の終わりだったが、肌寒かった。「冷夏」という言葉がぴったりの、曇天のドイツだった。

 その「曇天のドイツ」に、世界最大規模の「太陽光発電所」が相次いで建設され、発電を開始していると知って、驚いた。ドイツが環境保護の先進国であることはなんとなく分かっていたが、これほどまで太陽光発電に力を入れているとは知らなかった。陰鬱な曇り空の多い北国だからこそ、日の光への希求はなおさら、強いということか?……
 
 晴れの日が少ないにもかかわらず、「太陽光発電」に挑むドイツ……。
 ワシントン・ポスト紙(電子版、5月5日付け)が掲載した現地発の記事を読んで、ドイツの人びとの根気強さと粘りに、あらためて感心させられた。

 石油生産がピークを過ぎたいま、自然エネルギーの利用は、日本を含む世界各国の、まさに死活的な課題だ。同紙の記事を手がかりに、「ドイツ太陽光発電事情」を紹介しよう。

 ポスト紙によれば、ドイツ1ヵ国だけで、昨年(2006年)、世界の太陽光発電の約「半分」を占めた。世界には、太陽電池(パネル)を連ねた大規模な「太陽光発電所」は20ヵ所あるが、そのうち15ヵ所、4分の3は、ドイツにあるという。

 ドイツは、たとえばポルトガルと比べ、晴れの日はその半分しかないのに、にもかかわらず、圧倒的なシェアを誇る、「太陽光発電」断トツ世界1の国である。

 では、どうして、そういうことになったのか?

 理由はいくつかあって、ドイツが世界6位の炭酸ガス放出国であり、自然エネルギー発電に切り替えて地球環境への負荷を減らそうと努力しているのがひとつ。(2020年までにエネルギー必要量の4分の1を自然エネルギーに切り替える)
 もうひとつは、国内の原子力発電を2020年までに段階的に全廃することを、国として決定しているからだ。

 しかし、何よりも大きな威力を発揮したのは、ドイツが2000年に制定した「再生可能エネルギー法」という法律。
 これにより電力会社は、太陽光発電による電気を特別価格で買い取ることが義務付けられた。
 そうした助成策のおかげで、「曇天の北国」にもかかわらず、太陽光発電が広がっているのだ。

 自然エネルギー発電ではほかに風力発電やバイオ燃料発電があるが、ドイツでは風車などを大型施設を建設しなくてすむ「太陽光」が、より人気だそう。「北風」よりも「太陽」の知恵(?)が、こんなところにも働いているようだ(???)。

 さて、ドイツが誇る「太陽光発電所」とは実際、どんなものなのか?
 
 ポスト紙の記者が訪ねたのは、太陽光発電専門の電力会社、「ゲオゾル」社(本社・ベルリン)が旧東ドイツの元採炭地、エスペンハインに2004年に建設した発電所。
 ボタ山の跡地、15万平方メートルの敷地に3万3500基のソーラーパネルを並べている。 
 現地で管理にあたっているのは、わずか3人(それと犬が2匹。名前はプーシキンとアディ)。
 小雨の日でも晴天の日の4分の1から2分の1の電気を産み出しているというから驚きだ。

 ポスト紙の記事に導かれ、「ゲオゾル」社のHPにアクセスしてみると、同社はスペインでも太陽光発電事業に取り組んでいるという。曇天という悪条件のなかで培ったノウハウが、外国にも進出するパワーを生んでいるようだ。

 同社のエスペンハイン発電所は3年前の操業開始時点では「世界1」だったが、いまでは後発の発電所6ヵ所(いずれもドイツ国内)に追い越され、目下、第7位。

 そのエスペンハインの20キロ北にあるブランディスの軍の基地跡では、現在世界1のものをさらに上回る、40メガワット規模の太陽光発電所の建設工事が進んでいる。完成すれば1万世帯に送電するという。

