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2007-04-29

〔NEWS〕 ブッシュ政権 とりわけチェイニー大統領は最初からイラクに狙いをつけていた! テネット元CIA長官が新著で暴露

 ワシントン・ポスト(電子版、4月28日付け)が報じたところによると、ジョージ・テネット元CIA長官は新著、『嵐の目の中で』で、ブッシュ政権、とりわけチェイニー副大統領が政権発足当初からイラク侵攻の狙いをつけていたことを暴露した。

(大沼・注)
 かねがね指摘されていたことだが、ブッシュ政権のCIA長官だった人物が証言したことで、「9・11やらせテロ説」がますます信憑性を帯びて来たかたちだ。


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/04/27/AR2007042700550_pf.html

Posted by 大沼安史 at 04:19 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 元「慰安」婦 安部首相の「謝罪」を受け入れず マイク・ホンダ下院議員 ブッシュは「被害者でもないのにどうして謝罪を受け入れられるのか?」と根本的な疑問を提示

 ニューヨーク・タイムズ紙のオオニシ東京支局長による、「日本の指導者、性奴隷発言で薄氷を踏む(Japan's Leader Walks Thin Line With Remarks on Swx Slavery)」との見出しの記事が、4月28日の同紙電子版に掲載された。

 安部首相による、米大統領山荘での「謝罪」発言に対する「反応」をまとめた。

 このなかで、オーストラリア・アデレード在住のオランダ人元「慰安」婦、ヤン・ルフ・オヘルネさん(84歳)は、オオニシ記者の電話インタビューに次のように答え、批判した。

 「彼は口ぶり(tune)を変えてはいない。非常に用心深く自分の言葉を使った。問題から逃れつつある、と考えている」

 日本政府の閣議決定と国会決議にもとづく「ごまかしのない謝罪」を求め、米下院に決議案を提出している日系アメリカ人議員、マイク・ホンダ氏も、オオニシ支局長の電話取材に答え、「アメリカの大統領がどうして(日本の)首相の謝罪を受け入れるられるのか? 彼(ブッシュ)は、性奴隷の犠牲者ではないのに」と、あの不条理劇を思わせる、共同会見での喜劇的なやりとりを批判した。

 ホンダ議員は5月に決議案を採決に持ち込みたいとしている。

 オオニシ支局長はさらに、アメリカにおいて(日本軍による)性奴隷問題への関心の高まりが、アメリカのアジア政策を、日本の現在の指導者(安部政権)とリンクさせることに懸念を掻き立てていると指摘し、安部政権が「慰安婦」問題に決着をつけずに放置したまま、東アジアにおいて健全な民主主義国家、人権の守り手として振舞い続けると、「アメリカ知識人の間に、日本はほんとうに民主主義国家なのか、ほんとうに人権に関与しているのか、疑問を提起する」だろう、との、ジョージ・ワシントン大学教授の日本政治専門家、マイク・モチズキ氏の論評を紹介している。

(大沼・注)

 日本のメディアは、「当事者」である元「慰安婦」たちに意見を求めたのだろうか?
 「大本営発表」報道は、なお健在?……

  ところで、オオニシ氏の記事に、安部首相がブッシュ大統領の牧場(テキサス州クロフォード)への「招待」にあずかった、と書かれていた。

 次回の訪米時のことだが、そのときもまだ、ブッシュは「イラク戦争」をやめていないだろうから、安部首相のクロフォード入りは、シンディー・シーハンさんら反戦運動家の猛烈な抗議のなか、決行されることになるだろう。

 「慰安」婦問題での「アメリカ大統領」への「謝罪」といい、史上最悪のトンデモ大統領、ジョージ・W・ブッシュへのみっともないスリヨリといい、「対日イメージ」は悪化するばかりだ。

 ブッシュとしたら、もっとましな男に「同盟国の指導者」として、来てもらいたかっただろうが、私見によれば、安部首相の方がまだしも誠実である。

 われらが安部首相としては、ナンデこんな男(this man)の牧場にまで行かなきゃならないのか、というのが本音だろう。

 クロフォードには行くんじゃない。「戦争犯罪人」の共犯になってどうする!! 


http://www.nytimes.com/2007/04/28/world/asia/29japancnd.html?_r=1&oref=slogin

Posted by 大沼安史 at 03:25 午後 | | トラックバック (2)

〔いんさいど世界〕 「環境保護のノーベル賞」 モンゴルの遊牧民 ツェツェジー・ムンクバヤールさんが受賞 鉱毒・渇水からオンギ川を守る

 「環境保護のノーベル賞」と言われる「ゴールドマン環境賞」の2007年受賞者(6人)のひとりに、モンゴルの遊牧民、ツェツェジー・ムンクバヤールさん(40歳)が選ばれた。

 ヤクを遊牧するツェツェジーさんは、生活の場であるオンギ川の自然と、金鉱山の操業に伴う鉱毒と渇水から守る闘いの先頭に立ち、国会で規制法を通すなど、ついに勝利を収めた。
 
 オンギ川はモンゴルの主要河川のひとつで、30もの支流を持ち、流域の草原で暮らす遊牧民ら10万人(と100万頭の家畜)の貴重な水資源になっている。

 ツェツェジーさんは元々、そんな貧しい遊牧民の一人。

 エリートでないにもかかわらず、29歳の歳で地域の住民評議会のリーダーに選出されるなど、人々の信望を集めていたツェツェジーさんが、オンギ川の異変に危機感を抱いたのは1995年のこと。オンギ川の水源となっている「赤い湖」が干上がってしまったからだ。科学者らは、金鉱の取水が原因ではないか、と疑問を投げかけた。

 そこから、ツェツェジーさんの「川を守る」活動が始まった。オンギ川流域、37の金鉱による環境破壊は、取水による渇水だけではなかった。金の溶脱に使用する青酸など鉱毒が川に流れ込んでいることがわかった。

 川の水が毒水になれば、人も家畜も生きてゆけなくなる。ツェツェジーさんは地域の住民に呼びかけ、2001年には「オンギ川運動」(ORM)を立ち上げ、流域の各郡すべての支部を設置するなど、総勢4000人(うち活動家2000人)の強力な組織に育てた。

 記者会見やタウンミーティングで住民の理解を深め、オンギ川沿い470キロを行進したりして、鉱害追放を訴えた。「赤い湖」から取水する3つの金鉱を相手に訴訟を起すなど、キャンペーンを繰り広げた結果、37ある金鉱のうち35が操業を停止。モンゴル国会も鉱山法を成立させ、規制に乗り出した。

 ツェツェジーさんのORMの運動は、オンギ川の流域から全国的なものに発展、2006年には国内11の河川を守る流域運動が合流して「モンゴリア自然保護連盟」を生み出すまでに至った。

 「草原の国」のモンゴル(人口270万、家畜3300万頭)は実は、鉱物資源の豊かな国。金、プラチナ、銅、錫、石油を資源を狙って、外資が進出の勢いを強めており、ツェツェジーさんたちの活動は、鉱毒から遊牧民の生活を文化を守ると同時に、シベリア・マーモットやモンゴリア・ガゼルなど野生の動物たちが生きる自然を維持する闘いにもなっている。

 「ゴールドマン環境賞」のインターネット・サイトに掲載された写真(スライドショー)を見ると、ツェツェンさんは、角刈り頭の、われわれ日本人に似た面立ち。
 明治の頃、足尾銅山の渡良瀬川流域鉱毒汚染に抗議して立ち上がった田中正造のようでもあり、同じモンゴロイドとして、拍手をおくりたくなる受賞ではある。

 「ゴールドマン環境賞」は、米国サンフランシスコのリチャード・ゴールドマンさんが、今は亡きローダ夫人とともに1990年に設置したもので、日本からは熱帯雨林保護運動の黒田洋一さん(91年)、諫早湾干拓反対の闘いに最後の力を振り絞った山下弘文さん(98年)が受賞している。

 リチャードさんは「ゴールドマン生命保険」を起こし、米国有数の保険会社に育て上げた(2001年に別の保険会社に売却)。
 「環境賞」はリチャード夫妻の社会貢献の一環で、文化・芸術活動などの支援も行っている。
(日本の保険会社各社もゴールドマン夫妻のように、業界を挙げて共同で「メセナ基金」を設立するなど、「不払い」の「罪滅ぼし」をしてはどうか……。足尾の古河財閥が、たとえば東北大学の開学に貢献したように……)

 最後に英紙インディペンデントに載った、ツェツェジーさんの受賞の「言葉」を紹介して、この稿を閉じることにしよう。

 If we have a river, we have life. Without the river, there is no life there.

 わたしたちに川があれば、わたしたちは命を持つ。川がなければ、そこに命はない。

 モンゴルの草原から、風のように届いた、シンプルなコトバである。


http://www.goldmanprize.org/node/606

http://www.goldmanprize.org/slideshow/user/271/640

http://news.independent.co.uk/environment/lifestyle/article2474402.ece

Posted by 大沼安史 at 11:54 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2007-04-28

〔For the Record〕 「慰安婦」問題 「世界の歴史における痛ましい(regrettable)一章である。わたしは安部首相の謝罪を受け入れる」「率直、心底、謝罪した この男(this man=安部首相)とともに日米両国を前進させたい」 共同会見でブッシュ大統領が発言 安部首相「そうした環境に、彼女たちが置かれたという事実について、わたしは謝罪を表明した」と釈明

 安部首相とブッシュ大統領の会談が4月27日、ワシントン郊外のキャンプ・デービッド山荘で開かれた。

 会談後の記者会見で安部首相は、「慰安婦とされ、奉仕しなければならなかった方々(ホワイトハウスのテキストでは、「わたしの人びと(my people)」となっているが、安部首相の単なるいい間違いか、英語への翻訳ミスだろう)、極度の苦難に置かれ、犠牲となって苦しまなければならなかった方々に対し、わたしは実に心底、同情している。そうした環境に、彼女たちが置かれたという事実について、わたしは謝罪を表明した」と語り、「客観的な事実はない」「狭義の強制性はなかった」としたこれまでの「国会答弁」を撤回した。

