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2006-08-31

〔NEWS〕 イスラエル軍の「クラスター爆弾」大量使用に国際的な非難 禁止を求める圧力 強まる

 イスラエル軍がレバノンで大量に使用した「クラスター(集束)爆弾」について、国際的な非難が強まっている。

 英紙ガーディアン(電子版、8月31日付け)によると、国連の人権問題担当チーフであるヤン・イーグルランド氏は30日、レバノン南部には「10万発」もの不発のクラスター爆弾が残っており、避難民の帰還を阻む「大規模な問題」になっている。
 同氏はまた、「ショックイングなこと、それはわたしとしては完全に非道徳的なことだが、クラスター爆弾の90%もが戦闘の最後の72時間以内に使用されたことだ」と語り、「停戦」を前にした“駆け込み投げ込み”(注・これは大沼の表現です)を厳しく批判した。

 一方、英紙インディペンデント(電子版、8月31日付け)も、イスラエル軍のクラスター爆弾使用に関する記事を掲載した。
 それによると、レバノン南部で爆発物処理にあたっているチームのリーダー、クリス・クラーク氏は30日にジュネーブで開かれた会議で、

 ① イスラエル軍がレバノン南部でクラスター爆弾を390波の攻撃で使用した

 ② その大多数が戦闘の最後の3日間に使用された

 ③ 「停戦」後も2000発以上が不発のままになっている

 ――と報告した。
 
 クラーク氏はとくに③について、「わたしの知る限り、最悪の、戦闘終了後のクラスター爆弾汚染である」と指摘した。

 レバノン南部の現地で活動する地雷除去の民間団体によると、イスラエル軍は民間人をターゲットにしてクラスター爆弾を浴びせたという。

 現地の国連処理班によると、イスラエル軍が使用したクラスター爆弾は、米国製のM24、M47、イスラエル製のM85の3タイプのクラスター爆弾。
 このうち米国製の2タイプはいずれも80発のミニ爆弾を内蔵、空爆だけでなくロケット砲弾としても撃ち込まれた。M85タイプは1発につき644発のミニ爆弾を搭載、ロケット砲弾として使用された。

 こうしたクラスター爆弾の使用についてイスラエルは「合法」としているが、インディペンデント紙は民衆の生活の場を「地雷原」と化すものだとして、「禁止」を求める国際世論が高まっている、と述べている。


http://www.guardian.co.uk/israel/Story/0,,1861606,00.html

http://news.independent.co.uk/world/politics/article1222829.ece

Posted by 大沼安史 at 06:41 午後 | | トラックバック (0)

2006-08-29

〔いんさいど世界〕 「マグロ戦争」勃発 地中海、波高し  「虹の戦士」号を包囲 フランス漁船団 マルセイユ沖

 刺身といったらマグロ、寿司といったらトロ。われわれ日本人にとって、マグロはなんといっても食卓の王者(?)です。

 そのマグロの値段が高くなっている。定食屋さんの赤身の刺身の厚さが薄くなっている。
 一大事ですね。たかがマグロ、されどマグロだなんて言ってられません!
 われわれ日本人にとって(なんかすごくナショナリスティックになっちゃてますが…)、やはりマグロ、そいでもマグロなんですね。
 値上がりの背景には、台湾での大幅減船があるのだそうですが、きょうは地中海から届いた新鮮なマグロ・ニュースをお届けしたいと思います。日本ではほとんど知られていないようなので……。

 今月23日のことです。場所は地中海、南仏はマルセイユ沖。
 補給のためマルセイユに向かっていた一隻の船を、フランスの漁船団が輪になって取り囲みました。入港を阻止しようとしたのですね。
 包囲した漁船は、そうフランスのマグロ漁船(「ソニエール」っていうんだそうです。フランスのルモンドって新聞に書いてました)で、なんと20隻。
 ルモンド紙(電子版)にはソニエールの包囲写真が載ったり、向こうではたいへんな騒ぎになったわけです。

 一方、ソニエールに取り囲まれ、停泊せざるを得なかった船は、あの有名な「虹の戦士」2号。「レインボー・ワリアー」2号。
 世界的な環境保護団体である、あの「グリーンピース」の所有船でした。日本的に言えば、「第2虹の戦士丸」といったところでしょうか。

 この「虹の戦士」号、実は「戦う船」なんです。フランスの核実験に抗議したり、日本の南氷洋の調査捕鯨船団をつけ回し、キャッチャーボートと鯨の間に入り込んだり、世界各地で「からだを張って」がんばっているんですね。

 そのうちの1隻、「第2虹戦丸」(勝手に省略しちゃいました)がどうしてマルセイユ沖で「ソニエール」(マグロ漁船)たちにつかまってしまったかというと、実はこの船、ことしの5月から、地中海のマグロ漁に対する監視活動を続けて、「獲り過ぎ」だって警鐘を鳴らしていたのですね。

 地中海のマグロって、漁獲されたあと、どこに行くかというと、もちろん日本。
 第2虹戦丸の船主である「グリーンピース」によれば、昨年(2005年)の地中海におけるマグロ漁獲高は、総計で5万3000トン。
 これは「大西洋国際マグロ漁委員会」が定めた漁獲割り当ての3万2000トンを、2万トン以上、上回っている。
 このままで行けば、地中海からマグロがいなくなっちゃう。
 乱獲だ、もうやめろ!
 これが「グリーンピース」の主張なんですね。

 この漁獲割り当て、3万2000トンという数字も、「グリーンピース」に言わせればとんでもない数字で、地中海のマグロ資源を維持しようと思えば、年間2万5000トン以内にとどめなければならないそうです。

 それで「第2虹戦丸」の出動となったわけですが、フランスの漁業者も農民たち(高速道路をトラックで封鎖したり、すごいんです)に負けていません。
 燃料などをの補給のためマルセイユ港に入ろうとしたところを取り囲み、24日にはついにスペイン沖へと追い出してしまったのですから。

 「第2虹戦丸」の乗組員のブログによれば、包囲した「ソニエール」からは放水も浴びせかけられたようです。

 もちろん、これで引き下がる「グリーンピース」ではありません。
 「第2虹戦丸」の監視活動はこれからも続行し、「地中海マグロ」を守る国際世論を盛り上げていく構えでいます。

 その狙い目は、11月に開かれる「大西洋国際マグロ漁委員会」の総会。
 そこで来年の漁獲割り当てが決まるのですが、その会合に向けて、国際的なキャンペーンを強化していく作戦のようです。

 場合によっては、地中海の洋上で、フランスだけでなく、リビアやスペイン、トルコ、日本などのマグロ漁船と一戦を交えることになるかも知れません。

 これからどうなるか?
 いずれにせよ、われわれ庶民にとって、これからどんどんマグロが「高嶺の花」になっていくのは間違いないところ。

 鯨に続き、マグロよ、お前もか……ですね。

 

Posted by 大沼安史 at 10:26 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2006-08-27

〔NEWS〕 イスラエル軍 第一線司令官が上層部を批判 レバノン侵攻に予備役を準備なしに投入 前線の実態をつかむ現実感を喪失

 イスラエル軍の第一線司令官が上層部を痛烈に批判――そんな記事が、英紙オブザーバー(電子版、8月27日付け)に出ていた。

 レバノン侵攻の際、予備役の兵士を準備なしの投入した上層部の責任を、現役の戦車師団司令官が公然と追及、オルメルト内閣を倒壊の危機に追い込んでいるというのだ。

 オルメルト首相府に対する予備役兵士らの抗議行動も連日、激しさをましており、そうしたなかでの一線司令官の「内部告発」は強烈なボディーブローとなって政権を揺さぶっている。

 責任追及の声を上げているのは、レバノン侵攻の指揮を執った前線指揮官のアムノン・エシェル大佐。
 
 レバノン侵攻に向けて慌しく召集された予備役の兵士たちの戦闘準備が整っていないのを知ったエシェル大佐はその旨を戦車師団の師団長に対して2度にわたって上申、予備役を外すよう求めたが、「おれは知らん。やるしかない」とはねつけられたという。

 このためエシェル大佐は自ら命令に背き、配下の予備役兵を一線に送りこまなかったという。

 大佐は「陸軍の司令部の高官らは、戦場で何が起きているか、疎くなっていた(アウト・オブ・タッチ)」と指摘した。

 今回のレバノン侵攻では、家族や会社を持つ予備役のイスラエル兵が50人以上、戦死している。


http://observer.guardian.co.uk/world/story/0,,1859324,00.html

Posted by 大沼安史 at 03:05 午後 | | トラックバック (0)

2006-08-26

〔NEWS〕 NATO軍機が子ども9人を含む民間人13人を機関砲で殺害の疑い アフガニスタンのチョグラ村 英紙記者が現地取材

 英紙インディペンデント(電子版、8月26日付け)によると、アフガニスタンのムサカラ英軍基地に近いチョグラ村で7月31日、一家13人の家族ら民間人16人が乗ったトラック(灰色のTOYOTA)に対し、NATO軍機のA10が攻撃を加え、子ども9人を含む13人を殺害した疑いが浮上した。

 同紙記者が現地を取材し、生存者にインタビューして突き止めた。

 トム・コクラン記者に対して証言したのは、生存者(負傷者)3人のうちのひとりで、息子1人を除く11人の家族を失った、一家の主人のアブデル・ハビビさん(40歳)。

 アブデルさんによると、戦闘に巻き込まれるのを避けようとアブデルさん一家と3人の男がトラックを走らせていたところ、NATOのA10(対戦車攻撃機)が飛来し、前方に爆弾を投下した。
 A10機はそのまま飛び去ったことからそのまま走行を続けていたところ、また現れ、こんどは機関砲弾を浴びせかけて来たという。

 アブデルさんは夫人2人に、非戦闘員であることをアピールするよう指示したが、夫人らがトラックの荷台から立ち上がった瞬間、機関砲弾が発射された。

 殺害されたアブデルさんの子どもたち8人のなかには、生後2ヵ月の赤ちゃんも含まれていた。

 ムサカラ基地は7月以来、アフガンゲリラの攻撃にさらされていた。
 


http://news.independent.co.uk/world/asia/article1221866.ece

Posted by 大沼安史 at 05:37 午後 | | トラックバック (0)

〔重要NEWS〕 イスラエル 対イラン「作戦マネージャー」を任命

 イスラエル紙「ハーレツ」(電子版、8月25日付け)によると、イスラエル国防軍のダン・ハルッツ参謀本部長が、同国と国境を接していない敵国に対する「作戦マネージャー」に、空軍最高司令官のエリイゼル・シュケディー少将を任命していたことが明らかになった。

 国境を接していない敵国とはイランを指すもので、イスラエルがイランの核施設攻撃を視野に戦闘準備を進めていることが分かった。

 同紙によると、シュケディー少将の任命は、イスラエル軍のレバノン侵攻以前に発令済み。

 シュケディー少将はモサドや軍情報部をも指揮下に置き、作戦の立案、実施にあたるという。

(大沼・注)

 空軍最高司令官を「対イラン戦の作戦マネージャー」に任命していたということは、イラン攻撃は空爆でしか行えないからだ。以前、イラクのオシラク原子炉を破壊したように、F16による爆撃が考えられる。

 それにしても、今回の「ハーレツ」紙のスクープは、意図的なリーク&ブラフなのか、それとも同紙の「掘り下げ」の結果なのか?
 にわかには判断がつかない。 


http://www.haaretz.com/hasen/spages/754702.html

Posted by 大沼安史 at 04:58 午後 | | トラックバック (0)

2006-08-25

〔NEWS〕 イスラエル 対イラン自力攻撃を検討

 イスラエル紙「エルサレム・ポスト」(電子版、8月25日付け)によると、イスラエル国防軍内部でイランを独力で攻撃することになるかも知れないという合意が形成されつつある。
 背景にあるのは、「米軍はイランを攻撃しない」との見方で、その場合、イスラエルとしてはイランの核開発を自力で阻止せざるを得ない状況に追い込まれる、としている。
 米国がイラン攻撃に踏み切れないのは、「イラクに足をとられている」(イスラエル軍当局者)ため。
 米国が動けない以上、自分たちが攻撃するしかない、という判断だ。


http://www.jpost.com/servlet/Satellite?cid=1154525940706&pagename=JPost%2FJPArticle%2FShowFull

Posted by 大沼安史 at 03:23 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「ぼくは子どもを撃てない」 イラク行き 自殺を図った19歳 英国兵士の「遺言」

 英紙インディペンデント(電子版、8月25日付け)に、イラク派遣を前に自殺をはかった19歳の英国兵士の「最後の言葉」が紹介されていた。

 病院のベッドで、母親にこう言いのこしたのだという。

 「ぼくはそこへ行って子どもたちを撃てない。イラクには行けない。敵だからどうだとは思えない。できないんだよ、ぼくには」
 
 英国中部、マンチェスター郊外、ウィーガン出身のジェイソン・チェルシーさんが、自宅で遺書を書いたあと、鎮痛剤60錠をのみ、手首を切って自殺を図ったのは、8月10日のことだった。
 ジェイソンさんの所属する連隊は、イラク行きに備えて訓練中で、その休暇を利用して帰省中のことだった。

 病院に運ばれたジェイソンさんはふつうなら命をとりとめる状態だったが、1年半前からの過度な飲酒のせいで肝臓はぼろぼろ。鎮静剤のダメージから回復することなく亡くなった。
 
 ジェイソンさんが自殺を図ったのはこれが2度目。2004年に兵舎で手首を切ったことがあり、それ以来、軍の精神科医の治療を受けていた。

 イラク戦争がらみで自殺した英兵は、ジェイソンさんを除いてほかに5人もいる。
 昨年1年間だけで、イラクに派遣された英国兵士の10%にあたる727人が精神に変調をきたした。


http://news.independent.co.uk/uk/this_britain/article1221649.ece

Posted by 大沼安史 at 01:52 午後 | | トラックバック (0)

2006-08-24

〔NEWS〕 米政府 中南米の「悪の枢軸」キューバ&ベネズエラ担当の「諜報マネージャー」を任命 

 Yahoo!ニューズ(シンガポール)が8月19日に報じたAFP電によると、米国のネグロポンティ国家情報長官は18日、中南米の「悪の枢軸」国、キューバとベエンズエラを担当する「諜報マネージャー」ポストを新設し、中央情報局(CIA)の専門家を任命した。
 
 米国はすでにイランと北朝鮮を担当する「諜報マネージャー」を2人、置いている。

(大沼・注)

 キューバの「カスト後」、ベネズエラの「石油資源」を見据えた戦略の発動!   


http://sg.news.yahoo.com/060819/1/42w82.html

Posted by 大沼安史 at 06:23 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 ドイツ 潜水艦2隻 イスラエル向け建造 核ミサイル搭載可能

