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2006-09-18

〔いんさいど世界〕 GE米が流通 ヨーロッパ 揺れる「食の安全」

 実りの秋、収穫の秋。
 首都圏にも東北の新米が出回っています。

  先日、家の近くのスーパーで、宮城県産米を買い込みました。米どころ・古川産の「ひとめぼれ」。さっそく炊いてテンコ盛りにしていただきました。
 つやつや、粒々の銀シャリ。おいしかったです。

 というわけで、きょうはお米の話題を紹介したいと思います。
 場所はヨーロッパ。
 ヨーロッパでもけっこう、お米が消費されているんですね。スパゲッティーを細くしたようなバーミチェリとか、加工食品としても食卓にのぼっている。
 そんなヨーロッパでいま、「GE米(ライス)」問題が持ち上がり、大ニュースになっているんです。

 GE米(ライス)のGEとは、「遺伝子操作された(genetically engineered)」って意味の英語の頭文字。つまりGE米(ライス)というのは「遺伝子操作米」のことなんです。
 わがふるさと、宮城の新米、とは似て非なるGE米(ライス)……瑞穂の国、日本の「お米」と区別する意味で、「ジー・イー・ライス」と、カタカナ言葉で言った方がいいと思いますが、このGEライスが最近、ヨーロッパ各地で見つかって、たいへんな騒ぎになっています。

 国際的な環境保護団体である「地球の友(フレンズ・オブ・アース)」や「グリーンピース」が欧州市場の監視を続けているのですが、今月(2006年9月)5日、ベルギーのブリュッセル発で「フランス、ドイツ、イギリスの3ヵ国で、GEライスが発見された」というニュースが流れました。
 米粒そのものではなく、米の加工品、5つのサンプルから、GEライスが見つかったそうです。
 たったそれだけ、なら平気じゃん、とお思いになる方もいるでしょうが、もちろん、テストで引っかかったのは、「氷山の一角」。
 米の加工品って、ベビーフードから、なんとヨーグルトにまで含まれているそうで、「これはヤバイ」ってことになったわけです。

 このGEライスについては、欧州委員会が先月(8月)23日に、GEライスが混じっていないかどうか、日本でいう「外米」の、米国原産長粒種(なぜ米国原産種が問題かは後述します)のテストを義務付けたばかり。
 つまり、欧州連合(EU)として、GEライス侵入阻止の水際作戦に打って出た矢先に「もう出回ってる」ことが分かったわけで、それだけ「発見」の衝撃度は高かった。

 これに追い討ちをかけるように、今月11日にはドイツで、米国企業(ドイツの企業がその後、買収)が開発した「LLライス601」というGEライス、発見のニュースが流れました。ドイツの大手スーパーが扱っていた「半煮えライス」が、このGEライスだったと判明したわけです。特定の品種が、たったの1種類ではありますが、はっきり絞り込まれたわけです。

 さて、こうしたGEライスがどこからヨーロッパに流入したかというと、その震源――というか、栽培地はなんと中国。
 中国では一時、試験栽培が認められ(現在は商業栽培は禁止だそうです)、その後、種子会社などが非合法を承知でGEライスの種(籾)の販売を継続、それがヨーロッパへと流れ込んでいるらしいのです(「グリーンピース」の調べ)。

 で、なぜこうしたGEライスが広がるかというと、ひとつは除草剤に強いです。つまり、除草剤を効かせることができる。
 ふたつめは、害虫を寄せ付けない物質を分泌するので、この点でも育てやすい。
 結局、手間隙かけず、安上がりに収穫増を期待できるわけです。

 しかし、これが環境や人体にどういう影響があるかは不明。
 どんな結果になるか、わからないから使わないが、疑わしきは食べずが鉄則ですが、マウスを使った実験では、GEライスの「Cry1Ac」というタンパク質が「アレルギーのような引き起こす」というマイナス面も報告されています。
 ご飯を食べると「アレルギー」になり、(まさかこんなことにはならないとは思いますが)下手するとショック死するというのではたまりませんね。

 GEライスがもつもうひとつの深刻な問題点は、「お米たちにもよくない」ってことです。
 世界中にはいろんなお米があって、なんと113ヵ国で栽培されている。
 そういうその土地固有のお米がGEライスにとって代わられる――というのは、1万年以上にわたって、それぞれの土地で栽培されてきた、お米たちに対する冒涜でもあるわけです。

 このGE米、ベータカロチンが豊富な「ゴールデン・ライス」として、中国ばかりかインドなどでも盛んに売り込まれているそうですが、わが「瑞穂の国」ではどうなのでしょう。
 精米として流通していなくても、加工品として入っていることは十分、考えられます。
 農林水産省や県庁では、対策をとっているのかしら?

 GEライスは「ひとめぼれ」や「ササニシキ」のいわば天敵。
 少なくとも、オラが宮城の米どころには、1粒たりとも入れたくありませんね。

Posted by 大沼安史 at 12:40 午後 1.いんさいど世界 |

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