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2006-05-31

〔ジャック・天野の目が点丼〕 えっ、米軍再編「3兆円」 出所は防衛庁の役人、だって?!

 忘れかけたころにやって来る、畏友、ジャック・天野の「目が点メール」。今回、届いたのは、URGENTの至急電だった。
 「大沼よ、ひどい、ひどすぎる、このメールをお前のブログに載せて、天下に警鐘を鳴らしてくれ。頼む」
 親友の頼みとあっては断れない。
 以下に転載する。

            ●△●

 おいおいおい、大沼よ、見たか? 今朝(5月31日付け)の新聞。
 朝日だよ、朝日。
 朝刊に出てたろ、「米軍再編 見えぬ負担 日本に『3兆円』、軽減は望めず」って見出しのついたやつ。
 これ読んでオレ、目が点になっちゃった。

 見出し、見ただけで驚くだろ、「3兆円、軽減は望めず」、だって。
 ふざけすぎじゃないか、この記事。

 アメリカは米軍再編経費の「3兆円」をまけてくれそうもない。国民のみなさん、仕方ないから払いましょ、って記事じゃない?
 提灯持つにもほどがあるよな、なぁ、大沼。
 「朝日」は防衛庁の広報誌なのかよ。

 目が点になったあと、本文を読んで、オレこんどは気絶しそうになったぜ。
 
 覚えてるか、大沼、ローレンスとかいう国防副次官がワシントンで記者会見して、「3兆円」って請求書をちらつかせてすごんだときのことを。

 あれは4月末のことだったよな。
 ローレンスが記者発表したとき、小泉首相も安部官房長官も「なんだ、それ? 知りません」って、否定してたよな。
 首相も官房長官も「知らない」ってことは、「日本政府が知らない」ってことだけど、今朝の「朝日」によると、「首相」が知らないことを、防衛庁の小役人は「知っていた」、というんだから、チョーあきれるぜ。

 記事に、ちゃんとこう書いてある。

  ● 守屋武昌・防衛事務次官も4月の講演で「グアム移転費を除き、2兆円かかる」と語った。 ●

 2兆円にグアム移転費の日本側負担分7000億円を足せば、ざっと「3兆円」。
 やっぱ、ローレンスの言う通りじゃん!

 記事によれば、時系列的にも、守屋発言の方が先。
 となれば、ローレンスのネタ元は、防衛庁とみるのが自然だ。
 防衛庁って、ペンタゴンの日本分局のようなものだから、首相官邸より先に、きっとペンタゴンにご注進してたんだろう。
 「3兆円、負担させていただきますよ、ご主人さま(アメリカ)」ってね。

 それにしても、せっかく「守屋発言」をつかんだのに、どうして「朝日」は、その点に突っ込みをかけないんだ? 事務次官なる小役人を追及しないのだ?

 「国民不在」、首相官邸にも知らせず、勝手に「3兆円」を約束した防衛庁の責任を追及することこそ、ジャーナリズムの責務だろうよ。

 君たちはジャーナリストじゃなかったのか?
 CMで流している「ジャーナリスト宣言」って、あれ、何なんだ?

 えっ、「その事の依ってきたる所以を別として、軽減は望めないから、3兆円は払いましょう」だって?
 おいおいおい、それじゃまるで、あの諸君の大先輩が書いた、「60年安保」のトンデモ宣言じゃないか。

 「3兆円」のよってきたるゆえんを明らかにする。
 それがジャーナリズムの使命。
 忘れちゃいかんぜよ。  
 
 

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Posted by 大沼安史 at 05:15 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 米軍、15000人をイラクへ増派 泥沼化するイラク戦争

 英紙ガーディアン(電子版)によると、米ブッシュ政権は5月30日、イラクに米兵1万5000人を増派すると発表した。
 イラク戦争の泥沼化を浮き彫りにする事態だ。ベトナム戦争の二の舞を演じ始めている。

 新たに前線に送られるのは、現在クェートといる部隊の兵士で、バグダッドの西、アンバール州で任務に就く。アンバール州は、武装抵抗勢力が活発に動くスンニ派地域。

 派兵部隊が活動する期間は「短期間」とされているが、撤収の日取りも明らかにされていない。
 成り行きまかせの派兵のようだ。
 
 今回の増派は、米軍の撤退などありえない深刻な戦況を物語っている。

 イラクに駐留する米軍は、現在約13万人。

 

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,,1786431,00.html

Posted by 大沼安史 at 03:33 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-30

〔イラクから〕 「ハデサ事件」 頭を打ちぬかれた少女の遺体を収容 「脳(漿)がブーツに」 帰還海兵隊員が証言 心的外傷に苦しむ日々

 「ハデサ事件」の現場に居合わせた、若い米海兵隊員が、米紙ロサンゼルス・タイムズ紙(電子版、5月29日付け)に、当時の模様を証言した。

 証言したのは、カリフォルニア州ハンフォードの実家に帰還した海兵隊上等兵、ロエル・リヤン・ブリオネスさん(21歳)。
 ブリオネスさんはファルージャ侵攻の際、負傷し、「パープル・ハート」勲章を授与された戦歴の持ち主だが、いま、イラク戦争による心的外傷に苦しんでいる。

 証言によると、昨年(2005年)11月19日の午前7時過ぎのこと、所属する海兵隊キロ中隊が駐屯する「スパルタ基地」(学校の校舎に設営)から300メートル近く離れた地点で「ロードサイド(道路脇)爆弾」が炸裂し、ブリオネスさんを含む5人の部隊が呼び出された。

 10分後、現場に到着。
 道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発した現場は住宅街で、煙が漂い、混乱した状況だった。

 そこでブリオネスさんは、親友のミゲル・テラザス上等兵(20歳、テキサス州出身)が、破壊されたハムビー装甲車両の中で、からだを真っ二つに引き裂かれ、死んでいるのを目の当たりにする。
 「顎のところに大きな穴が開き、目玉は頭蓋骨のなかにのめりこんでいました」
 ブリオネスさんは戦友の遺体にポンチョをかけ、短い祈りを捧げた。
 「安らかに眠ってくれ。お前はおれのブラザーだ。愛しているよ」

 爆発のあと海兵隊員たちは、武装抵抗勢力を求めて掃討作戦を開始した。
 近くの3軒の民家に海兵隊員たちが侵入し、虐殺を行ったのは、その最中だった。
 ブリオネスさんはしかし、虐殺の模様を直接、見てはいないという。

 ブリオネスさんらの部隊は、ロードサイド爆弾で負傷した2人を救助する作業にとりかかり、二人を近くのサッカー場に運んだ。ヘリで野戦病院に運ぶためだ。
 ブリオネスさんたちは任務終了後、そのまま「スパルタ基地」に引き揚げたという。

 親友をなくしたブリオネスさんに、次の悪夢が訪れたのは、その日の夕方のことだった。
 呼び出しがかかって、現場に5時半ごろ、到着した。

 ブリオネスさんはデジカメでの撮影を命じられ、電池がなくなるまで、少なくとも15人の遺体をカメラに収めた。 

 そのあと、ブリオネスさんの部隊は、犠牲者の遺体に数字をマークし、ボディーバッグ(死体袋)に入れる作業を命じられた。
 ブリオリスさんは同僚の作業をサポートしていた。
 そのとき、彼に「最悪の瞬間」がめぐって来た。
 頭を撃たれた少女の遺体を自ら取り上げたときのことだ。

 ロサンゼルス・タイムズ紙の記者に対し、ブリオネスさんは「こうやって取り上げた」と、腕を伸ばしてみせた。そして言った。「でも、少女に首がぴょこん、ぴょこんと上に行ったり下を向いたり。それで、頭蓋骨の中身(脳)が、ぼくの足にかかったんだ」
 死んだ少女の脳(脳漿)がブーツを汚したのだ。

 同紙の記者のインタビューを、涙を流しながら聞いていた母親のスージーさん(40歳)によると、ブリオネスさんはそのあと何度も、イラクから自宅に電話をかけてよこした。そのとき、ブリオネスさんは母親にこう訴えた。
 「ママ、ぼくはブーツを拭えないよ。ぼくはブーツを拭えない。あの子(少女)のことが見えるんだ」

 ブリオネスさんは作業を終えて、基地に引き揚げた。現場を撮影したオリンパスのデジカメを置いて、その場を離れていた最中、何者かがデータをダウンロードしたようだった。ブリオリスさんは、現場で何もみなかったふりをしようと、撮影データを全部消去した。

 ことし4月の初め、カリフォルニアの実家に帰って来た。
 帰宅してすぐ、とんでもないことを仕出かした。
 トラックを盗んで住宅の居間に突っ込んだのだ。

 母親によると、ブリオネスさんは「心的外傷」の治療を受ける一方、断酒団体にも参加して不安と闘っているそうだ。

 ハデサでの、親友と少女の無残な死。
 イラク戦争は、ひとりのアメリカの若者を心をズタズタに切り裂き、いまなお苛(さいな)み続けている。
  
   
☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-marine29may29,0,2620650.story?coll=la-home-headlines