 イスラエル紙「ハーレツ」(電子版、8月23日付け)が報じたAP電によると、ドイツ政府の資金援助で、核ミサイル搭載可能な潜水艦2隻が、ドイツの造船所、「HDW」で建造されている。

 ドイツ政府の援助額は建造費の3分の1。ドイツ国防省のスポークスマンが23日に認めた。7月に調印されている。

 イスラエル海軍はHDW製のドルフィン級潜水艦をすでに3隻、保有している。いずれも核ミサイルを搭載可能。


http://www.haaretz.com/hasen/spages/754077.html

Posted by 大沼安史 at 06:00 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 ヒズボラ 被災家族に現金(ドル)を支給 民衆の忠誠心をつかむ ロバート・フィスク記者が報告

 英紙インディペンデント(電子版、8月24日付け)に、同紙が誇る中東問題の世界的なエキスパート、ロバート・フィスク記者による、ベイルート報告が載っていた。

 それによると、ヒズボラは、イスラエル侵攻で被災したレバノンの民衆に、1世帯あたり最低1万2000ドルを米ドルの新札(100ドル札)で支給する復興支援を続けている。

 破壊された家屋の再建、家具の調達、家が再建されるまでの借家のテナント料などを補償しているもので、これにより、民心の掌握に成功している。対象は、1万5000家族。

 フィスク記者が挙げる具体例では、ベイルート南郊のあるアパート経営者は4万2000ドルの補償金を得た。

 こうした補償金の出所は、「ほぼ間違いなくイラン」で、その総額は「数億ドル」規模に達するという
 


http://news.independent.co.uk/world/fisk/article1221306.ece

Posted by 大沼安史 at 11:01 午前 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 米国主導「テロとの戦い」 中東におけるイランの影響力を強化 英王立国際問題研究所が報告書 日本には調停者としての役割を期待

 英紙ガーディアン(電子版、8月23日付け)によると、英国の王立国際問題研究所は、米国主導の「テロとの戦い」がイランの中東におけるパワーと影響力を強める結果を生んでいるとの報告書をまとめた。

 (報告書は、同紙記事中のreportをクリックすると、全文を読むことができる)

 報告書は「イランが中東における“テロとの戦い”の主要な受益者であることは疑いえない」と述べ、米英のもくろみが裏目に出て、逆にイランの立場を強化することになっている事実を指摘した。

 こうしたなかでの日本の役割について報告書は、テヘランに対し、プラグマティックな立場から接近していることが「交渉のブローカー」になる機会を日本に与えることになるかも知れない、と期待感をにじませている。


http://www.guardian.co.uk/iran/story/0,,1856362,00.html

Posted by 大沼安史 at 10:35 午前 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 82歳 たったひとりの抵抗 元軍人が「イラク反戦」に決起

 米コロラド州ボールダーの街で、82歳になる元軍人がイラク戦争に反対して抗議行動を始めた。
 地元紙、コロラド・デイリー(電子版、8月21日付け)によると、ボールダー市内の「陸軍・海兵隊リクルートセンター」前の路上で、活動を始めたのは、第2次大戦中、ヨーロッパ戦線で衛生兵として戦ったことのある、ジーン・グレイザーさん。
 同センターの前で、「軍隊を支援し、いますぐ帰還させよ」のプラカードを持って立ち続けた。
 
 同センターによれば、イラク戦争の徴兵に抗議に来た人は、ジーンさんが初めてだ。

 ジーンさんは全米規模の反戦組織、「平和のための復員兵」の一員。
 ファシズムと戦った第2次大戦はの必要性は正当化できても、その後の戦いは必ずしも必要なものではなかった、と同紙に語った。

 (大沼・注)
 高原の街とはいえ、ボールダーの夏はそれほど涼しくない。82歳のからだに、炎天下のプロテストはこたえることだろう。
 聳え立つリロッキーの山稜に立てば別のことだが……。

 がんばれ、ジーンじいさん!
 

http://www.coloradodaily.com/articles/2006/08/21/news/c_u_and_boulder/news3.txt

Posted by 大沼安史 at 09:56 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-23

〔NEWS〕 イスラエル軍 レバノンで「戦争犯罪」の疑い アムネスティー・インターナショナル 国連に調査を要求

 国際的な人権・環境保護団体である「アムネスティー・インターナショナル」(本部=ロンドン)は8月23日、イスラエル軍がレバノン攻撃の、民間人を故意に攻撃した疑いがあるとの報告書を発表し、国連に「戦争犯罪」として調査するよう求めた。

 報告書は、

  ① 7000回を超す空襲および2500回もの艦砲射撃は「とくに民間人の住む地域に集中していた」

  ② 1183人に及ぶレバノン側死者の大多数は非戦闘員で、その3分の1は子どもとされている

  ③ 軍事的な価値のない、燃料や水の貯蔵所を攻撃した

  ことなどを指摘している。


http://www.ft.com/cms/s/65bf7dfa-3203-11db-ab06-0000779e2340.html

http://news.amnesty.org/index/ENGMDE020182006

Posted by 大沼安史 at 11:30 午前 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 米海兵隊 予備役2500人を召集へ

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版、8月23日付け)によると、米海兵隊は8月22日、予備役を最大2500人召集すると発表した。
 このうち1200人については来春、もしくは来夏に現役に編入し、イラク、アフガニスタンなどで軍務に就く。

(大沼・注)
 在イラク米軍の削減計画も、バグダッドへの兵力増強によって転換を余儀なくされているなかでの、海兵隊の予備役召集。
 米軍の苦戦ぶりをうかがわせるものである。
 
 あるいはまたブッシュ政権は、「戦線のさらなる拡大」を意図しているのかも知れない。


http://www.nytimes.com/2006/08/23/washington/23marines.html

Posted by 大沼安史 at 10:48 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-22

〔NEWS〕 心的外傷に苦しむ帰還女性兵士 

 米紙ワシントン・ポスト(電子版、8月20日付け)に、イラクから帰還した女性兵士が、2年以上経ったいまでも、心的外傷に苦しみ続けている姿が報じられていた。

 「イラク戦争」は数多くの女性兵士が実際に戦場で過酷な戦闘に従事した初めての戦争。
 男性兵士とほぼ同率で、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)に悩まされているという。

 ポスト紙の記事は、バグダッド近郊で9ヵ月間、第747輸送中隊の一員として輸送作業に従事し、道路脇に仕掛けられた爆弾の爆発で左の耳を失って、一昨年(2004年)1月)に帰還した、ナショナル・ガードの女性兵士、トリネッテ・ジョンソンさん(黒人、32歳)に焦点をあてている。

 4人の子を持つ母。最初の子は14歳のとき、もうけたという。

 そんな「ママさん兵士」、トリネッテさんにとっても、イラク戦争での戦場の経験は無残きわまりないものだった。

 爆弾で爆死した、同じ部隊の21歳の兵士。
 重傷を負った、同じく4人の子を持つ、彼女の親友の女性兵士。

 あるときは、イラク人の遺体を、泣き喚く家族のもとへ送り届けたこともあったという。

 でも彼女自身、M16ライフルを撃つことはなかった。
 彼女はつまり、戦場で人殺しはしていない。

 それでも帰国後、トリネッテさんをPTSDが襲った。

 せっかく子どもと再会したのに逃げ出す自分がいた。
 カッとなってバスにコーラのカップを投げつける自分がいた。

 アンダーパスをくぐり抜けられない自分がいた。
 頭上で爆発するかも知れない。
 恐怖にとらわれ、立ち往生する自分がいた。

 怒り、不安、悪夢の記憶のフラッシュバック。
 日常生活から現実感が消え、苦しい毎日が続いて来た。

 ワシントンのナショナル・ガード事務所の受付の仕事に復帰、新しいフィアンセと郊外に引っ越して、子どもとの生活を再開したが、なお苦しみから逃れられないでいる。

 苦しくなると自分の部屋に閉じこもり、ベッドに仰向けになって天井を見上げる。ファンの羽根がゆっくり回っている。

 自分と取り戻そうと努める。そして取り戻す。

 でも、瞬間的に外部との「つながり」が切れてしまうことがある。
 呆然と、ファンの羽根を、見上げている自分に気づく……。


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/08/19/AR2006081900353.html

Posted by 大沼安史 at 12:43 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 レバノン戦争 「第2ラウンド、間近」 イスラエル国防軍参謀本部

 イスラエル紙、ハーレツ(電子版、8月21日付け)によると、イスラエル国防軍・参謀本部のメンバー(複数)は、レバノンのヒズボラとの「第2ラウンド」の戦闘が早ければ「数週間以内」に始まる、と語った。

 イスラエル軍にとって、「第2ラウンド」が切迫したものになっているのは、イランとシリアがヒズボラへの武器供与を増強している、ため(参謀本部高官)。


http://www.haaretz.com/hasen/spages/752773.html

Posted by 大沼安史 at 11:09 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-21

〔コラム 机の上の空〕 愛子さまが笑った「女王の国」、オランダは、世界1の「救いの国」!

 愛子さまが笑っていた! 笑顔で手を振りながら!

 オランダのベアトリックス女王のそばで。
 パパとママの見守られながら。
 ママも笑顔、パパも笑顔。アレキサンダー皇太子一家と一緒に。

 新聞(19日付け各紙)に載った笑顔の写真を見て、救われた気がした。
 笑ったところを見たことがない愛子さまが笑っていた。
 日本ではいつも「張り詰めた笑顔」のママ(雅子さん)も自然な表情。そして、そのそばにいるパパ(皇太子)の嬉しそうな顔。

 18日に、オランダ東部、アペルドールン市にあるオランダ王室の馬車庫で撮影された記念写真が公開された。
 それを見て直感した。
 愛子さまはきっと、「女王の国」だからこそ、笑顔を取り戻せたのだと。
 
 よかった、と思うと同時に、あらためて日本の皇室をめぐる、うっとうしさを感じないわけにはいかなかった。どこかで「靖国」問題につながっている、あの「男系天皇」の論議を思い起さずにはいられなかった。

 「靖国」にはたしか、従軍慰安婦も、従軍看護婦も、まつられていないのではないか?
 「軍神」や「英霊」は、「男」でなければならない「靖国」と、「天皇」は「男」に限るとする日本の「皇室」との、前近代的な共通性。

 愛子さまのオランダの静養先での笑顔は、両面の鏡だった。
 そこへ逃げだすことで、ようやく「緊張と抑圧」から解放された皇太子ご一家――とりわけ雅子さまの、安堵の思いを映し出す一方、「男女同権」であるべき戦後の日本に、黒い霧のように残る「家父長制権力」のアナクロニズムを照らし出てみせた、両面の手鏡。

 オランダから届いた写真のなかで、笑顔で手をふる、その愛くるしいお姿は、日本の抑圧社会そのものに対する、純心な「バイバイ」であるような気がした。

               ◇

 愛子さまを笑顔にしたオランダとはどんな国か?

 皇太子ご一家がオランダに到着する4日前の13日、この国が世界で一番、困った人々、貧しい国々を救っている国だというニュースが全世界を駆け巡った。英国のBBC放送など、世界のマスコミが「オランダ世界1」のニュースを報じたのである。

 米国・ワシントンにあるシンクタンク、「グローバル開発センター(CGD)」がまとめた調査結果が、世界的な注目を集めたのだ。
 フレッド・バーグステン氏ら著名なエコノミストらによって2001年に設立されたCGDは、世界の「豊かな国」が「貧しい国」の人々に対して、どれだけ救いの手を伸ばしているか、「援助」など7つの視点から各国を分析・評価し、国際社会における貢献度を毎年、ランク付けしている。

 その最新の分析(2005年評価)で、オランダが世界の先進国21ヵ国中、第1位であることがわかったのだ。

 前年(2004年評価)までは、デンマークがトップで、オランダは2位に甘んじていたが、今回(2005年評価)の調査で、ついにトップに躍り出た。
 オランダの評点は今回、総合評価で6.6。
 6.4だったデンマークをわずかに上回り、世界の先頭に立った。

 参考までに今回調査のトップ10(3位以下)を見ると、③スウェーデン④ノルウェー⑤ニュージーランド⑥オーストラリア⑦フィンランド⑧オーストリア⑨ドイツ⑩カナダ――の順。

 オランダに「世界1」の最高評価が与えられたのは、「援助」(GDP、国民所得比)、「貿易」(関税障壁)、「投資」、「移民」、「環境保護」、「平和維持」、「テクノロジー}(技術移転・供与)の7つの評価項目を通じ、高水準の得点をバランスよく獲得する政策努力を払ったことによる。
 つまり、オランダの「世界1」は、なんとなく世界1になった、というのではなく、国家として意図的に「身銭」を切った結果であるのだ。

 これに対して、わが日本は、CGD調査において、どのような「地位」にあるのか?
 