 安部首相は「20世紀は世界の多くの場所で人権が侵害された世紀だった。だから、わたしたちは21世紀を、人権侵害のない世紀にしていかなければなりません」と述べ、「慰安婦」問題も「多くの場所での」出来事のひとつであると希釈=一般化を図り、今世紀を人権侵害のない世紀に、と、「美しい世界」の夢(理想)を語ることで「逃げ」を打ちながら、今世紀の人権侵害である「拉致」問題に「振ろう」としたが、ブッシュ大統領は「慰安婦問題は、この世界の歴史における痛ましい(regrettable)一章である。わたしは安部首相の謝罪を受け入れる」と述べ、「慰安婦」問題もまた今に続く現在の問題(is)だとして、現代(在)史=同時代史のなかにおいて史実化=事実化する一方、安部首相の「謝罪」もまた史実化=事実化した。

 そのうえでブッシュ大統領は「安部首相の声明の謝罪は率直かつ心の底からのものだった。わたしは、この男(this man=安部首相のこと)とともに、日米両国を前進させることを望む」と述べ、「慰安婦」で謝罪したので日米関係のパートナーとして認める、とのブッシュ政権としての考えを明確化した。

(大沼・注)

 安部首相は訪問先の大統領山荘での共同会見で「謝罪」を明確化し、ブッシュ大統領はこれを「受け入れた」。

 安部首相にとっての次の課題は、「慰安婦」の自宅を訪ね、「謝罪」し、「受け入れ」てもらうことである。

 飼い犬が噛んだ相手ではなく、飼い主のところをまっすぐ走っていって、ごめなさいと尻尾を垂れ、「よし、許してやる」と言われて、喜びのあまり尻尾を振っているだけでは済まされない。

 「慰安婦」問題が世界史の一章として事実認定された以上、文科省は速やかに「検閲教科書」の「書き換え」を行い、「美しい国」のこどもたちに真実を告げるべきである。

 これでもまだ「事実ではない」と主張される自民党の「有志」諸君は、安部(自民党)総裁に辞表を出し、党籍を捨て去るべきである。
 

                   ● ★ ☆ ○

 ホワイトハウス発表の共同会見の内容は以下の通り。

 Q A question on the wartime comfort women issue. Mr. Prime Minister, on this issue, did you explain your thoughts to President Bush, and on this matter, did you talk about further factual investigations on the matter, and any intent to apologize on the issue?

 Also, a question for Mr. President on the comfort women issue. From the perspective of human rights and Asian history perceptions, I wonder if you could express your thoughts or views.

 PRIME MINISTER ABE: Well, in my meeting with the congressional representatives yesterday, I explained my thoughts, and that is I do have deep-hearted sympathies that my people had to serve as comfort women, were placed in extreme hardships, and had to suffer that sacrifice; and that I, as Prime Minister of Japan, expressed my apologizes, and also expressed my apologizes for the fact that they were placed in that sort of circumstance.

 The 20th century was a century that human rights were violated in many parts of the world. So we have to make the 21st century a century -- a wonderful century in which no human rights are violated. And I, myself, and Japan wish to make significant contributions to that end. And so I explained these thoughts to the President.

 PRESIDENT BUSH: The comfort women issue is a regrettable chapter in the history of the world, and I accept the Prime Minister's apology. I thought it was very -- I thought his statements -- Kono's statement, as well as statements here in the United States were very straightforward and from his heart. And I'm looking forward to working with this man to lead our nations forward. And that's what we spent time discussing today.

 We had a personal visit on the issue. He gave his -- he told me what was on his heart about the issue, and I appreciated his candor. And our jobs are to, obviously, learn lessons from the past. All of us need to learn lessons from the past and lead our nations forward. That's what the Prime Minister is doing in a very capable way.


http://www.whitehouse.gov/news/releases/2007/04/20070427-6.html

Posted by 大沼安史 at 11:32 午前 | | トラックバック (0)

2007-04-27

〔For the Record〕 「歴史問題でアジアに対立が生まれることになれば、誰も日本の側につかない」「一方的な憲法改訂だと、日本の立場は悪化しかねない」 フランシス・フクヤマ氏がNYT紙で警告

 ニューヨーク・タイムズ紙のノリミツ・オオニシ東京支局長による、「日本の首相、政治的に様変わりしたワシントン訪問へ」とのタイトルの記事が、同紙電子版(4月26日付け)に掲載された。

 このなかでオオニシ支局長は、安部首相がワシントンに一晩しか滞在しないことについて、「第二次世界大戦における日本の行いに対する、潜在的に不都合な質問への露出を、限定するため」との見方を示した。

 さらにオオニシ支局長は、記事のなかで、アメリカの政治哲学者、フランシス・フクヤマ氏へのインタビューを紹介した。

 日系アメリカ人のフクヤマ氏は、「歴史問題でアジアに対立が生まれることになれば、誰も日本の側につかないだろう」と言明、安部政権に警告を発した。

 フクヤマ氏の発言は以下の通り。

The U.S. is going blindly into an alliance with these people without appreciating the fact that their friends in Japan aren’t on the right side of history, as with the ‘comfort women’ issue. If you end up polarizing Asia on these history issues, nobody will be on the side of Japan.

(アメリカは日本の友人たちが、「慰安婦」問題で明らかになったように、歴史の正しい側にないことを理解しないまま、〔安部首相ら〕これらの人びとと闇雲に同盟しようとしている。歴史問題でアジアに対立が生まれることになれば、誰も日本の側につかないだろう)

Everybody, including the Japanese themselves, says that nobody should be worried about Japan revising its Constitution. I think that is basically right. But the Japanese have to make their case. It’s not about letting China or Korea have a say in this matter. The Japanese need to take time in their public diplomacy to explain why they want to do this. If they do this unilaterally, the situation in Asia could get a lot worse.

 (日本人自身を含め誰もが、日本が憲法を改訂することを、懸念すべきではない、と言っている。わたしは、これは基本的に正しいことだと考える。しかし、日本人はこれを自分たち自身で(改訂の理由を)明らかにすべきである。それはこの問題で、中国や韓国に発言させるということではない。日本人は、なぜそれを欲しているか、理由を説明するために、公衆を相手とした外交に時間をかけなければならない。もし、彼らが一方的なことをすれば、アジアでのその立場はひどく悪化しかねない)

 (大沼・注)

 フクヤマ氏はつまり、日本の憲法改訂はアジアの公衆を納得させるものでなければならない、それに失敗してゴリ押しすると、日本の立場は非常に悪くなる、と警告しているわけだ。

 まさに然り、「歴史」問題と「憲法」改訂は不可分の関係にある。

 「慰安婦」「靖国」などの「歴史」問題に頬被りし、居直りを決め込んで、「憲法」改訂に進むわけにはいかない。

 アジアの孤児になりかねからだ。

 「いつか来た道」に踏み込んではいけない。

 「憲法」を改訂するというなら、まず「歴史」問題の解決、決着が先だ。


http://www.nytimes.com/2007/04/26/world/asia/26abe.html?_r=1&oref=slogin&pagewanted=all

Posted by 大沼安史 at 10:11 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-26

〔NEWS〕 「14歳の少女と聞いて、引き返した」元皇軍兵士2人 「慰安婦」問題で記者会見し証言

 ワシントン・ポストやボストン・グローブ紙(電子版)が報じた東京発のロイター電(4月25日付け)によると、元日本軍兵士2人が同日、都内で記者会見し、従軍「慰安婦」について証言した。

 証言したのは。元衛生兵だったイチロー・コヤマさん(87歳)と、キヨシ・サカクラさんの2人。

 コヤマさんは戦地で「慰安所」に行ったことを認めたが、女性たちが強制され、兵士に奉仕していたことは知らなかった、と述べた。
 さらにコヤマさんは、元「慰安婦」たちのビデオ証言を見て(事実を知り)泣いた、「わたしは知らなかった。罪の意識もなかった。しかし、わたしはいま問題の重さを知っている。わたしは心の底から彼女たちに謝罪したい」と語った。

 2年前に亡くなった、コヤマさんの戦友の一人は「みんなかわいそうだ。騙されて連れて来られたのだから」と語っていた、という。

 一方、サカクラさんは証拠はないが軍が慰安婦をかきあつめたと思うと述べ、「弾の飛び交う戦場に来る朝鮮人、中国人女性はいない」と付け加えた。

 サカクラさんも慰安所に行ったことを認めたが、相手が14歳の少女だと聞いて、そのまま引き返したことがある、と語った。
 


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/04/25/AR2007042500133.html

http://www.boston.com/news/world/asia/articles/2007/04/25/japanese_ex_soldiers_call_for_apology_to_sex_slaves/

Posted by 大沼安史 at 03:26 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-25

〔NEWS〕 「日本の《償い》が《性の奴隷》だった女性たちの怒りを掻き立てている」 NYT紙のオオニシ東京特派員が報道 安部政権 訪米前の「幕引き」に失敗

 ニューヨーク・タイムズ紙のノリミツ・オオニシ東京特派員は4月24日、「アジア女性基金」が先月、活動を停止しても、従軍「慰安婦」問題はまだ終わっていないとする記事を同紙に載せ、新たな角度から「慰安婦」問題に光を当てた。

 「日本の《償い》が《性の奴隷》だった女性たちの怒りを掻き立てている」との「見出し」(電子版)のついた長文の記事で、同基金によるお金の支給について、責任を真正面から引き受けようとしないTOKYOによる、(元慰安婦にとって)拷問を受けるような試練だったとする批判派の声を紹介した。
 
 オランダ人元「慰安婦」、エレン・ファン・デル・プレーグさん(84歳)は、オオニシ特派員の電話取材に対し、見舞金を受け取らない理由を、「日本政府からのものではなかったから」と述べ、さらにこう付け加えた。「なにか間違いを仕出かしたら、ごめんなさい、許してという勇気を持たなくちゃなりません。しかし、日本政府は今まで決して責任を完全に引き受けようとはしませんでした」

 オランダの民間窓口団体、「プロジェクト実行委員会」の代表によると、オランダでは79人の元「慰安婦」が同基金からお金を受け取った。
 安部首相の「客観的事実ではありません」国会答弁が伝わると、そのうちの4人から実行委に連絡が入った。「どうして、またこんなことが?」「どんなつもりでまた、こんなことを……」という電話だった。