Posted by 大沼安史 at 01:25 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-29

〔イラクから〕 「ハデサの虐殺」 12歳の少女も証言 隣人が見ていた米海兵隊の凶行

 米ABC放送が5月28日、報じたところによると、「ハデサ事件」で新たに、12歳の少女が虐殺の模様を証言した。
 イラクの人権団体、「ハムラビ人権グループ」が収録した証言のビデオテープを同放送が流した。
 証言したのは、ユーニス一家でただひとり生き残ったサファさん。
 

 「米兵らはドアをたたきました。わたしの父がドアを開けに行きました。そのとき米兵はドアの向こう側から父を撃ち殺しました。米兵はもういちどわたしの父を撃ったあと、ドアを開けました」
 「そして兵士が一人現れ、わたしたち全員を撃ちました。わたしは死んだふりをしました。兵士はわたしのことに気づきませんでした」
     
         ◇

 一方、英紙、タイムズ(電子版)は29日、イマンさん(本ブログ既報。10歳になる彼女は、タイムズ紙に対して、家族が虐殺される模様を証言している)一家の隣人、ラーシフさん一家の悲劇を、すぐ近くかた目撃していた、23歳になる学生の証言で描き出した。
 エンジニアリングを勉強するモハメド・バシットさん(23歳)は、海兵隊員がラシーフ家に侵入するのを、自分の家の窓越しに目撃した。
 ラシーフさんの妻と義理の姉(か妹)、そしてラシーフ家の5人のこどもたち(2、3、11、15歳になる娘が4人、11歳になる息子が1人)が寝室に逃げ込むのが見えた。
 そしてそのあと手榴弾によるものとみられる爆発音が響き、射撃音が聞こえて来た。

 翌日、海兵隊はラシーフさんの家とイマンさんの家を封鎖した。両家は20メートル離れて建っていた。
 
 その夜、バシットさんは父親をともに、ラシーフさんの家に忍び込んだ。
 そして寝室で惨たらしい光景を目の当たりにした。
 「寝室は血だらけでした。内臓や人肉が地面に散らばり、ベッドの上には肝臓があった。天井まで血潮が飛び散っていました。壁など家中、銃弾で穴が開ていました」

         ◇

 イマンさんの家族の悲劇(本ブログ既報)にも目撃者がいた。
 イマンさんの隣人で、彼女のいとこにあたるアブデル・バシットさん(45歳)。
 イマン家から爆発音が響いてきてから15分後のことだった。
 イマンさんのおばのヒバさんが家から飛び出て来て、叫び声を上げ、アブデルさんの家に駆け込んで来た。
 「やつらは虐殺した。やつらは虐殺した」

         ◇
 
 誰が海兵隊員をしてそうさせたか?
 ハデサの悲劇を告発する矢は、虐殺を行った当事者である海兵隊員を突き抜け、ホワイトハウスへと一直線に向かう。

 責任を問われるべきは、復讐心と恐怖心に駆られ、正気を失って引き鉄をひいた海兵隊員だけではない。


http://abcnews.go.com/WNT/IraqCoverage/story?id=2015052&page=1

http://www.timesonline.co.uk/newspaper/0,,170-2201470,00.html

Posted by 大沼安史 at 09:02 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-28

〔イラクから〕 母子を跪かせて…… 「ハデサの虐殺」 米海兵隊員 婦女子ら住民を「処刑」

 英紙サンデー・タイムムズ(電子版)などが5月28日、一斉に報じたところによると、米海兵隊による「ハデサ事件」の虐殺のようすが写真に撮影されていた。

 サンデー・タイムズ紙が入手した写真のなかには、母子がまるで祈るようにフロアに跪いている写真が含まれている。至近距離から撃たれたばかりの写真だ。

 犠牲者は頭や胸を撃たれており、「処刑」スタイルで射殺された。

 同紙によると、24人の犠牲者のなかには、少なくとも7人の女性と3人の子どもが含まれている。


http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2089-2200170,00.html

http://observer.guardian.co.uk/world/story/0,,1784622,00.html

http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-marines27may27,0,7543928.story?coll=la-home-headlines

http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-marines28may28,0,2689.story?coll=la-home-headlines

Posted by 大沼安史 at 05:05 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-27

〔イラクから〕「ハデサの虐殺」 少女は見ていた! 英紙が報道

 米海兵隊が婦女子を含む非武装の住民24人を無差別に虐殺した「ハデサ事件」。その海兵隊員らによる凶行の一部始終を、10歳の少女が見ていた!
 英紙タイムズが少女にインタビューし、証言を電子版(下記)で報道した。

 家族が虐殺される現場に居合わせ、自ら負傷しながら生き延びて同紙に証言したのは、イマン・ハッサンさん。
 証言によると、昨年(2005年)11月19日の朝、7時過ぎ、虐殺は起きた。

 その朝、イマンさんはまだパジャマ姿で、学校に行く用意をしていた。
 そのとき、米軍の輸送部隊が家の近くの道路を通り過ぎて行った。

 道路脇に仕掛けられていた爆弾の爆発で、装甲車両のハムビーを運転していたミゲル・テラザス兵長(20歳、テキサス州エルパソ出身)が死亡したころ、イマンさんの家では、父親が隣の部屋で祈りを捧げていた。

 彼女の家は軽量ブロックでできた、ふつうの2階建ての住宅だった。
 
 道路脇の爆弾が爆発して15分後、米兵らがイマンさんの家に押し入った。武装抵抗勢力を探している様子だった。
 米兵らは彼女の父親に何事かを叫んだ。そして手榴弾を、祖父母の部屋に投げ込んだ。
 爆発の破片が母親に当たった。
 おばが赤ちゃんを抱きかかえて、家の外に走って逃げた。

 米兵らは、イマンさんの家族のほとんどが集まっていた居間のなかで銃撃した。おじのラシドさんが2階から降りてきて、家の外に逃げ出した。米兵が追跡し、射撃を加えた。

 「家のなかにいた家族は、わたしと(兄か弟の)アブデル・ラーマンの2人を除いて、アメリカ人に皆、殺された」と、イマンさんは言った。「わたしは恐ろしくて動くこともできず、枕の下に隠れようとしました。足に(手榴弾の)破片が当たりました。わたしの家族はすぐには死にませんでした。わたしたちは、家族のうめき声を聞きました」

 彼女の両親、祖父母、2人のおじ、そして4歳になるいとこのアブドラの7人が致命傷を負い、死亡した。

 イマンさんの親類によれば、埋葬の場に、米兵の集団が来て、謝罪した。狙撃兵が人々に狙いをつけてから、謝った。
 また、最近になって(いまから2ヵ月前)、1人あたり2万5000ドルの金を払いに来た。

 
 彼女が住むハデサは、デイツ畑に囲まれた、ユーフラテス川沿いの町。武装抵抗勢力の活動が活発な地域で、事件の3ヵ月前には米兵20人が殺害されていた。いまも、米兵がパトロールしている。

 イマンさんは言った。「わたしは憎んでいます。わたしたちを殺しに来て、すいませんと言っても何にもならない」

 タイムズ紙は、イマンさんの証言を紹介する記事のなかで、今回の事件が、アメリカ人のベトナム戦争観を一変させた「ミライ事件」と同じ影響を及ぼす可能性を示唆した。

 少女が生き延びたことで、イラク戦争の惨たらしさが、あらためて証明された。
 目の前で家族を殺された少女に証言に、わたしたちは心して、耳を済ませなければならない。

 「ハデサ事件」忘れまじ。
 ノーモア、イラク戦争!
 


http://www.timesonline.co.uk/article/0,,3-2199287,00.html

Posted by 大沼安史 at 02:18 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-26

〔イラクから〕 「ハデサ事件」を確認 イラクの「ミライ(ソンミ)事件」 海兵隊が住民24人を無差別殺害

 米紙ロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)は5月26日、サンジエゴ近郊ペンドルトン基地からイラクに出征した米海兵隊員らが4月26日、バグダッド西方のハデサで、婦女子を含む24人の非武装の住民を無差別に銃撃し、殺害したことが、米軍の調査で正式に確認されたと報じた。

 米海兵隊第1師団第1連隊の第3大隊を中心とした数人の海兵(マリーン)たちで、他の海兵たちも制止せず、虚偽の報告を行っていた。

 これらの海兵たちは、イラク派遣3回目。
 武装抵抗勢力を捜索中、数軒の民家に入り、乱射した。

 (大沼・注)
 ベトナム戦争当時の1968年3月16日朝、南ベトナムのソンミ村ミライで、米兵が540人もの一般住民を殺害した。それが「ミライ(ソンミ)事件」だ。
 今回の「ハデサ事件」は、被害者の数こそ違え、その内実は同じである。
 
 絶望と殺意に狂った米兵による戦場での蛮行。
 米国のジャーナリズムによる徹底調査を望む。

 「事件」を最初に暴露した「タイム」誌に敬意を表す。
  

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-marines26may26,0,7085174.story?coll=la-home-headlines

Posted by 大沼安史 at 05:19 午後 | | トラックバック (0)

〔コラム 机の上の空〕 ロスのコミュニティー農園を守れ ジョン・バエズさん 胡桃の樹上で「篭城」プロテスト 「木の家」のステージから「♪ われわれは動かない」歌う

 米国ロサンゼルス市の南部のコミュニティー農園に立つ一本の胡桃の大木の樹上から、ジョン・バエズさん(65歳)が歌ったそうだ。

 あの、We Shall Overcome.の替え歌を、スペイン語を交えて。

 ♪ No nos moveran, como un arbol firme junto al rio. We will not be moved, like a firm tree next to the river.