 意外というか、案の定というか、先進21ヵ国中、第21位、つまり最下位に甘んじているのだ(総合評点3.1)。それも今回、初めてではなく、CGDの調査開始(2003年評価)以来、3年連続。

 あれっ、おかしいな、少なくとも「援助」は各国よりも高得点であるはず(そう日本政府は宣伝していたはず)と思ってみてみると、2005年調査でも最下位の21位。
 日本の貧しい国々に対する「援助」額(国民1人あたり)は、GDP比でみると、世界の先進国中の最下位を行っているのだ。

 これではわが国が「国際社会における名誉ある地位」にある、とは到底言いがたい。

 残念なことにこれが、日本の実情なのだ。「靖国」に「A級戦犯」を合祀して昭和天皇を悲しませ、民主憲法によって「象徴」とされた「天皇」に、憲法原理の重要な柱である「男女同権」を適用しようとしないニッポンの、もうひとつの実態がこれなのだ。

                ◇

 遅ればせながら、この夏休み、わたしは世界的な大ベストセラーである『ダビンチ・コード』を読んで、いろいろ考えさせられた。
 「戦争の惨禍」を繰り返し、「支配と侵略」の推進力となり続けたきた「男性原理」に対し根底的な疑問を投げかけ、「女性原理」の復権を求めたこの小説が、全世界で爆発的に読まれた意味を考えずにはいられなかった。

 物語の終わり近く、スコットランドの「ロスリン教会」をまもり続けてきたマリーなる女性が、主人公のラングストン(男性)にこう語りかける。

 「……振り子は振れているの。わたしたちはわたしたちの歴史の危険というものを感じ始めている……そう、わたしたちが辿ってきた破壊的な道のりを。わたしたちはいま、聖なるフェミニン(女性原理)を復興させる必要を感じはじめているの」(ペーパーバック、479頁)

 オランダのベアトリックス女王も、たぶん『ダビンチ・コード』を、とっくの昔に読んでいるはずである。読んでいるからきっと、日本という国を憂い、オランダを静養の地として逃れて来た皇太子ご一家を気遣われているはずだ。

 そんな「女王の国」で、笑顔を取り戻された愛子さま。

 オランダはわが国にとってなお、世界に開かれた「出島」である。

 2大政党制を拒む「多党制」。人権とリベラリズムの擁護。……
 
 立憲君主制のこの国から学ぶべきことはまだまだたくさんある。

Posted by 大沼安史 at 11:36 午前 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2006-08-19

〔NEWS〕 ジョン・アーヴィング氏がギュンター・グラス氏を擁護

 米国の作家、ジョン・アーヴィングが、戦時中、ナチスの武装SSの隊員だったと告白してバッシングを浴びるドイツの作家、ギュンター・グラス氏を擁護する文章を、英紙ガーデイアン(電子版、8月19日付け)に発表した。

 「あまりにも多くの、いわゆる知識人たちが、彼らの攻撃目標に狙いを定める、あの、嗚呼、あんなにも臆病な、後知恵の視点からの、案の定、いかにも殊勝気な、グラスの人生と作品崩しが続いている」

 「グラスは15歳で兵士になった。志願したのは主に“家出したかった”からだと言っている。わたしは、グラスを批判する人々が自分自身、15歳だったときのことをほんとうに覚えているのか、と不思議でならない」

 「グラスはいまなおわたしの英雄だ。作家としても、道徳的な磁石としても。彼の勇気は、作家としてもドイツ市民しても模範的である。その勇気は、彼の最近の告白によって、弱まるどころか、さらに強まった」

(大沼・注)

 何があっても、それがどうであっても、それでも&だからこそ、自分=歴史を、他者=世界のなかで絆をたいせつにしながら生きていく……そんな自伝的小説、「ガープの世界」を読んで以来、ジョン・アーヴィングのファンであるぼく(大沼)としては、共感できる「グラス氏擁護論」だった。
  


http://www.guardian.co.uk/commentisfree/story/0,,1853745,00.html

Posted by 大沼安史 at 11:22 午前 | | トラックバック (1)

2006-08-16

〔ジャック天野の目が点丼〕 小泉首相「特攻参拝」 靖国神社「交霊ルポルタージュ」  

 「山に行く」と言い残し、まま音信不通となっていたジャック天野氏から、またも突然、メールがあった。

 熊野で山篭りし、修行を重ねたあと、恐山に足をのばし、イタコたちの愛のシゴキを受けながら彼女らと親交を結んで、そのまま下北に居ついてしまったという(ホントかな?)。

 熊野と恐山での厳しい修行は、ジャック天野氏に、現世と冥府を自由に行き来する、おそるべき超能力を与え、俗事に無関心の彼をして、ななんと本邦初の「冥界時事解説者」を名乗らしめる、驚天動地の事態に相成った。
 
 以下のメールは、【8月15日夜、恐山発】の、氏の第一報である。

                  ◎ ▲ ◎

 (記事リード) 8月15日の「終戦記念日」の朝、記者(J・天野)はここ下北沢のスナック「青森」、いや下北、恐山・賽の河原から冥界へと分け入り、東京・九段の森に飛んで、靖国神社で「交霊インタビュー」を試みた。
  

  ▽ 天野注・ この交霊インタビューなる取材法は、死者ばかりか生者の「心」にも自由に入り込み、偽りのない本音を聞き出す、高度なテクニックであり、山岳修行で生死を超えた境地にたどりついたジャーナリストだけがなしうる優れ技である。

 (記事本文)

 記者が恐山の空高く舞い上がり、瞬間ワープで靖国の境内に降り立ったとき、まるで示し合わせたように、小泉首相が「公式参拝」で姿を見せた。

 3万円ぽっちの献花料、1度だけの拝礼と、いずれもエコノミカルに済ませた首相の参拝を、透明人間的背後霊として、じっと見守り続けた記者(天野)は、参拝終了後、小泉首相が行った記者会見に「同席」、個人新聞「机の上の空」特派員として、こっそりインタビューの輪に加わった。

 「心の問題ですから」との首相発言に、まるで豆鉄砲をくらった靖国のハトたちのように、口をパクパクさせるだけで、二の矢、三の矢を放つことの出来ない、「会社員ジャーナリスト」たち。

 「心」の問題こそ、「冥界時事解説者」たる記者(天野)の得意分野。
 記者団の一瞬の沈黙の隙を突いて、早速、「交霊インタビュー」による「独占会見」に入った。

 JA(農協と間違われそうだけど、記者のイニシャルです)時間がないから端的に聞くけど、どういう「心の問題」なんだ? 

 JK(首相のイニシャル)死んだ英霊たちと同じ心境だよ。

 JA 英霊たちと同じだと?

 JK そう、特攻だ。ここで俺は散る!

 JA キサマ、それは本心か?

 JK お前、「心の専門家」だろ? わからないのか? おれの気持ちが……。いま「特攻」だといったろうが。お前、臨床心理士の資格ぐらい、持ってるんだろう。持っているなら、おれの気持ち、わかるよな。

 JA おれは「恐山カウンセラー」の正規会員でしかないけど、わかるぜ。そうか、キサマ、そこまで考えていたのか……。「自民党」に続いてついに「靖国」までも……

 JK ああ、「ぶっこわす」。靖国をぶっこわす。きょうは、時限爆弾を仕掛けるようなつもりで参拝しに来たんだ。

 JA キ、キサマ、どうしてそこまで?……

 JK おれが特攻隊にこだわっていることは知っているだろう? おれはね、特攻隊をはじめとする英霊たちにすまないと思っている。当時の権力者どもは負け戦とわかっていながら、戦地へ若者を送りだした。特攻で散れと言った。そう命令したやつらが終戦後、一変して鬼畜米英と手を握った。おれのあとに首相になりそうなアイツの爺さんなんか、そんな輩の代表選手じゃないか。こんな戦後をつくってしまって申し訳ない――そういう気持ちで、おれは「お国のために」――その一心で、靖国に参拝したんだ。お国のために本殿に突っ込んだんだ。

 JA キサマの気持ちはわかった。でも、それがどうして「お国のために靖国をぶっこわす」ことになるんだ?

 JK 「政治問題化」を狙ったんだよ。とくに「国内」で「靖国」を政治問題化したかった。「靖国」はこれまで、国際問題にはなっても、日本の問題にはなってこなかった。それをおれは今日、「靖国」に「特攻参拝」することで、「靖国」を「日本の政治の爆弾」にしたんだ。おれのあとを継ぐ、これからの日本の政治指導者は、もう「靖国」を避けて通れない。おれみたいに正々堂々と「靖国」に公式参拝するのかどうかが必ず問われるようになる。A級戦犯の合祀問題も、決着をつけるべき問題として、ことあるごとに必ず浮上する。もう、わかってくれるよな。おれはね、「靖国」をぶっこわし、「靖国」に巣食う「戦後民主主義に反対する抵抗勢力」を一掃する露払いの気持ちで参拝したんだよ。そうすることが、「お国のために」ほんとうになることなんだ。みてろよ、おれがしかけた「時限爆弾」はいまに必ず弾けるから……

 JA キサマの考えはよくわかった。後世に残るべき、大事な「歴史的インタビュー」として、もうひとつだけ、端的に聞くぞ。キサマ、昭和天皇のあの「発言メモ」のこと、どう思っているんだ?

 JK あれは、おれが指示してマスコミに流した。「朝日」や「毎日」が書くと「色」がつくから、「日経」にね。質問への答えは、これで十分だろう?

 JA そうだったのか……。しかしあの「発言メモ」が出ても、「靖国」はA級戦犯分祀をかたくなに拒んだ……。

 JK 昭和天皇は「だから参拝しない」と言ったが、おれの場合は逆で、だから「靖国」に参拝してやったんだ。でも、おれの思いは、「靖国」に背を向けた昭和天皇と同じだよ。

 JA するとキサマ、さっき会見で「特定の人のために参拝したのではない」と言ったのは嘘だったんだな?

 JK ああ、半分は嘘になる。おれはA級戦犯以外のすべての英霊たちのために参拝すると同時に、昭和天皇にだけは「こんな戦後に、こんな靖国にしてしまって申し訳ない」と心のなかで謝罪したかったんだ。つまり、おれは昭和天皇という「特定の人」に語りかけようとした。でも、その昭和天皇は「靖国」に、いらっしゃらなかった。おれはそう、はっきり感じ取ったんだ。おれにははっきりわかった。おれの心は、おれのこの声は、陛下には届かなかった……。陛下はそこにいなかったのだから。

 JA 「靖国」に昭和天皇の「英霊」はいなかった?!

 JK 「戦死」もされず、「合祀」も希望されなかった方だから当然といえば当然だが、おれは靖国のあの本殿で、昭和天皇の霊を感じることはなかった。

 JA 天皇の霊さえ不在の靖国??…………

 JK ああ、靖国にはもしかしたら、実は「英霊」たちもいないかも知れない。どうもそんな感じがしてならない。お前さん、冥界時事解説者として自由にあの世に行き来できるなら、境内に「英霊」たちがいるかどうか、自分の目で確かめてみろよ……

 以上、「一問一答」で再現した記者(天野)と首相とのやりとりに要した時間は、実は0.5秒ほど。このグーグル並みの「瞬間問答」に、わが「交霊インタビュー」のもの凄さがあるのだが、JFが「自分の目で確かめてみろよ」と言った瞬間、記者団の幹事社記者が質問を再開したことから、「独占会見」はここで打ち止めとなってしまった。
 たった0.5秒の首相会見ではあったが、記者(天野)が引き出した回答は「歴史的な証言」として日本史に残るものとなるだろう。

 会見を終えた記者(天野)はJKの指示に応えるべく、「英霊」がまとまって「待機」しているはずの靖国神社本殿へと向かった。なるべく多くの「英霊」と「交霊インタビュー」を行い、戦没者の「靖国」に対する「本音」を聞き取るためだった。

 記者(天野)が「靖国」の本殿で「突撃インタビュー」を試みるのは、これが初めて。

 で、そこで記者が見たもの……それは、戦後日本のタブーともいうべき、にわかには信じがたい事実だった。
 さきほど小泉首相が訪れた靖国の本殿には、ななんと、あれがあれしていたのである!!

 それは熊野山中で山篭りし、恐山で修行を積んで何事にも動じなくなっていたはずの記者(天野)の理解を超える、とんでもない事実だった。

 その驚愕の真実とは何か?

 「靖国」の本殿のどこにも、「英霊」の姿はなかったのだ!!
 そのどこにも、「英霊」たちはいなかった!!

 姿も魂も。
 誰ひとりとして。

 あの「合祀」されたはずの、A級戦犯たちの「姿」もなかった!

 そこにあったのは、古びた「合祀者名簿」だけ。
 「英霊」の魂は、本殿のどこにも存在しなかった!!

 霊界の存在を信じ、そのご利益で「交霊インタビュー」の技を実演した記者自身が、驚きのあまり、もはやあきれて口から泡を吹くしかない、衝撃の新事実!!

 えっ、ウソーォ、「英霊のいない靖国神社」だとぉー??
 えっ、靖国神社の英霊物語って、ほんとは壮大なフィクションに過ぎなかったのぉー?

 まるで夢遊病者のように本殿から駆け出した記者(天野)の目の前に、またも驚愕の新事実が現れた。

 本殿にいなかった「英霊」たちが、「外にはいた」のである。
 「英霊」たちはいた! 境内に!

 英霊たちは、靖国の境内にはいたのである!

 あっちにも、こっちにも。
 よくよく近寄ってみると、「英霊」たちはそれぞれの「遺族」に寄り添い、親しく話し合っている。
 「会社員記者」さんたちにはわからないが、霊界修行を積んだわたし(天野)には、ちゃんと聴こえるし、見えるのだ。

 「英霊」たちが「遺族」を「二重」に見ていることも、わたしにはよくわかった。
 戦死した当時の「娘」はいまの娘のままであり、同時に「61年プラス・アルファー」の「年相応」の娘であるのだ。

 「おまえも年をとったね。苦労が白髪になってるね」
 「おまえが戦後がんばって生きてくれたから、わたしも英霊として長生きすることができた」

 そんな声があちこちから聞こえてくる。

 なかには偶然、靖国の境内で再会した戦友同士もいて、感涙にむせび泣いている。

 「おたがい、ずいぶんふけたな」
 「靖国で会おうって約束、ようやく実現したな」

 などと言いながら。

 「英霊」の代表に会って単独インタビューを試みようと、境内でそれらしき人を捜していると、皇居の方から、「日本英霊の会・事務局員」のリボンをつけた男がやって来た。

 さっそくつかまえ、「交霊インタビュー」すると、こんな答えが返って来た。

 「さっき、お堀端で、お盆でお帰りになった昭和天皇と立ち話したんだけど、A級戦犯を合祀した靖国には“死んでも行かない”っておっしゃっていたよ。いや、ブラックユーモアじゃなくて、真顔でおっしゃっていた」

 「靖国をどう思うかって? わたしらはあの神社の持ち物じゃないし、靖国の会員になった覚えもない。自分で入会手続きもしていないのに、なんで会員になっちゃうの? わたしらはあくまで、『日本英霊の会』の登録メンバー。こんど登録カードをつくり直すんだけど、誤解のないように、『当会と靖国神社は関係ありません』ってただし書きを入れることになった」

 「何? A級戦犯? わたしら英霊の会はね、南方で餓死したり、アメちゃんに火炎放射で焼き殺されたり、要するに『戦死』した兵隊の会だよ。つまり、戦争に行かされた兵隊の会で、行かせたお偉方は入会お断りさ。でも、A級戦犯の連中は、とにかく責任を取ったよな。だから、英霊の会としては準会員として仲間に入れているよ」

 「問題は責任を取りもせず、戦後、のうのうと生き残った権力者どもだ。そういうやつに限って、靖国がどうの、愛国心がどうのとほざきやがる。わたしは実はニューギニアで飢え死にしたけど、遺骨は現地に残したままだ。政府は遺骨収集にも来てくれない。何が靖国の英霊に感謝を、だ。アジアの各地に散らばっている遺骨を収集してから、感謝しなよ」

 インタビューの最後に、出身はどこかと聞くと、男は「会津の出」だと言った。
 記者(天野)が青森県の下北から取材に来たというと、「お前も会津か?」と聞き返して来た。

 下北(斗南)は、戊辰戦争に敗れた会津藩が移封された僻地である。

 会津藩士の流れを汲むという、その「英霊の会」事務局員は、靖国の本殿に目を向けながら、こうぼやいた。

 「お盆のいまごろになると、戊辰戦争で死んだご先祖さまが夢枕に出て来て、官軍ばかりまつり、うちら賊軍をまつらない靖国なんかに足を運ぶなって叱られるんですよ。この靖国におかげで、わたしら、苦労をかけられっぱなし。靖国がフツーの神社にならないうちは、この国はいつまでたってもフツーの国になれませんよ」

