〔いんさいど世界〕 不条理の根源としての「グラウンド・ゼロ」 史上最大の「やらせ」作戦? 「9・11」 5周年 真相究明を求める声、高まる
「9月11日」がまたやって来ます。「9・11」5周年。
あれからもう5年が経ったのですね。
「同時多発テロ」の次の年(2002年)の9月、ぼくはニューヨークに出かけ、「WTC(世界貿易センター)」の跡地を訪ねました。「グラウンド・ゼロ(爆心地)」と呼ばれる現場です。
そこには、ぼくが初めてニューヨークに行った1983年の春、たしかに聳えていたWTCのタワーはなかった。
何もない空間があっただけ。
不思議な感じがしました。
ぼくがかつて中に入り、エレベーターに乗ったWTCの超高層ビルが、ほんとうに跡形もなく、そこから消えていたのですから。
フェンスで囲まれた跡地近くの道路わきには、犠牲者たちの遺影が飾られていました。
それを見てぼくは、はじめて「9・11」というものを「体感」したような気がしました。
WTCは、テロ攻撃をうけた「グラウンド・ゼロ」ではありますが、その後、ブッシュ政権がイラク戦争に突入したことで「テロとの戦い」の「起点」、というか「震源地」ともなりました。
米国のCNN放送によると、「9・11」で亡くなった犠牲者は、実行犯をのぞくと、2973人になるそうです。
それでは「9・11」が引き鉄が引いた「テロとの戦い」で、どれだけの米国人(米兵)が死んでいるのか?
答えは、2974人(9月2日現在。イラクで殺害された米国籍の民間人を含む数字です)。
つまり、ブッシュ政権の「テロとの戦い」の米国人死者が、この時点で「9・11」犠牲者を1人、上回った。
「9・11」の悲劇をなくすための「反テロ戦争」が、それ以上の悲劇を生んでいる……。
やりきれませんね。そんなバカな、と言いたい気持ちです。
そんなやりきれのなさは、もともと「9・11」そのものに発しています。どうもおかしい、なんかヘン。世界を包みこむ、この不条理感の淵源(グラウンド・ゼロ)には、あのWTCの、不自然なまでに空虚な、何もない空間があるような気がします。
ご承知のように「9・11」には、さまざまな「陰謀説(コンスピラシー・セオリー)」がくすぶり続けています。疑惑の炎は弱まるどころ、強まるばかり。米国の一般国民の間にも、「あれはテロリストたちの単独犯行」というブッシュ政権の「公式セオリー」を疑う見方が広がっています。
米国の通信社、「スクリップ・ハワード」とオハイオの大学が共同で実施した「9・11」に関する世論調査の結果が先日、発表されました。実に驚くべき「結果」でした。
「中東で戦争を始めるために、米政府の高官らが9・11の攻撃を側面から支援、もしくは見て見ぬふりをした」と考える人が、なんと36%もいることがわかった。
つまり、「9・11」の実行犯はテロリストだとしても、それを「やらせ」たのはブッシュ政権の当事者だ、と考えている人が、「3人に1人強」もいる!
ぼくも実は「やらせ」説を採る1人ですが、同じ考えのアメリカ人がこんなにもいるとは驚きでした。
それだけではありません。
WTCが倒壊した真の原因は、「秘密裏に仕掛けられていた爆発物」によるものと信じている人が16%(7人に1人強)もいる。
「9・11」ではワシントン近郊の米国防総省(ペンタゴン)にもハイジャック機が突っ込んだことになっていますが、これを「米国の軍部による巡航ミサイル攻撃」と思っている人が12%(10人に1人強)も。
あれから5年経っても、これだけの人があの「9・11」を「疑惑の目」で見ているわけです。
「9・11」を「史上最大の陰謀」だとみる人々はもちろんまだ少数派ですが、オタク的なサークルを超えて、社会的に影響力のある人々のなかにも広がっています。
その代表格は、ロバート・ボーマン氏。
フォード、カーター政権時代に、いわゆる「スター・ウォーズ」開発計画に携わった米空軍の元高官(中佐で退役)で、カリフォルニア工科大学から航空工学と原子力工学の博士号(Phd)を授与された研究者肌の人物です。(ボーマン氏はレーガン政権の時代になって、「スター・ウォーズ」が先制攻撃に使用される恐れが強まったと、自ら率いた「スター・ウォーズ」開発計画を批判したことで知られています)
そのボーマン氏の意見・主張を、3日付けのサンフランシスコ・クロニクル紙が掲載していました。
ボーマン氏は「9・11」に関してどんな疑惑を指摘しているか?