 (われわれは動かない。川岸に立つ強靭な一本の木のように)

 地上15メートルの「木の家」のステージ。
 ジーパン姿のバエズさんはマイクを手に、樹の周りに集まったヒスパニックの農民らに向かって、勇気と連帯の歌声を響かせた。
 5月24日(水曜日)のことだ。

 その場所は、「南部中央農園」と呼ばれる、14エーカーのコミュニティー農園で、350人ものヒスパニック系農民たちが10年間にわたって、ハーブやサボテンを育てる「コモンズ」として使って来た。
 もともとは市有地で、1992年の「ロス暴動」のあと、地域の「食糧バンク」が借り受け、コミュニティー農園として共同利用されていたが、3年前、民間人に払い下げられ、それがデベロッパーに転売された。

 その農園のシンボル、一本の胡桃の木の樹上につくられた「木の家」に、バエズさんが登ったのは、前日、23日の火曜日。
 ジュリア・“バタフライ”・ヒルさんという、25歳の女性の呼びかけに応え、農園を守る運動に参加した。
 ジュリアさんは1997年から99年にかけ、サンフランシスコ北方の森のなかで、樹齢600年の大木を木材会社の伐採から守ろうと、なんと738日間も樹上「篭城生活」を送った活動家だ。

 プロテストにはバエズさんだけでなく、ハリウッドのセレブたちも加わった。女優のダリル・ハンナさんは樹上には登らなかったが、現地のテント村に泊り込んだ。ロック歌手のベン・ハーパーさんも夫人で女優のローラ・ダーンさんとともに現地に駆けつけた。

 裁判所の立ち退き命令が出るのに合わせて開かれた24日の集会で、バエズさんは樹上から「わたしは感嘆し感動した。わたしは褐色の肌をしたみなさんと強い絆で結ばれている」と演説し、そのあと、「♪ われわれは動かない」の音頭をとった。

 その様子を伝えるロサンゼルス・タイムズ紙に「写真ギャラリー」がついていて、そこに現地のスナップ写真が掲載されていた。
 白いシャツにジーンズの颯爽とした姿。
 老いを感じさせない顔には、気品と闘志が漂っている。

 イラク戦争への反対運動。そして、こんどは、農園を守る運動。

 あなたはなぜ、人生のすべてを抗議行動に捧げて来たのか?
 そんな、英紙インディペンデントのワシントン特派員の電話取材に答え、バエズさんはこんなふうに語った。

 「わたしの人生に意味を与えてくれたもの、それは常に声を聞いてもらえない人々と肩をならべて立っているとき、わたしが感じたものでした」

 そのインディペンデント紙のワシントン特派員電に、こんな見出しがついていた。

    she shall overcome

    (彼女はきっと勝つだろう)

 バエズさんはロスの農園を守る運動に、必ずや勝利するに違いない。

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http://www.latimes.com/news/printedition/la-me-farm25may25,1,3490864.story

http://news.independent.co.uk/world/americas/article601333.ece

Posted by 大沼安史 at 01:12 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2006-05-25

〔イラクから〕 米軍 レーザー兵器を使用開始 失明の恐れも 米紙が報道

 米紙ロサンゼルス・タイムズのバグダッド発特電(電子版、5月18日付け)によると、在イラク米軍はレーザー兵器のテスト使用に踏み切った。
 M4ライフル銃の銃身に装着し、レーザー光線を照射するもので、有効射程は約300メートル。レーザー光線の断面は、103.5メートル先で約40センチ。
 検問所に車で向かってくる不審者に対して浴びせ掛ける。
 照射されると、瞬間的に目がみえなくなるという。

 同紙によれば、こうしたレーザー兵器の使用は、失明を引き起こす恐れがあるとして、ジュネーブ条約で使用が禁止されている。
 ニューヨークに本部をおく人権団体「ヒューマン・ウオッチ」によれば、ペンタゴンは強力なレーザー兵器の開発はキャンセルしているが、今回、イラクの米軍が使用を開始した「弱い幻惑」レーザーであっても、目に永久的なダメージを引き起こす。

 米軍はバグダッドなどで5、6種類のレーザー兵器を実戦テストしている。 

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http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-marlboro19may19,0,4643056.story?coll=la-home-headlines

Posted by 大沼安史 at 03:28 午後 | | トラックバック (0)

〔重要NEWS〕 スマトラで鳥インフルエンザ 7人死亡 初の人体感染か 通貨パニック売りも

 インドネシアの北スマトラで、鳥インフルエンザにより、一緒に暮らしていた7人が死亡した。初の人体感染の疑いがある。鳥インフルエンザの爆発感染が、秒読み段階に入ったかたちだ。 

 英紙タイムズ(電子版、5月25日付け)が報じたところによると、北スマトラのクブ・センベラン村に住む、大家族が感染した。

 現在、入院している一家の大黒柱、ジョネド・ギンテイィンさんの妹(29歳)が最初に発症、同じ部屋で看病していた彼女の息子2人と、32歳になる彼女の兄(ジョネドさんとは別の兄)も感染し、4人とも死亡した。
 H5N1型ウイルスは隣室に住む4人に対しても襲いかかり、ジョネドさんを除く3人が亡くなった。
 同じ屋根の下に住む人から人へと感染した疑いが強い。

 この知らせを受けて東京市場ではインドネシアをはじめ、周辺のタイ、フィリピンの通貨をドルに換える「パニック売り」が起きた。

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http://www.timesonline.co.uk/article/0,,3-2196083,00.html

Posted by 大沼安史 at 02:40 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-24

〔NEWS〕 「ムサオイは9・11に無関係」、ビンラディンがネット・メッセージ

 YaHooニューズが報じたAP電によると、ビンラデインを名乗る人物が5月23日、ネットでビデオメッセージを流し、先に米国の裁判所で無期判決を下されたムサオイ被告は「9・11」と無関係であると言明した。
 この人物について米当局者のひとりは、AP通信に対し、ネットに掲示されたテープがビンラディン本人によるものであることを疑う理由はない、と述べた。
 (ということは、ビデオはビンラディン自身によるものである可能性は高いことになる。仏紙ルモンドの電子版に載っているビデオのビンラディンはどう見てもビンラディンだ。病気なのか、かなり痩せている-大沼注)
 テープはまた、グアンタナモ強制収容所の囚人についても言及し、彼・彼女らも9・11に関与していない、と語った。

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http://news.yahoo.com/s/ap/20060524/ap_on_re_mi_ea/bin_laden_tape_moussaoui;_ylt=Aqkfh_LFj72bhIhMT1YCN1Cs0NUE;_ylu=X3oDMTA2Z2szazkxBHNlYwN0bQ--

Posted by 大沼安史 at 03:39 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-23

〔NEWS〕 国防長官私邸前で4人が逮捕 メッセージを手渡そうとして

 米国の女性反戦グループ、「コードピンク」の発表によると、5月19日午後5時半ごろ、ワシントン市内のラムズフェルド国防長官の私邸前で、平和のためのメッセージを手渡そうと待ち構えていた同グループのメンバーら4人が逮捕された。
 4人は他の市民ら150人とともに、ホワイトハウス近くから同私邸前までデモ行進し、代表してメッセージを手渡そうとした。
 デモ隊はホワイトハウスで、ブッシュ大統領あての4万人署名の請願書を手渡したあと、国防長官の私邸に向かった。

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Posted by 大沼安史 at 02:00 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 グアンタナモで反乱

 キューバのグアンタナモ米海軍基地に設けられた強制収容所で5月17日、囚人たちが反逆した模様だ。
 英紙インディペンデント(電子版)が21日に報じた、米軍当局者による言明では、同日昼ごろ、服役態度が良好な房に拘束されていた10人の囚人たちが、監視カメラや蛍光灯の管などでつくった手製の武器を手に立ち上がり、駆けつけた鎮圧部隊との間で闘いを繰り広げた。
 反逆した囚人たちが鎮圧部隊のゴム弾、唐辛子スプレーで鎮圧された。囚人5人が軽症を負ったという。
 さらにその日の真夜中ごろ、年老いた囚人1人が鎮圧された。