 「基金」による問題処理に最も反発が激しいのは韓国で、オオニシ特派員は韓国人の元「慰安婦」にも取材した。

 ソウル郊外にある元「慰安婦」のためのシェルター(家)で、イ・オクセオンさん(80歳)は、「基金は慰安婦の口を閉ざすものだ」と批判した。

 「基金」の金を受け取ったリー。ヨングネヤオさん(81歳)は19歳で「慰安婦」にさせられ、ビルマでひどい目に遭った。
 8歳のときから借家ぐらし。自分の家がほしいと思っていた。数年前、「基金」の職員が来て、「これがラストチャンスになるかも」と、支払いを申し出た。

 「基金」の金を受け取った元「慰安婦」は285人。台湾、フィリピン、韓国、オランダの女性たちで、中国、北朝鮮、マレーシア、ミャンマー、東ティモールの該当者に対しては、支払いの申し出をしなかったという。

 安部首相訪米直前の、このニューヨーク・タイムズ紙の報道は、「性奴隷」問題に安易な「幕切れ」がないことを示したものだ。
 きちんとしたこんごの「政府としての対策」を持っていかないと、アメリカのメディアの手厳しい質問にさらされ、立ち往生することもありうる。
 大丈夫だろうか? 
    

http://www.nytimes.com/2007/04/25/world/asia/25japan.html?ex=1335153600&en=b0568f4fb50a4abb&ei=5090&partner=rssuserland&emc=rss

Posted by 大沼安史 at 11:09 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-24

〔イラクから〕 ある女性ジャーナリストの死

 バグダッド発の米紙特電が、米政府が運営する「ラジオ自由ヨーロッパ」で働いていたイラク人女性ジャーナリスト、ハマエル・ムーセンさん(54歳)の死を伝えた。

 夫のサディクさんから取材して、彼女の生と死を報じた。

 ハマエルさんはサダム・フセインの時代、テレビのニュースキャスターをしていた、バグダッドの有名人。

 夫婦はともにシーア派ながら、バグダッド西部のスンニ過激派支配地域に暮らしていた。
 夫のサディクさんは家を引き払って、ここを出ていこうと言ったが、ハマエルさんは聞かなかった。彼女が何者かに拉致された4月3日朝も、「臆病者、まだ寝てるの? どこかデートに連れ出してよ」と言って、職場に向かった。

 家で彼女の電話を待ったが、かかって来なかった。代わりに、彼女の兄弟から電話があった。「アルカイダを名乗る男から、電話があった」と。
 その「アルカイダ」の男は言った。「ハマエルは頂いた。彼女がどこで働いていたか、言ってみな」

 そう聞かされ、彼女は殺されたと、サディクさんは直感した。

 警察に通報すると、その日のうちに道端のゴミ捨て場で、死体で見つかった。遺体の回収は翌日に持ち越された。収容作業の安全を確保するためだった。

 頭を撃ち抜かれていた。左目だけが開いていた。
 翌日、夫はモスクでの葬儀と埋葬のため、妻の遺体を洗った。

 頑固な女性だった。出会いは91年の湾岸戦争時。空襲下、エンコしていた彼女の車を直してあげた。その後、花屋で偶然、再会。結婚して2女をもうけた。母親が殺されたとき、娘2人はシリアの親類にいた。危険を避け、疎開していた。

 勇敢な女性だった。家に爆弾が仕掛けられても、仕事に出かけた。銃撃戦に巻き込まれても、車の陰に隠れて現場に踏みとどまり、テレコで録音した。

 夫が「あやうく自動車爆弾を免れた」と言うと、「すぐ家に戻って来て」。心配してくれているのだな、と思って帰宅したら、彼女の取材が待っていた。 
 
 そんな妻の生と死の物語を、夫は米紙連合(マックラッキー新聞連合)のバグダッド特派員に、市内のホテルで語った。

 夫は「妻はこういう物語を書きたかったと思う」と言った。「そして、いま彼女の物語は物語られた」と。

 記事の結びはこうだった。
 「そこで彼は口を噤んだ。もはや言葉は何も残されていなかった……」

 米軍のイラク侵攻以来、犠牲になったジャナーリストは、イラク人を中心に、少なくとも「158」人。ハマエルさんは、そんな「統計」のひとりだ。


http://www.realcities.com/mld/krwashington/17116804.htm

〔新刊案内〕パトリック・コバーン著、大沼安史訳 『イラク占領-戦争と抵抗』(緑風出版)

 米軍が要塞化して「政府」とともに立て篭もる「グリーゾーン」(安全地帯)の外、バグダッド市内の現場に踏みとどまり、命がけで取材・報道を続ける英紙インデイペンデント特派員のイラク・ルポ。「占領」の真実とは何か?……
 四六判、372頁。定価2800円+税。

Posted by 大沼安史 at 10:33 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-23

〔For the Record〕 「民衆の声は、どんな政府も抑えられない」 歴史家ハワード・ジン氏 アメリカ革命の原点、ファニエル会館で語る

  アメリカ史の古典、『民衆のアメリカ史』で知られる反骨の歴史家、ハワード・ジン氏(84歳)が4月16日の米国「愛国者の日」に、「アメリカ革命」の原点のひとつ、ボストンの「ファニエル会館」で講演した。

 講演のタイトルは、「政府が抑えられない権力」。反戦放送局、「デモクラシー・ナウ」のキャスター&ジャーナリストのエイミー・グッドマンさんが、ジン氏の講演について、「真実を掘り返す」サイトに書いていたので、ここに記録としてとどめることにする。

 ジン氏はチョムスキーと並ぶ、アメリカ反戦派の代表的知識人のひとりで、ボストン大学名誉教授。
 アトランタの黒人女性カレッジ、スペルマン・カレッジでの教員時代に黒人解放運動に参加して以来、アンガージュする知識人として活動を始め、1980年、記念碑的な労作、A People's History of the United States を発表、アメリカの歴史観を一新した。

 グッドマンさんによると、英国からの独立を願う人々が集まった場所として知られる「ファニエル・ホール」での講演でジン氏は、ガンジーやキング牧師に大きな与えた、地元、コンコードの聖人、ヘンリー・ソローから語り出し、ソローが当時の米墨(メキシコ)戦争の抗議し、納税を拒否して逮捕された史実を紹介、イラク戦争に反対して闘う、現代の納税拒否者に通じるものだと指摘した。

 ジン氏はさらに、盲聾唖の三重苦を克服したヘレン・ケラーについても、ソロー以来のアメリカの市民的不服従の流れのなかに位置づけ、「ヘレン・ケラーは愛国者だった。彼女はラジカルであり、教育者であり、アジテーターであり、社会主義者だった。彼女はカーネギーホールで反戦を語り、当時の労働組合を支持した。彼女自身、自分に関する劇が上演される劇場の前のピケットラインを、くぐろうとしなかった」と語った。

 ジン氏はまた、バージニア工科大学の悲劇をイラクの悲惨をつなぎ、平和を望む民衆の抵抗について次のように述べた。

 To omit or to minimize these voices of resistance is to create the idea that power only rests with those who have the guns. … I want to point out that people who seem to have no power, whether working people, people of color or women—once they organize and protest and create movements—have a voice no government can suppress.

 こうした抵抗の声を無視したり、最少のものにすることは、権力が銃を持つ者のみにあるという考えを産み出すものだ……わたしは指摘したい。労働者であれ、有色人種であれ、女性たちであれ、権力を持たないを思われた人々が、いったん組織をつくり抵抗し運動を作り出したとき、どんな政府も抑えきれない「声」を持つものだということを。

 Have a voice no government can suppress!
 
  胸に響く、ジン氏の言葉ではある。
 高齢にもかかわらず旺盛な執筆・講演活動を続ける氏の健康と健闘を祈ろう。


http://www.truthdig.com/report/item/patriots_day_stop_the_violence/

Posted by 大沼安史 at 10:37 午後 | | トラックバック (1)

2007-04-22

〔いんさいど世界〕 アメリカで「ズボンの下の劇場」 派手パンツ 日本でも流行???

 男の最後の「聖域」に、「超カラフル&かわいいド派手さ」が侵入を開始し、氷河のような「白一色」の世界を溶かし始めているそうだ。

 アメリカの、男性下着(アンダーウェア)界における新現象。「丘(?)の上の王者」だった、あの白いブリーフが少数派に転落し、代わって、色柄とりどりのカワイイ・パンツが爆発的に売れているという

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)がこのほど、カラーの写真つきで報じた。
 ⇒ http://www.nytimes.com/2007/04/19/fashion/19UNDERWEAR.html?_r=1&oref=slogin

 そう、これはもう、あの切れ味鋭い社会学者、われらが上野千鶴子女史(東大教授)が分析した「スカートの下の劇場」の男性版、「ズボンの下の劇場」である。

 アメリカの男たちの「聖域」ではすでに、華麗にもカワイクも、白一色の清教徒的世界を突き破る、「太陽の季節(?)」が始まっているのだ。
 見えないところで、いつの間にか「イチジク革命(と、おバカな僕なら命名したいところですが……)」が勃発し、多彩な勝利の小旗を振るようになっていたのである。

 それでは具体的に、どんな「かわいいド派手パン(英語では novelty underwear といいます)」が、ヤンキーたちの「聖域」を覆い始めたのか?

