〔いんさいど世界〕 中国政府が「カラオケ」規制
kARAOKE(カラオケ)……いまや世界語です。SUSHI(寿司)やTSUNAMI(津波)がそうであるように、世界の言葉の中に入っています。それだけ、世界各国に広がっているのですね。
きょうは、そんな「カラオケ」の話を。
ところは、お隣の中国。この国でも日本発の「カラオケ」文化が根付いているのですが、政府が布告を出して規制に乗り出し、大きな問題になっているそうです。
「新京報」という新聞が7月19日に報じて明らかになりました。
カラオケ規制といっても、カラオケそのものを取り締まるのではなく、カラオケで歌う「不健康な音楽」を追放する動きなんだそうです。
具体的には、中国政府の文化省が「カラオケ音楽データベース」をつくり、カラオケ屋さんはそこから「カラオケ演奏」をゲットして、客に提供する仕組み。
つまり、お客さんが「この曲、頼む」と注文しても、政府のデータベースになければ、歌えない仕組みです。
この中国政府のカラオケ規制、当面は武漢、鄭州、青島の3つの都市で先行実施、その結果を見て、全国に拡大する予定だそうです。
で、このカラオケ規制の目的ですが、ひとつは「著作権」保護対策ですが、もうひとつの狙いはやはり、有害な音楽の追放のようです。
中国のカラオケでは、アメリカや台湾の曲が人気で、そのなかに体制の権威を否定しかねない歌がけっこう含まれている。
直接的な政府批判の歌でなくても……極端なことを言えば単なるラブソングであっても、聴きようによっては、すごいプロテストソングになることがある。
中国の文化省はそういう歌までも、「データベース」から「抹消」するのではないか――そんな懸念が広がっているようです。
で、どんな歌詞の「汚染された曲」が消されそうかというと、「君が好きなだけキスできる日暮れをぼくは待てない」といった歌詞の曲。
ここでいう「日暮れ」は単なる日没に過ぎないはずですが、取締る側はそうは聴かない。
日没は日没でも、政府の支配の「黄昏」と受け取って、これは体制崩壊を待ち望む歌だってなっちゃうわけです。
中国政府はこのところ、若者の「精神文化」対策に力を入れており、なんと毛沢東を教えを盛り込んだラップ音楽までつくっているそう。
そこまでして青少年を健全育成しているのに、これ以上、外国の「有害音楽」がカラオケ・ルームにはびこれば、遅かれ早かれ支配の箍が緩み、統制がとれなくなる事態がやって来る――そんなふうに北京の指導部は神経を尖らせているのですね。
中国の支配層にとってカラオケは、反革命の可能性を秘めた、たいへんな脅威になっているようです。