 (大沼・注)
 ハンストで抵抗していた人々がついに決起した。
 インディペンデント紙は「反乱に近い」と表現したが、囚人たちとしては決起しても勝てると思ったわけでなかろう。グアンタナモ収容所はそれほどまでに警備が厳重なのだ。
 鎮圧されるのを承知で、それも立ち上がった囚人たち。

 グアンタナモでのレジスタンスはなお続いている。

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http://news.independent.co.uk/world/americas/article549504.ece

Posted by 大沼安史 at 01:51 午後 | | トラックバック (0)

〔がんばれ、シンディー!〕 パッチ・アダムスに励まされ……

 「平和の母」ことシンディー・シーハンさんが、「母の日」を中心とした出来事をエッセイ(下記⇒参照)に書いていた。
 それを読んで、いいことをふたつ知った。

 ひとつは、シンディーさんのことが映画化されることだ。
 2004年4月4日、イラクで死んだ息子さん、ケイシーの母親役=シンディーさん役を演ずるは、スーザン・サランドンさんだ。

 もうひとつは、あのパッチ・アダムスさんが、シンディーさんの新しい友だちになったことだ。
 ウエストバージニア州で、ユーモア(道化)、愛、無料の医療を実践するパッチ・アダムスさんが道化の姿で現れ、シンディーさんを抱きしめたそうだ。
 「シンディーとパッチ・アダムス」のツアーをやろうねと話し合ったそうだ。

 そのくだりを読んで嬉しくなった。 
 

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.commondreams.org/views06/0522-33.htm

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2006-05-22

〔いんさいど世界〕 赤は希望の色 U2のボノさんが提唱する「プロダクト・レッド」運動に参加、続々

 「プロダクト・レッド」を知っていますか?
 強いて訳せば「赤製品」運動。
 アイルランドのダブリン出身のロックバンド、「U2」のボーカリストのボノさんが提唱して、世界に広がっている運動だそうです。

 ボノさんがことし1月下旬、スイスのダボスで開かれた「世界経済フォーラム」(ダボス会議)でアピールして始まった、世界的なキャンペーンです。

 恥ずかしいことに、ぼく(大沼)はつい最近まで知りませんでした。
 「ダボス会議」のことは、ぼくも関心があってネットで追っかけていたつもりですが、女優のアンジェリーナ・ジョリさんにばかし目が向いていて、ボノさんのアピールのことは見落としていました。

 そのボノさんが呼びかける「赤製品」運動を知ったのは、今月(5月)16日のことです。
 その日の英紙インディペンデント(電子版)のサイトにアクセスしたら、見出しが真っ赤かの「紙面」が出て来てビックリしました。
 インディペンデント紙がボノさんの呼びかけに応え、その日、赤インクで刷った「赤版」を特別発行し、売上の一部を寄付に回しました。

 そう、その通り、「赤製品」運動とはその名の通り、「赤い」製品を販売した売上の一部を寄付する運動のことなのです。
 さすがロンドン・タイムズ紙から独立した、自立心旺盛な「インディペンデント」紙のジャーナリストたち。やることが違いますね。

 で、ボノさんが呼びかけるこの運動の支援先はどこかというと、エイズ患者たちです。それも、アフリカの最貧国の。
 赤インクのインディペンデント紙にも実情がルポされていましたが、アフリカのエイズ禍はきわめて深刻で、エイズで両親を亡くしたエイズのお姉ちゃんがこれもエイズの幼い弟の世話を必死でみている。そんなのがフツーな状況だそうです。放っておいたら、その国というか、民族が滅んでしまう。これはもうなんとかしなくちゃならないわけですね。

 インディペンデント紙以外でどんなところが、「赤製品」運動に参加しているか、というと、たとえば、カード会社の「アメックス(アメリカン・エクスプレス)」です。
 ふつうは緑色のカード(お金持ちはゴールドとかプラチナカードを持てます)ですが、レッド・カードというのを発行していて、売上の1%をエイズ救済に回しています。
 (ぼくも早速、アメリカンエクスプレスの日本法人に連絡したのですが、今のところ発行しているのは英国のみ。日本での発行はまだ決まっていないそうです)

 日本の店はまだのようですが、衣料品のGAPも運動に参加していているそうです。
 そう、赤のTシャツで。アメリカやイギリスの店では、売っています。

 それからアルマーニはサングラス(赤いサングラスではありませんが…)、ナイキ傘下のコンバースも「チャック・テイラー・オースター・シューズ」というのを、協賛商品にしています。
 そのほか、最近ではモトローラが「赤い携帯」を売り出しました。

 日本での運動開始はまだですが、ニッサンなんか、赤いフェアレディーZなんかを「赤製品」に指定して、先陣切って運動に参加してもらいたいですね。
 仙台の赤味噌とか、山形の紅花とか、ぼくたちの地元にだって、運動に協賛できそうな特産品、けっこうあるじゃないですか?

 それにしてもU2のボノさんって、いいこと、やりますよね。
 21日付けのニューヨーク・タイムズ紙(電子版)を見ていましたら、ボノさんがアフリアのナイジェリアの首都、アブジャで開かれた、アフリカの財相会議で、21日の日曜日に、こんな意味の演説したそうです。
 あなた方の国の汚職がなくならないと、世界の誰からも相手にされなくなりますよ、と。
 あなたたちも汚職にうつつを抜かしてないで、真剣に足元の問題に取り組みなさい、そうしないと見向きもされなくなりますよ、って、アフリカの腐敗エリートどもの耳が痛くなるような演説をしたわけです。

 さすが、主張を持った闘うロック・ミュージシャン、U2のボノさんですね。
 日本からもボノさんのような、世界を文字通り揺り動かす(ロックする)ミュージシャンが出てほしいものですね。  
 

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)

Posted by 大沼安史 at 02:28 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2006-05-19

〔イラクから〕 イラクのミライ事件、「ハデサの虐殺」 国防総省が調査

 ベトナム戦争時の、あの「ミライ事件」を思わせる、米軍による住民虐殺事件が明るみに出ようとしている。

 昨年(2005年)11月20日、バグダッドの北西225キロのハデサ(Hadeiyha)で、15人の婦女子が死亡した事件は、海兵隊による住民虐殺だった疑いが急浮上している。
 米国防総省は事件の真相を調査中だが、元海兵でベトナムで戦ったことのある連邦下院議員、ジョン・マーサ氏は17日、「わたしたちの兵士はプレッシャーのなかで過剰反応してしまい、罪もない一般住民を冷血漢のように殺害してしまった」と嘆いた。
 国防総省に太いパイプを持つ同議員の発言は、虐殺の事実を指し示すものといえるだろう。

 当初、海兵隊は、事件をこのように説明していた。
 道路わきにしかけられた爆弾が爆発し、海兵1人が死亡。通りかかったバスに乗っていた住民15人も巻き添えをくって死んだ、と。

 ところが、現場の様子をビデオで撮影していたイラク人がいて、映像は米誌「タイム」の手に渡り、海兵隊の発表とはまったく違う事実が浮かび上がった。
 ビデオカメラが撮影したのは、路上ではなく、血まみれの住宅の寝室の床。壁は銃弾で穴が開き、部屋には肉片が飛び散っていた。

 事件を引き起こしたのは、第1海兵師団の12人の兵士たちらしい。
 マーサ議員の指摘を、国防総省は否定しなかった。

 「ハデサ事件」の真相究明が待たれる。
 

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http://news.independent.co.uk/world/americas/article548167.ece

http://www.nytimes.com/aponline/us/AP-Iraq-Fatal-Raid.html?_r=1&oref=slogin

http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F6091EFF345A0C728EDDA80994DD404482

Posted by 大沼安史 at 01:31 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-18

〔NEWS〕 「9・11ペンタゴン・ビデオ」 小型機説も

 ペンタゴンが今回、情報公開した「9・11ビデオ」についてフランスのAFP通信は、機体先端部が瞬間的に映っているとしているが、それが事実だとしても、ペンタゴンが主張するように、アメリカン航空77便のボーイング757型機が突っ込んだことにはならない――そんな見方が依然として燻り続けている。
 現場の状況からして、ボーイング757型機ではなく、より小型の航空機が突入したのではないか、との疑惑である。

 関心のある方は下記のサイトをごらんになっていただきたい。

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http://911research.wtc7.net/pentagon/evidence/videos/fiveframes.html

http://911research.wtc7.net/pentagon/analysis/videoframes.html

http://www.asile.org/citoyens/numero13/pentagone/erreurs_en.htm

Posted by 大沼安史 at 03:46 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 ペンタゴン情報公開の「9・11ビデオ」 機体先端部をとらえる AFPが報道

 仏紙ルモンド(電子版)は5月17日、ペンタゴンが情報公開した「9・11ビデオ」に関するAFP電を掲載した。 
 AFPによれば、ビデオには地上すれすれに現れた「フィズラジ」(fuselage、機体先端部)が瞬間的に映っている、という。

 (大沼・注)

