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2007-01-06

〔コラム 机の上の空〕 イラク戦死者を悼む「フィールド・オブ・フラッグズ」 風にはためく3000の黄色い小旗

 ニューヨーク州北部のミドル・グローブの田舎道、ミドルライン・ロードを辿ると、突き当たりにクルーフトフさん一家の畑がある。

 そこに黄色い小旗の群れが、波紋を描くように立っている。同心円の輪になって。

 暮れの31日、旗は3000になった。4日の木曜日、その数はさらに5個、増えた。

 獣医のマークさんの妻、カレンさん(54歳)が立てた、手づくりの小旗の群れだ。
 旗は大人の手を思いっきり開いたサイズ。材料は、プラスチックのテーブルクロスだ。

 「フィールド・オブ・フラッグズ」……ニューヨーク・タイムズ紙(1月6日付け、電子版)に、カレンさんが守る「旗の野」の話と、現場の写真が出ていた。

 カレンさんが、野の花を育てるように、旗を立てだしたのは、2004年7月のことだった。
 イラク戦争は激しさを増しながら、2年目の夏の盛りを迎えようとしていた。
 そのときすでに877人の米兵が戦死していた。877本の旗を立てた。

 カレンさんは昔、ニューヨーク市にいたころ、反戦運動に参加していた自称「左翼」。いまも「戦争」と聞くと、怖気が振るう。

 「旗の野」はしかし、プロテストのため続けているのではない。イラク戦争で倒れた兵士を悼み、その死を記念する、それだけのことだ。

 彼女の小旗の群れは、近くを走る幹線道路、「ルート29」から見ると、黄色の「点」のようだ。近寄って見に来る人がときどきいるらしい。

 昨年5月29日の戦没者記念日(メモリアル・デー)には、「旗の野」を見下ろす丘にひとりの男が立って、トランペントを吹いた。
 朝、カレンさんの娘のレベッカさん(25歳)が気づいた。

 夫のマークさんや息子のアーロンさん(18歳)は雑草取りをしてくれる。「4Hクラブ」に人も春に手伝いに来る。去年の夏には近くの町から9人のガールスカウトがやって来て、100の旗を新しいのに取り替えてくれた。

 カレンさんは毎朝、インターネットで戦死者を確かめる。
 死者が出たとわかると、旗を立てに行く。

 「何かしなくちゃならないと思って。わたしにできたのがこれ」とカレンさん。
 「ちょっと想像してみてくれない? 立っているのは、戦死した人たちだって……」

 黄色いリボンは無事の帰還を祈るものだが、黄色い小旗は何を祈るものだろう?
 死してなお「夢」を抱けるとしたら、兵士はいま、何を夢みているのか?

 戦場(フィールド)で斃れた、3000の兵士が安らぐ「フィールド・オブ・ドリームズ」。
 タイムズ紙に載った写真を見て、3000の兵がいっせいに小旗を振る様子が、幻のように目に浮かんだ。

   

http://www.nytimes.com/2007/01/06/nyregion/06flags.html?_r=1&oref=slogin

Posted by 大沼安史 at 08:36 午後 3.コラム机の上の空 |

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