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2006-06-07

〔イラクから〕 ファルージャ化するラマディー

 バグダッドの西100キロの都市、ラマディーが、第2のファルージャと化している。インター・プレス・サービス(IPS)がヨルダンのアンマン発で伝えた。
 現地の様子を見たイラク人がアンマンに来て次のように証言した。

 ・ラマディーのメーンストリート沿いの建物は破壊されている。建物の屋上にはテントが張られ、そこに狙撃兵(米兵)がいる。戦闘が始まったら、身を隠す。車は止める。動くものはみな狙撃される。
 ・アメリカの狙撃兵は民間人と戦闘員を区別しない。動けば撃つ。ダーティーなやり方だ。おかげでたくさんの市民が殺された。
 
 米軍はラマディーで立ち入り禁止区域を設定している。しかし、その場所がどこなのか知らないものもいる。知らないで立ち入って撃ち殺されている。
 そんな区域のひとつがメーンストリートだ。
 その通りを直進することはできない。右か左に曲がるしかない。

 ・メーンストリートはコンクリートのブロックではなく狙撃兵で閉鎖されている。立ち入り禁止の標識もない。地元の人は知っていても、バグダッドから来た人は知らない。数メートル、進んだ先で狙撃されることを。

 アンマンでIPSに証言したイラク人は、ラマディーに数日間、滞在してやって来た。
 証言によれば、ラマディーの街のかなりの部分を武装抵抗勢力が支配下においているという。

 ・彼からは地域を支配している。そしてとても自信を持っている。マスクで顔を隠そうともしない。アメリカ人は彼らから距離をおいている。アメリカ人は白兵戦では勝てない。それで圧倒的な空軍力を動員し、爆撃を行っている。

 家々は破壊され、住民サービスも途絶えた。

 ・発電所や浄水場、水道が爆撃された。自家発電している家もある。住民サービスは完全に破壊された。

 ラマディーに入る、ユーフラテス川にかかる橋では米軍が検問している。4時間も待たされる。
 陸の孤島と化しはじめたラマディー。

 ・電話局も攻撃された。建物ごと完全に破壊された。駅もそうだ。100%、破壊された。くる日もくる日も、F16が爆撃した。

 そんなラマディーでは、いろんな部族がいる街なのに、住民たちの間で秩序は保たれている。

 アンマンで証言したイラク人は、ラマディーで、ひとりの少年が撃ち殺されるところを目の当たりにした。

 ・朝の8時ごろのことだった。教科書を持って、学校へ行こうと通りを横断していた。突然、倒れた。足の具合が悪くて転んだのかなと思ったけれど、いくら経っても動かない。わたしは分かった、というか感じていた。狙撃兵が男の子を撃ったということを。
 ・ハイサムという少年のきょうだいの一人が救い出そうと、2歩、進んだところで撃たれた。狙撃はわずかにハイサムを外した。路上に倒れた少年は数時間もそのまま放置されていた。頭を撃たれていた。

 
 別のラマディー住民がIPSに証言したところでは、5月にその住民の家に米軍が押し入り、屋上を占拠した。狙撃するためだ。家族は1階の部屋に押し込められてた。
 その住民は言った。

 ・屋根から狙撃する射撃音がときどき聞こえてきた。やつらはおれの家を殺人の道具にした。

 (大沼・注)
 こんなラマディーの様子を伝えてくれた、世界の民衆に足場をおく通信社、IPSに敬意を表する。
 米軍同行取材ではない、その草の根からの報道に期待したい。
 本ブログでも、IPSのイラク・レポートを報じていくつもりである。

 
 ☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=33496

Posted by 大沼安史 at 02:22 午後 |

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