 男との会見を終え、境内を一巡りすると、取材陣の姿は忽然と消えていた。
 雨はいつの間にか上がり、境内のいたるところで、「遺族」と「英霊」たちが心を寄せ合っている。

 本殿の入り口に垂れ下がった左右一対の菊の御紋章が入った白い幕。
 その下に覗く、本殿の暗い空間が、まるで歴史の闇のようだ。

 そのほの暗い「靖国」本殿の空間には、いま記者(天野)が一瞬のワープ飛行で帰り着いた恐山山頂にあるような、やさしい霊たちが集う、にぎやかなざわめきはどこにもなかった。
                                                    
                     (完)

 (大沼・注)

 例により、目が点になりそうな、わけのわからない天野氏の記事だが、小泉首相との「交霊インタビュー」等、特ダネ満載の記事であることから、本ブログに全文をそのまま再録した。

 なお、本記事が、2006年「日本新聞協会賞」の「ノン・ノンフィクション部門」にノミネートされたことを、読者諸氏にご報告申し上げる。
             
  

Posted by 大沼安史 at 02:52 午後 | | トラックバック (1)

〔NEWS〕 レバノン侵攻 「旧ユーゴ戦犯法廷の判決を読みなさい」 イスラエルの「アラブ法律センター」が新聞に意見広告 法務大臣の注意を喚起 

 「レバノン侵攻」に関するネット・メディアの「エレクトリック・レバノン」は、イスラエル国内で活動する人権擁護団体。「アダラ」(「イスラエル国内におけるアラブ人少数派の人権のための法律センター」)が8月13日、イスラエル紙「ハーレツ」に掲載した意見広告を再掲した。

 「アダラ」がイスラエル政府の法務大臣あてに出した、意見広告形式の「公開状」。
 
 旧ユーゴスラビアの戦犯を裁いた「旧ユーゴ国際裁判所(ICTY)」で、「緊急の軍事的必要性」の下、民間人を殺害し、村や家を破壊した高位の司令官や政治家が「有罪」となり、15年から45年の禁固刑を言い渡された事実に注意を向けるよう求め、ICTYの判決文の一節を引用して、イスラエル軍がレバノン侵攻を非難している。

 引用された判決文の最初のセンテンスは以下の通り。

 「国際的な人道法を無視し、異なる人々に対する憎悪の中で行われた戦争行為、瓦礫と化した村々、放火され破壊された家々と家畜小屋、自分たちの家を放棄するよう強いられた人々、失われ、破壊された生活は、容認できないものである」

(大沼・注)

 たしかに「アダラ」の言う通りである。判決文はボスニアだけでなく、レバノンにも共通する。

「停戦」だけでなく「戦争犯罪」の追及も行われてしかるべきだ。

 

http://electronicintifada.net/v2/article5520.shtml

http://www.adalah.org/eng/index.php

Posted by 大沼安史 at 08:57 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-15

〔いんさいど世界〕 デジタル・アートの祭典 「ゼロ・ワン サンノゼ」 開かれる 

 デジタル・ワールドのメッカ、「シリコンバレー」の中心都市、米カリフォルニア州サンノゼで、8月7日から13日までの1週間、「ゼロ・ワン サンノゼ」というデジタル・アートの祭典が開かれました。
 時代の最先端を切り開く、さまざまな見世物・出し物・仕掛けが世界中から勢ぞろいし、デジタル文化の次なる可能性をリアルに示してくれました。
 
 それがどれほどのものだったか、「ゼロ・ワン」のサイトで知ったさまざまな「驚き」を紹介しましょう。

 まず、祭典の場となった「シリコンバレーの首都」サンノゼですが、人口94万5千人、全米第10位の都市です。サンフランシスコの南にある、ハイテク産業の拠点で、シリコンバーの中心都市であるばかりか、「デジタル世界の首都」といってもいいようなところです。
 花の都がパリ、杜の都が仙台であるなら、デジタルの都はサンノゼである、というわけです(自分でこう書きながら、なんだかよくわからなくなってます……。ちなみに筆者は仙台生まれ!)

 で、この「ゼロ・ワン サンノゼ」(なんでゼロ・ワンかというと、コンピューターは0と1の組み合わせで計算するからですね。くわしくはわかりませんが……)、1997年に始まった、シリコンバレーにおける「地域文化計画」づくりのなかから出て来たアイデアだそうです。
 その流れのなかで2003年に、サンノゼ市役所など関係8機関からなる「サンノゼ8」が結成され、それが核になって、今回の主催団体のNPO、「ゼロ・ワン アートとテクノロジーのネットワーク」が生まれました。

 8日7日、「仙台七夕」(6・7・8日)の中日に始まった、ことし、2006年の「ゼロ・ワン」は、その旗揚げというか、こけら落としというか、とにかく記念すべき、第1回の「ゼロ・ワン」でした。
 全世界から応募があった1800のプロジェクトのなかから選ばれた130のプロジェクトが、サンノゼのダウンタウンをステージにし、展示・即演されました。

 そこでどんな「仕掛け」が登場したか?――というと、われわれ日本人がイメージしやすいものとしては、「KARAOKE アイス・トラック」ですね。

 その名の通り、「動くカラオケ屋さん」。ボックス型のトラックの内部を改装、荷台をステージにしてカラオケを楽しんでもらう趣向。曲を無線通信カラオケでゲットするところが、どうも時代の最先端を行く部分(?)のようです。

 サンノゼの地元紙、「マーキュリー・ニューズ」紙のサイトで「スライド」が「上映」されていますが、夜のパーキング場のようなところに駐車して、即席カラオケー・パーテーィーをしている現場写真を見ることができます。
 熱唱者に無料でプレゼントされる「アイス」の写真も映っていました。コーンのアイスかと思っていたら、スティックのアイスキャンディーでした。

 デジタル文化の祭典にしては、ややダサイ感じも否めませんが、変わったところでは、こういうのも展示・即演されたそうです。

 その名を「Laughing bicycle」、つまり「笑う自転車」。
 自転車の後ろの荷台のところにオーディオ装置がついていて、これを走らせると、「笑い声」が響き渡るというんです。
 自転車を漕いで、サンノゼの街角に笑いを。
 こういうのをきっと、デジタル文化時代における「笑う角から福が来る」っていうのでしょうね!(お粗末!)

 ますますダサくなって来たようですが、もちろん、こういうものだけじゃありません。「なかなかヤルジャン!」クラスもけっこうあります。

 ぼくが感心したのは、「ロケイティブ・メディア(locative media)」(日本語にするなら、「場所メディア」とか「ロケーション・メディア」というと、わかりやすいかも知れません。いや、「ナビ・メデイア」というと、もっと理解しやすいかも……)。

 具体的にいうと、あなたがいまサンノゼの街のある場所を歩いているとします。そのからケータイで指定された番号にかけると、その場所(仙台で言えば北六番町――もちろん、ぼくが育ったところです)にちなむ歴史とかインフォメーションを聴くことができる。
 つまり、ナビに使われている「GPS」(グロバル・ポジショニング・システム)を活用し、「その場でその場の情報をゲットできる」システムが構築されたわけですね。

 これだけだと、「ヘェー」度が1つか2つでしょうが、サンノゼ市街を走る「市電」(路面交通システム)に乗ってこの「ナビ・メディア」につなぐと、ニューヨークの作家によるオリジナルな「ロマンチックな物語」を聴くことができるのだそうです。
 より具体的には、市電に乗ったあなたの乗車ポイント、路線などをコンピューターが解析し、車窓に現れる街の風物(たとえばマックの店)を採り入れた、オリジナル・ラブストーリーの「部分」がケータイから聴こえてくる。
 そのストーリーも、乗車ポイントや行き先でさまざまなバリエーションがあり、話の筋の多彩な変化を楽しむことができる仕組みになってそうですが、長く聴けば長く聴くほど、話の中身がエロチックになっていくのだそうです。
 どうでしょう? これだと、「へぇー」「へぇー」「へぇー」、つまり「3へぇー」ぐらいにはなりますか?

 同じような趣向のものでは、英国のデジタル・アーチスト2人組による「街のサウンドトラック」プロジェクトというのも、けっこう面白かったです。

 仕掛けは実にかんたん、祭典期間中、サンノゼの街で出遭った人がヘッドフォンで聴いている音楽を、その場でマイクロフォンで拾い、インターネットのサイトにマッピイングしながら、どんどん載せていくってものです。
 そのサイトにつなげば、サンノゼの街角でどんな音楽が聴かれているか、一目(耳?)瞭然でわかってしまう。
 こんなふうにして拾った曲はもちろんポップス中心ですが、なかにはベートベンのピアノ曲もありました。13歳の少女が聴いていたのですね。

 さて、ここらでいよいよ「真打ち」の登場ですが、ことしの第1回「ゼロ・ワン」で最も話題になったのは、ハトたちによる“環境コラボレーション”(これはぼくの勝手な造語ですが……)だったそうです。
 
 これってカリフォルニア州立大学アーヴァイン校大学院のベアトリズ・ダ・コスタ助教授が実演してみせたもので、ハトたち専用の超小型ケータイ(セル・フォーン)を開発、それを、これまた専用の超ミニ・バックパックに入れてハトたちに背負わせ、祭典期間中、2度にわたり、サンノゼの空に飛ばしたのですね。
 ハトたちが背中に積んだケータイはナビつき(GSP機能つき)、しかも、待機中の窒素酸化物を感知し、データを刻々と空から送信できる優れもの。
 ハトたちが発信した情報は、自動的に専用の「ブログ」に掲載され、それによってサンノゼの市民が自分たちの空のよごれ具合を知ることができる――そんなシステムが公開されました。
 
 史上初めて、ハトが“書き込んだ”そのブログを見ると、プロジェクトに参加した10数羽のハトはそれぞれ名前がついていて、その誰それがいついつどこどこの場所で、これだけの数値を感知したか、(祭典が終わった今も、ブログは維持されているので)読み取ることができます。

 ハトにケータイ。なかなか意外な組み合わせでしたね。

 「ゼロ・ワン」には、日本人のアーチストも参加して注目を集めていました。

 アキラ・ハセガワさんという方は、「デジタル・カケジク(掛け軸)」というものを出品していました。日没の空が変化していくさまを“描き”出したもので、俳句の行間、音と音の間、時と時の間という、3つの「間」を、その「瞬間」において経験するものなのだそうです。

 そして「ゼロ・ワン」のオープニングを飾ったのは、日本が世界に誇る「デジタル・ミュージシャン」、池田亮司さんの2つの作品。
 
 サイン波などを駆使した独特な映像とサウンドが、「ゼロ・ワン」の幕開けにふさわしいインパクトを、参加者たちに与えたようです。

 次回の「ゼロ・ワン」は、2年後の2008年。

 こういうところに日本の修学旅行生を連れていったら、喜ばれるのにな!


http://01sj.org/component/option,com_frontpage/Itemid,56/

Posted by 大沼安史 at 02:00 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イスラエル 平和運動の作家、グロスマン氏の愛息 レバノンで戦死

 英紙タイムズ(電子版、8月15日付け)が報じたところによると、イスラエルの平和運動家で作家のディビッド・グロスマン氏(52歳)の愛息、ユリ・グロスマン2等軍曹(20歳)が8月12日深夜、レバノンのタイベの近くで戦死した。
 乗っていた戦車にヒズボラのミサイルが当たった。
 グロスマン氏はアモス・オズ氏ら作家2人とともにレバノン地上侵攻の拡大に対し、反対を表明したばかり。


http://www.timesonline.co.uk/article/0,,3-2312172,00.html

Posted by 大沼安史 at 09:02 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-14

〔いんさいど世界〕 レバノン「停戦」 「ほんとうの戦争はいま始まった」 ゲリラ戦争 イスラエル軍敗北の公算 ロバート・フィスク記者が予測

 国連の「レバノン停戦」で戦闘は終結しない。「停戦」とともに実は「ほんとうの戦争が始まったのだ」――中東問題の権威ともいえるベイルート駐在のジャーナリスト、ロバート・フィスク記者が英紙インディペンデント(電子版、8月14日付け)が言明した。

 戦争は終わるのでなく、これから始まる、いや始まっている。イスラエル軍はいまや、「その歴史において、もっとも苛烈なゲリラ戦争に直面している」――これが、世界が最も信頼するフィスク記者の見立てである。

  そして、その「ほんとうの戦争」はおそらく、イスラエルの敗北で終わる、と。

 「前日」の1日だけで――と、フィスク記者は記している――少なくとも39人、恐らくは43人ものイスラエル兵がヒズボラの反撃で殺された。
 そしてヒズボラはイスラエル領内に「ミサイル」をなお撃ち続けている。 
 それが現実である。

 イスラエル軍当局は「クリーニング」とか「モップがけ」といった言葉でレバノン南部を掃討するといっているが、実際に「モップがけ」しているのはヒズボラの方。
 たとえばヒズボラは12日夜、イスラエルの軍用ヘリを撃墜し、イスラエル軍は救助に向かったが、昨夜(13日夜)現在、現場にたどり着けないでいるではないか。

 
 フィスク記者によれば、ヒズボラの最高指導者、ナスララ師は12日に、こう言ったそうだ。
 
 ヒズボラの戦士はリタニ河の河岸で待ち構えている(さぁ、かかって来い!)
 仕掛けた罠で、過去3時間以内に20人ものイスラエル兵を殺したぞ!

 
 今後の戦況の行方については、フィスク記者に聞くまでもない。

 イスラエルは面子にかけてもレバノンを撤退できないから、地上部隊は南部に踏みとどまる。
 それはヒズボラにとって、願ってもないチャンスの到来。
 「ゲリラ戦争」の幕開けである。

 イスラエルはそれでもなんとかヒズボラの息の根をとめようと、空からの攻撃を激化させるだろう。
 米軍がかつてベトナムで、いまイラクでしているように。

 しかし、地上ではゲリラ戦の勝ち戦(ヒズボラ)と負け戦(イスラエル)が「同時進行」していくだろう。
 その「終末」には、「破局」しか待ち受けていないのか?……

 フィスク記者は記事の最後を、こんな一文で締めくくっている。

 「悲劇的なことに、そしてあらゆる当事者にとって致命的なことに、ほんとうのレバノン戦争は、きょうこの日、まさに始まった」


http://news.independent.co.uk/world/fisk/article1219037.ece

Posted by 大沼安史 at 10:05 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「米国は10月にイラン、シリアを同時攻撃する」 パキスタン情報機関前長官が予測

 パキスタン紙、「トリビューン」(電子版、8月9日付け)が報じたところによると、同国の情報機関(ISI)のガル前長官は8月8日、ラワルピンジで、米国は間違いなく10月にイランとシリアを同時攻撃する、と語った。

 ガル長官はまた、イスラエルは間もなく地上戦を停止させられるが、恐るべき空爆はこのまま続行し、レバノンを瓦礫と化すだろうと予測した。

 長官はさらに米国の現行の「戦争シナリオ」について、
 
 ①政治的・戦略的の両ファクターを持っている
 ②レバノンではイスラエルを「使った」が、負けてしまった
 ③イラクでもしもサダム・フセインの将軍らを買収できていなかったなら、もっとひどい状況に直面していただろう

 と語った。

 長官は「イラン・シリア」後について、サウジアラビアが同じ運命をたどる、そしてそれに続くのはパキスタンだと警告した。

 (大沼・注)
 ISIのガル前長官は、ISIのアタ容疑者への送金問題や、9・11の当日、ワシントンにいて米当局者と協議するなど、「テロとの戦い」のさまざまな場面に登場する人物である。

 ガル前長官が「間違いなく(definitely)」と予測する「10月」とはどのような時期か?

