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2006-04-07

〔いんさいど世界〕 ブッシュ大統領が機密情報リークを許可 イラク戦争開戦へ向けマスコミを操作 元副大統領補佐官が供述  「ホワイトハウスの陰謀」、明るみに CIAエージェントの身元漏洩も指示? 第2のウォーターゲート事件に発展の可能性

 

 チェイニー副大統領の元首席補佐官で、CIAエージェントの身元を暴露した「プレイム・ゲート」事件で偽証などの罪で起訴されたI・ルイス・スクーター・リビー被告が、ホワイトハウスを揺るがす「爆弾供述」を行っていることが、パトリック・フィッツジェラルド特別検察官が4月5日深夜、ワシントンの連邦裁判所に提出した調書で明らかになった。

 ニューヨーク・サン紙が6日、ウェブ・サイトに調書を掲載したのを皮切りに、全米各紙が一斉に報じた。 

 特別検察官の調書によると、ブッシュ大統領とチェイニー副大統領は2003年の初夏、リビー被告に対し、CIA(米中央情報局)の「国家情報評価(NIE)」に盛られた機密情報を、ニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー記者(当時、現在は同紙を退職)に漏洩をする許可を与えた。

 リビー被告がリークしたNIE情報は、サダム・フセインによるイラクの「核開発」に関する「機密情報」。

 同被告は、この種の「国家機密」をマスコミにリークするのは、「記憶している限り、ユニークなこと」と供述しており、被告自ら、その異常さを認識していたかたちだ。

 供述によると、リビー被告は、直属の上司であるチェイニー副大統領から、ミラー記者にNIE情報を漏洩することは「非常に重要」であるとの説明を受け、実行を指示された。

 これに対してリビー被告は、NIE情報の機密性からいってミラー記者に漏洩することはできないとチャイニー副大統領に進言したが、副大統領は「(ブッシュ)大統領が、NIE情報の一部を明らかにすることを許可している」と述べ、同被告に実行を迫ったという。

 リビー被告がミラー記者にNIE情報を漏洩したのは、同年7月、ワシントンのセント・レジス・ホテルで会った時だった。

 イラクの核開発をめぐるこのNIE情報は、ミラー記者がニューヨーク・タイムズ紙上で、派手な「スクープ」を連発し、イラク開戦へ向けた世論誘導に一役買う上で一定の役割を果した、とみて間違いないだろう。

 ブッシュのホワイトハウスは、ミラー記者をターゲットとしたNIE情報の漏洩を通じて、世論操作を行ったわけだ。

 調書によれば、リビー被告はチェイニー副大統領から特に選ばれ、副大統領のプレス担当、キャシー・マーチンに代わって、マスコミ工作にあたったと理解していた、という。

 リビー被告はまた、ウォーターゲート事件を暴露したことで有名なワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード記者に対しても、ブッシュ大統領の許可で、情報を提供したという。ボブ・ウッドワード記者は、イラク開戦に至る内幕を、『攻撃計画』という本に書いているが、そのための取材にも「協力」したそうだ。

 このように有力マスコミのスター記者を使いながら、ブッシュ政権がフレームアップした、イラクの「大量破壊兵器」疑惑は、米軍のイラク侵攻後、事実無根と判明するが、結局は後の祭り。「イラク戦争」という、悲惨な現実だけが残った……。

 調書によれば、リビー被告はブッシュ大統領の漏洩許可について、国家安全保障関連法規に詳しいチェイニー副大統領のデイビッド・アディントン顧問に意見を求めたこともあったという。

 アディントン顧問の答えは、機密文書の解除権限は大統領にある、大統領が漏洩していいといってるのだから、それはつまり機密解除と同じこと、というものだった。

 ホワイトハウスが正式に、問題のNIE機密情報の一部を解除したのは、リビー被告がミラー記者と最初に接触した同年7月8日の10日後のこと。

 正式な機密解除の前の段階での大統領許可について、その違法性を問う声が強まることも十分考えられ、ブッシュ政権の支配の正統性を爆砕する導火線のひとつになる可能性もある。

 もうひとつ、今後の火種になりそうなのは、「ニジェール・ウラニウム疑惑」をめぐるCIAエージェントの身分漏洩事件そのものと、ブッシュ大統領漏洩許可との結びつきだ。

 リビー被告の供述では、CIAエージェントのバレリー・プレイムさんの身分漏洩がブッシュ大統領の許可に基づくものであると示唆するくだりはないが、同年7月6日付けのニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、「ニジェール疑惑」がでっちあげであることを暴露した、プレイムさんの夫の前外交官、ジョセフ・ウィルソン氏の信用失墜を狙って、ブッシュ大統領とチェイニー副大統領が夫人の身分を明かしたことは十分考えられる。

 夫にニジェール行きを勧めたのは実は、CIAエージェントのプレイム夫人。妻の勧めで調査に行って、事実無根とはあきれる……ウィルソン氏の暴露の衝撃を、こんな「宣伝」でもってかわそうというのが、ホワイトハウス筋による「身分漏洩」の動機であることは、これまた間違いないところだ。

 リビー被告は現在、右派のシンクタンク、ハドソン研究所の研究員として、ブッシュ大統領につながる保守派の陣営によって庇護されているが、CIAエージェントの身分漏洩は国家安全保障上、由々しき問題であり、下手すると死刑になりかねない一大事だ。

 裁判のこんごの進展いかんでは、リビー被告がさらに追い込まれ、最悪の窮地に立つ可能性もある。

 その際、リビー被告が最後の切り札として、プレイムさんの身分漏洩についてもブッシュ大統領=チェイニー副大統領のラインから指示を受けたと、暴露証言に踏み切ることもあるだろう。

 「プレイム・ゲート」事件が、第2のウォーターゲート事件となるのは、リビー被告が衝撃の新事実を明らかにする、そのときのことだ。

 

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Posted by 大沼安史 at 11:09 午後 1.いんさいど世界 |

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