〔コラム 机の上の空〕 ロスのコミュニティー農園を守れ ジョン・バエズさん 胡桃の樹上で「篭城」プロテスト 「木の家」のステージから「♪ われわれは動かない」歌う
米国ロサンゼルス市の南部のコミュニティー農園に立つ一本の胡桃の大木の樹上から、ジョン・バエズさん(65歳)が歌ったそうだ。
あの、We Shall Overcome.の替え歌を、スペイン語を交えて。
♪ No nos moveran, como un arbol firme junto al rio. We will not be moved, like a firm tree next to the river.
(われわれは動かない。川岸に立つ強靭な一本の木のように)
地上15メートルの「木の家」のステージ。
ジーパン姿のバエズさんはマイクを手に、樹の周りに集まったヒスパニックの農民らに向かって、勇気と連帯の歌声を響かせた。
5月24日(水曜日)のことだ。
その場所は、「南部中央農園」と呼ばれる、14エーカーのコミュニティー農園で、350人ものヒスパニック系農民たちが10年間にわたって、ハーブやサボテンを育てる「コモンズ」として使って来た。
もともとは市有地で、1992年の「ロス暴動」のあと、地域の「食糧バンク」が借り受け、コミュニティー農園として共同利用されていたが、3年前、民間人に払い下げられ、それがデベロッパーに転売された。
その農園のシンボル、一本の胡桃の木の樹上につくられた「木の家」に、バエズさんが登ったのは、前日、23日の火曜日。
ジュリア・“バタフライ”・ヒルさんという、25歳の女性の呼びかけに応え、農園を守る運動に参加した。
ジュリアさんは1997年から99年にかけ、サンフランシスコ北方の森のなかで、樹齢600年の大木を木材会社の伐採から守ろうと、なんと738日間も樹上「篭城生活」を送った活動家だ。
プロテストにはバエズさんだけでなく、ハリウッドのセレブたちも加わった。女優のダリル・ハンナさんは樹上には登らなかったが、現地のテント村に泊り込んだ。ロック歌手のベン・ハーパーさんも夫人で女優のローラ・ダーンさんとともに現地に駆けつけた。
裁判所の立ち退き命令が出るのに合わせて開かれた24日の集会で、バエズさんは樹上から「わたしは感嘆し感動した。わたしは褐色の肌をしたみなさんと強い絆で結ばれている」と演説し、そのあと、「♪ われわれは動かない」の音頭をとった。
その様子を伝えるロサンゼルス・タイムズ紙に「写真ギャラリー」がついていて、そこに現地のスナップ写真が掲載されていた。
白いシャツにジーンズの颯爽とした姿。
老いを感じさせない顔には、気品と闘志が漂っている。
イラク戦争への反対運動。そして、こんどは、農園を守る運動。
あなたはなぜ、人生のすべてを抗議行動に捧げて来たのか?
そんな、英紙インディペンデントのワシントン特派員の電話取材に答え、バエズさんはこんなふうに語った。
「わたしの人生に意味を与えてくれたもの、それは常に声を聞いてもらえない人々と肩をならべて立っているとき、わたしが感じたものでした」
そのインディペンデント紙のワシントン特派員電に、こんな見出しがついていた。
she shall overcome
(彼女はきっと勝つだろう)
バエズさんはロスの農園を守る運動に、必ずや勝利するに違いない。
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⇒
http://www.latimes.com/news/printedition/la-me-farm25may25,1,3490864.story
http://news.independent.co.uk/world/americas/article601333.ece
Posted by 大沼安史 at 01:12 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink
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