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2006-02-20

〔いんさいど世界〕 世界が認めた日本の天才デザイナー、Tokujin Yoshioka

 きょうは、久しぶりに日本人の話題を。世界が認めた日本人デザイナーのお話をしたいと思います。

 Tokujin Yoshioka、吉岡徳仁。
 1967年、佐賀県生まれの37歳。
 今月(2月)は、アメリカの首都、ワシントンでの展覧会に出品し、現地での衝撃的デビューを果たしました。
 何を出品したかというと、椅子なんです。それもなんと紙の椅子。紙でつくった一人がけの肘掛け椅子(アームチェア)を出品した。それが大評判なんだそうです。
 その展覧会のことを、現地のワシントン・ポスト紙で読んでびっくりしました。こういう天才的日本人デザイナーがいま、世界で活躍している。凄いな!……って。

 そのアームチェア、実は「ハニー・ポップ」と名づけられた有名な作品で、2002年にイタリアのミラノで開かれた「国際家具フェアー」に出品され、世界に衝撃派を広げたものだそうです。
 ポスト紙にその写真が載っているのですが、見ただけで、ハニー・ポップのニックネーム通り、恋人に後ろから、やさしくソフトに抱きとめられる、そんな座り心地のしそうな一人掛けの椅子です。
 素材が紙だから、そういう見た目にもそんな感じがするのでしょうね。
 そんな座り心地だけでなく、オブジェとしてもすばらしく、ポスト紙の女性記者は「紙の彫刻だ」とも表現しています。とにかく、紙の家具って、実は世界の家具の歴史のなかで初めてのことだそうです。

 で、これをデザインした吉岡徳仁さんのことですが、19歳で「桑沢デザイン研究所」を卒業し、三宅一生さんのデザイン事務所で力を蓄え、1992年にフリーランス・デビューした方だそうです。
 経歴を調べると、紙の椅子だけじゃないですね。
 店舗(ショップ)デザイン、ディプレー・デザインから始まって、デザインと名のつくありとあらゆる領域で創作活動を続け、大活躍されています。

 たとえば、紙に樹脂を染み込ませてつくる「デコラ」という素材でつくったキャビネット。
 一見なんでもない普通のキャビネットの扉を開けると、そこに「閉鎖的でない、もうひとつの空間が展開する」日常のなかの非日常を表現した作品です。
 10代の頃、有名な、「人の中に空がある」、あのルネ・マルグリットの絵を見て着想したそうです。

 あるいは、2万個ものクリスタルをつかった、シャンデリア。それもそのクリスタルのひとつひとつを映像の端子として、そこへ光ファイバーで映像を送りこむ。
 こうなると、シャンデリアが映像の劇場になるわけです。
 これまたすごいアイデアですね。
 膨大な数のクリスタルをどう組み合わせ、どう配置したらベストになるか、コンピューター解析を繰り返して制作したそうです。
 現代のデザイン革命の旗手は、最先端のテクノロジーをいともかんたんに駆使できる人、なんですね。

 Tofu(トーフ)という照明器具も実にユニークです。
 飾りを極限まで殺ぎ落としたミニマリズムの傑作。透明なクリアクリスタルの肉厚な板と、アルミ製灯具のふたつの要素だけから成り立っている。
 発想の源はその名の通り、豆腐。
 豆腐って仕込み、盛り付けが大切ですよね。そうして豆腐の存在感が生まれる。
 その仕込みの考え方を照明器具に適用し、クリアクリスタルな板を豆腐のように仕込んでカットして置く。その豆腐=クリアクリスタルに向かって、光が当てられ、クリスタル全体が発光する。
 つまりあくまで主役は、クリアクリスタルそのもの。外からの光はあくまでサブなんです。

 吉岡さんの腕時計も独特のデザインです。まるで金属そのものが時を刻んでいる感じがします。

 そんな吉岡さんの創造の秘密は、素材にものを言わせることにあるといいます。
 素材のなかからデザインが自然に生まれて来る。
 紙の椅子も、そんな創作プロセスから誕生したものだそうです。

 世界にはばたく日本人デザイナー、トクジン・ヨシオカ。
 2006年の注目株です。 
 

Posted by 大沼安史 at 11:29 午前 1.いんさいど世界 |

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