 ドイツ政府による太陽光発電の目標値は2020年時点で、国内全発電量の3%。0.5%にも満たない現状からすると、かなりの挑戦だ。
 
 日の出の勢いにはまだまだ程遠い、夜が明けたばかりのドイツ太陽光発電業界だが、それでも全体で4万人の雇用を生んでいる。ソーラーパネル、太陽電池の輸出のシェアも15%に達し、昨年、95億ドルを稼ぎ出した。

 「再生可能エネルギー法」は世界各国のお手本になって、スペインやドイツ、イタリアで同じような法律が出来ている。

 日本では家の屋根に取り付けるソーラー・パネルは目にするが、大規模な太陽光発電所建設の話は聞かない。
 経営難にあえぐ「三洋」は太陽電池の開発では先進的な取り組みを続けていたメーカー(昔、新聞記者だったころ、同社の太陽電池開発を取材したことがある)。その蓄積を、わが国の「太陽光発電所建設プロジェクト」に生かすべきだと思うが、いかがなものか。

 ドイツに負けない、文字通りの「日の丸発電所」づくりが、日の本を自認するこの美しい国でも、そろそろ始まっていい頃である。   


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/05/04/AR2007050402466_pf.html

Posted by 大沼安史 at 11:16 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (2)

2007-05-03

〔NEWS〕 CCD(蜂群崩壊症候群)、南米ブラジルにも飛び火

 ミツバチの群れが蒸発したり大量死するCCD(蜂群崩壊症候群)が南米のブラジルにも飛び火した。カナダでも報告されている。ニューヨーク・タイムズが伝えたAP電でわかった。

 本ブログで既報の通り、CCDは欧州にも拡大している。
 アジアは、日本は大丈夫だろうか?


http://www.nytimes.com/aponline/us/AP-Honeybee-Die-Off.html

Posted by 大沼安史 at 02:09 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「新世界経済秩序」への胎動 ベネズエラのチャベズ大統領 IMF・世銀離脱を宣言 最後の外資石油プロジェクトを国営化

 ラテン・アメリカ左派政権の“風雲児”、ベネズエラのチャベズ大統領が最近、新世界(経済)秩序への胎動のような、シンボリックな動きに出た。

 4月30日に「IMF・世界銀行」からの離脱を宣言し、翌、5月1日のメーデーには沿岸部、ホセの石油精製施設で演説、オリノコ地域で米欧石油資本により進められて来た石油プロジェクトを国営化すると発表した。これでベネズエラの石油事業はすべて国営化されることになる。

 チャベズ大統領は1999年に政権に就くやIMFからの借り入れを返済、世銀借り入れも5年前倒しで、すでに完済している。

 チャベズ大統領は「われわれはもう、ワシントンに出向く必要はない」「いずれこれらの機関(IMF・世銀)は自らの重みで崩壊していくだろう」と語った。

 ベネズエラはIMFに40億ドルを拠出しているが、これも引き出される見込みだ。

 チャベス大統領は同国の石油収入を基に、ラテン・アメリカ各国とともに「南銀行」を設立する構想を持っている。

 ホセ精油所での演説でチャベズ大統領は、「われわれの自然の豊かさが、ベネズエラ民衆以外のほかの者の手にあった時代が、今日、終わりを告げた」と語った。

(大沼・注)

 「アメリカ帝国」の支配=「ワシントン・コンセンサス」の終わりがいま、始まった。そんなな気がする。
 ジョージ・モンビオの言うとおり、「不同意の時代」の幕が開け、グローバルな経済デモクラシーを基盤とする「同意の時代」へ進もうとしている。そんな感じがして来た。 

 このブログでは、今後、チャベズらラテン・アメリカの左派の動向にも注目することにする。
 

http://www.commondreams.org/archive/2007/05/01/890/

http://www.nytimes.com/2007/05/02/world/americas/02venezuela.html?_r=1&oref=slogin

Posted by 大沼安史 at 01:24 午後 | | トラックバック (0)