 言うまでもなく、米国の中間選挙を間近に控えた、ブッシュ政権にとって極めて重要な時期。

 「悪の枢軸」への同時攻撃はこれまた間違いなく、ブッシュへの「信任票」を掘り起こすだろう。
 
 米国の底流に太く流れはじめた「反戦」「厭戦」ムードを、少なくとも一時的に逆転できるかも知れない。

 その可能性にかけるためには何でもする。これがブッシュ政権の「唯一の選択肢」(?)である。 


http://www.paktribune.com/news/index.shtml?151249

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2006-08-13

〔がんばれ、シンディー!〕 ハンスト(絶食)の「平和の母」、ついに倒れる! 

 ブッシュ大統領の牧場のあるテキサス州クロフォードの地元紙、トリビューン・ヘラルド(本社=ウェイコー、電子版、8月13日付け)が報じたところによると、米国のイラク反戦運動を引っ張る「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんは11日の金曜日の夜、抗議行動に参加するため滞在していたシアトルで倒れ、病院で治療を受けた。
 シンディーさんは病院を出ると、その足でテキサス州ウェイコー空港に飛び、そのまま病院で診察を受けた。
 シンディーさんは13日の日曜日まで入院する見通し。

 (大沼・注)
 彼女がついに倒れた! 7月4日から、水を摂るだけのハンストを続けていた。気力だけで持っていたのかも知れない。
 地元の支援グループによれば、日曜日に抗議運動の拠点である「キャンプ・ケーシー」に顔を出してくれるかもしれないという。
 そしてその後、友人の家で数日間、休養する予定だという。

 生命に別状ないようなのが救いだが、やはり気がかりだ。

 がんばれ、シンディー!
 日本のわれわれも応援してるよ!


http://www.wacotrib.com/news/content/news/stories/2006/08/13/08132006waccampcaseyiii.html

Posted by 大沼安史 at 05:52 午後 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 「英国テロ」を「アルカイダ」に「焦点化」することはあやまり 米国のテロ専門家が警告 NYT紙が報道 「世界をシンプル化」する「精神へのテロリズム」に反対する!

 英国での「テロ計画」をすぐ「アルカイダ」に「焦点化」することは過ちを招く――米国のテロ専門家がそんな警告をしていると、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版、8月13日付け)が報じた。

 今回のテロ計画では、ラシード・ラウフという男がアルカイダとのつながりがある、というパキスタン当局の見方でもって、またもすぐさま、「アルカイダ黒幕」説が流れているが、NYTのスコット・シェーン記者によるこの報道は、そんな「思い込み」に一石を投じるものとして注目される。

 シェーン記者はまず、CIA(中央情報局)の元当局者で、「テロのネットワークを理解する」という本の著者でもあるマルク・S・セイジマン氏の発言を紹介する。

 セイジマン氏はこう言う。
 「もしあなたが、アルカイダが9・11を実行したグループだといまも考えているのだとしたら、それは非常によい疑問だとわたしは思わない。われわれがアフガニスタンに行って壊滅させたあと、かつて存在したようなアルイカイダのようなものはない」

 アメリカはアルカイダを壊滅させた。だから、アルカイダはもう存在しない。なのに、なぜ、アルカイダを持ち出すのだ、との指摘である。

 セイジマン氏はしかし、こうも語る。
 「わたしたちは古い(オールド)アルカイダとの戦いには勝利した。しかし、われわれは、アルカイダもその一部に含まれる、グローバルな社会運動には勝っていない。その運動に、若者たちが次々に参加しているからだ」

 「グローバルな社会運動」を、「アルカイダ」の一言で片付けるな、との警告である。

 シェーン記者は次に、かつてCIAのビンラディン追跡班のリーダーだったマイケル・ショイアー氏の見解を引く。

 ショイアー氏はセイジマン氏が見る以上に、オールド・アルカイダの分子が残っているのではないか、との考えだが、今回の「テロ計画」にビンラディンは関与していないのではないか、という点では一致している。
 ショイアー氏もまた、「アルカイダ」の役割は、より広汎な運動への「鼓舞(インピレーション)」と「(精神的な)支援(サポート)」にとどまっていると見るわけだ。

 ではなぜ、米政府は(あるいは英政府は)、なにかと「アルカイダ」の名を持ち出すのか?

 米連邦政府軍事アカデミー(米軍大学校)の「反テロセンター」に所属するブライアン・フィッシュマン氏は、こう指摘する。

 「敵がひとつしかないとき、世界はよりシンプルだから」

 
 国際的なジハード(聖戦)運動には「中央機関」は何もない、という事実を、ワシントンが認めたがらないのは、そういう事情があるからだ。

                                    ◇

 ――以上が、シェーン記者による記事の要点だが、まさにその通り、同感である。
 
 問題はアフガンだかパキスタンだかの山奥に潜んでいるらしい「アルカイダ」ではなく、「社会運動」となって生起している、それぞれの生きる場で「自己ラジカル化」した、地球規模の広汎な動きである。

 パキスタンの当局者に「こんどもアルカイダです」と言わせ、「英国テロ計画」に「9・11」の記憶を摺り込んで、「テロとの戦い」に動員し、イラク侵略を糊塗しようとする動きに、日本のわれわれもまた警戒心を強めなければならない。

 「世界」を「わかりやすさ」の中に縮減し、敵意=戦意を煽ろうとする「精神に対するテロリズム=プロパガンダ」に屈してはならない。

 その意味で、世界のわれわれに冷静な判断を求めた今回のNYTのシェーン記者の記事は、評価に価しよう。

 このような記事が早速、載ったということは、ブッシュ政権にさんざんお先棒を担がせられてきたNYT紙に、ようやく「正気のジャーナリズム」が帰って来た、ということかも知れない。 
 

http://www.nytimes.com/2006/08/13/world/europe/13links.html?_r=1&oref=slogin

Posted by 大沼安史 at 05:06 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 ブッシュ大統領 ヒズボラと「爆破計画」を結びつけるラジオ演説 英BBCが報道

 英BBC放送は8月12日、ブッシュ米大統領が同日朝(現地時間)、定例の全米向けラジオ放送での演説にふれ、同大統領は英国でのテロ計画が「テロリストたちがなお。わたしたちの民衆を殺害しようと攻撃を考えていることを思い出させるものだ」と語った、と報じた。
 
 大統領はまた「彼ら(テロリスト)はイラクやアフガニスタンで一般人や米国の軍人を殺し、レバノンでは民間人のかげにわざと隠れている。彼らはその全体主義のイデオロギーを広げようと企てている」と語った。

 
(大沼・注)
 ヒズボラもテロリスト。英国でテロ計画を練っていたのもテロリスト。
 だから、ヒズボラは英国でのテロ計画と関係がある。

 なんとすばらしい3段論法。

 BBCはその電子版でのこのニュースに「ブッシュ、ヒズボラと‘テロ計画’を結びつける」との見出しをつけた。
  


http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/4787207.stm

http://www.whitehouse.gov/news/releases/2006/08/20060812.html

Posted by 大沼安史 at 03:49 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イスラエル レバノンに3万人の兵力を投入 第4次中東戦争以来、最大規模の侵攻

 英紙インディペンデント(電子版、8月13日付け)は、国連による停戦への動きの中で、イスラエル軍がレバノン内で、空と陸からの攻撃を拡大中、と報じた。
 投入兵力3万人は、1973年の第4次中東戦争以来の大掛かりなもの。
 同紙によると、イスラエル軍は12日、レバノン南部のラシャフ村をミサイルで攻撃、15人が死亡した。
 この日はまた、シドン、タイル(ティエール)の発電所を空爆。シリアとむすぶ、これまで唯一確保されていた人道援助物資供給ルートのアリダ国境検問所に対しても爆弾を投下した。
 

http://news.independent.co.uk/world/middle_east/article1218886.ece

Posted by 大沼安史 at 03:24 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 独作家 ギュンター・グラス氏 ナチスの武装SS所属を告白 9月に回想録を刊行 78歳 「明らかにしなければならぬことだった」

 「ブリキの太鼓」で知られるドイツの作家、ギュンター・グラス氏が、独紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」(電子版、8月12日付け)で、戦時中、ナチスの武装SS(親衛隊)に属していたことを告白した。
 17歳でダンチヒの両親宅の息苦しさを嫌って軍に志願したギュンター少年は、Uボートに乗りたかったが果たせず、ドレスデンの武装SSに回されたという。
 戦後61年の沈黙を破って告白したノーベル賞作家は、「明らかにしなければならないことだった(エス・ムステ・ラウス)」と語った。
 9月に刊行する「たまねぎの皮に」と題する回想録で当時を詳しく語るという。

(大沼・付記)
 そろそろ読んでみようと、「ブリキの太鼓」を机の横に出していたところへ、このニュース。
 驚くと同時に、グラス氏に対する尊敬の念がますます深まった。
 「小市民性への反発がナチスに向かっていく」時代状況をすごしたギュンター少年が、戦後、いかにして作家になりえたか?
 「たまねぎの皮に」の刊行が待たれる。 


http://www.faz.net/IN/INtemplates/faznet/default.asp?tpl=common/zwischenseite.asp&dx1={7C80888E-2077-CFEE-DF79-5647D2201B8D}&rub={71F0F92B-94C2-40AF-8193-D17861D4690E}

Posted by 大沼安史 at 10:15 午前 | | トラックバック (1)

〔いんさいど世界〕 レバノン戦の実相、明らかに 両足切断 イスラエル戦車兵らの証言

 レバノン戦の真実の姿が、負傷したイスラエル軍戦車兵らの証言で明らかになった。

 世界最強といわれるイスラエル軍の「メルカバ」戦車。
 その無敵の装甲をいともかんたんに破る、ヒズボラのロケット弾。
 まるでベトナム戦争を思わせる、神出鬼没のヒズボラのゲリラ戦。

 イスラエルのレバノン侵攻は、ある意味でその作戦名、「正当な報酬」にふさわしい、激しい抵抗に遭っている。

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版、8月12日付け)のハイファ(イスラエル)発特電(グレッグ・マイル記者)は、戦場から送られてくる負傷兵に取材した報告である。

 レバノン国境から30数キロ南にあるラムバン医療基地。
 その軍用病院に「メルカバ」の砲手、オル・バールオン軍曹がヘリで急送されたのは、7月20日のことだった。

 その日、国境から1.6キロほどレバノン領内に入ったマルン・アルロスの町で、イスラエル軍の装甲ブルドーザーがヒズボラの攻撃に遭い、立ち往生した。
 その救出のため、現場に向かったのが、バールオン軍曹らの「メルカバ」戦車だった。

 が、戦車は途中、ロケット弾攻撃を受ける。
 一発のロケット弾が分厚い装甲を貫通、軍曹の両足(膝から下)を切り裂いた。
 
 もともと保健センターだったラムバン医療基地はいまや事実上の野戦病院と化し、バールオン軍曹のような負傷兵が数十人、収容されている。

 マイル記者によれば、そんな負傷兵の誰もが、ヒズボラの重武装とその組織立った戦いぶり、現れては消える神出鬼没ぶりに驚いているようす。
 ヒズボラのゲリラは、地下の壕やトンネルから現れては、対戦車ロケット弾などを発射し、姿を隠してしまうのだという。

 顔面、首、脚部に負傷し、同医療基地で治療を受けている戦車中隊の隊長、ハノック・ダウブ大尉は、8月8日、ヒズボラが「抵抗の都」と呼ぶ要衝、ビント・ジバイルの戦いで悪夢を見た。
 
 負傷して民家に逃げ込み、孤立したイスラエル兵2人の救助に、自ら戦車に乗って出動、2人を助け出すことはできたが、帰路、ヒゾボラの攻撃に遭って、砲弾を受けた。

 「ヒズボラはどこにでもいた。2人か3人のグループで行動していた。民間人の服装。誰がゲリラかわからない。砲火だけが見えた」

 1982年のレバノン侵攻の際、イスラエル軍は首都ベイルートの近く2週間以内に到達した。
 しかし、国境を越えたところで激しい抵抗に遭っている。地上戦が激化した先週だけで45人ものイスラエル兵が戦死した。

 「中東のベトナム」と化したレバノン南部の戦場。
 マイル記者の病院ルポは、その真実の姿を負傷者のベッドサイドから描き出してみせた。

 「イスラエルの戦車砲手、オル・バールオン軍曹にとって、レバノン戦争は結局、90分の戦いに終わった。しかし、その傷は生涯、続く」

  と書き出したマイル記者の記事は、こう結ばれている。

 「そしてバールオン軍曹は、ベッドの上で彼のギターをつまびいてみせた。両足を失ったぐらいで、自分のヘビメタ・バンド、ベンデッタでの演奏活動をやめてなるものか、と言いながら」

 電子版の記事に添えられた軍曹の写真には、Tシャツ姿でギターを構える、「戦前」の彼の大型ポスターが掲げられていた。

 戦争と平和、戦車と音楽。

 読み終わり、悲しく、胸元が苦しくなる余韻が、しばらくの間、続いた。

 

 (大沼・付記)

 記事を読み終えたあと、イスラエル紙の「ハーレツ」(電子版)に、「最後の音が平和の上に響くとき(When the last note sounds on peace)」という記事が載っていたことを思い出し、プリントアウトしていたものを探し出して目を通した。
 ノアム・ベン・ジーブ記者によるその記事(8月10日付け)は、「戦前」のベイルートがいかに「音楽的ルネサンス」を遂げていたか、に関する記事だった。