 問題のビデオをなんども見たが、AFPのいうような機体らしきものを視認できなかった。

 むしろ、爆発の直前、画面の右から左へ、白い糸のように地上すれすれを猛スピードで飛んでいく(ような)物体(と思われるもの)の方が気になった。

 AFPの指摘どおりなら、「ミサイル説」は消える。
 専門家によるビデオの分析結果が待たれる。

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http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3222,36-772680@51-750423,0.html

Posted by 大沼安史 at 02:38 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 機密漏洩でFBIがジャーナリストの通話記録を収集・分析 危機に立つ「報道の自由」

 米ABC放送のブログ・ニューズが5月16日に報じたところによると、CIA(米中央情報局)からの機密の漏洩事件を捜査しているFBI(米連邦捜査局)が、ジャーナリスト(リポーター)の通話記録を入手する動きを強めている。
 「司法筋に情報源を持ち、信頼を集めている(ネーション誌)」ブライアン・ロス、リチャード・エスポジトの両記者が明らかにした。
 両記者によれば、FBI筋(複数)は、ABCのほか、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト紙の記者の通話記録の収集について、否定しなかった。
 こうしたFBIの動きについて同筋は、新たに愛国者法に盛られた「国家安全文(National Security Letters)」条項に基づくものであると語った。
 FBIは声明を発表、漏洩捜査は当然、政府の通話記録の精査から始まるとして、続行を示唆した。

(大沼・注)
 このFBIの捜査手法は、「報道の自由」を踏みにじるものであり、きわめて遺憾である。
 日本の報道機関もワシントンなどに特派員を置いているだから、無関係なわけではない。
 日本新聞協会も、「対岸の火事」を決め込まず、ブッシュ政権に対して抗議すべきではないか?

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http://www.csmonitor.com/2006/0516/dailyUpdate.html

Posted by 大沼安史 at 12:40 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-17

〔重要NEWS〕 ペンタゴンに突っ込んだのはハイジャック機ではなく、やはりミサイル?! 米国の市民団体、9・11の「実写ビデオ」の情報公開を勝ち取る 死角からの映像、機影を確認できず

 米国防総省(ペンタゴン)は2005年5月16日、米国の市民団体「司法ウオッチ(Judicial Watch)」が情報自由法に基づく請求していた、「9・11」の現場実写ビデオ(末尾の⇒をクリックすると見ることができる)を公開した。

 ペンタゴンの駐車場の監視カメラ2台が撮影したビデオ映像2本で、いずれも3分強の長さ。

 建物の向こう側で火の玉が出現、炎を煙が立ち上がる様子が0.5秒ごとのコマ送りで映し出されている。

 ほぼ同じ角度から撮影された2つの映像のいずれにも、「突入するジェット旅客機」の機影は見当たらない。
 むしろ、フランス人ジャーナリストらが指摘していた「ミサイル説」を裏付けるような映像である。
 もちろん、映像にミサイルが映っているわけではないが……。
  

 このビデオ公開について英紙インディペンデント(電子版、17日付け)は、「あまりにも不明瞭な映像なので、ネット上で流布されている、ハイジャック機(アメリカン航空77便)ではなく、ミサイル攻撃によるものとの陰謀説を鎮静化させはしないだろう。真の問題は、なぜペンタゴンがこれだけ長期にわたって、こうした映像の公開を妨害していたか、という点にある」と指摘している。

 9・11をめぐる、ブッシュ政権=ペンタゴンによる陰謀説が一段と現実味を帯びて来た。

    

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http://www.judicialwatch.org/flight77.shtml

http://news.independent.co.uk/world/americas/article485496.ece

Posted by 大沼安史 at 02:23 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-16

〔いんさいど世界〕 ネット・デモクラシーに危機、迫る R・ライシュ氏が緊急警告

 米国のリベラル派の論客、ロバート・ライシュ氏(現カリフォルニア大学バークリー校教授)が、インターネット・デモクラシーが危機に瀕していると警告を発している。
 連邦議会下院で審議中の「2006年コミュニケーション機会・推進向上法」案が、ネットにおける通信の平等を破壊しようとしているとの警鐘だ。
 この法案を阻止する戦いは、「インターネット・デモクラシー防衛戦争の最初のリアルな戦い」だとして、ライシュ氏は、反対運動への決起を呼びかけている。
 この戦いは、日本に住む我々にとっても、無関係なことでは決してない。

 ライシュ氏によれば、この法案はネット回線を管理する「パイプ」企業が、コンテンツのプロバイダー(供給者)に対して、「安定的かつ高速の配信」への対価(課金)を徴収する道を切り開くものだ。
 光ファイバー網などの管(パイプ)を敷設、運営している「パイプ」企業の言い分は、こうした課金をして収入を増やさないと、次世代ネットワークの構築費を捻出できない、というものだが、金力(権力)のあるコンテンツ・プロバイダーならいざしらず、ブログなどさまざまコンテンツをネットに流している、フツーのネチズン(ネット市民)らは、「安定・高速」な通信から弾き出されてしまう。
 「ネットは中立」であるべきなのに――ネット参加者は一個のネット市民として、誰でも・何でも平等なはずなのに、せっかく現実化している、そうした「ネット・デモクラシー」を、同法案は解体してしまうものだと、ライシュ氏は警告の鐘を鳴らしている。
 「インターネットはゴリアテ(巨人)をダビデが倒しうる場所であり続けて来た……それは、あらゆる声が等しくある、唯一のフォーラム(広場)であり続けて来た」、それを富裕な権力が占有しようとしている、と。

 これを道路にたとえるなら、高速道路は力のある者だけに公開します、フツーの人間は渋滞した一般道でがまんしなさい、というようなものである。
 これはもう、「ネット世界のアパルトヘイト化」ではないか。

 「ネット独占資本主義」による「ネット・デモクラシー」の破壊を許してはならない。

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http://www.commondreams.org/views06/0511-24.htm

Posted by 大沼安史 at 04:38 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 ロンドン地下鉄テロ、消えた「主犯」への盗聴テープを隠す 英情報機関

 昨年(2005年)7月7日のロンドン地下鉄テロの実行犯を操り、決行の前に国外に脱出していたグループの主犯、モハメド・シディーク・カーン容疑者の通話を、英国の情報機関、MI5が盗聴し、録音しておきながら、その録音テープのトランスクリプトを英国議会の「地下鉄テロ調査委員会」に提出していなかったことが、英紙サンデー・タイムズ(電子版、14日付け)の報道で明らかになった。

 同紙によると、カーン容疑者は録音された通話のなかで、爆弾の製造法について話し合う一方、警察の目が厳しくなりそうだから国外で出る、と語っている。
 MI5は、盗聴をしかけるほど同容疑者をマークしておきながら、なぜか逃走を許していた。

 録音テープを文章化したトランスクリプトを、議会の調査委に提出しなかったのは、そうした失態が表にでることを恐れたためとみられる。

(大沼・注)
 「7・7テロ」はやはり「やらせ」だったのか?……
  

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http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2087-2179602,00.html

Posted by 大沼安史 at 12:54 午後 | | トラックバック (0)

2006-05-15

〔コラム 机の上の空〕 ニューオルリーンズの女の子へ 素敵な贈り物 それは卒業パーティーで身に付けるドレス

 ニューオルリーンズ発のワシントン・ポスト電(電子版、5月12日付け)を読んで、うれしくなった。
 「カトリーナ」の被災地の女子高校生たちが、支援のドレスを身につけてプロム(卒業パーティー)に臨んだという。
 アメリカの女子高生たちにとって、プロムはひとりの女性として社会に「デビュー」する、大事な、大事な時。
 ハリケーンに襲われ、どん底につきおとされて、プロムの晴れ舞台にドレスアップして進み出る夢をあきらめていた女の子たちが、プレゼントされたガウンを着飾り、シンデレラのようにフロアで踊ったそうだ。

 「カトリーナ」は、ニューオルリーンズのキャブリニ高校の生徒たちにも深い痛手を負わせた。440人いた生徒の35%が、すべてを失ってしまった。
 水が引いたあと、避難先から戻って来たが、家は洪水で破壊され、家財は流され、一家離散の憂き目にあった。
 
 そんなキャブリニの女子高生たちに。プロム用のドレス(ガウン)を贈ったのは、首都ワシントンの郊外に住む、同じ高校生のマリッサ・ウエストさん(18歳)。
 マリッサさんはハーバード大学への進学が決まった、卒業間近の高校生だが、この冬、最終学期の試験を終え、プロムで何を着ようかと考えはじめたとき、ふと、あることに気づいた。
 「カトリーナで大変な目に遭った、ニューオルリーンズの女の子たちは、プロムのドレスを用意できるのだろうか?」

 そこでマリッサさんは、両親やボーイフレンドの助けを借りて、ニューオルリーンズの高校へプロム用のドレスを贈る運動をはじめた。
 彼女の活動は、地元紙のワシントン・ポストやテレビでも紹介され、最終的に2800着、ゆうに10校分のドレスが集まり、被災地へと送り出された。

