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2006-06-02

〔コラム 机の上の空〕 戦争にモラルはあるのか? 

 「イラク駐留米兵にモラル・トレーニング」――英紙ガーディアンの電子版に、こんな記事が出ていた。
 「ハデサ事件」や、サマラでの妊婦撃ち殺しを反省し、米兵たちに2日間の道徳教育を施すのだという。

 道徳教育の実施を命じたのは、在イラク米軍の最高司令官、ケイシー将軍。
 自分はぬくぬくとバグダッドのグリーンゾーンの安全地帯にでもいるくせに、よくも言えたものだ。

 前線で日々、死線をさまようGIたちはきっと、そんなに道徳教育をやりたいなら、戦闘の現場に来て、実際に戦闘に従事してからやんなよ、と、お偉いさんらに言い返したい気持ちだろう。

 流血、苦悶、不安、恐怖、復讐、憎悪、狂気、残虐――戦場には常軌を逸したもののすべてがある。
 そしてそこには、それ以外のものは何もない。
 安心も、平和も、連帯も、友愛も。
 市民社会では許されない「殺人」が奨励される場所、それが前線なのだ。

 その戦場のどこに道徳がありうるのか?
 「白リン弾」を射ち込み、「劣化ウラン弾」を乱射している在イラク米軍の最高司令官に、そもそも「道徳」をうんぬんする権利はあるのか?

 戦場での道徳とは、不可能性のことである。戦場で不可能な道徳を可能とするものがあるとすれば、それは「平和」だろう。つまり、戦闘=戦争をやめる、ということである。

 前線の兵士が真に道徳的であろうすれば、それは銃を捨てることでなければならず、ケイシー将軍が道徳的であろうとすれば、現地の最高司令官としてイラク戦争の終結と撤退開始を宣言しなければならない。

 同じガーディアン紙の電子版に、「ハデサ事件」を素材とした風刺漫画が載っていた。 
 漫画の見出しにいわく―― So what else is new? (別にいつものフツーのことじゃん)

 前線の米兵に道徳教育だと? So what? (それがなんなんだよ)  
 
  

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.guardian.co.uk/cartoons/0,,337484,00.html

http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,,1788028,00.html

Posted by 大沼安史 at 12:53 午後 3.コラム机の上の空 |

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