 シーア派の男とキリスト教徒の女が踊るベイルートのジャズクラブ。性、イデオロギー、宗教の境を超えたベイルートの若者文化。

 記事の冒頭に、アラブの諺が紹介されていた。
 「禁じられたものはすべて意欲されたものである」

 バールオン軍曹がふたたびレバノン南部を訪れ、シーア派の若者と演奏会を開けるような日が来ることを、夢想家で弱虫な平和主義者のわたしとしては、やはり祈らざるを得ない。  


http://www.nytimes.com/2006/08/12/world/middleeast/12soldiers.html

Posted by 大沼安史 at 09:42 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 米国 イスラエルへ「M26ロケット砲弾」を緊急供与へ

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版、8月11日付け)によると、米政府はイスラエルからの要求に応え、「M26ロケット砲弾」を緊急供与する見通しだ。
 同ロケット砲弾は短射程・対人用で、「集束弾薬」から成っており、数百個の手榴弾のようなミニ砲弾をなって拡散、広範囲で爆発の雨を降らすという。
 同紙の取材に対し、当局者(2人)は、イスラエル軍が空爆や砲撃によってもヒズボラのカチューシャ攻撃を壊滅できないため、「M26」の緊急供与を要請して来たことを明らかにした。
 米政府高官(1人)によれば、「M26]は「ほかの兵器とともに」間もなく、イスラエル側に引き渡されるという。


http://www.nytimes.com/2006/08/11/world/middleeast/11military.html

Posted by 大沼安史 at 07:59 午前 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イスラエル 左派主流も反戦デモ

 イスラエル紙「ハーレツ」(電子版、8月11日付け)によると、レバノン侵攻に抗議するイスラエル国内の反戦デモに左派主流も加わって来た。
 数百人が参加した10日のテルアビブのデモには、これまでの極左グループだけでなく、左派政党の「メレツ」や平和団体、「ピース・ナウ」のメンバーが参加した。
 国防省の前での抗議行動では、通りすがりの歩行者やドライバーから、「裏切り者」「お前らの上にミサイルを!」といった罵声が浴びせられた。


http://www.haaretz.com/hasen/spages/749600.html

Posted by 大沼安史 at 07:41 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-12

〔NEWS〕 イスラエルの「臆病」を、米国のネオコンが非難

 レバノン侵攻に本腰を入れようとしないイスラエル政府の「臆病さ」に対し、米国のネオコンが苛立ちを強めている。
 IPS(インター・プレス・サービス)通信のジム・ロウブ記者が8月11日付けの同通信電子版で伝えたところによると、米国のユダヤ紙、「フォーワード」の外交記者、オリ・ニール記者の指摘にあるように、イスラエル政府と国防軍がより攻撃的な戦争を始めていないことに対して、いつになく苛烈な批判が出ている。
 代表的なネオコン論客のひとり、ワシントン・ポスト紙のチャールズ・クラウトハマーは今週初め、「安上がりな勝利を模索していること自体がレバノンでの作戦行動を危機に陥れ、それどころか米国のイスラエルに対する信任をも危機にさらしている」と指摘した。

(大沼・注)
 ベイルートを拠点に報道を続ける英紙インディペンデントのロバート・フィスク記者は、先ごろ、レバノンでイスラエルが勝っていないことを、米国は知らないのか?――と書いていた。

 現地の現実に目を向けようともしないネオコンたちの、勇ましい愚かしさよ!

 

http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=34322

Posted by 大沼安史 at 03:32 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イスラエル軍 リタニ河に向かって進撃

 Yahoo!ニューズが伝えたエルサレム発のロイター電によると、レバノン南部に侵攻したイスラエル軍は8月12日、リタニ河に向かって進撃を始めている。
 進撃は11日夜から始まった。ヒズボラ側の抵抗・反撃情報はいまのところない。


http://news.yahoo.com/s/nm/20060812/wl_nm/mideast_offensive_dc_2

Posted by 大沼安史 at 03:06 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 英テロ計画 「アルカイダ」が関与 容疑者の兄弟1人をパキスタンで逮捕 ガーディアン紙報道 

 英紙ガーディアン(電子版、8月11日付け)は、テロ計画で逮捕された英国内在住24人の容疑者のうちの1人の兄弟(1人)が、英当局による強制捜査以前に、アフガン国境に近いパキスタン国内で逮捕されていた、と報じた。

 パキスタン当局に逮捕されていたのは、ラシッド・ラウフ容疑者。

 パキスタンのシェルパオ内相が11日夜、同紙に明らかにしたもので、ラウフ容疑者はアルカイダとつながりがあるという。

 シェルパオ内相は、「われわれは彼を(アフガン)国境地帯で逮捕。その供述をもとにわれわれは栄当局と情報を共有し、それが英国での一連の逮捕につながった」と語った。

 一方、英国の情報当局者(複数)によれば、最初の「警報」は1年以上前、英国在住の、ひとりの情報提供者(インフォーマント)からあった。その情報提供者は英国内のイスラム信者のコミュニティー出身者と見られている。
 その「警報」と、ラウフ容疑者の逮捕、さらにはパキスタン国内から英国への通信の傍受)が、一連の逮捕に結びついたという。

 また同紙によると、英国内での家宅捜査で「殉教者テープ」などが発見されていたことも、10日時点で明らかになった。
 さらに11日には、ロンドンの東部で逮捕された容疑者のうちの少なくとも1人が、米国がアルカイダのリクルート機関とみている、タビジル・ジャマートの運営する「イスラム・キャンプ」に定期的に参加していたことがわかった。
 英国の反テロ当局者(複数)によれば、逮捕者のうちの数人が2ヵ月前にパキスタン入りしていたとされる。

 (英夕刊紙の報道では、容疑者の1人が米国行きの航空券を持っていたとされるが)ガーディアン紙のこの記事では、容疑者は誰ひとりとして航空券を買っておらず、テロがほんとうに行われる予定だったかはっきりしていない、という反テロ当局者(複数)の見方を紹介している。

 同紙がつかんだところによると、容疑者らが航空機爆破に使おうとした液体化合物は、「TATPをベースにしたPEROXIDE(過酸化物)」だった。

(大沼・注)

 昨年の「7・7」地下鉄テロ事件とは大違いの、ものの見事な「事前摘発」。

 「テロとの戦い」をすべての「正当化根拠」とする英米当局にとっては、これは「すばらしい戦果」である。

 だから言っただろう、テロを根絶しなくちゃならないって……

 胸を張って、そう言える(?)格好の「未遂事件」が、ポンと目の前に現れたのだから。

 イラクで行き詰まり、アフガンで苦戦し、こんどはイスラエルに肩入れして、米英に対する国際的な非難が高まっている、絶好のタイミングで。

 「英テロ未遂事件」の行方を、本ブログでも追いかけることにしよう。

 使用する「テキスト」は、ぼくの信頼する「ガーディアン」と「インディペント」に限定していきたい。 

http://www.guardian.co.uk/terrorism/story/0,,1843057,00.html

Posted by 大沼安史 at 08:31 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-11

〔For the Record〕 米軍中将 「われわれはバグダッドを奪還しなければならない」

 米軍によるサドル師率いるシーア派グループに対する攻撃開始を伝える米紙ワシントン・タイムズ(電子版、8月10日付け)記事を読んでいて、ちょっと驚いた。
 米軍のチアレリ中将が8日のABC放送の番組で、こう言ったというのだ。
 
 「これは今回の攻撃における決定的な戦闘である。われわれはバグダッドを奪還しなければならない」

   Lt. Gen. Peter Chiarelli told ABC News on Tuesday: "This is the defining battle of this particular campaign. We've got to take back Baghdad."

 率直な発言である。
 バグダッドは、その時点ですでに、米軍の支配下にはなかった!

 中心部の「グリーンゾーン」と米軍基地を除いたバグダッドは、武装抵抗勢力の支配下にある!

 これは、その事実をみとめた米軍当局者による貴重な証言である。


http://www.washingtontimes.com/functions/print.php?StoryID=20060809-111550-7756r

Posted by 大沼安史 at 02:56 午後 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 イスラエル空軍 「パイロットの良心」ここに 民間人空爆を回避 「誤爆」して人命を救う

 イスラエル軍機の一部のパイロットが攻撃命令に背き、「目標」をわざと外して、レバノンの民間人の命を救っていることが、英紙オブザーバー(ガーディアン日曜版、電子版、8月6日付け)の報道で明らかになった。

 罪もない人々の殺傷を回避しようとする、そのヒューマンな決断、良心的な行為に、世界的な共感の輪が広がっている。

 イスラエルのハツゾール空軍基地発のイニゴ・ギルモア記者の特電によると、少なくとも2人の戦闘機パイロットが故意に「民間目標」への攻撃を外しているという。
 ヒズボラの「施設」は、実は民間人の生活の場であり、命令通り攻撃すれば、婦女子を含む非戦闘員を殺戮してしまうことになるからだ。

 ギルモア記者のレポートによると、イスラエル軍のF16戦闘機パイロットらがレバノンの民間人攻撃を回避している事実は、イスラエル空軍ヘリの元パイロットで、2004年に兵役を拒否して予備役から外されたヨナタン・シャピロ氏に対し、戦闘機パイロットが明らかにした。

 あるパイロットはシャピロ氏に、こう告白した。

 「丘の上の民家を攻撃するよう命じられた。そこからヒズボラがカチューシャ・ロケット弾を撃っている、とのことだった。しかし、その民家には民間人がいるかも知れないと不安になった。それで民家を外し、その近くを攻撃した」

 シャピロ氏によれば、イスラエル軍の「戦闘規定」には、民間人の殺傷を回避するあらゆる努力が払われなければならない、との規定があり、それが目標外しを正当化する根拠にもなっているという。

 表面化したのはまだまだ一握りの数に過ぎないが、イスラエル軍機のパイロットがこうした行動に出ている背景には、軍の情報集力の弱さ(に対する軍関係者の認識)がある。
 イスラエル紙「ハーレツ」の先任エディターで軍事問題の分析家であるメロン・ラポポート氏は、ギルモア記者に対し、「情報不足になり、状況証拠に頼ることがしばしばある」と語っているが、それは7月30日の「カナの大虐殺」によって証拠立てられている。

 オブザーバー紙の報道のあと、8月9日、米国の放送局、「デモクラシー・ナウ」の番組に電話出演したシャピロ氏は、命令に背いて目標をわざと外しているパイロットの数を「数人」と証言している。

 そのシャピロ氏の弟はレバノンでの軍務を拒否して、いま獄中生活をしており、今回のレバノン侵攻をめぐるイスラエル軍兵士の「良心的兵役拒否者」は、ほかに4人を数えるという。

 操縦席でのたったひとりの孤独な決断で、民間人を救っているイスラエル軍機のパイロット。
 レバノン侵攻に大義はないとして、兵役を拒否し、抗議を続けるイルラエルの若者。

 イスラエルに平和な未来が訪れるとすれば、それはきっと、こうしたささやかな行為が芽を吹き、実を結ぶときだ。 
 

http://observer.guardian.co.uk/world/story/0,,1838437,00.html

Posted by 大沼安史 at 02:31 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イスラエル戦車部隊 撃退さる 「メトゥラ丘陵」制圧ならず

 英紙ガーディアン(電子版、8月10日付け)によると、イスラエル軍はビント・ジベイルなどを含む戦略的な要衝である「メトゥラ丘陵」の攻撃に失敗し、10日朝、数十両の戦車が国境のマルジャヨーン村に撤収した。
 撤退の間もヒゾボラによる反撃は続き、村から400メートル以内の至近でイスラエル戦車1両が対戦車ミサイルを被弾し、炎に包まれた。戦車の隊員は脱出し、友軍に救われた。
 同村の住民は同紙の電話取材に対し、「村から500メートルのところで戦車2両が炎上した」と目撃談を語っている。
 イスラエル軍は同丘陵の東麓に取り付き、攻撃を続けていた。
 9日夜から10日未明にかけ、激しい戦闘が続き、夜空を焦がした。

 一方、11日付けの同紙報道によると、イスラエル側から今月5日、レバノン南部に入った同紙記者は「イスラエルの戦果は見当たらず、失敗の証拠を見るのみ」とレポートしている。

 (大沼・注)
 イスラエル軍の敗色は濃厚だ。
 米国が「停戦」に乗り出すのは。負け戦がはっきりしだしたから。

 焼け焦げた戦車、走行不能に陥り放置された戦車。
 それが何よりの証拠である。 
 


http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,1841639,00.html

http://www.guardian.co.uk/guardianweekly/story/0,,1840573,00.html

Posted by 大沼安史 at 01:23 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 驚きたじろぐイスラエル軍 ヒズボラ、地下40㍍に空調バンカー(壕) 新式の対戦車ミサイルも装備

 英紙ガーディアン(電子版、8月11日付け)が報じたところによると、レバノン南部に侵攻したイスラエル軍がヒズボラの装備、陣容に驚き、たじろいでいる。

 イスラエル軍当局者の証言として同紙が伝えたところによると、同軍が発見したヒズボラのバンカー(地下壕)は地下40メートルに張り巡らされており、空調装置が設置されていた。備蓄されていた対戦車ミサイルも、コルネット(ロシア製)、TOW(米国製)、それにフランス製といった新式のもだが、中にはイスラエル軍当局が「知らない」ものも含まれていたという。

 この超深度・地下バンカーによって、ヒズボラは戦力を温存、イスラエル軍部隊をやり過ごしたあと、背後から急襲する作戦をとり、戦果をあげている。

 ヒズボラの対戦車ミサイルは、イスラエル軍が世界最強と誇る「メルカバ戦車」の装甲を貫通する能力を持っているという。 


http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,1842169,00.html

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〔NEWS〕 イスラエル レバノン派遣軍の司令官を更迭 タカ派を投入

 英紙ガーディアン(電子版、8月10日付け)によると、イスラエル政府は9日、レバノン侵攻地上部隊の司令官、ウディ・アダム少将を更迭し、新司令官にモシェ・カプリンスキー少将を任命した。
 同紙は新任司令官を「より攻撃的な評価」の持ち主と紹介するととのに、今回の更迭について軍事的な成果があがらないことへのイスラエル当局の「苛立ち」を映し出すもの、と指摘している。


http://www.guardian.co.uk/frontpage/story/0,,1841093,00.html

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〔NEWS〕 イスラエル前国防副大臣 「イランとの戦争は不可避」

 米誌「ニューズ・マックス」(電子版、8月9日付け)がテルアビブ発で伝えたところによると、イスラエルのエフライム・スネー前国防副大臣は同誌のインタビューに対し、「この(戦争の)ラウンドが終わったあと、次のラウンドが来ることは疑い得ない。それはイランとの戦争が終わっていないからだ。第2、第3ラウンドのシナリオがどうなるかわからないが、それが来ることだけは確かだ」と述べた。

 スネー氏はバラク内閣の国防省を、最高位の軍人として率いた人物。過去13年間にわたり、イスラエルの国会議員らとともにワシントンを繰り返し訪問し、「イランの脅威」を強調して来たという。