2007-05-02

〔NEWS〕 安部首相、クウェートの空自隊員に“最高司令官”として訓示 同行FT紙東京特派員が報道

 安部首相の中東歴訪に同行取材している、フェイナンシャル・タイムズ紙のデービッド・ピリング東京支局長は同紙電子版(5月1日付け)に、「安部 “平和主義”軍隊の指揮を執る」とのタイトルの記事を載せた。

 クウェート・アリ・アルサレム基地発の特電で、安部首相が日本時間の1日午後、同基地を訪れ、イラクへの空輸活動にあたる航空自衛隊員を前に訓示した模様を報じた。

 このなかでピリング支局長は、「日本は陸海空軍を持つことを憲法で禁止されているが、最高司令官を持ってはならないとは誰も言っていない」と指摘したうえで、安部首相は自衛隊員に感謝の意を伝えるなかで、自らを「最高司令官」としてみせた、と報じた。

 海外で活動する空自隊員に首相が訓示したのは、これが初めて。

 記事のなかでピリング支局長は、米政府の元アジア問題アドバイザー、マイケル・グリーン氏の、「安部は祖父(岸信介)ができなかったことをしたいのだ」との指摘を紹介している。

 
(大沼・注)
 ピリング記者は下記の記事を書いた日本の同行記者たちとは違った視点で、「安部首相 クウェート空自訓示」をとらえている。

 ピリング記者の見方はあたっているような気がする。安部首相は中東で「日本軍最高司令官」としてのデビューを果たした気でいるのだ。

 それにしても、「イラクの青藍(せいらん)の天空を貫き……」(北海道新聞)には参った。
 安部首相は青藍の天空の下で、どれだけ犠牲の鮮血が流れているか知っているのだろうか?

■ 北海道新聞(電子版) : 首相は約二百人の隊員を前に訓示し、「五百回近くに上る運航を無事故で達成できたのは、全隊員が一丸となった努力のたまものである」と強調。「おのおのの努力の積み重ねが内外からの高い評価につながっている」とたたえ、「イラクの青藍(せいらん)の天空を貫き、わが国の代表として復興に引き続き大きく貢献してくれると確信している」と激励した。

■ 朝日新聞(電子版) : 首相は、C130輸送機の前に整列して迎えた隊員らに対し、「イラクにおける治安情勢は依然として厳しく、特にバグダッドをはじめイラクへの運航は予断を許さない。500回近くにのぼる運航を無事故で達成できたのは、全隊員が一丸となった努力のたまものだ」と訓示した。  


http://www.ft.com/cms/s/94b13086-f805-11db-baa1-000b5df10621.html

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/23703.html

http://www.asahi.com/politics/update/0501/TKY200705010401.html

Posted by 大沼安史 at 01:05 午後 | | トラックバック (1)

〔NEWS〕 「ウォーターゲート事件」暴露のカール・バーンスタイン ヒラリー「立志伝」の虚偽暴く 調査報道による大著 6月中旬 出版へ

 英紙タイムズ(電子版)が4月29日に報じたところによると、「ウォーターゲート事件」を暴露した立役者のひとり、カール・バーンスタイン氏が6月19日に、米民主党の大統領選有力候補のヒラリー・クリントン上院議員に対する調査報道を640頁もの大著にまとめ、出版する。

 本のタイトルは、『A Women in Charge:the Life of Hillary Rodham Clinton』。ビル・クリントン前大統領の夫であるヒラリー議員の「立志伝」の虚偽を、議員の友人だった女性の残した記録文書を元に暴く内容だという。

(大沼・注)
 ビル・クリントンは、アーカンソーの大富豪によって大統領にしてもらった男だという説を読んだことがある。その大富豪は、謎のビッグ・ブラザー・ソフト「PROMIS」をめぐる疑惑にも関与しているとも。

 クリントン夫妻の影の部分を、バーンスタインはどこまで暴露するのか?
 発売が楽しみだ。


http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article1719879.ece

Posted by 大沼安史 at 10:05 午前 | | トラックバック (0)