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2006-02-01

〔コラム 机の上の空〕 劇作家、ダリオ・フォー氏、伊ミラノ市長選出馬……敗北

 英紙ガーディアンの電子版をのぞいていたら、イタリア・ミラノ市の市長選に、ノーベル賞受賞の劇作家、ダリオ・フォー(Dario Fo)氏が出馬したという記事が出ていてびっくりした。

 ダリオ・フォー氏は昨年12月、英国のロンドンで上演された、アメリカの反戦運動家、シンディー・シーハンさんを題材とした「平和の母」という一人芝居の作者(本ブログ既報 下記リンク参照)である。
 そんなこともあって興味を覚え、ダリオ・フォー氏のことをいろいろ調べてみた。
 そして驚いた。

 わたしは、イタリアの劇作家といえば、ピランデッロしか知らなかった。それも、ピランデッロの家庭的な悲劇のことだけを。

 (彼の妻は精神病に苦しみ、彼女の死後、ピランデッロはその看病が彼の演劇をつくった、と感謝の言葉を述べている)

 ダリオ・フォー氏は同じくノーベル賞を受賞した、そのピランデッロに勝るとも劣らない劇作家だった。

 ダリオ・フォー氏は1926年、鉄道員の息子として生まれ、建築を学んだあと役者として演劇に関わり、脚本を書くようになった。
 現在79歳(来月、3月で80歳)。女優のフランカ・ラーメさんを人生のパートナー兼同志として、半世紀近く、演劇活動を続けて来た。
 「富と権力」を痛烈に風刺する作風。
 代表作は英訳もされている“Morte accidentale di un Anarchico (Acciedntal Death on an Anarchist)”〔「アナーキストの偶然死」〕。
 イタリア政府が関与した疑いのある虐殺事件を扱ったこの演劇は、2年間の国内巡業で50万人の観客を動員したという。

 1月29日に行われたミラノ市長選の予備選挙でフォー氏は、ライバルの同士警視総監に敗れたが、その選挙公約は同氏らしいものだった。
 高層ビルを建てるため市外中心部を破壊する都市計画に反対し、疲弊した郊外の復興を目指すものだった。
 そんなフォー氏が選挙運動でフランカ夫人とミラノの通りを練り歩く写真が、ガーディアン紙に載っていた。
 80歳一歩手前という高齢を感じさせない若さ。フランカ夫人も女優らしくゴージャスだった。

 二人の年譜を読んでびっくりした。
 フォー氏の演劇を憎むイタリアのファシストらが1974年3月、フランカ夫人を誘拐し、レイプまでしたというのだ。
 夫人は事件後、わずか2ヵ月で舞台に復帰した。
 彼女自身の意志の強さはもちろんだが、きっとフォー氏の励ましも大きかったはずだ。

 二人の強さを思い、あらためて写真を見直した。
 そこには、ともに人生を最後まで生き抜き、挑戦し続けようとする、しぶとく明るい笑顔があった。


 

http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,1698483,00.html

http://books.guardian.co.uk/news/articles/0,,1697812,00.html

http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/6/

Posted by 大沼安史 at 01:12 午後 3.コラム机の上の空 |

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