 同氏はインタビューのなかでイランを「イスラエルの国家的存続を危うくする唯一の敵である」と言明した。 


http://www.newsmax.com/archives/articles/2006/8/9/93736.shtml?s=lh

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〔NEWS〕 アモス・オズ氏らイスラエルの作家 レバノン戦争の拡大に反対し停戦l交渉を呼びかけ

 イスラエルを代表する3人の作家、アモス・オズ、A・B・ユェホシュア、デイビッド・グロスマンの3氏が8月9日、テルアブビ市内で記者会見し、イスラエル軍のレバノン侵攻拡大に抗議する意志を表明するとともに、レバノンのシニオラ首相が提示した停戦案を受諾し、即時停戦をするよう政府に求めた。
 
 オズ氏らは6日の日曜日にも、停戦と交渉を求める意見広告を新聞に掲載している。
 
 イスラエル紙「ハーレツ」によると、記者会見でオズ氏は、イスラム過激派があらわにしている憎悪のサイクルは、イスラエル・パレスチナ紛争でみられるものと異なっている、との考えを示した。
 オズ氏はさらに、ヒズボラはイスラエル社会の破壊を狙っているとして、「イスラエルが軍事的挑発に対応していることは正しい」と発言。しかし、「時間が経つにつれ、ヒズボラをすべて殲滅するといった、とんでもない、非合理な目標が飛び出してきた」として、シニオラ首相の7項目停戦案には「ブラックホール」はあるものの、それを交渉のベースとして受け入れるべきだ、と述べた。


http://www.haaretz.com/hasen/spages/749126.html

Posted by 大沼安史 at 11:47 午前 | | トラックバック (0)

2006-08-09

〔がんばれ、シンディー!〕 ブッシュ牧場 「真夏の戦い」再開 「平和の母」らが現地入り

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版、8月7日付け)が伝えたところによると、イラク反戦運動のリーダー、「平和の母」ことシンディー・シーハンさんが8月6日の日曜日、ブッシュ大統領の牧場があるテキサス州クロフォード入りした。

 クロフォードの市街にある運動の拠点、「平和の家」にはこの日、テキサス州内に住むアラブ人、イスラム教徒が集まり、シンディーさんを迎えた。

 ブッシュ大統領が夏季休暇を過ごすクロフォードでの彼女の抗議行動は、昨年夏に続いて2回目。

 シンディーさんは水だけのハンガー・ストライキを続けている。
 
 一方、シンディーさんは同日付けで、「心がつながった」という題のエッセーをネット上で発表した。

 そのなかで彼女は、こう書いている。

 「ここは暑い。しかし、イラクはもっと暑い。わたしはおなかがペコペコだ。けれどわたしには、いつ絶食を止めてもいい選択肢が残されている。しかし、イラクの人々は市場に買い物に行くだけで、爆弾に吹き飛ばされかねないのだ。わたしは息子のケーシーを亡くしてとても悲しい。しかし、イラクには家族全員を殺され、家を破壊された人たちがいる」
 


http://www.latimes.com/news/printedition/asection/la-na-protest7aug07,1,3453128.story

http://www.commondreams.org/cgi-bin/print.cgi?file=/views06/0807-27.htm

Posted by 大沼安史 at 02:14 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 英の反戦活動家ら米軍機に侵入

 英紙ガーディアン(電子版、8月9日付け)によると、8日深夜、英国北部、グラズゴー近くのプレストウッィク空港に着陸していた米軍輸送機に、反戦団体、「トライデント・プロウシェア」の活動家5人が侵入、積荷に関する書類を物色していたところを係員に見つかり、逮捕された。

 同空港は、イスラエル向けに米国が精密誘導爆弾を緊急空輸している中継地点で、活動家たちは機内で「動かぬ証拠」と入手しようとしたらしい。


http://www.guardian.co.uk/israel/Story/0,,1840226,00.html

Posted by 大沼安史 at 01:52 午後 | | トラックバック (0)

2006-08-08

〔いんさいど世界〕 ベネズエラの「闘拳」、英雄・チャベズは、亀田なんかより断然強い!

 先日、WBA(世界ボクシング評議会)の世界ライトフライ級タイトルマッチで、「浪速の闘拳」こと亀田興毅選手が、南米ベネズエラのファン・ランダエタ選手を「圧倒」、視聴者の大半の「判定予想」をものの見事に覆し、お見事、チャンピオンベルトを手にしました。

 決め技は「採点勝ち」……あざやか、というか、あざとい、というか? それにしても素晴らしい「サプライズ」でした。

 そうそう、「サプライズ」といえば、亀田選手、1Rのダウンについて「おれなりのサプライズだ」なんてコメントしていましたが、これってなかなか言えない決めゼリフですよね。

 この亀田選手の「圧勝」については、「WBAの年次大会が9月下旬、東京ドームホテルで開かれるので、その前祝いの“ご祝儀”だ」とか、根も葉もないことがいろいろ言われていますが、極めつけはたぶん、こんな「うがった見方」です。

 ファン・ランダエタ選手ってベネズエラのボクサーですよね。そして、WBAって組織は米国主導、というか米国偏重のボクシング組織(現会長はベネズエラの人ですが、きっと米国寄り、ですよね……)。
 この辺の事情から、ランダエタ「完敗」の判定は、ベネズエラという国の最近の動きを快く思っていない、米国筋の差し金じゃないか、なんて見方も出ているんです。

 ベネズエラって国は、チャベズ大統領がその国の政治の「王座」(=大統領職)を獲得して以来、米国(=ブッシュ政権)にとって、まさに目の上のたんこぶ。
 そんなチャベスのベネズエラに、「世界チャンピオン・ランダエタ」なんて“プレゼント”をしたら、あのチャベズの野郎(なんだか、言い方が汚くなってしまいました。誰の影響かな?)、ますますつけあがるぜ――ってことで、「奇跡の判定勝ち」を仕組んだって見方なんです。
  
 まぁ、その是非はともかく、きょうの話の主人公は、52歳、男盛りのベネズエラ大統領、ヒューゴ・チャベズ氏。

 この人って、あの亀田選手にどこかに似ているんですね。
 顔でも体つきでもなく、その「過激な言葉づかい」と「パフォーマンス」ぶりが……。

 そう、亀田選手が「浪速の闘拳」なら、チャベス大統領は「ベネズエラの闘拳」。
 亀田選手はにわかチャンピオンで、まだまだ「駆け出し」ですが、チャベズ大統領はいまや押しも押されもせぬ、堂々たる「第3世界の王者」なんです。

 たとえば昨年、こんなことがありました。ハリケーンの「カトリーナ」がニューオルリーンズなど米国南部を襲ったことがありましたよね。
 そのとき、チャベズ大統領は米政府に、こんなオファーをしたんです。浄水装置を10基、発電装置を18機、水のボトルを20トン分、緊急援助したい、と。
 
 チャベズ大統領は「反ブッシュ」の旗色を鮮明にしている人。そんな男から「施し」を受けるわけには行かないって、ブッシュ政権は申し出を断わりました。

 それから、こういうこともありました。ベネズエラって産油国なんですが、石油の暴騰でガソリンの価格が米国で急上昇した際、チャベズ大統領は「アメリカの都市に住む貧しい人々にために安いガソリンを提供します」と。
 このオファーもまた、ブッシュ大統領の逆鱗にふれたことはいうまでもありません。

 亀田選手もさることながら、チャベズさんの「口撃」もまたもの凄いんです。
 イラク戦争を続けるブッシュ大統領を、現代の「ヒトラー」と言い放った。
 これまた、なかなか言える言葉じゃありませんよね。

 このチャベズ大統領、これまで「第3世界の盟主」、「反米のリーダー」であり続けてきた、あのキューバのカスト首相(からだの具合が悪くて、引退説も流れています)の跡目を継ぐ人じゃないか、といわれています。
 実際、カスト首相の体調がよかったことし6月には、ふたりそろってアルゼンチンを訪問し、あの「革命の英雄」、チェ・ゲバラが少年期を過ごしたアルタ・グラシアの町を訪ねたりしています。
 
 このように、「カスト2世」というか、新しき第3世界のリーダーという地位を手中に収めた感の、チャベズ大統領ですが、この人には実は、カストのキューバにはない、とんでもない威力の「必殺パンチ」があるんですね。

 それは、さきほども触れましたように、ベネズエラの石油資源です。
 この石油資源を背景に、「ロシア-中国」枢軸に加わり、イランなどとも友好関係を築いて、着々と反米包囲網を広げているんです。

 7月から8月はじめにかけて、ロシアなど世界9ヵ国を歴訪しましたが、その最後の訪問国として、世界の「最貧国」、ベニンを訪れ、290万ドルの援助を行うことを約束しました。
 ベネズエラは貧しい国の味方ですよ、というメッセージを、こんなパフォーマンスで世界に発信してみせた。なかなか、やるジャン、て感じですね。

 見栄を切るのが上手なだけでなく、けっこう現実的で、ディフェンスにもたけている。
 ロシアのプーチン大統領から兵器輸入の約束もとりつけている。
 ガードも固いですね。
 
 それから、米国の映画産業に対抗して、ベネズエラ版のハリウッドをつくろう、といった計画をぶちあげたり、チャベズさんて、ほんと「絵になる」スーパーヒーローなんです。

 そんな「ベネズエラの闘拳」、チャベズ大統領を敵視する米国のブッシュ政権がこんご、どんな巻き返しに出てくるか?

 ラテンアメリカの覇権をめぐる、チャンピオンベルト争いの行方に注目しないわけには行きません。

Posted by 大沼安史 at 11:41 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2006-08-02

〔重要NEWS〕 ペンタゴン(国防総省)が意図的に「9・11」調査委員会を騙(だま)す?! ハイジャック機への対応でストリーを捏造 刑事告発を求める声も ワシントン・ポスト紙が報道

 「9・11」が「やらせ」だった疑いが、米紙ワシントン・ポストの8月2日付け報道でますます強まった。

 ハイジャック機への対応に関する、ペンタゴン(米国防総省)などによる調査委員会などへの報告が、「意図的にミスリードしようとした」ものとの指摘が、一部の調査委員員(コミッショナー)や事務局のスタッフから出ていたことが確認された。

 調査委は昨年夏に解散したが、解散前にペンタゴンなどの当局者を偽証の罪で刑事告発すべきかどうかをめぐって部内で激論が交わされ、結局、国防総省と運輸省の監察室に、犯罪にあたるかどうかの審判を委ねることで妥協したという。

 同紙によると、9・11同時多発テロ発生後、ペンタゴンが直轄するNORAD(北米航空司令部)と、FAA(連邦航空局)の当局者は、

 「米国の防空は素早く反応し、ハイジャック機のうち最後に2機に対してはスクランブルをかけ、そのうちUA93便については首都ワシントンを脅かすときは撃墜する準備ができていた」

 と、2年間にわたって主張し続けた。

 アーノルド中将らの、調査委員会に対する証言によると、NORADがUA93便の追尾を開始したのは、当日朝の「9時16分」。この時刻は、同機がハイジャックされた(と調査委が認定した)時刻より、12分も前だった。
 ペンタゴンはさらに同機がペンシルバニア州内に墜落するまで、同機の存在に気づかなかったという。

 こうしたペンタゴンの「公式ストーリー」の矛盾点が明らかになったのは、調査委がNORADとFAAの交信記録を入手してから。
 入手した録音テープやメールなどを分析した結果、何人かの調査委員や事務局スタッフが、「9・11」に何が起きたかについて、当局が調査委をミスリードしようとしたと信じる事態になった。

 当時、調査委の事務局にいてスタッフを指揮していた元ニュージャージー州の司法長官、ジョン・ファーマー氏は、インタビューに答え、「録音テープは、われわれや国民が2年間にわたって聞かされ続けていたものと、根本的に違うストーリーを告げていた」と言明した。

 両省監査室の報告は、間もなく発表されるという。

 (大沼・注)
 ペンタゴンによる「公式ストーリー」とは「根本的に違う(真実の)ストーリー」とは何かについて、ポスト紙は何も書いていない。
 調査委のなかから「刑事告発」を求める声が上がるくらいだから、よほどのことがあったのだろう。
 
 「9・11」の防空をめぐる、ペンタゴンの欺瞞とは何か? ペンタゴンはなぜ嘘をつき通そうとしたのか?

 世界を「テロとの戦い」に動員するための、壮大なトリックとしての「9・11」……。

 ハイジャック機がどんどん出ているというのに、なぜかその日だけ、「機能麻痺」に陥っていた、米国の防空体制……。

 事件の再調査による、真相究明が求められる。 


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/08/01/AR2006080101300.html

Posted by 大沼安史 at 05:42 午後 | | トラックバック (1)

2006-08-01

〔いんさいど世界〕 米・英・イスラエル同盟 「地中海覇権」確立へ 「レバノン戦争」拡大の恐れ シリア攻撃の可能性も イスラエル 「水と油」の生命線を確保

 国際的な批判と停戦要求にもかかわらず、イスラエルがレバノンでの軍事行動をエスカレートさせている。ブッシュの米国はブレアの英国とともにイスラエル全面支援に動き、停戦の動きを阻止する一方、精密誘導爆弾を緊急供与するなど、イスラエル軍の作戦を後方から支える体勢をとっている。
 さながら「米・英・イスラエル」の「3国同盟」が、なりふり構わず、ヒズボラ退治に血道をあげているかたちだ。
 「レバノン戦争」を、3国同盟はなぜ激化させようとしているのか? その狙いの核心にあるものは何か? 事態の深層をえぐり、今後の行方を占うことにしよう。

 《計画的侵攻》
 今回のイスラエル軍の対ヒズボラ攻撃は、2人のイスラエル兵の拉致事件によるものとされているが、もちろん侵攻を正当化する「口実」であり、攻撃を開始する「合図」もしくは「引き鉄」に過ぎない。周到な準備があって、一気に始まった、いわば「計画的な侵攻」と見るべきである。
 米紙、サンフランシスコ・クロニクル(電子版)の7月21日付け報道によれば、「1年以上も前」に作戦計画は固まっていたという。
 同紙のエルサレム発特電は、「1年以上も前に、イスラエル軍の高官がオフレコ・ベースでパワーポイントを使い、米国などの外交官、ジャーナリスト、シンクタンクに対し、現在、展開されている作戦計画について詳細なプレゼンを開始した」と報じた。
 この作戦計画は「3週間」にわたるもので、最初の週はヒズボラの長距離ミサイルや司令部を破壊し、通信・兵站を壊滅させる。第2週は、ロケット発射機や兵器庫を個別に破壊し、第3週になって初めて地上軍を投入、2週間の間に得た情報をもとに軍事目標を壊滅させる、とのシナリオだった。
 ただし、この作戦計画はあくまでも短期決戦を狙ったもので、レバノン南部の「長期にわたる再占領」は含まれていなかった、とされる。
 
