〔追悼〕 サリー・リリエンソールさん 死去 87歳 平和運動家・彫刻家
反核運動家で彫刻家のサリー・リリエンソールさんが10月24日、サンフランシスコの病院で亡くなった。87歳だった。
彼女の創設した「プロウシェアーズ財団」がこのほど声明を発表、訃報が世界中に伝わった。
彼女がサンフランシスコで、Ploughsharesをスタートさせたのは1981年だった。創設資金、10万ドルを自ら集め、匿名の篤志家として年25万ドルの財団運営資金を出し続けて来た。すべてを「平和」のために注いで来た。
彼女のもとで、財団は反核だけではなく、地雷、生物・化学兵器などに対する反対運動、抑止のための研究活動に対しも助成を続けて来た。
新しい運動の芽に重点的に配分して来た。
地雷禁止でノーベル平和賞を受けた団体も、彼女の支援で活動を広げた。
自ら、「人種差別」にも立ち向かった。
もともとは作家志望だった。ラジオ・ドラマの脚本も書いたりした。その後、彫刻の道に進んだ。装飾ではなく実用にこだわった作風だったという。
サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)の運営にも携わり、ふつうのアーチストが利用できるギャラリーを開設した。
財団の名前、Ploughshares は、聖書のイザヤ書から採った。
「かくてかれらはその剣をうちかえて鋤(ploughshares)となし……戦闘(たたかひ)のことを再びまなばざるべし」
聖書のなかの「9条」のような言葉だ。
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訃報を聞いて友人たちと、横浜・野毛にある、なじみの居酒屋で話し合った。
一人が言った。「剣を鋤にうちかえる、って、いい言葉だね。彫刻家らしいな?」
すかさず、合いの手がふたつ。
「彫刻家は、土から、かたちある永遠のいのちを創り出す。いのちを廃墟と化す核兵器は真逆だよね」
「そうだよね。サリーさんって、もしかしたら、核兵器の数だけ、それを材料に金属彫刻を創りたかったんじゃないか」
追悼式は11月25日に行われる。
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http://www.ploughshares.org
Posted by 大沼安史 at 08:44 午前 | Permalink