 同世代の女の子たちが寄贈を申し出て来た。
 男性は、亡くなった奥さんのイブニングドレスを贈ってくれた。
 運動業者が無料配送を申し出て来た。

 そうして届いたパーティー・ドレスをキャブリニなどニューオリリーズの女子高生が身に着けた。

 キャブリニ高校のプロムは、11日に行われた。
 マリッサさんも招待され、ゲストとして参加した。
 「ドレスがうれしいのではなく、あなたの気持ちがうれしい」と、マリッサさんに、キャブリニの女の子は言った。

 そのプロムの様子を伝えるポスト紙(電子版)に、「写真集」がついていたので見てみた。
 そのなかに、黒人の女の子が化粧をして、ボーイフレンドの車で会場に向かう写真があった。

 それを見て、胸がジーンと来た。
 アメリカの草の根にはまだ友愛の心が残っているのだな、と。

 キャビリニ高校のことしのプロムのテーマは、フランス語で「よき時よ、回れ(Laissez Les Bons Temps Roulez)」。

 プロムの会場によき時が流れたことは、いうまでもない。
 
 

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Posted by 大沼安史 at 10:38 午前 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2006-05-12

〔NEWS〕 監視国家化、進む米国 ペンタゴンの秘密諜報機関、NSAが数千万のアメリカ人(企業)の通話記録を電話会社から入手 米紙がスクープ報道 内部告発者が暴露 ブッシュ政権の「暴走」に抗議か?

 米国防総省(ペンタゴン)が管轄下におく秘密諜報機関、NSA(国家安全保障局)が、数千万のアメリカ人(企業)を対象に、その通話記録を電話会社から秘密裏に入手して来たことが、米紙USAツデー(5月11日付け、電子版)のスクープ報道で明らかになった。
 ワシントン・ポスト紙も追随報道で事実を確認している。
 NSA関係者(複数)が「内部告発」に踏み切ったもので、一般市民の通話記録まで収集するブッシュ政権の姿勢に批判の大合唱が起きている。

 NSAは、全世界規模で盗聴・盗視網、「エシェロン」を運営している諜報機関だが、本ブログで既報の通り、昨年12月、自国民の通話を対象に令状なしで通話を傍受していることが、ニューヨーク・タイムズ紙によって暴露されたばかり。
 ブッシュ政権はその弁明として、アメリカから国外あての通話に限った傍受であると言い張り、国内での通信傍受活動を限定的なものとして揉み消しを図っていた。
 今回のUSAツデー紙の報道は、そうしたホワイトハウスの弁明を否定するもので、今回、明らかになった、ブッシュ政権による自国民に対する大規模なプライバシー侵害は、政権の命取りにつながる可能性を秘めている。

 同紙の報道によると、NSAの電話会社からの通話記録の入手は、2001年の「9・11」の直後から始まった。
 具体的にはAT&T、ベリゾン、ベルサウスの電話会社3社と契約、ターゲットとする電話番号の通話記録を定期的に入手して来た。
 電話会社は指定された電話番号の通話記録だけを提供、所有者の名前などの個人データはNSA側に渡していない。
 コロラドに本社をおくQWEST社だけは、通話記録の提供を拒否して来た。

 NSAが電話会社から入手したデータは、「ソーシャル・ネットワーク分析」にかけられ、テロリストらのネットワークの、コミュニケーションの実態解明に使われてきた、とされるが、同紙によれば、NSAが収集した通話記録には、一般のアメリカ人の電話も含まれているという。

 プライバシーの侵害にあたるこうした秘密活動を命じたNSAのトップは、ブッシュ大統領がこのほど、新しいCIA(中央情報局)の局長に指名した、ミッチェル・ヘイドン氏(米空軍の将軍)。
 今回の暴露報道で、ヘイドン氏の議会承認が流れる可能性が高まった。

 (大沼・注)ディープスロートはCIA関係者か?

 ヘイドン氏のCIA入りは、軍産(石油)複合体の利益の代弁者たるブッシュ政権=ペンタゴンによる諜報コミュニティー支配をより強化しようとするもので、違法行為も辞さないその強引な姿勢に対し、CIAなど諜報機関の関係者から反発が出ていた。

 その点からすると、今回、USAツデー紙の取材に対し、証言に踏み切った「NSA関係者」とは、NSA内部の人間ではなく、NSAから情報を得ているCIAの人間である可能性も考えられる。

 CIA内部の生え抜きとしては、イラクのWMD(大量破壊兵器)でっち上げなど、疑惑の捏造をもいとわない、ペンタゴンによるCIAの下請け機関化は到底受け入れられるものではなく、今後、第二、第三の内部告発が出て来そうな雲行きだ。
 
  

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http://www.usatoday.com/news/washington/2006-05-10-nsa_x.htm

http://www.msnbc.msn.com/id/12734870/

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2006-05-11

〔コラム 机の上の空〕 ムサオイ被告の「改心」

 本ブログ既報の通り、アメリカ人の陪審によって死刑を免れ、終身刑に減刑されたテロ容疑者のムサオイ被告(37歳、フランス国籍)が5月8日、一転して無実を訴え、再審を求めたことを、仏紙、ルモンド(9日付け、電子版)が報じた。

 公判で自らの罪を認め、「9・11実行犯」との「共犯」であるとしていた被告が、実は「アタ容疑者などと会ったこともない」と、法廷での証言を翻し、なぜ「再審」を申し出たのか?

 その「豹変」について、再審の申立書のなかでムサオイ被告は、陪審が検察(ブッシュ政権)による「死刑」の求刑を却下したことで「(このアメリカで)公正な裁判が可能である」ことがわかったから、と、その動機を述べた。

 実際、ムサオイ被告は裁判を通じ、国選の弁護団とも衝突を繰り返し、「イスラム信者の弁護士」を要求したりもした。
 アメリカの司法に強い不信感を抱き、死刑を覚悟で挑発的な言辞を繰り返していた。

 そのムサオイ被告の再審申し立ては、裁判所によって却下された。
 法廷で行った有罪を認める証言を、判決が出たあと覆すことはできない、とする連邦刑法第11条の規定に基づく決定だった。

 それはある意味で、当然過ぎる決定で、被告の弁護団も却下されることを見越して、再審の申し立てをした。

 このルモンド紙の記事を読んで、ちょっと嬉しくなった。
 ムサオイ被告が、アメリカ人の心の底流にある「正義」というものに対して、信頼を取り戻した、ということを知って、少しばかり胸が熱くなった。

 ムサオイ被告自身、たぶん「却下」されることを知りながら、敢えて弁護団に再審の手続きをとるよう求めたのではないか?

 わたし(大沼)の「直感」でひとこと言わせてもらえれば、おそらく、ムサオイ被告は、再審申立書にあるとおり、「9・11」実行犯の「共犯」ではなかった。
 被告はその「真実」を、再審を通じて、最後に訴えておきたかったような気がする。

 被告はコロラド州の刑務所に収監され、「余生」を送ることになるが、反省の日々のなかで体験を昇華させ、苛酷な幼少期の記憶を含め、ぜひともメモワールを書いてもらいたいものだ。 

 それが「死刑」を減刑してくれた、フツーのアメリカ人陪審たちへの、ひいては、アメリカの「法と正義」への、被告個人としての応答責任であろう。 

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Posted by 大沼安史 at 11:27 午前 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2006-05-08

〔NEWS〕 バグダッドに「ブッシュ宮殿」、世界最大の米大使館、建設開始

 イラクの首都バグダッドを流れるチグリス川の岸辺で、米国として世界最大の大使館が建設されている。
 英紙、タイムズ(電子版、5月3日付け)が報じた。

 2007年6月の完成を目指す建築工事により、42ヘクタールの敷地に21のビルが建つ。
 地下発電所と浄水場、テニスコートなどもできる。

 総工費は5億9000万ドル。
 クェートの建設会社が受注し、完全警護のなかで工事が続いているという。

 建設現場には遮蔽用の高い塀がめぐらされているが、大型クレーンなどが空に突き出しており、その威容はいやでも目に付くという。
 バグダットの市民たちはこの新しい米大使館のことを「ジョージ・Wの宮殿」と呼んでいるそうだ。
 日本流にいえば「ブッシュ宮殿」とでもいうべきか。

 そのスケールはサダム・フセイン時代の宮殿をしのぐという。

 戦乱が続くイラクでスケジュール通り、金に糸目をつけず着々と工事が進んでいるのは、この「ブッシュ宮殿」だけだ。

 (大沼・注)

 大使館と呼ぶべきか、はたまたアメリカ帝国の要塞というべきか。
 この工事をみるにつけ、アメリカがイラクを半永久的に(石油のなくなるまで)占領しようとしていることは明らかだ。

 豪紙、ヘラルド・サン(電子版、5月6日付け)のワシントン特派員電によれば、ブッシュ大統領はテレビでのインタビューで、9・11当日、ペンシルバニアの野に墜落したハイジャック機、「93便」内で乗客が決起したことに触れ、「あれは第3次世界大戦の最初のわれわれの反撃だった」と述べた。