 しかし、周到な準備と入念な作戦計画の策定にもかかわらず、現実は「3週間作戦」通りには進まなかった。ヒズボラ側もロケットやミサイルの備蓄を進めるなど迎撃体制を固めており、侵攻したイスラエル軍地上部隊の精鋭がヒズボラの待ち伏せ攻撃に遭い、壊滅状態に陥る事態さえ生まれている。
 作戦計画の失敗。不敗神話の崩壊。
 国連監視哨へのミサイル攻撃やカナ村での空爆による避難民虐殺などは、この、3週間でヒズボラを始末するはずの平定作戦が最初から大きく躓いたことに対する、イスラエル軍ならびに政府指導部の、ヒステリックなまでの過剰反応と言えるだろう。
 イスラエルは実は追い詰められたのだ。
 事実上の負け戦のなかで、さらには国際的な人道非難の大合唱のなかで「停戦」に応じれば、イスラエルの「弱さ」が浮き彫りにされる。
 だから、軍事行動をエスカレートさせ、戦況を一変させ、ヒズボラを壊滅させて、不敗神話を再構築する。やるしかない……。
 これが、イスラエル側の本音の部分だろう。
 つまり、事態はいまや「3週間」などという枠組みを超え、勝つまではやめられない戦争へと発展しているのである。
 先に触れたサンフランシスコ・クロニクル紙の記事にもあるように、イスラエル軍の作戦計画はひとつしかないわけではない。ほかにもさまざまなシナリオがあるはずである。「3週間」に代わる、別の作戦計画がいくつか用意され、決断と発動のときを待っている……それが現段階における実情ではなかろうか。

 《パキスタンから地中海まで》
 それでは今後、イスラエルは、どんな軍事行動に打って出るのだろうか?――これがさしあたっての大問題である。
 ヒズボラに対する徹底空爆の継続と、最終的な地上侵攻による掃討が、イスラエル軍の作戦テーブルに乗っているのはもちろん言うまでもないが、問題はその先、あるいはそれと同時に行われれる軍事行動がどのようなものになるか、という点にある。
  

 この問題を考える場合、考慮に入れなければならない要素は、少なくてもふたつある。
 ひとつは「シリア」であり、もうひとつは「米英」の動きだ。まず、シリアから見て行こう。

 ベイルートを拠点に活動を続ける、英紙インディペンデントのロバート・フィスク記者は、7月29日付けの同紙掲載の記事のなかで、今回のイスラエル軍侵攻を巨視的な視野に置き、次のように指摘している。

 「パキスタンから地中海まで――大きな憎しみをかったシリアとイランという、たったふたつの例外を除き(それらはいずれ血の海へと、たたきのめされるかも知れないが……)、われわれ(米英)は全長2500マイルものイスラム世界を、比べ物もないほどの地獄の惨状へと突き落としてしまった」

 核開発を口実とした米軍によるイラン空爆の可能性が消えたいま(ほかならぬペンタゴンが攻撃に反対した、と米国のジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏は、雑誌『ニューヨーカー』誌で明らかにしている)、米英軍事同盟の攻撃目標として残るは、ただひとつ、地中海沿いに陣取る、「ならず者国家」、シリアのみ。
 ガザ再侵攻に続くレバノン侵攻の延長線上、もしくはその平行線として、イスラエルが「北方の脅威」であるシリア攻撃を考えないはずはないのである。
 フィスク記者のいう「いずれ……かも知れない」がいますぐ現実化し、このシリアに対してイスラエルが軍事侵攻を開始する。そんな可能性さえ排除できないのが危機の実相だろう。
 
 こうしたシリアに対するイスラエルの動きを推し量る上で、考慮にいれるべきもの、それがふたつめの要素である「米英」の動向である。
 シリアに侵攻し、アサド体制を崩壊に追い込みたいイスラエルにとって、実はいま、願ってもない「風」が吹いている。
 アフガン、イラクで「テロとの戦い」を続ける米英が、ヒズボラばかりかシリアをも「ならず者」から「テロリスト」へと“格上げ”して、攻撃の対象としているからだ。
 こうした米英のイスラエルに対する“同志的な肩入れ”、“同調ぶり”は、イスラエルの長い戦いの歴史を振り返っても、みられないものである。
 
 元ニューヨーク・タイムズ記者のシドニー・シャンバーグ氏(カンボジアの「キリング・フィールド」報告で知られる)が米誌「ビレッジ・ボイス」(電子版、2003年9月29日付け)で指摘したところによると、ウェズリー・クラーク元NATO最高司令官はその著書、「現代戦を勝つ」のなかで、こんなエピソードを明らかにしている。
 クラーク氏がワシントンに戻った2001年11月のこと、ペンタゴンの高官と雑談をしていたら、高官がこう言い出したそうだ。
 「(イラクへの侵攻は)5年計画のキャンペーン(作戦行動)の一部に過ぎない。7ヵ国が対象だ。イラクから始めて、それからシリア、レバノン、リビア、イラン、イラン、ソマリア、スーダンに行く」
 
 クラーク氏が暴露したペンタゴン高官の発言は、米国の本音を物語るものである。
 イラクに続いてシリア、レバノンに入る。
 こうした米国の軍事侵攻計画が、イスラエルにとって願ってもないことであるというか、千載一遇のチャンスであることは言うまでもない。

 《水と油の生命線》
 今回のイスラエル軍レバノン侵攻をめぐる情勢で、とりわけ目を引いたのは、英国のブレア首相の、米国及びイスラエルとの一体的な関係である。まるで運命共同体的な動きをして、その「ブッシュ大統領へのプードル的振る舞い」に対して、英国の内外から嘲笑さえ漏れ出ているほどである。
 なぜ、それほどまでにブレア首相はブッシュ大統領と行動をともにし、イスラエルに擦り寄り続けているのか?
 そんな素朴な疑問に、カナダ・オタワ大学のミッチェル・チョスドフスキー教授が答えてくれた。
 「グローバル・リサーチ研究所」を率いる教授の言(⇒参照)に耳を傾けてみよう。

 チョスドフスキー教授によれば、イスラエルのヒズボラ攻撃が始まる直前の7月13日、シリア国境に近い、トルコの港町、セイハンで落成式典が行われた。参加者たちは式典終了後、イスタンブールに飛び、セゼール・トルコ大統領主催の祝賀会に出席したという。
 イスラエルのエネルギー相も顔をみせた式典・祝賀会には、BP(英国石油)のCEO(最高経営責任者)であるブラウン卿をはじめ、米国のシェブロン社など石油メジャー関係者が集まった。
 落成したのは、アゼルバイジャンのバクーからグルジアのトビリシ経由でトルコ国内を横断、地中海に面したセイハンに抜ける「セイハン-トビリシ-バクー(BTC)」石油パイプライン。
 そのプロジェクトをコンソウシアムのリーダーとして取り仕切ったのが、英国の石油メジャー、BPだった。

 BTCパイプラインは、カスピ海の石油資源を、アゼル、グルジア、トルコという親米国家を領内を経て、地中海へと送り出す、エネルギーの大動脈となるが、チョスドフスキー教授によれば、トルコとイスラエル政府は、セイハンからさらに海底パイプラインを伸ばし、イスラエルの地中海沿いの港町、アシュケロンをつなぐことで合意しているという。
 
 つまり、カスピ海の石油はトルコ経由で地中海の海底をイスラエルに向かうことになるが、このあとさらにイスラエル国内を陸上パイプラインで横断、紅海からアジア向けにタンカーで積み出される計画だ。

 セイハンからアシュケロンに向かい海底パイプラインには、石油パイプラインとともに、トルコ領内のチグリス・ユーフラテス河上流で取水した水や、トルコで発電された電流を通す導管をも併設されることになっており、イスラエルにとってはまさに、国家としての存立を左右する「生命線」となる。

 チョスドフスキー教授は今回のイスラエルのレバノン侵攻の背景要素として、BP主導のBTCパイプラインと、イスラエルまでの延長計画を挙げているが、言われてみればまさにその通り、イスラエルがレバノンのヒズボラを叩き、シリアのアサド体制の崩壊を狙うのは、当然すぎるほど当然こと。
 米英両国(とくにBPを擁する英国)が、石油メジャーの利権防衛のために、イスラエルと共同歩調をとっている理由にしても、BTCパイプラインというものの存在を知れば、それだけでもはや、一目瞭然、と言わなければならない。
 なにしろ、ヒズボラとともにシリアのアサドを除去して、地中海沿いを無害化すれば、海底パイプラインも安泰だし、あわよくば陸上ルートも確保できる上、ユダヤ国家として、次なるミレニアムの展望もひらけるわけだから。

 
 ことが、エネルギー(石油)の絡んだ「英・米・イスラエル同盟」の死活的な戦いであるとすると、今回のイスラエルの軍事行動は、行き着くところまで行く危険性を秘めている。
 イスラエル軍が先陣を切ってレバノンのみなならずシリアにも侵攻、米英がサウジなどの同意をとりつけて有志の連合軍として加勢に入り、地中海一体を「民主化」する構図である。
 
 このシナリオは、イラン攻撃を回避せざるを得なくなり、11月の中間選挙対策の花火がなくなったブッシュ大統領にとっても魅力的なものであろう。

 イラク、ガザ、レバノン、そしてシリア。
 中東はいま炎上の危機に立たされている。動乱はイランにも飛び火するかも知れない。
 
 問題は、国際社会が米英イスラエルの「3国同盟」にどれだけ自制を求めることができるか、だ。世界の運命はその一点にかかっている。そう言っても、あながち間違いではないだろう。

 テヘラン発のドイツ・DPA通信によれば、日本とイラン両国は7月28日、アザデガン油田開発プロジェクトをめぐり最終合意に達したという。
 
 日本として中東にどうかかわっていくか?
 自主的な外交努力がいまこそ求められている。
 


http://www.globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=CHO20060726&articleId=2824

Posted by 大沼安史 at 11:19 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

 〔いんさいど世界〕 「エネルギー兵器」 許すまじ

                        (注・本稿は本ブログ既報に加筆したものです) 

 ことしもヒロシマ、ナガサキの夏が近づいています。原子爆弾がはじめて、都市の住民に対して投下されてから61年。
 「核兵器」の恐怖は忘れてはならなし、忘れられるものでもありません。

 ヒロシマに原爆が投下されたとき、当時に日本の新聞は、「新型爆弾」と書きました。当時の日本の指導部は、当然、それが原子爆弾だとわかっていたはずなのに……。

 きょう、お話しするのは、現代の「新型兵器」のことです。米軍によって「核兵器」ではない、新型兵器が開発され、イラクで試験的に使われたのではないか、という疑惑が出ているのです。

 その名は「エネルギー兵器」。イラク駐留米軍がその「エネルギー兵器」を実験使用した疑いが最近になって浮上し、世界的な問題になっているのです。

 疑惑を報じたたのは、イタリアのTV。
 あのファルージャ戦での米軍による「白リン弾」使用を追及・暴露したイタリアのRAIテレビのチームが、今回新たにドキュメンタリー番組を制作し、告発しました。

 ドキュメンタリーのタイトルは「イラクでのスターウォーズ」。
 米国の放送局、「デモクラシー・ナウ」が7月25日、全米に放映し、映像はネットを通じて世界の視聴者に届けられました。
 驚くべき映像レポートでした。

 それによると、謎の新兵器、「エネルギー兵器」はイラク国内で、少なくとも2度、いずれも2003年に、イラクの民衆に対して使用された疑いがあるそうです。

 そのうちの1件はバグダッド空港の近くで、乗客3人が乗ったバスに対して。

 信頼すべき目撃者の証言によると、バスの車体はまるで濡れた布のように縮み、フォルクスワーゲンのサイズに縮小したそうです。乗客3人のからだもまた、背丈が1メートルほどに縮み、頭部だけが燃えて、歯だけが残るかたちで死んでいたそうです。
 銃創や爆発物による損傷はまったく見られませんでした。

 もう1件は、バビロンに近いヒラの町から、キフィルというところへ向かっていたバスに対して使用されました。
 途中の米軍検問所でUターンを命じられ、ヒラに戻ろうとしたときに。

 発射音は聴こえず、砲弾など物体も飛んでこなかった。
 乗客は25人で20人が死亡、運転手だけが無傷でした。

 生存者の治療にあたたヒラ総合病院の外科医の証言では、犠牲者のからだには銃弾や砲弾の破片はまったく見つからなかったといいます。
 乗客のなかには頭部だけなくなった人も。手足や腹部など、からだの各部が切断されていました。

 銃・砲弾やミサイルなど物体を高速で当てて破壊する、いわゆる「力学的(キネティック)兵器」ではない、「エネルギー兵器」が使用されたのではないか、というのが、制作チームの辿り着いた結論です。

 エネルギーを放射する新タイプの兵器については、米軍も研究・開発に取り組んでいることは認めています。
 ではその「エネルギー兵器」とはどういうものか?

 番組のなかで、(原爆を開発した)米ロスアラモス研究所の前プログラム・ディレクターは、制作チームのインタビューに対し、「ダイレクト・エネルギー兵器」には、①遠距離を射程として電子を撃ちだす、いわゆる「光速」といわれるもの②短い射程で使うレーザー兵器③マイクロ波兵器――の3種類があると言明しています。

 このうち、③のマイクロ波兵器は、(これはRAIの番組には登場していまんが)米カリフォルニアの民間研究所、「カリフォルニア戦略研究センター(CCSS)」によると、「死の光線」と呼ばれているもので、わたしたちの台所にある電子レンジと同じ仕組みだそうです。
 CCSSはまた、ほ「苦痛光線」というミリ波を照射する新型兵器も開発されていて、これを2秒照射されただけで皮膚の温度が摂氏54度達する、と指摘しています。

 こういうものが開発されている。そして、イラクの戦地で「実験」が行われた! 事実だとしたら大変なことです。

 いま、事実だとしたら、と書きましたが、RAIテレビの番組では、米国の軍事雑誌2誌が、こうしたタイプの兵器のうちの少なくとも3種類がイラクで使用されたことがある、とい報じているという点にも触れています。
 これを考え合わせると、エネルギー兵器の「使用」は「事実である」可能性がきわめて強いといわざるを得ません。

 
 さらに言えば、米国内ですでに「エネルギー兵器」が実地に使用されたという疑惑もあります。あの「9・11」のあと、ブッシュ政権が議会で通そうとした「愛国者法」に批判的なミネソタ州選出の民主党上院議員搭乗機に対して、同州内で使用された、との疑惑です。

 「核」に続いてこんどは「エネルギー兵器」。
 「核」だけでなく「エネルギー兵器」の禁止運動も盛り上げねばなりませんね。

Posted by 大沼安史 at 10:10 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)