 上記のニューヨーク・タイムズの記事にアクセスすれば、ひと目で分かるが、言葉で表現すれば、保守的な「白パン」愛好者が目を剥きそうな、「非常識(offbeat)」な「色柄」の勢ぞろい。
 なかには「消防車(どういう意味なんでしょう?)」とか、「ホットドッグ(???)」をあしらったものもあるという。

 デザインも、「下げて・下げて・上げる(low-low rise)」あり、「××ソックス」(そう、あのボストン・レッドソックス=ボストンの赤靴下を履いた野郎どもの「ソックス」です。そのソックスが、アメリカでは別の用途に使われ始めているのですね……。サポーター兼用にもなりそうですから、ひょっとしたら松坂投手も、あっちに行ってから、愛用しているかも知れません???)あり。
 
 まるで百年前、20世紀の初頭にパリで起きた「絵画革命」を思わせる百花繚乱ぶりだ。

 それではこの現象、いつごろからアメリカで起きたのかというと、つい数年前からのこと。
 以前は一部の「愛好者」限定で、ジョークの種だったのが、現実世界(たとえばオレゴン州ポートランド市の中心部、など)やインターネット上に「専門店」が出来たりして一気にブレイク、2006年には男性下着界の王者だった「白ブリーフ」の市場占有率を50%未満に追い込んで、その後も「破竹の勢い」を続けている。

 そう、これはもう、被服文化史に残る、まさに歴史的な事件。
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、男性下着界に「ブリーフ」が登場し、市場を席捲するのは、1934年のことだが(当時は「Yフロント」と言ったそうです。Tバックの男性版のような感じでしょうか?)、それに勝るとも劣らない、革命的な事態が進行しているのだ。
 それも、若者だけでなくオジンの間にも広がっているというから、怖いというか、凄い。

 では、なぜ今、そうした「かわいいド派手パン革命」が起きているのか?
 ニューヨーク・タイムズの記事は「幼児化」「回春」「楽しいから」といった理由を挙げているが、どうもいまひとつ、ピンと来ない。

 これはもう、上野千鶴子先生に分析をお願いするしかないと思い始めた矢先、先生が突然、「夢」のなかに現れ、小生の質問に応えてくれたので、参考までに紹介することにしよう。

 Q アメリカで「ズボンの下の劇場」が開演しているそうですが、先生、ズバリ、どう思われますか?
 
 A タイムズのあの記事ね。わたしも読んだわ。あの記事に、イラク帰りの兵士が、砂漠のカモフラージュ迷彩パンツを買って、みんなに褒められたってエピソードが出ていたわね。わたし、グッと来ちゃった!……

 Q 軍人が迷彩パンツ……。フォーブな感じですね。それで先生も、ついついグッと来た!……

 A ほんとにあんたはバカね。わたしがグッと来たと言ったのは、胸にグッと来た、胸が痛くなったという意味よ。砂漠の戦地に送り込まれ、生き残って帰還した兵士が、自分の命の証ともいうべきファルス(×根)を、迷彩パンツで覆う……これって、単純なファルス(笑劇)じゃないないわね。悲喜劇よ。その兵隊さん、イラクで戦った兵士としての自分を肯定しながら、きっと心のどこかで、自分のことを可愛そうだと思っている。しかし、それ以上には進まない。過去を乗り越え、新しく生きられない。悲しきマッチョね。惨めなナルシムズよ。

 Q でも、別に、イラク帰りの帰還兵だけが「かわいいド派手パンツ」、穿いてるわけじゃないですよね?

 A つくづくバカね、あなたは。イラクだけが戦地じゃないのよ、この世界は……。「派手パン」の色柄に、まるでカメレオンのように自己を同定するしかなくなった、男のナルシズム。「スカートの下の劇場」には、ほの暗い、命の深みに通じる凄みがあるけれど、「ズボンの下の劇場」には包み紙の下のパッケージの、上っ面の明るさしかない……。

 Q それじゃぁ、「派手パン」には、まったく取り柄はないと?……

 A いや、そうは言い切れないわ。「ズボンの下」の「リゾームの世界」で、男どもがチョイ自己主張を始めたという点では評価できる。「スカートの下」で「怖い女」が育つように、「ズボンの下」では「怖い男」が頭をもたげ始める……「朝」は「夜」のなかから生まれるものよね。

 Q その「リゾーム」って「リフォーム」のことですよね。「朝」って、「朝ナントカ」の「朝」ですよね???

 A あんたはほんとうにバカね、と言いたいところだけど、実はそう、あなたの言うとおりよ。「ズボンの下」で世界をリフォームする朝が始まろうとしているかも知れないわね。

 ――というところで、目覚ましが鳴り、夢から覚めたが、上野千鶴子先生の夢でのお告げ、当たっているような気もするが、いかがなものか?

 アメリカがくしゃみをすれば、日本が風邪をひく日米関係。
 大統領の山荘に、日本の首相がわざわさ訪ねてゆく日米蜜月。

 となると、やはり、「かわいいド派手パンツ革命」、日本上陸の日も間近!!??

 たとえば仙台の目抜き通りに「専門店」が店開きし、独眼流・政宗もビックリの、地場産、「伊達なド派手パンツ」が陳列される日も、そう遠くはなさそうだ。 

   

Posted by 大沼安史 at 10:59 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2007-04-21

〔For the Record〕 「慰安婦」問題 安部首相 「われわれは責任を痛感している」NW誌に明言 外務省 首相インタビューのWSJ紙女性エディターを「SUSHI」接待攻勢 

 安部首相は訪米を前に、アメリカの2つの報道機関のインタビューに応じた。、「慰安婦」問題で首相の「言明」を厳しく批判していたニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙ではなく、ニューズウイーク誌とウォールストリート紙と会見した。

 会見の内容は両誌(紙)とも4月21日付けの電子版で報道した。

 ニューズウイークのラリー・ウェイマウス記者との会見で安部首相は、従軍「慰安婦」問題でのやりとりで以下のように述べた。(訳は拙訳) 

  As you know, your comments on "comfort women" caused an outcry in the United States. Do you really believe the Imperial Army had no program to force Korean, Chinese and other women to provide sexual services to Japanese soldiers?

 (ご存知のように、「慰安婦」に関するあなたのコメントは、アメリカで轟々の非難を引き起こしました。あなたはほんとうに、皇軍が朝鮮や中国、その他の女性たちを日本兵に性的サービスを提供するよう強制しなかったと信じているのですか?)

  I have to express sympathy from the bottom of my heart to those people who were taken as wartime comfort women. As a human being I would like to express my sympathies, and also as prime minister of Japan I need to apologize to them. The 20th century was a century in which human rights were infringed upon in numerous parts of the world, and Japan also bears responsibility in that regard. I believe that we have to look at our own history with humility, and we always have to think about our responsibility.

 (わたしはわたしの心の底から、戦争時に慰安婦として連れ去られた人びとに同情を表明しなければならない。ひとりの人間として、わたしはわたしの同情を表明したい。そしてまた、日本の首相としてわたしは彼女たちに謝罪するべきである。20世紀は、世界の数多い地域で人権が侵害された世紀だった。日本もまたこの点で責任を負っている。われわれは自分自身の歴史を謙虚に見つめなければならないと信じている。そしてわれわれは常にわれわれ自身の責任を考えなければならない)

  Do you now believe that the Imperial Army forced these women into this situation?

 (皇軍がこうした女性たちをそうした状況へと強制したと、いまやあなたは信じていますか?)

 A With regards to the wartime comfort-women issue, my administration has been saying all along that we continue to stand by the Kono Statement [a 1993 acknowledgment of Japan's partial responsibility for the brothels]. We feel responsible for having forced these women to go through that hardship and pain as comfort women under the circumstances at the time.

 (戦時中の慰安婦問題に関して、わたしの政権はこれまでずっと、われわれは河野談話〔日本の慰安所に対する部分的な責任を認めた、1993年の承認〕を支持し続けていると言い続けて来た。当時の状況下において、これらの女性たちを強制し、慰安婦として苦難と苦痛の目に遭わせたことに、われわれは責任を痛感している)

 (大沼・注)

 「われわれは河野談話を支持し続けていると言い続けて来た」というくだりには、首を傾げざるを得ないが、全体として明確な「われわれに責任あり」の言明である。

 遅まきながら、「責任と謝罪」を明言したことは、評価に価するが、「責任」をどう今後、具体的に「謝罪」するのか、世界は見ている。

 「実行」が伴わないと、また「ダブルトーク」と批判されますよ。

 さて、WSJ紙の会見は、香港の「ウォールストリート・アジア」の論説エディター、メアリー・キッセル記者が行った。

 キッセル記者によれば、会見が決まってからというもの、1週間にわたって、日本の外務省から連日、電話が入り、事前に質問事項を出せ、質問は6つにしてくれ、など、注文が続いたという。
 おまけに「外務省のさまざまな役人たちが、わたしをSUSHIと、静かな会話に誘った」とか。

 キッセル記者はまた、こうも書いている。
「(日本政府の)PR軍団は明らかに、会見のことを心配しているのだ。安部首相は先月、第二次大戦下の占領地において、中国人、朝鮮人、その他の国の女性たちの強制売春――いわゆる「慰安婦」問題で何の役割を果たしていなかったと言明して、重大な失態を演じた(彼はその後。誤ったが、メディアの激怒をとめるのには遅すぎた)」と。

 「スシ接待」でご機嫌をとろうとし、挙句の果てにその「接待攻勢」まで、キッセル記者に書かれてしまった外務省の役人たち……。

 これまた歴史的な事実として、記録にとどめなければならない。


http://www.msnbc.msn.com/id/18233740/site/newsweek/page/3/

http://online.wsj.com/article/SB117712351794177733-search.html?KEYWORDS=Abe&COLLECTION=wsjie/6month

Posted by 大沼安史 at 09:56 午後 | | トラックバック (5)

2007-04-19

〔NEWS〕「慰安婦」問題 特派員協会 会見 外国紙がAP、AFP電を掲載

 4月17日に東京・有楽町の特派員協会で行われた、吉見、林両教授らの「従軍慰安婦」に関する記者会見が、AP電、AFP電で世界に報じられた。

 日本のメディアはこの会見を事実上、ほとんど無視した。

 グーグルの「ニュース」によると、米国ではボストン・グローブ、サンフランシスコ・クロニクル紙など有力紙が取り上げ、アジアではタイペイ・タイムズやジャカルタ・ポストなどが、他社電を含め「東京発」の記事を電子版に載せている。


http://www.guardian.co.uk/worldlatest/story/0,,-6565861,00.html

http://www.boston.com/news/world/asia/articles/2007/04/17/historians_find_new_proof_on_sex_slaves/

http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/n/a/2007/04/17/international/i150407D45.DTL&type=politics

http://www.bruneitimes.com.bn/details.php?shape_ID=27328

Posted by 大沼安史 at 11:15 午前 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「日本のメディアはひどすぎる」 吉見、林教授らが「慰安婦」問題で外国特派員と会見 

 戦争責任資料センター(JWRCC)は4月17日、東京・有楽町の外国特派員協会で会見し、従軍慰安婦の徴用に軍の関与があったことを示す資料が、極東国際軍事裁判(東京裁判)の証拠書類で確認され、日本政府はその戦犯裁判をサンフランシコ平和条約で受け容れている、ことなどを明らかにした。

