〔いんさいど世界〕 宇宙を目指す中国 ナビ衛星「北斗」打ち上げに成功
中国が独自のGPS人工衛星群の宇宙配備を続けています。2月3日には、ナビ衛星「北斗」の打ち上げに成功し、またも世界を驚かせました。
「またも驚かせた」というは、中国はついこの間、老朽化した気象衛星を地上から発射したロケット(ミサイル)で撃墜に成功したからです。
この衛星撃墜は、中国がアメリカの「スターウォーズ」戦略を脅かす力を誇示したものとして、全世界に衝撃波を広げました。
日本の政府当局もビビりまくったそうです。
なにしろ、何キロも先の針の穴を通すようなことを、やってのけたわけですから、
そして、今回の「北斗」打ち上げ……。つい先日、グローバルな舞台に登場したかと思ったら、こんどは宇宙へも進出するというのですから、「赤い星・中国」はすごいですよね。
ところでナビ衛星の「北斗」って、あの北斗七星のことです。中国語では「バイドウ」って発音するんだそうです。
ほんもののバイドウに続き、ナビ衛星「バイドウ」が、天空にデビューを果たしたわけです。
で、このナビ衛星のナビですが、ナビゲーションのナビです。
そう、車に装備されていたりして、わたしたちの生活に欠かせないものになって来た、あの「ナビ」のNAVIです。
念のため説明しますと、わたしたちが「ナビ」できるのは、米軍のGPSシステムを利用させてもらっているからなんです。GPSというのはグローバル・ポジショニング・システムといって、いくつかのナビ衛星の電波で地球上の自分のいる位置を確認、表示する仕組みです。
もっと詳しく言うと(これ以上はわかりませんが)、米軍が世界の人びと(わたしたち)に開放しているのは、GPSの一部。より精度の高い――自分の位置をピンポイントで確認・表示する部分は「軍事機密」として公開していないのですね。
実は中国は英語名で「コンパス」という、独自のGPSシステムの開発を急いでいるんです。
さきほども言いましたように軍事機密がからむので、謎のヴェールに包まれていてハッキリしないですが、2000年から2003年までの間に、バイドウ衛星を3個、打ち上げているそうなんです。しかし、これはまだ精度の低いものでした。
今回、打ち上げられたバイドウは、前の3個を補完する精度の高いものとみられています。
中国は昨年11月、新年早々、バイドウを2個、打ち上げられる発表していますから、間もなく2個目が宇宙配備されるわけですね。
この計5個の態勢、来年(2008年)までに、中国とその近隣諸国をカバーするんだそうです。中国が電波の一部を開放してくれれば、日本でも使えるんじゃないでしょうか。
中国は将来的に宇宙に30個のバイドウを配備して、全世界的なGPSシステムを完成させる計画だそうです。
すごい意気込みですね。
GPSシステムは現在、アメリカと欧州(ガリレオといいます)が配備しているのですが、中国のGPSシステムも同じ周波数の電波を使うことになりそうだとの言われてます。
同じ周波数だと、電波妨害(ジャミング)できなくなってしまうわけですね。
それにしても中国は凄い。
日本の文科省も、子どもたちの「低学力」ばかり問題にしないで、外郭団体の「宇宙航空研究開発機構」の「低能力」ぶりを自己反省してもらいたいものですね。自慢(?)のH2型ロケットだって、いつもハラハラドキドキの打ち上げじゃないですか。
以前、田中真紀子さん(科学技術省長官)が、文部省の役人はH2型ロケットの失敗を誰も取ろうとしないと怒っていましたが、その通りですね。
「教師イジメ」と「統制教育」にばっかり熱心な文科省が「宇宙開発」まで握っているかぎり、日本人のわれわれが「日の丸ナビ」を使える日は来ないでしょうね。
残念なことです。