 イラク戦争も、来るべきイラン戦争も、ブッシュの認識のなかでは「第3次世界大戦(の初期段階)」と位置付けられている。

 その意味では、バグダッドに大要塞を建設するのも、無駄なことではない。

 

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2006-05-06

〔For the Record〕徴兵センターの扉を杖で叩きながら、『天使のハンマー』を歌った91歳の「反戦おばあちゃん」のこと

 アメリカの18人の反戦おばあちゃんがニューヨークの裁判所で無罪放免の判決を勝ち取ったことは本ブログで既報の通りだが、彼女たちが昨年秋、ニューヨーク・タイムズスクエアでどんな「狼藉」を働いたかが分かったので、歴史にとどめるために、ここに紹介する。

 教えてくれたのは、アメリカのジャーナリスト、エレン・グッドマンさん。
 エレンさんは反戦放送局のキャスターもつとめている人で、ぼく(大沼)はファンのひとり。
 その彼女が、米紙、ボストン・グローブに18人の最年長、リリアン・ランヨン(Lillan Runyon)さんの「素敵な狼藉」ぶりを書いていた。

 タイムズスクエアにある米陸軍の徴兵センターでのこと。
 18人のおばあちゃんたちは、イラク戦争に抗議するため同センターに入ろうとして、兵士らに追い出された。
 入口のドアを内側からロックした兵士たち。

 中に閉じこもった兵士らに聴こえるように、最年長、91歳のリリアンおばあちゃんは、扉を杖で叩きながら、あの名曲、『天使のハンマー(If I had a hammer)』を歌ったそうだ。

 なんてすてきな狼藉ぶるまい。
 これは「記録」に残すべき出来事である。

 ここでいう天使のハンマーとは、アメリカの裁判官が手に持つ、小さな木槌のことである。
 「正義」、正しきことを司る、あのシンボルのことである。

 歌詞は以下の通り。
 ぼくが中学生のころ、日本でも大ヒットした歌だ。

  ♪ この国に響き渡るよう、わたしは木槌を鳴らして、危険を叩き出すんだ

 リリアンおばあちゃんは、徴兵センターの扉を叩きながら、こう歌った。

 偉いな、凄いな、と思った。

 ☆ ☆ ☆ ☆

 If I had a Hammer

 (Words and music by L. Hays and P. Seeger)

 If I had a hammer
 I'd hammer in the morning
 I'd hammer in the evening ... all over this land,
 I'd hammer out danger
 I'd hammer out a warning
 I'd hammer out love between all of my brothers and my sisters
 All over this land.

 If I had a bell
 I'd ring it in the morning
 I'd ring it in the evening ... all over this land,
 I'd ring out danger
 I'd ring out a warning
 I'd ring out love between all of my brothers and my sisters
 All over this land.

 If I had a song
 I'd sing it in the morning
 I'd sing it in the evening ... all over this world,
 I'd sing out danger
 I'd sing out a warning
 I'd sing out love between all of my brothers and my sisters
 All over this land.

 If I've got a hammer
 And I've got a bell
 And I've got a song to sing ... all over this land,
 It's a hammer of justice
 It's a bell of freedom
 It's a song about love between all of my brothers and my sisters
 All over this land.


http://www.niehs.nih.gov/kids/lyrics/hammer.htm

Posted by 大沼安史 at 12:30 午後 | | トラックバック (0)

〔コラム 机の上の空〕 陪審、ムサオイの「死刑」を拒否 アメリカ人の良心、ここに

 12人のふつうのアメリカ人が、ブッシュ政権の意図を打ち砕いた。
 5月3日、バージニア州アレキサンドリアの裁判所でのこと。
 「9・11」のテロ容疑者のひとり、ムサオイ被告に対し、男性9人、女性3人による陪審は、「死刑」を科すことを退け、「終身刑」に処すべきとの判断を示した。

 陪審の判断を伝える英紙ガーディアン(電子版、5月4日付け)の記事を読んで、ふつうのアメリカ人の冷静な判断力に敬意を表したくなった。
 そこに、アメリカ人一般の良心をみる思いがした。

 アメリカに来て、飛行学校で操縦訓練を受けていたフランス国籍のムサオイ被告を、ブッシュ政権は「処刑」したくて仕方なかった。
 ムサオイ被告を、死刑制度のあるバージニア州の裁判所で裁こうとしたのは、そのためだった。

 検察当局は政権の指示のもと、ペンシルバニアの野に墜落したハイジャック機、「93便」の操縦席の録音を公開した。「9・11」で肉親を亡くした遺族を証言席に立たせた。
 それもこれも、ムサオイに死をもって罪を償わせるためだった。

 ムサオイ被告も法廷で挑発的な態度をとり続けた。処刑されることを覚悟して罵声を浴びせた。

 そんな被告に対して陪審は、6週間の審理を見守ったあと、7日間にわたって協議を続け、「死刑」を退けた。 

 被告は「9・11」当日、すでに米当局に身柄を拘束されており、同時多発テロに関与したとしても、マイナーな役割しか果さなかった、として、終身刑に「減刑」した。

 「9・11」の遺族のひとりは、同紙の取材に対し、「彼は悪い男だ。しかし、アメリカはフェアな社会。陪審の判断は、たとえテロリストであっても、われわれは敬意をもって被告を遇することを示したものだ」と語った。

 ブッシュ政権の狙った「裁判ショー」は、アメリカの市民たちのフェアな判断の前に潰えた。

 ムサオイ被告は退廷の際、「アメリカよ、お前は負けた。勝ったのは俺だ」と叫んだというが、正確には「アメリカ政府が負けた」のであり、「勝ったのは、アメリカの市民らの良識」であるだろう。
 
 いまから200年前、北米を歩いたフランス人のトクヴィルは、「アメリカが善きことをやめたら、アメリカでなくなる」という意味のことを言った。
 2006年のアメリカは、依然として善きアメリカのままである。

 そのことを証拠立てた12人の陪審らに、わたしもまた、拍手をおくることにしよう。

Posted by 大沼安史 at 11:28 午前 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2006-05-02

〔ジャック天野の目が点丼〕 「拉致」と「ブッシュ」と「愛国心」

 畏友、ジャック天野氏から、ひさしぶりにメールが届いた。
 私的なメールだが、氏の許可が出たので、ここに再録する。

  本メールの「末尾部分」については、カミサン(注・尻にしかれている。恋女房で頭が上がらない)の目もあるので「極秘電」扱いするよう、氏より厳重な注意要請があったが、日ごろの言動に反し、コトこういうことになると、臆面もなく「外務省流」を持ち出す、氏のいいかげんさを、断固懲らしめるため、敢えて原文のまま掲載したしだいである。

  ◎▲◎

 おい大沼(本ブログ主人)、おれだ、おれだ、オレ、オレ。
 おれ、もう、嫌だ!
 嫌だよ、この国。
 愛想も尽きたぜ。

 おかげで金も尽きた。
 自棄酒、飲み続けたら、金がなくなってしまった。
 スッカラカンだ。

 おい大沼、お前、最近、翻訳本、出したそうじゃないか?
 印税、入るんだろ?
 その50%で許してやるから、金、振り込め!
 月末でいい。わかったな。

 それにしても大沼、あれ、見たか? アレ。
 めぐみさんのお母さんを、ダシに使いやがったブッシュの野郎のことだよ。
 ホワイトハウスに呼んでさ、「拉致は信じられない」なんてほざきやがった。
 
 お前だって、CIAなんか使って、世界のあちこちで「拉致」させているくせに。
 拘禁、拷問、なんでもありのくせに、善人ぶるんじゃねぇ。

 日本の政府もマスコミも、共犯じゃないのか?
 ブッシュを持ち上げやがって。
 だから日米同盟を堅持し、米軍再編に「3兆円」、出さなくちゃならないですよ、ってキャンペーン、張りやがった。

 でも、藁にも、藪(ブッシュ)にもすがる思いだったんだろうね。
 めぐみさんのお母さん、ほんと気の毒。
 税金払っている自分の国の政府が、頼りにならないっていうんだから。
 情けない話じゃないか。

 総理官邸も外務省も、恥ずかしくないのかね。

 まぁ、東京ディズニーランドを見に、偽造パスポートで不法入国した金正日のバカ息子を、北京行きのファーストクラスに乗せて、国賓待遇で送り帰した政府・外務省のやることだから、程度は知れてるが、ね。

 その無能の代表選手のような政府の野郎どもが、「愛国心」を持て、学校で教えろと、喚きやがるんだから処置なしだ。
 
 教育基本法、変えようっていうなら、「愛国心」を持てる「政府」になってからにしろよな。
 めぐみさんのお母さんが、元「鬼畜米英」の片割れ、アメリカの「親分」(プレシデント)のところに会いに行かなくてもすむような「政府」になってからにしろよな。

 ブッシュに脅され、イラクから自衛隊を引き揚げることもできない日本の「政府=国家」を、日本の誰が愛せるんだよ。
 よりによって、戦った相手のアメリカの言いなりになりやがって、「靖国」の「英霊」だって怒っているぞ。
 
 そのアメリカに3兆円払うことにくらべりゃ、おれの要求は超リーズナブル。
 かわいらしいものさ。
 印税の半分、月末までに送れ。

 えっ、返すならいい、だとぉ?
 ああ、いいよ、借用書出せばいいんだろう。利子つけて返してやるぜ。
 おれも日本政府の「国債」並みに「ジャック天野債」を発行してやる。
 名づけて「ジャック債」。

 えっ、お前の出す借用書は「ジャック債」じゃなくて「ジャンク(紙くず)債」じゃないかって?