 ビデオニュース・ドットコムがビデオ映像に収めた会見の記録は、同ドットコム

⇒   http://www.videonews.com/

  が無料で放映している。

 会見したのは、「戦争責任資料センター」の吉見義明(中央大)、林博史(関東学院大学)の両教授と、西尾瑠美子・女性たちの戦争と平和資料館館長の3人。

 会見の動機を問われた林教授は、回答のなかで、「日本のメディアは安部首相ら日本政府をきちんと批判しようとしない。日本のメディアの状況はひどすぎる」と語った。

Posted by 大沼安史 at 10:53 午前 | | トラックバック (0)

2007-04-18

〔いんさいど世界〕 「2001年9月11日: フランスはそれをずっと前から知っていた」 「真相」に迫る、ルモンド紙 スクープ報道

 仏紙ルモンド(電子版、4月16日付け)が諜報機関、9・11同時多発テロをめぐるDGSE(対外治安総局)の秘密ファイルを入手し、裏づけ取材のあと、調査結果を記事にして公表した。

 秘密ファイルは全328頁。2000年7月から2001年10月までの間に、DGSEがまとめたもので、ノート、分析、組織図、フローチャートなどから成っている。まるで、9・11をめぐる「真実のエンサイクロペデア(百科事典)」。

 同紙の取材班が、DGSEのルノー長官に「ファイル」を突きつけ、コメントを求めたのは、4月3日のこと。長官は取材班の前で、「漏洩を嘆くことを抑えることができかなった」。2001年8月まで、長官だった前任者のロレンツ氏も同じように凍りつき、躊躇したあと、「覚えています」と、ファイルがホンモノであることを認めた。

 日本でも一部新聞ですでに報じられた通り、「秘密ファイル」には、「イスラム過激派によるハイジャック計画」というタイトルの、5頁の長さの分析(報告)が含まれていた。

 その「報告」の「序」で報告者は、「ウズベキスタンの諜報機関によると、航空機ハイジャック計画は200年の年初、カブールでオサマ・ビンラディンの組織の代表者が開いた会合で議論された、と見られる」と指摘。
 さらに、「報告」によれば、ビンラディン配下の「聖戦士」たちは、当初、フランクフルト-米国間でハイジャックしようとして、航空会社9社をリストアップ、最終的に(実際にハイジャックした)アメリカン航空とユナイテド航空の2社を選択した、とされている。

 DGSEはつまり、アルカイダの航空機テロ計画を察知していたわけだが、問題はこの「報告」の「日付」だ。
 なんと、「2001年1月5日」と記されているのである。
 そう、同時多発テロのなんと8ヵ月前に、フランス当局は、航空機乗っ取り計画をつかんでいたのである。

 ハイジャック計画に関する「ファイル」の「報告」は、この5頁のものを含め、9本。この問題に関するDGSEの関心の強さと持続ぶりを示している。

 ところで、この「2001・1・5報告」の「序」で指摘されている「ウズベキスタンの諜報機関」についてだが、DGSEの「ファイル」に登場したのには、次のような理由がある。

 DGSEの所属組織、安全情報局の元局長であるシューエ氏は同紙の取材に対し、信頼できるウズベキスタン情報ルートは、アフガンの軍閥のリーダーの一人で、タリバンと戦っていたドスタン将軍(ウズベク人)との同盟のなかで切りひらかれた、と証言した。
 ドスタン将軍は、ウズベキスタンの親米政権に反対する、親アルカイダ組織、「MIO(ウスベキスタン・イスラム運動)」の中枢にスパイを送り込み、アルカイダの司令部にまで浸透させていた。
 そして、そのスパイ情報は、ウズベキスタンを通じ、「ワシントン、ロンドン、パリ」に流れていたという。

 もちろん、DGSEは、この「ウズベキスタン情報」情報にのみ頼り切っていたわけではなく、ヨーロッパの大都市の郊外からリクルートした「聖戦士」候補者を、アルカイダのキャンプに送り込んだり、マスード率いるアフガンの「北部同盟」のゲリラを浸透させながら、独自情報を収集していた、と同紙は指摘している。そうした手段のなかには、「衛星電話の傍受」も含まれていたそうだ。

 これに続けて同紙は、さらに驚くべき事実を明らかにしている。
 現DGSE長官のブロシャン氏の側近のひとりは、同紙に対して、「少なくとも1995年以降、オサマ・ビンラディンの細胞のひとつを自由に使っている」と語った。
 フランスはビンラディンの組織の一画に食い込むどころか、自分の手先をして使っていたのである。
 「2001・1・5報告」は、このようにさまざまな検証を踏まえ、まとめられたものだと、同紙は指摘している。

 さて、こうして確定した「ハイジャック情報」を、DGSEはどう扱ったか?
 アメリカに対する他の危険情報を同様、「ハイジャック情報」は、DGSEはアメリカ側に伝達した。
 伝えた相手は、CIA(米中央情報部)のパリ支局長で、俳優の「ジョン・ウエインのような体つきでフランス語を話す」ビル・マレー。
 マレーはその後、本国に戻り、今回、ルモンド紙が取材しようとしたところ、応じようとしなかったそうだ。

 DGSEがマレーを通じ、CIAルートで情報を提供したのは否定しがたい事実のようだが、同紙が米国でCIAの関係者2人(うち1人は、CIAのビンラディン追跡班のキャップで、ブッシュ政権を批判したことで知られるマイケル・ショイアー氏)に確認したところ、ともに知らないと答えたという。

 となると、考えられるのは、DGSEの「情報」は途中、どこかで揉み消された可能性があるということだ。
 (大沼の私見によれば、可能性ではなくて実際、揉み消しがあったということだろう)

 以上がルモンド紙のスクープ記事の概略だが、アメリカがアルカイダの計画を事前に察知していたことは、これまでさまざまなかたちで「推測」されていたことだ。
 ドイツやロシアの情報機関も、アメリカに事前警告を発していたとも伝えられている。

 今回のルモンド紙の報道の意味は、「秘密ファイル」の「現物」を入手し、そうした「推測」の信憑性を一気に「事実」に高めたことである。

 ブッシュ政権による「世紀の犯罪」、「9・11やらせテロ」をめぐる「真実」がまたひとつ、浮かび上がった。
  
 

http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0,36-896553,0.html

http://www.asahi.com/international/update/0417/TKY200704160332.html

http://www.kahoku.co.jp/news/2007/04/2007041601000720.htm

Posted by 大沼安史 at 09:45 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2007-04-16

〔イラクから〕 サドル師 自派閣僚引き揚げを指示 シーア派主導「政権」、自壊へ?

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版、4月16日付け)が伝えたバグダッド発のロイター電によると、イラクのシーア派指導者、サドル師は自派の閣僚を引き揚げる指示を行った。

 サドル派が指示して首相の座に就いたマリキ首相が米軍のイラク徹底計画づくりを拒否したことに対する報復措置。
 
 マルキ内閣に対してサドル派は6人の閣僚を出していた。

(大沼・注)
 シーア派主導の「イラク政府」の自壊の始まりか?…… 


http://www.nytimes.com/reuters/news/news-iraq.html?_r=1&oref=slogin

Posted by 大沼安史 at 07:31 午後 | | トラックバック (0)

〔重要NEWS〕 「ミツバチ蒸発」 欧州に拡大 携帯電話原因説も

 米国で問題になっている「ミツバチ蒸発」が、欧州に拡大した。

 英紙インディペンデント(電子版)が4月15日に報じたところによると、養蜂家のミツバチが集団で消えたり、大量死するミステリアスな現象は、ドイツ、スイス、スペイン、ポルトガル、ギリシャにも拡大。ついには英国にも飛び火した。

 ロンドンの大手養蜂業者のひとつは先週、飼育しているミツバチ群れ、40集団のうち23集団が突如、いなくなった、と語った。

 CCD(蜂群崩壊症候群)と呼ばれる現象は米国で確認され、同紙によれば、米国の西海岸で60%、東海岸では70%ものミツバチが消えている。

 ミツバチは受粉に欠かせないもので、CCDで欧州に拡大したことで、世界的な農作物への影響が懸念されている。

 こうしたなかでドイツの大学の研究者たちが、携帯電話の電磁波が関係しているのではないか、との仮説を提示した。

 CDCの原因については、ダニ説、農薬説、地球温暖化原因説などが取り沙汰されているが、わかっていない。


http://news.independent.co.uk/environment/wildlife/article2449968.ece

Posted by 大沼安史 at 06:59 午後 4.電磁波被曝問題 | | トラックバック (0)

2007-04-15

〔いんさいど世界〕 「クラシック中国革命」の幕が上がった オペラ「ファースト・エンペラー」から天才ピアニスト、ランランまで 音楽の世界でも世界制覇へ

 中国の温家宝首相が来日し、国会で演説して帰国しました。「氷を溶かす旅」をして、帰って行った。魅力的な立ち居振る舞い……。日本の薄汚い、「ネオ・ファシスト」政治家どももギャフン、といったところでした。

 それにしても、12日の国会演説は見事でした。「泰山」と「富士山」を並べる、といった対句的な表現がとくに印象的でした。
 中国政府にはスピーチライターがいるのでしょうか? 日本の指導者の演説は役人が下書きしたもので、つまりませんが、温首相の演説はよかった。

 温首相で思い出すのは、1989年の天安門事件のときのあの「写真」ですね。民主化運動に同情的だとレッテルをはられ失脚した総書記の趙紫陽さんが、天安門広場で出向いて説得にあたっているとき、その後ろで温さんが呆然とした不安気な顔で立ちすくんでいる……。
 あのとき、温さんは何を考えていたのでしょう?
 