4つあります。
それはひとつは、「なぜ米軍はハイジャック機を迎撃できなかったか?」という謎です。
(クロニクル紙は、そういえば、1999年に起きたプロ・ゴルファー、ペイン・スチュアート氏の乗った小型機の場合はすぐスクランブルをかけたのに、「9・11」ではどうして?―と、疑問を投げかけています。)
ふたつめは、ムサオイという男がWTOにハイジャック機ごと体当たりすると再三にわたって警告しているのに、FBI(連邦捜査局)はなぜその警告を無視したか、という謎。
みっつめは、なぜペンタゴンは国防総省ビルに突っ込んだとされるアメリカン航空77便のコッゥピット内録音テープを公開しないのか?
よっつめは、なぜブッシュ政権はテロ攻撃後、間もなく。19人の実行犯の身元を特定し写真まで公開できたのか?
これらのミステリーを列挙したうえでボーマン氏は、チェイニー副大統領をはじめとするブッシュ政権の高官が「イラクの石油の長期安定的支配」とイラクを「中東全域を支配する戦略的ハブ」とすることを狙って、「9・11」を実行させたのではないか、との見方を示しています。
現職の副大統領が「9・11」の背後にひかえた「黒幕」かも知れない!
こう米軍の元高官が語っている!
サンフランシスコ・クロニクルという有力紙の紙上で、公然と、堂々と!
真相究明のため、再調査を行え!と。
――これが「9・11」から5年経った米国の実態なんです。
終わっていないのです。「9・11」は。
たしかに「9・11」後、「独立調査員会」なるものが結成され、「報告書」が出ていますが、委員会の委員となった人間のほとんどがブッシュ政権の息のかかった者ばかり(抗議して辞任した委員がひとりいます)。
「真相」はなお闇の中、謎は山積しているのが現実の姿です。
(クロニクル紙は、そんな謎の一例として、「WTC」の「第7棟」はなぜ、ハイジャック機に直撃されてもいないのに、タワー2棟と同様、なぜ倒壊したのか?――という疑問を提起しています。その「第7棟」は47階建てで、CIA、シークレット・サービス。米国防総省が入居していました)
「9・11の真実」に迫る動きは、アカデミズムの中にも広がっています。
昨年(2005年)12月には「9・11の真実を知るための学者連合」という組織が発足、疑惑の解明に乗り出しています。
まさに追究の火の手があがった、というところですね。
そんななかで心配なのは、米国における「9・11」追究の第一人者と目されるマイケル・ルパート氏のことです。(「ルビコン河を渡って」という本を書き、「陰謀」の全体像を描き切った人です。)
ルパート氏はカリフォルニアを拠点に、世界に分析情報を発信しているのですが、先日、事務所が荒されました。
以前にも何者かがコンピューターに侵入し、データを破壊されたことがありますが、こんどは事務所のなかをメチャメチャにされた。ルパート氏はこれを「暗殺予告」と受け取り、国外に脱出しました。
「知りすぎた」ルパート氏に、おそらくは「これ以上、知られては困る」「知らせられては困る」その筋の魔手が伸びた!
「9・11」の闇はかくも深きものなのですね。
だからといって――いや、だからこそ、真相究明への努力を止めてはなりません。
「9・11」の真実を求め、その「核心(グラウンド・ゼロ)」に迫り始めた包囲網。
「5周年」は真相が明らかになる、現代史の分水嶺になるかも知れません。
Posted by 大沼安史 at 11:00 午前 1.いんさいど世界 | Permalink
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受信: 2006/09/13 16:05:23