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2007-03-14

〔いんさいど世界〕 ミツバチが消えた 異常現象 全米に広がる 「蜂群崩壊症候群」と命名 原因不明 農作物の受粉に影響

 ミツバチの群れが突然消えたり、巣箱で大量死しているのが見つかる異常現象が全米規模で起きています。昨年11月、東部ペンシルバニア州などで確認された謎の現象は、年が明け、春3月になっても収まらず、西海岸のカリフォルニアなど全米規模に拡大して、深刻な問題になっています。

 養蜂家の巣箱を「我が家」に、トラックで全米を歩き回る(?)アメリカのミツバチ(honeybee)たちは、ハチミツをつくるだけでなく、農産物の受粉に重要な役割を果たしているそうです。
 その壊滅は、アメリカの農産業にも大きな打撃となります。
 ミツバチたちにいったい、何が起きているのでしょう?

 異変は昨年秋、フロリダ、ジョージアなど東部、南部の3州で初めて確認されました。養蜂家が巣箱を開けると、もぬけの空、という事態が相次ぎ、ミチバチたちの集団失踪事件として騒ぎになりました。

 東海岸に限定された地域的なものと思われたミステリーは、その後、全米に拡大、春を迎え、野山に花が咲き出した今になっても続いています。どこかへ飛んでいってしまうケースのほか、巣箱内で大量死している例も確認され、集団失踪はどうやら集団死と関連しているのではないか、と見られるようになりました。

 アメリカでは1980年代などに地域限定で同じような現象が小規模に起きたことがあるそうですが、全米規模は史上初の出来事。
 あまりの異常事態に、「蜂群崩壊症候群(CCD=Colony Collapse Disorder)」という、病名のような名前で呼ばれるようになりました。
 (この問題を3月1日付け夕刊で報じた朝日新聞は、「いないいない病」と命名された、としています)

 デンバー・ポスト紙が3月4日、伝えたところによると、コロラド州では30万コロニー(ミツバチの群れ)が、このCCDにやられてしまったそうです。
 同紙によれば、養蜂家のジェフさんは「ひとつの巣箱で4000匹から5000匹が死んでいる。もぬけの空になったものもある。どこかへ消えてしまった」

 コロラド州の場合、ミツバチたちの、冬のオフシーズンの間の減損率は2%から、せいぜい多くて10%ですが、ことしは40%に達しているそうです。

 こうした状況は現在、全米24州に広がっていますが、世界一のアーモンド産地であるカルフォルニア州でも被害が深刻化しています。

 ニューヨーク・タイムズ紙が2月23日付けで報じたところによると、同州ヴィサリアの養蜂家、デービッドさんは1月になって、そろそろアーモンドの受粉の準備をしようと巣箱を開けたところ、彼の飼っている1億匹のミツバチの半分が蒸発していました。50歳んあるデービッドさんにとって、こんなことはもちろん、初めてのことだと言います。

 原因についてはいくつかの説がありますが、どれも推測の域を出ていないそうです。
 その第一は、働き過ぎによるストレスで免疫が低下し、感染症に弱くなっているのではないか、との見方です。
 アメリカの養蜂家は最近、中国やアルゼンチンからの輸入ハチミツなどで収益が低下し、年から年中、あちこちにトラックで出かけていっては、ミツバチたちに働かせないと利益が出ない状況に追い込まれているそうです。
 ミツバチがまさに「働きバチ」になって過労を強いられているのですね。

 とくに問題なのは品種改良でアーモンドが2月から開花するようになり、その受粉に駆り出されるようになったこと。
 春が来るまで、のんびりしよう、ってことができなくなり、それがストレスを呼んで、ウイルスにやられやすくなっている、という説です。

 もうひとつは、ヨーロッパで禁止されている殺虫剤が養蜂に使われていることです。
 ミツバチたちってダニに弱いんだそうです。で、ダニ退治に殺虫剤を使っている。

 ところが、これがミツバチの群れにとってはあまりよいことではないらしく、働きバチたちの帰巣能力を損なっているのではないか、と見る研究者もいるそうです。
 女王蜂も殺虫剤の影響で、数年前と比べ、寿命が半減している、という説もあります。

 ミツバチというと、すぐハチミツを連想して、どうもそっちのことばかり心配してしまいますが、そんなことより、もっと心配されるのが、農作物への影響です。
 アメリカのミツバチたちって、受粉作業員としても駆り出され、その方の稼ぎがミツを集める本業の数倍にもなっているのだそうです。
 アボカドもキウイも、ミツバチが受粉を助けていると、ニューヨーク・タイムズには出ていました。
 (余談になりますが、まさか、ミツバチまで花粉症になっているのじゃないですよね?!)

 ミツバチたちが花粉まみれになって農作物(植物)受粉をしてくれないと、どうなるのか?

 どうも大変なことになるようです。
 
 米農務省によれば、わたしたちが食べている食物(植物)の3分の1はミツバチによって受粉しているものだそうです。
 そのミツバチが、このままCCDによる被害拡大で壊滅状態に陥ってしまえば、農産業に赤信号が点り、食料危機さえ招きかねないことになってしまう……。
 これはもう、聞き捨てならない、由々しき事態になってしまうわけです。

 アメリカではモンタナ大学と連係する「ハチ警報テクノロジー」という民間団体が中心になって、被害拡大を防ぐため、被害にあった巣箱の隔離など、さまざまな「対策」を呼びかけていますが、いずれも「当面の試験的予防策」に過ぎず、決め手なし、が実情のようです。

 日本にも養蜂家がいます。もちろん、宮城県にも。
 いまのところ「対岸の火事」ではありますが、なにごともグローバル化した現在、鳥インフルエンザのように、いつなんどき、飛び火しないとも限りません。

 県庁などの関係機関には、注意深いウオッチをお願いしたいところですね。 


http://beealert.blackfoot.net/~beealert/index.php

Posted by 大沼安史 at 10:46 午後 1.いんさいど世界 |

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