 温首相はこんどの訪日で、日本に譲歩をし過ぎだと、中国の保守派から批判されそうだと言われていますが、日本政府はそんな温首相を追い込んではいけませんね。

 さて、きょうは中国に関するお話です。
 中国というと経済のことばかり言われていますが、文化の面でも日の出の勢いなんですね。それも、なんと西洋音楽、それもクラシック音楽の分野で、大躍進を遂げている。まるで「クラシック中国革命」が起きているような感じです。どんな様子なのか、ちょっと見てみましょう。

 オペラといえば、クラシック音楽の王様というか、西洋音楽のステージの頂点に立つものですが、昨年の暮れからことしの正月にかけ、ニューヨークのリンカーンセンターで、「メトロポリタン・オペラ(Met)」が、中国製のオペラを初上演しました。

 チェン・イさん(中国生まれ、アメリカ国籍)作曲のオペラ、「ファースト・エンペラー」。そう、映画の「ラスト・エンペラー」の反対、伝説の初代皇帝、Sinを題材にしたオペラでした。
 (Sinって誰なのか、貝塚茂樹さんの『中国の歴史』で調べてみましたが、よくわかりません。「五帝」のひとりで、農業の礎を築いた「神農」のことかも知れません。★ サッポロの「ヒデオさん」より、秦の始皇帝ではないか、とのご教示がありました!!!)
 
 あの世界的なオペラ歌手のドミンゴさんも出演して話題をさらいましたが、ニューヨーク・タイムズの評論家からは、さんざんな批評をもらってしまいました。
 でも、チケットは全席売り切れ。1月6日のマチネ公演は全世界に中継されたそうです。

 中国を舞台としたオペラというと、プッチーニの「トゥーランドット」(去年暮れ、ウクライナ歌劇団が東京公演をしました)が有名ですが、こんどは中国人作曲家による純正オペラ。北京歌劇団の女性歌手、ウー・シンクオさん(ニューヨーク・タイムズは彼女のことだけ、とても評価しています)も参加して、豪華絢爛たる舞台を盛り上げました。

 この「ファースト・エンペラー」、Metでは、冗漫な部分をカットしてすっきりした筋に仕立て直し、ことしのシーズンに再演するそうです。そして、来年は中国各地を巡演するそう。いずれ、日本にも来るかも知れませんね。

 中国人のクラシック演奏家では、ピアニストのランランさん(パンダみたいな名前ですが、郎朗と書きます。男性です)がいま、全世界注目の的です。
 瀋陽生まれの24歳。9歳で北京の中央音楽学院に入学、12歳のとき(1995年)、東京で開かれたチャイコフスキー国際ヤング・ミュージシャン・コンクールに優勝、その後、アメリカに留学してブレークしました。

 この人は、天才というか驚異ですね。ことし、日本に来るバレンボエムとも共演するなど、ホロヴィッツの再来などと言われています。演奏の技巧とスケールの大きさが評価されているそうです。

 中国にはもうひとり、同じ24歳のリ・ユンデという男性ピアニストがいます。中国市場で売り込む、アメリカの有名スニーカー・メーカーのCMに出たりして、国民的な人気を誇っています。
 この人の演奏をぼくは聞いたことがあるのですが、中国的な絢爛さあって、印象に残って消えない、すごいピアノでした。

 温首相はポスト文化革命の世代の中国指導者ですが、中国共産党は30年前には西洋クラシック音楽を目の敵にしていたのですね。それがこの10数年で、大きく転換した。

 ランランさんもリ・ユンデさんも、実は中国の膨大なクラシック音楽層の氷山の一角に過ぎません。
中国のピアニスト人口はなんと3000万人、バイオリニストも1000万人に達するそうです。
 ピアノ工場も142ヵ所あって、年間37万台を出荷、バイオリンも100万台、生産されているのだそうです。

 ランランさんを育てた中央音楽院のように、天才教育にも力を入れており、15歳のバイオリニスト、ユ・ゼンヤンさんのような新しい才能が、世界の舞台への飛躍を待っているそうです。

 アメリカの専門家の予測では、クラシック音楽界ではこんご20年、「中国の時代」が続くそうです(次はインドの時代になるのでしょうか?)。

 この「中国発」の世界的な「クラシック革命」はしかし、足元の中国本土の音楽文化を大きく変えるエネルギーをはらんでいるような気がします。
 そう、ほんとうの意味での「文化大革命」がいま、中国本土で起きようとしている。

 中国政府は江沢民さんの時代、天安門広場の西に、フランスの建築家の設計で、巨大な「国立劇場」の建設に着手、4年遅れでよくやく完成させたそうです。(アヒルの卵みたいだと悪口も叩かれているそうですが……)

 温首相の時代にそうなるかどうかはわかりませが、「北京」が遅かれ早かれ、ニューヨークやロンドン、ベルリンなどに並ぶ(あるいはそれを超える)、世界のクラシック音楽の「首都」になることは間違いありません。  

 クラシック音楽とともに「民主化」も進み、いずれ天安門広場で、あの悲劇的な事件を追悼する野外大コンサートが開かれるようになるかも知れない。

 聴衆のなかに、温さんの姿もあって、あの写真のような、不安気な呆然とした顔ではなく、訪問先の京都の農家で見せたような、やすらいだ笑顔を見せる……そんな日が一日も早く来てほしい気がします。  

Posted by 大沼安史 at 01:25 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2007-04-13

〔イラクから〕 イラク新植民地支配の本丸、バグダッドの「グリーンゾーン」議会食堂で自爆テロ スンニ派武装抵抗勢力が決行 バグダッドのサラフィーヤ橋も爆破 その2日前には女性が自爆テロ決行 「イラク占領」崩壊の始まり

 バグダッドの「グリーンゾーン」は、サダム・フセインの時代、共和国宮殿があった聖域で、現在は米軍による「イラク占領」の本丸になっている地域だ。サダムがアラブ世界の国際会議に使った建物には、イラクの国民議会の議場になっている。

 英紙インディペンデントのバグダッド特派員、パトリック・コバーン記者によれば、爆発は建物の2階にある議場の隣のレストランのレジ近くで起きた。

 4月12日のランチタイム。スンニ派議員のボディーガードをしていた男が、ベストの下に巻きつけていた爆発物を爆発させ、8人が死亡した。うち3人は国会議員で、2人がスンニ派、1人がシーア派の議員だった。

 現場に居合わせたテレビ・チームのビデオはほとんど没収されたが、「フラー・テレビ」(チャンネル)だけは爆発直後の、粉塵舞う議会の廊下を、助けを求め叫びながら逃げ惑う人々の姿を放映した。

 現場のレストランは、空中に微細な肉片が舞うすさまじい状況で、胴体のない足が2本、残っていた。自爆犯の足らしい。

 コバーン記者によれば、グリーンゾーン内の現場に立ち入るには、少なくとも9つの検問所を潜り抜けなければならず、しかもそのうち3箇所には爆発物の検知機が設置されたいた。

 自爆者はそんな厳重な警戒を突破して、中枢部に侵入していた。単独犯行ではなく、協力者らがいたものと見られる。

 この日、バグダッドでは、ティグリス川にかかる大橋のひとつ、サラフィーヤ橋がトラックを使った自爆で爆破され、少なくとも10人が死亡した。車ごと川に転落、行方不明になった人は20人に達した。

 アメリカのブッシュ政権はバグダッドの治安回復を狙って「米軍増派」による市内制圧を続け、成果が出ていると宣伝に躍起だが、この日、相次いだ自爆テロ攻撃は、そんな「PR」を吹き飛ばす、痛打になった。

 この2日前、10日にはバグダッドの北、100キロのスンニ派、シーア派混住地区のモクダディヤーで、女性の自爆者によるテロがあった。警官リクルートセンターに集まったシーア派を狙った犯行で、少なくとも17人が死亡、33人が負傷した。

 (大沼・注)
 ついに「グリーンゾーン」内で自爆テロ!
 ベトナム戦争末期に起きた、ゲリラによるサイゴン突入のような事件である。
 「イラク占領」は、崩壊の過程に入った。


http://news.independent.co.uk/world/middle_east/article2444473.ece

http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3218,36-893795@51-767621,0.html

 〔新刊案内〕パトリック・コバーン著、大沼安史訳 『イラク占領-戦争と抵抗』 (緑風出版)刊行!
 米軍が要塞化して「政府」とともに立て篭もる「グリーゾーン」(安全地帯)の外、バグダッド市内の現場に踏みとどまり、命がけで取材・報道を続ける英紙インデイペンデント特派員のイラク・ルポ。「占領」の真実とは何か?……
 四六判、372頁。定価2800円+税。

〔新刊案内〕 ● 教育再生マニフェスト小説  『緑の日の丸』 発売中!!
       「週刊金曜日」書評 「統制・強制を笑い飛ばそう!」  ● 

  『緑の日の丸』
        
    大沼安史著 1600円 本の森 刊

    卒業式の「日の丸」が消えた! 「緑の学校」が日本を救う! 「日の丸・君が代」の強制を超えて……

    希望の春に繰り返される、悪夢のような「統制卒業式」。
    戦前・戦中の負の遺産をどう克服すべきか?

    本書では新しいナショナリズムのあり方についても提言しました。
    名づけて「緑のナショナリズム」!!

    「教育再生会議」では統制教育が再生するばかりです。
    「改訂・基本法」では、文科省だけが栄え、子どもたちはスポイルされ、結果として、日本は滅んで行くことでしょう。いまこそ、「緑の国づくり」、「緑の教育再生」に取り組んで行かねばなりません。 
  
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Posted by 大沼安史 at 04:58 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-12

〔For the Record〕 温家宝首相 国会演説全文 「侵略戦争の責任は指導者にあり、日本の民衆の責任でない」

 温家宝・中国首相が12日行った国会演説の全文は次の通り。

 ⇒ http://www.sanyo.oni.co.jp/newsk/2007/04/12/20070412010003421.html

(大沼・注)

 温首相の国会演説の全文を、共同通信が配信(上記、山陽新聞サイト)で、

  仏紙ルモンドのポンス東京特派員の記事を、同紙サイト

(⇒ http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3216,36-894820@51-894526,0.html

で読んだ。

 ポンス記者は今回の温首相来日を「外交的な晴れ間における新段階」を生み出したものと指摘、両国間の懸案である歴史問題については、温首相が「中国占領下、日本軍が行った犯罪は、一握りの日本の指導者の責任であり、日本の民衆全体が非難されるべきではない」と語った、と述べた。

 この部分について、共同通信は、温首相が以下のように語ったと伝えている。 

「あの侵略戦争の責任は、ごく少数の軍国主義者が負うべきであり、一般の日本国民も戦争の被害者であり、中国人民は日本国民と仲良く付き合わなければなりまぜん」

 この温首相の発言を、「戦争指導者」の末裔、縁戚につながる(戦後、CIAのスパイになったとされる某参謀関係者ら)日本の国会議員は、どんな気持ちで聞いていたのだろう?

