〔がんばれ、スザンヌ! 英紙女性記者 レバノン殺戮地帯レポート〕 チョコレート屋の悲劇
英紙ガーディアンの女性記者、スザンヌ・ゴールデンバーグさんが、またレバノン南部からレポートして来た。
7月29日付け、同紙の電子版に載ったのは、スザンヌ記者の、住民2人に対するインタビュー記事。
そのうちの1人、ティエールの町のチョコレート屋さんの記事を紹介しよう。
スザンヌさんがインタビューした人は、ジャバル・アマル病院の向かいで、チョコレートを開いていたリアズ・ジマーさん。
リアズさんは店を閉めて、もう11日間も病院の地下室に寝泊りし、仕事を手伝っている。
リアズさんは7月17日、愛妻のラヤンさんと、長女のアリスちゃん(6歳)、次女のセリナちゃん(2歳)を、イスラエル軍の空からの攻撃で失った。
一家そろってティエールの効外、ホシュの親類宅に出かけたときのこと。リアズさんは攻撃の数分前、家から出て無事だった。
リアズさんは病院で、サングラスとタバコの煙で悲しみを隠し、地下の公衆衛生のデスクに座っている。
この病院がリアズさんの避難所だ。
自分の家には戻っていない。「思い出が多すぎるから」
病院は「第二の我が家」だ。リアズさんの悲しみを、病院の医師たちはわかってくれる。
国連のスタッフが、リアズさんの家から写真を一枚、持って来てくれた。
ラヤンさんの青い目が笑っていた。24歳だったときの写真。
昨日(7月28日)、ようやく、ホシュの現場にブルドーザーが入り、瓦礫の下から、奥さんと娘さんの遺体を収容した。
そこにも、リアズさん足を運べなかった。
耐え切れないことだった。
戦争が終わったら葬る、と、リアズさんは言った。
同じスザンヌ記者の記事には、90歳の母とともに取り残された、57歳のレバノン人女性の話も出ている。
殺戮地帯にとどまり、現地の実情を伝え続けるスザンヌ記者、がんばれ!
日本のテレビレポーターのように「現場からは以上です」などと言わず、取材を続行するスザンヌ記者、がんばれ!
現地の人はあなたの報道に希望をつなぎ、世界のわたしたちはあなたのレポートを待っている!
Posted by 大沼安史 at 05:07 午後 | Permalink