〔コラム 机の上の空〕 劇作家、ダリオ・フォー氏、伊ミラノ市長選出馬……敗北
英紙ガーディアンの電子版をのぞいていたら、イタリア・ミラノ市の市長選に、ノーベル賞受賞の劇作家、ダリオ・フォー(Dario Fo)氏が出馬したという記事が出ていてびっくりした。
ダリオ・フォー氏は昨年12月、英国のロンドンで上演された、アメリカの反戦運動家、シンディー・シーハンさんを題材とした「平和の母」という一人芝居の作者(本ブログ既報 下記リンク参照)である。
そんなこともあって興味を覚え、ダリオ・フォー氏のことをいろいろ調べてみた。
そして驚いた。
わたしは、イタリアの劇作家といえば、ピランデッロしか知らなかった。それも、ピランデッロの家庭的な悲劇のことだけを。
(彼の妻は精神病に苦しみ、彼女の死後、ピランデッロはその看病が彼の演劇をつくった、と感謝の言葉を述べている)
ダリオ・フォー氏は同じくノーベル賞を受賞した、そのピランデッロに勝るとも劣らない劇作家だった。
ダリオ・フォー氏は1926年、鉄道員の息子として生まれ、建築を学んだあと役者として演劇に関わり、脚本を書くようになった。
現在79歳(来月、3月で80歳)。女優のフランカ・ラーメさんを人生のパートナー兼同志として、半世紀近く、演劇活動を続けて来た。
「富と権力」を痛烈に風刺する作風。
代表作は英訳もされている“Morte accidentale di un Anarchico (Acciedntal Death on an Anarchist)”〔「アナーキストの偶然死」〕。
イタリア政府が関与した疑いのある虐殺事件を扱ったこの演劇は、2年間の国内巡業で50万人の観客を動員したという。
1月29日に行われたミラノ市長選の予備選挙でフォー氏は、ライバルの同士警視総監に敗れたが、その選挙公約は同氏らしいものだった。
高層ビルを建てるため市外中心部を破壊する都市計画に反対し、疲弊した郊外の復興を目指すものだった。
そんなフォー氏が選挙運動でフランカ夫人とミラノの通りを練り歩く写真が、ガーディアン紙に載っていた。
80歳一歩手前という高齢を感じさせない若さ。フランカ夫人も女優らしくゴージャスだった。
二人の年譜を読んでびっくりした。
フォー氏の演劇を憎むイタリアのファシストらが1974年3月、フランカ夫人を誘拐し、レイプまでしたというのだ。
夫人は事件後、わずか2ヵ月で舞台に復帰した。
彼女自身の意志の強さはもちろんだが、きっとフォー氏の励ましも大きかったはずだ。
二人の強さを思い、あらためて写真を見直した。
そこには、ともに人生を最後まで生き抜き、挑戦し続けようとする、しぶとく明るい笑顔があった。
⇒
http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,1698483,00.html
http://books.guardian.co.uk/news/articles/0,,1697812,00.html
Posted by 大沼安史 at 01:12 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink

