 

Posted by 大沼安史 at 09:14 午後 | | トラックバック (1)

2007-04-10

〔イラクから〕 シーア派に「反米闘争」の動き バグダッド陥落記念日に100万人が抗議デモ 戦闘化するサドル師のマハディー軍団 南部ディワニヤーで米軍と交戦

 バグダッド陥落記念日の4月9日、イラク南部のナジャフで、イラク国内最大勢力、イスラム教シーア派による大規模なデモが行われた。

 イラク南部を中心に結集したシーア派は、英紙ガーディアンがシーア派指導者、サドル師の側近の話として伝えたところによると、100万人から150万人に達した。(イラク政府の警察推定では100万人に達していなかったとしているが、大規模なデモだったことは間違いない)

 シーア派のデモはクファから、聖都ナジャフに向かって行われ、ナジャフでは大集会が開かれた。

 サダム・フセイン体制の崩壊記念日のこの日の集会は、反米一色に染まった。参加者たちは「われわれはサダムから解放された。われわれはいまや、再び解放されるべきである」「苦しみはごめんだ。アメリカは出てゆけ」といったプラカードを掲げ、気勢をあげた。

 シーア派内の過激派、ムクタダ・サドル師は8日、声明を発表、「神は忍耐づよくあれと命令された。イラクの息子たちに対してではなく、敵に対して団結するよう命じられた。敵はシーア派の信仰、イスラムの信仰に息の根を止めようとして戦争に引きずりこもうとしている。しかし、彼らはそれをできない」と述べ、イラク政府軍のシーア派兵士らに連帯を呼びかけた。

 サドル師率いるサドル派のマハディー軍団を中心とするシーア派武装抵抗勢力は、イラク南部のディワニヤーで、6日以来、米軍、イラク政府軍と戦闘を続けている。
 米軍機の攻撃で7日、住民ら15人が死傷したことで抵抗は激化し、週末の2日間だけで米兵10人が戦死する激戦となっている。

 サドル派が「反米」の旗印を掲げ、シーア派の大同団結を呼びかけた今回の動きは、スンニ派武装抵抗勢力だけでなく、シーア派も大規模な反米闘争に動き出す可能性を秘めたもので、今後の展開が注目される。


http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,,2053327,00.html

http://www.nytimes.com/2007/04/10/world/middleeast/10iraq.html?_r=1&hp&oref=slogin

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Posted by 大沼安史 at 07:05 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-09

〔いんさいど世界〕 全米揺るがす ペットフード・クライシス 犬、ネコが腎機能障害で相次ぎ死亡 メーカー、製品をリコール

 アメリカで汚染されたペットフードを食べた犬やネコが死亡する事件が相次いでいます。メラニンというプラスチック製品の原料となる化学物質を含んだペットフードが原因で、製造メーカーでは回収を急いでいます。連邦政府当局(FDA)が確認した死亡例は16例にとどまっていますが、実態としては数千匹レベルに達しているとみられ、アメリカのペット社会に波紋を広げています。

 シカゴの新聞にこんな例が出ていました。フラム家の飼い猫、バスチ(13歳、オス)のケースです。
 家族と一緒のシャワーを浴びたがるなど元気いっぱいなバスチの様子がおかしくなったのは、3月19日のことでした。食事をとらなくなって、物陰に隠れるようになりました。そして、意識不明の昏睡状態に。
 動物病院に連れていっても症状はよくなりません。
 心配した高校生のお嬢さんがその夜、添い寝をしてあげましたが、バスチは苦しがり続け、次の日の夜、息を引き取りました。
 動物病院での検査の結果、バスチは腎機能障害を起こしていたとわかりました。

 同じような事例は全米各地でほぼ同時に発生しました。バスチのようなネコだけでなく、ペットの犬たちも腎機能障害を起こしていたのです。FDAによると、飼い主からの訴えが全米で1万件も、出ているそうです。

 原因はペットプードでした。カナダのオンタリオ州に本社をおく「メニュー・フード」という大手メーカーの製品がメラニンに汚染されていたのです。

 メーカーでは、自社テストでも死亡が確認されたとして、3月16日にまず、ウエット・タイプのペットフードを全米スーパーなどから回収、4月5日には「ドッグ・ビスケット」などドライ・タイプの回収に乗り出しました。

 FDAの調査の結果、メニュー・フード社の製品に混入していたメラニンは、中国から輸入された原料の「小麦グルテン」に含まれていたものとわかりました。
(これに対して、名指しされた中国のメーカーは、アメリカやカナダにはそもそも輸出していないと、疑惑を否定。中国政府も、中国産「小麦グルテン」説を否定しています)

 FDAは汚染源は特定されたとしていますが、メラニン自体は毒ではなく、どうして腎機能障害がおきたのか、因果関係はハッキリしていません。
 「なぞの奇病」であるわけです。

 「奇病」それ自体は、メニュー・フード社の回収(リコール。昨年12月以降の製造分のすべてを回収)でこんご沈静化してゆく見通しですが、「被害」はさらに拡大しそうな見通しです。
 死に至らないまでも、動物病院にかかったペットはかなりの数に上ると見られ、メーカーの製造責任を問う裁判が続発しそうな状況です。

 メーカー側は動物病院の診療代を持つとしていますが、収まらないのは、ペットを「殺された」飼い主たちで、大規模な集団訴訟に発展しそうな雲行きです。

 そうしたなかで注目されるのは、「ペット」がどう法律的に扱われるかという問題です。
 アメリカの州法でもペットは、車やパソコン並みの「私有財産」とされていますが、ペットはいまや「家族の一員」。人間並みの損害賠償請求訴訟になるのでは、との見方が出ています。
 サンフランシスコなどでは条例で、ペットの飼い主を「保護者」と規定しており、わが子のようなペットを失った「保護者」に、人間並の補償をせよ、という判決がでるかも知れない雲行き、だそうです。

 こうしたペットフード・クライシスのなかで、おもしろいのは、ペットにも「家庭の味を」という流れが出ていることです。
 人間の食材と同じものを、犬やネコたちに食べさせよう、残り物を料理してエサにしようという動きです。

 「家族の一員」というのであれば、安易にペットフードに頼るのではなく、ペットも一緒に食卓を囲もう(?)という動きですね。
 (ぼくが子どものころは、どこでもみんなそうでしたけど……)

 その一方で、安全性を売りものにした、値段の高い、グルメ・ペットフードにも飼い主の関心が集まっているそうですが、こうなるともう、エサ代がバカになりませんよね。

 このアメリカのペットフード・パニック、今回は幸い「対岸の火事」に終わり、日本では被害が出ていないようですけれど、こんごのこともあるので、政府当局には一度キチンと調べ、「安全宣言」を出してもらいたいところですね。
 
  

  

Posted by 大沼安史 at 01:37 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (3)

2007-04-07

〔NEWS〕「沖縄人は怒っている」 文科省の「集団自決隠蔽」検閲問題で米軍準機関紙「星条旗」紙が現地から報道

 米軍の準機関紙「星条旗」紙(電子版=太平洋版)は4月8日、「沖縄人は怒っている」とのオキナワ発の記事を掲載した。

 文科省の検閲で、日本軍による「集団自決」の強制がなかったことにされたことに、「オキナワン」は怒りを発している、という。

 記事には、「生き証人」のノブアキ・キンジョウさん(80歳)の証言などが詳しく紹介されている。

 日本の一般紙ではなく、米軍の「星条旗」紙でオキナワの怒りを知る、この不条理さよ!

 日本の本土ジャーナリズムよ、問題を徹底追及し、文科省の「検閲」の実態を暴き出してくれ!

 「星条旗」紙も、(「検定」ではなく)ちゃんと「検閲」と書いているではないか?
 「検閲=憲法違反」を続ける文科省を許すな!

 いつだれがどう判断し、そうなったのか、関係者の実名を挙げて追及せよ!

 

http://stripes.com/article.asp?section=104&article=44933

Posted by 大沼安史 at 06:22 午後 | | トラックバック (1)

〔NEWS〕 太平洋戦争中の日系人抑留の再現、許すまじ 移民3世の日系人女性ら、「不法拘束」のイスラム教徒移民の裁判を支援

 移民3世の日系アメリカ人女性ら3人が、「9・11」後、米司法当局に「不当拘束」されたイスラム教徒の移民男性の裁判を支援する活動に立ち上がった。

 祖父母らが「真珠湾後」に米政府によって不当に抑留された過ちの再現に抗議し、法廷助言者として4月3日、ニューヨークでの連邦巡回控訴裁判所に意見陳述書(適要書)を提出した。
 
 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、昨年6月、ニューヨーク・ブルックリンの連邦地裁で敗訴判決を受けたイブラヒーム・トゥルクメンさんの支援に立ち上がったのは、ホリー・ヤスイさん、ジェイ・ヒラバヤシさん、カレン・コレマツ・ヘイさんの日系人3人。

 トゥルクメンさんはビザの期限が切れているだけで、テロ容疑者として不当に拘束されている。

 支援に立ち上がった3人は「アメリカ史における悲劇的なエピソードを繰り返すべきではない」と、意見陳述書で述べている。

 そのうちの1人、ホリー・ヤスイさん(53歳)は、現在、メキシコ在住。作家兼デザイナーとして活動している・

 彼女の祖父のマスオ・ヤスイさんは1903年、米国に移民。オレゴン州のフッドリバーに入植してリンゴ園を開き、成功したが、真珠湾の数日後、身柄を拘束され、戦後、1950年代にFBIに追われているとの妄想のなかで自殺したという。

 彼女の父親のミノルさんは他の日系移民とともに不当拘束を訴え、裁判を起したが、1944年の米最高裁判決で敗訴。
 米政府がようやく過ちを認め、1人あたり2万ドルを補償、日系移民の名誉を回復したのは、1988年のことだった。

 (大沼・注) アメリカにホリー・ヤスイさんのような「日系人」がいることを知って、わたしはうれしくなった。「美しい」某国の「指導者」たちとは違った、正義の心の持ち主がいると知って、ほんとうにうれしく思った。
 立ち上がった3人に「祖父母の祖国」より、エールをおくる。 


http://www.nytimes.com/2007/04/03/nyregion/03detain.html?ex=1333252800&en=b1f1ba0dd06501a3&ei=5090&partner=rssuserland&emc=rss

Posted by 大沼安史 at 04:39 午後 | | トラックバック (1)

〔新刊案内〕 ● 教育再生マニフェスト小説    『緑の日の丸』 発売中!!