 馬鹿言うな、先進国最悪の日本の「国債」よりは、まだましだぜ。

 例の「3兆円」だって、政府のやつら、「国債」で手充てしてアメリカに払う気らしい。
 
 そう、だからだぜ、あいつら、「国を愛せ」って、オレらにほざきまくっているのは。
 結局は、ブッシュに貢ぐために、オマエラ、国債、買い捲れよな、っていうことさ。

 鬼畜米英との「聖戦」に使われたあの「戦時公債」のように、いずれ紙くずになる。
 そんな「国債」より、おれの方がまだ信用、あるんじゃないの?

 えっ、「ホント、そうだよな」だとぉ?
 おい、大沼、いやに素直じゃないか?
 
 さては印税、たっぷりもらえるんだな
 くそぉ。
 オレだって、「基地」(飲み屋)を「移設」するので、至急、現ナマが必要なんだ。
 
 月末じゃなく、明日、振り込んでくれ。

 ただし、うちのカミサンには内緒だ。

 「密約」だよ、「密約」。

 お前もすこしは外務省を見習え。
  
  

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.whitehouse.gov/news/releases/2006/04/images/20060428-1_p042806pm-0188jpg-515h.html

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/04/28/AR2006042801841.html

http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20060430/20060429it16-yol.html

http://news.goo.ne.jp/news/niigata/chiiki/20060429/2006042931576-niigata.html?C=S

http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060501/K2006050101030.html

Posted by 大沼安史 at 03:01 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 働く場に正義を! 世界各地で「メーデー」

 数百万の働くひとびとが5月1日、世界中で「メーデー」の気勢をあげた。

 働く場に正義を!
 各国の様子を、英紙ガーディアン(電子版)が、写真エッセイのかたちで紹介した。
 先進国でも、後進国でも、経済のグローバル化への抗議の声が上がった。

 バングラデシュのダッカでは、被服工場の労働者たちがデモ行進をした。職場の安全と最低賃金を求めて。
 スペインの労働者は、頭蓋骨のホログラム入りのゴーグルをつけてマドリッドの街を行進した。
 ドイツのフォルクスワーゲン企業城下町、ウォルフスブルグでは、1万人の労働者が「アメリカの条件を望まない」との労組指導者の演説に耳を傾けた。
 ロンドンでは数千人が市内をデモ行進のあと、トラファルガー広場で集会を開いた。

 ルモンド紙によると、パリでは労働者、市民、大学生、高校生たち3万人が団結してみせた。

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.guardian.co.uk/gall/0,,1765265,00.html

http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,1765268,00.html

Posted by 大沼安史 at 10:05 午前 | | トラックバック (0)

2006-05-01

〔NEWS〕イラク反戦 30万人がマンハッタンをデモ行進

 ニューヨークで4月29日の土曜日、30万人がマンハッタンのブロードウェーを練り歩く抗議デモが行われた。

 デモの先頭には「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんや女優のスーザン・サランドンさんらが立ち、「戦争をやめよ。兵士を帰せ」と叫んで、イラン戦争の即時中止を訴えた。

 デモの隊列の長さは10ブロック(街区)に及んだ。
 逮捕者はなかった。

 イラク戦争における、この日までの4月の米兵戦死者数は70人。
 この月は文字通り、米兵とその家族、友人にとって「もっとも残酷な月」となった。
 

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)


http://www.commondreams.org/headlines06/0429-08.htm

Posted by 大沼安史 at 04:12 午後 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 生きるためのマジック

 デービッド・カパーフィールドを知っていますか?
 あの有名なイギリスの小説の主人公ではありません。
 世界をまたにかけて活躍する、同名のマジシャン、世紀の魔術師です。
 日本でもそのショーは、テレビで紹介されたりもしています。ごらんになった方もいらっしゃるでしょうね。
 脱出不可能な塔の上から、いつのまにか消え、別の場所に出現してみせたり、すごいパフォーマンスを実演してみせる人です。
 
 そのデービッド・カパーフィールドさんが先日、巡業先の米フロリダ州ウェスト・パームビーチで強盗に遭ったって記事が、先月末(4月28日付け)の英字紙に出ていました。

 ショーを終えて、アシンタントの人、2人と街を歩いていたときのことだそうです。
 少年4人組が乗った車が近づき、銃を持った2人が降りて、銃口を突きつけながら「金を出せ」と要求しました。
 アシスタントのうちの1人は財布から400ドルを抜いて手渡し、もうひとりのアシスタントは、200ユーロと100ドル札を差し出しました。

 で、デービッドさんはどうしたか?
 これは記事を読んでの想像ですが、どうも「ぼくのポケットには、何にも入っていないよ」と言ったらしい。上着のポケットにも、ズボンのポケットにも、何もない、だから何を渡せない、って言い張ったようなのです。
 「嘘、言うな。金を出せ」って、銃を突きつけながら迫る2人組。(これも想像です)
 そこでデービッドさんは何をしたか?

 ポケットというポケットの内側を出して見せたんだそうです。
 もちろん、ポケットの中は、みな、カラ。
 強盗の少年たちはそれを見て、「あっ、ほんとだ」と納得して、そのまま車で逃走したそうです。

 強盗に遭ったとき、デービッドさんももちろん、現金を持ち歩いていました。携帯もパスポートも、ポッケに入れていた。
 アシスタントがお金を差し出した隙に、トリックをしかけて「文無し」に見せちゃったわけですね。

 即席のマジック。
 強盗犯の少年たちはその後、警察に逮捕されましたが、デービッドさんはその技をこう言ったそうなんです。
 「これって、逆スリ」
 スリの反対をしただけのこと、と言いたかったらしいのですが、いったんどんなマジックだったんでしょうか?
 公開していただけると、強盗被害も減りそうな気がしますが……。

 さて、突然、デービッド・カパーフィールドさんのお話をしたのは、ほかでもありません。
 魔術に関する話題をもうひとつ、紹介したいからです。
 すごいですね、このコラム、デービッド・カパーフィールドを「前ふり」というか、「前座」に使っちゃっているわけですから。
 
 で、その「真打ち」の話題って何かというと、南アフリカ共和国、ということはアフリカ南端、喜望峰に近いケープタウンの近郊のカエリッシャというスラムに、な、なんと、「魔術大学(カレッジ・オブ・マジック)」っていう、マジックの専門大学があるんだそうです。

 貧民街にマジックの専科カレッジがある!
 まるでマジックでも見ているような話ですが、これって事実です。
 ニューヨーク・タイムズ紙が先日、波打ち際で空中浮揚を演じている9歳の男の子の写真つきで紹介していました。
 
 えっ、大学なのに9歳の男の子?……
 そう、この「魔術大学」、小さな子どもたちも学べる、大学までの一貫教育機関なんですね。
 ことしの「学生」は60人いるそうですが、みなスラムの貧しい家庭の出身。
 マジックで自立を夢見る子どもたちが、就学援助を受けながら、夢を現実にするマジックと日々、取り組んでいる「カレッジ」なんですね。

 創立者はデービッド・カパーフィールドじゃなくて、同じデービッド・ゴーアさん。
 1980年に立ち上げたそうですから、かれこれ、4半世紀もの歩みを刻んでいるのです。

 「スラムの子に夢を」と、マンデラ大統領が創設した「基金」などの援助で細々と続けている「カレッジ」ですが、一流のプロのマジシャンも育っているのだそうです。

 その代表格が、16歳になるピュミール君。
 ピュメール君はいまでも「カレッジ」の学生なのですが、昨年(2005年)3月には、ショービジネスの最高峰、アメリカのラスベガスで衝撃のデビューを果たし、いま、世界で最も注目を浴びる若手マジシャンのひとりになっているそうです。

 魔術師のことを英語で、イリュージョニスト、幻を見せる人、ともいいますが、自分の夢を幻ではなく現実にしてしまった、スラムの少年がここにいる!

 これこそ「魔術カレッジ」から生まれた、最大のマジックかも知れません。

 貧困の現実に押し潰されたスラムの子に、自信と夢を培うマジック。

  人生を生き抜くためのマジックとしてのマジック。

 日本にもマジック専門の小中高一貫校なんてのが出来たらいいのになぁ!!!!

 
   
  

☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 ~ サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)

Posted by 大沼安史 at 12:47 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)