  ★ 「週刊金曜日」書評 「統制・強制を笑い飛ばそう!」 

      『緑の日の丸』
        
          大沼安史著 1600円 本の森 刊

         卒業式の「日の丸」が消えた! 「緑の学校」が日本を救う!

         「日の丸・君が代」の強制を超えて……

          希望の春に繰り返される、悪夢のような「統制卒業式」。
          戦前・戦中の負の遺産をどう克服すべきか?

          本書では新しいナショナリズムのあり方についても提言しました。
          名づけて「緑のナショナリズム」!!

          「教育再生会議」では統制教育が再生するばかりです。
          「改訂・基本法」では、文科省だけが栄え、子どもたちはスポイルされ、結果として、日本は滅んで行くことでしょう。

          いまこそ、「緑の国づくり」、「緑の教育再生」に取り組んで行かねばなりません。          
          
         
  
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Posted by 大沼安史 at 09:06 午前 | | トラックバック (0)

〔新刊案内〕 パトリック・コバーン著、大沼安史訳 『イラク占領-戦争と抵抗』(緑風出版)刊行!

★ 『イラク占領-戦争と抵抗』(パトリック・コバーン著、大沼安史訳 緑風出版)

 米軍が要塞化して「政府」とともに立て篭もる「グリーゾーン」(安全地帯)の外、バグダッド市内の現場に踏みとどまり、命がけで取材・報道を続ける英紙インディペンデント特派員のイラク・ルポ。

「占領」の真実とは何か?……

 四六判、372頁。定価2800円+税。


http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E5%8D%A0%E9%A0%98%E2%80%95%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%A8%E6%8A%B5%E6%8A%97-%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3/dp/4846107078/ref=sr_1_11/250-4873564-3022623?ie=UTF8&s=books&qid=1175902862&sr=8-11

Posted by 大沼安史 at 08:49 午前 | | トラックバック (0)

2007-04-06

〔For the Record〕 「民主主義国家指導者の恥」 ワシントン・ポスト紙 従軍慰安婦問題 社説(全文・非公式訳)

 ワシントン・ポスト紙はさる3月24日付け紙面で、「安部晋三の二枚舌(ダブル・トーク)」と題する社説を掲げた。
 安部政権(あるいは、この「美しい国」)が、米国の主流ジャーナリズムによってどのような見られているか端的に示す、重要な社説である。
 同時代(現代)史の史料として、遅ればせながら全文、訳出しておく。

               安部晋三の二枚舌
    彼は北朝鮮による日本人犠牲者には熱心だが、日本自身の戦争犯罪には盲いている

 北朝鮮に関する6者協議で今週、最も強硬だったのは、ブッシュ政権ではなかった――。ブッシュ政権は見苦しくも、金正日の要求に応え、銀行口座の資金2500万ドルをあたふたと引き渡そうとしていた――それは日本である。東京は北朝鮮に対し、北が数十年前、拉致したとされる17人の日本人につて情報を提供するよう主張している。答えがなければ関係改善に関する議論はできないと拒否している。この一本調子の政策は安部晋三首相の、高潔な道徳原則上の問題として描き出されている。安部首相は日本人の犠牲者たち――13歳で拉致されたという少女も含まれているといわれている――を、国内で弱まりつつある自分への支持を動員するために利用して来たのだ。

 安部氏にはピョンヤンの石壁に苦情を述べる権利がある。奇妙なのは――そしてまた不快なのは――、第2次世界大戦中、数万人の女性を拉致、強姦、性の奴隷化したことに関する日本の責任受諾を巻き返そうとする、平行した同氏のキャンペーンである。米連邦議会下院で審議中の公式謝罪を求める決議に対し、安部氏は今月、2度にわたり、日本軍が女性拉致に関与したことを証明する記録文書はないとする言明を繰り返した。先週、彼の内閣によって承認された文書声明は、いわゆる慰安婦に対する残酷な処置を認めた1993年の政府声明を弱めている。

 実際問題として、この問題に関する歴史的な記録は、北朝鮮が日本市民を誘拐し、教師や通訳として使っていた証拠以上に、不確かなものではない。歴史家たちによれば、朝鮮、中国、フィリピンをはじめその他アジアの諸国から最大20万人もの女性たちが奴隷化され、日本軍兵士が拉致に加わったとされている。そうした制度を生き延びた女性たちは、下院で先ごろ証言した3人を含め、恐るべき体験を語っている。日本政府はこれまで決して、彼女たちの苦しみに対する責任を完全に引き受けようとして来なかった。あるいは金銭補償も十全には行ってこなかった。これだけでも十分、ひどいことである。つまり、安部氏の従来の政府声明から後退しようとしていることは、主要な民主主義国家の指導者としては恥である。

 安部氏は、拉致における日本政府の直接関与を否定すれば、北朝鮮に回答を要求する道徳的権威を強化できると考えているのかも知れない。それは逆の効果しかもたらさない。もし安部氏が誘拐された日本人の運命を知るため、国際的な支持を取り付けたいなら、日本自身の犯罪の責任を直截に引き受けるべきである――。そして、自分が中傷した犠牲者らに対し、謝罪すべきである。

 (大沼:注)「主要デモクラシー」の指導者として「恥(ディスグレース)」である!……厳しい指摘ではある。
 これをアメリカの言いがかりというなら、米議会でのアルメニア人虐殺決議に反発するトルコ政府のように、沖縄などからの米軍基地撤去要求、思いやり予算全廃を通告してみてはいかが? 


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/03/23/AR2007032301640.html

Posted by 大沼安史 at 06:36 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-04

〔イラクから〕 イラク生まれのアラブ系アメリカ人 サミ・ラズーリさん レストランを閉じて、もうひとつの「祖国」に帰り救援活動 MPT(イスラム平和メーカー)を組織

 米国の反戦放送局、「デモクラシー・ナウ」(2007年4月2日付け)のエイミー・グッドマンによるインタビュー番組に、イラク生まれのアラブ系アメリカ人、サミ・ラズーリさんが出演し、イラクでの活動などを語った。

 サミさんはイラクのナジャフ生まれ(シーア派の聖都)で、イスラム教シーア派の信者だが、奥さんはスンニ派。

 渡米後、ミネソタ州ミネアポリスで「シンバッド」というレストランを開いて成功したが、母親が亡くなってイラクに一時帰国した2003年11月、同じくシーア派の聖都カルバラで活動中の「CPT(クリスチャン平和メーカー)」と会ったことから、イスラム教徒として、現地で支援活動する必要性を痛感。
 MPT(イスラム平和メーカー)を結成、経営するレストランを売り払って、過去3年近くにわたってナジャフやファルージャで救援活動を続けている。

 サミさんによると、MPTはスンニ派の拠点都市のファルージャでゴミ収集活動に従事しているという。

 イスラム教徒のメンバー15人は、驚くなかれ、シーア派のナジャフから現地入りした人びと。
 ファルージャのサバ・ニサン地区のフルカン・モスクの祈祷にも招かれ、スンニ派住民とともに一緒に祈りを捧げているという。

 サミさんはインタビューのなかで、スンニ派とシーア派の「内戦はない」、あるのは米軍の侵攻を支持するものと、占領に抵抗するものの政治的な戦いだ、と語った。

 2004年4月に一時的ながら成立したスンニとシーア派の連帯による「双子の反乱」の可能性は、まだあるということか?……

 スンニとシーア派が殺し合いを止め、ともに米軍に立ち向かう時が以外に早く来るかも知れない……。 


http://www.democracynow.org/article.pl?sid=07/04/02/1345213

Posted by 大沼安史 at 06:53 午後 | | トラックバック (0)

2007-04-02

〔いんさいど世界〕 サンフランシスコがプラスッチック・ショッピングバッグ禁止条例

 アメリカ西海岸、サンフランシスコ市が3月27日、大型スーパーやドラッグストアのチェーン店でのプラスチック・ショピングバッグ禁止条例を可決しました。
 プラスチックの買い物袋の禁止は、全米の都市では、これが初めて。日本にもいずれ波及しそうな風向きです。

 地元紙のクロニクル紙によると、同市の「監督者委員会」が「条例」(オーディナンス)を承認し、間もなく市長が署名して正式なものになります。

 対象は大型スーパーと、ドラッグストアのチェーン店で、大型スーパーでは半年以内に、ドラッグのチェーン店では1年以内に、買い物客へのプラスチック・バッグの提供が禁止されます。

 禁止の理由は、腐らず、リサイクルがしにくいのと、風に乗ってどこへでも飛んでゆき、森や川、海に住む動物たちの生存をも脅かしているため。

 サンフランシスコでは年間1億8000万枚のプラスチック・ショッピング・バッグが使用されていますが、今回の規制でかなりの部分が再生紙使用やコーン・スターチ製のバッグに切り替わるのではないかと見込まれています。

 今回の決定に「さすが、シスコ」と、全米はもちろん、全世界の環境保護派から賞賛の声が出ていますが、地元のスーパーの団体では、再生紙やコーンスターチバッグは割高で、消費者へ転嫁せざるを得ないと警告しています。

 シスコでは2年前、フラスチックバッグ1個あたり17セント(20円)を課税する案も検討されましたが、結局、「禁止」のかたちに収まりました。

 このプラスチック・バッグの禁止ですが、世界的にはアイルランドのように全国的に禁止もしくは課税措置をとる国も出ており、世界的な流れになりつつあります。

 そういう流れに今回、「シスコ」が加わった!

 実はこのサンフランスシコという西海岸の都市、世の中のトレンドを決める都市として有名で、これが「プラスチック・バッグ」禁止に動いたということは、今後の世界的な流れを決定付けるわけで、無視するわけにはいきません。

 シスコの禁止令がどんな結果をもたらすか、わたしたち消費者はもちろん、日本の環境行政・廃棄物処理当局者にとっても見逃せないところです。

Posted by 大沼安史 at 11:21 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (2)