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2006-02-28

〔NEWS〕ドイツ情報機関、サダム・フセインのバグダッド防衛計画を米国に提供

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版、2月27日付け)は、ドイツの2つの情報機関が、サダム・フセイン政権による首都バグダッド防衛計画を入手し、ひそかに米国に提供していたと報じた。
 米軍の秘密研究によって、明らかになった。
 ドイツ情報部が入手したバグダッド防衛計画には、フセイン大統領に忠誠を尽くす共和国警護隊の布陣先など、最高機密の重要情報が盛られていた。
 防衛計画は2002年12月18日、フセイン大統領が軍司令官らを招集して明らかにしたもので、バグダッドを何重にも囲むかたちで防衛線を築き、最後は共和国警護隊による「赤い線」で首都を死守することになっていた。
 
 (大沼 注)
 1990年代初めにバグダッドを取材で訪れたとき、プレスセンターで隣り合わせたドイツ人ジャーナリストの達者なアラビア語に恐れをなしたことがある。
 そのドイツ人(男性)はたしか、そのころ、バグダッドに駐在していた。
 ドイツ情報機関、BNDのカバーだったかも知れない。
 
 いずれにせよ、今回のニューヨーク・タイムズ紙の報道は、驚くにあたらないものだ。
 (旧・西)ドイツ情報部は冷戦時代と通じ、米情報部と密接な関係を保って来た。
 あの「9・11」の前にも、米国に対し、航空機自爆テロの事前警告を行っているほど、関係が深い。

 現代世界にはこうした情報機関が相互に結びつき、情報を交換する「パラレル・ワールド(平行世界)」が存在する。
 歴史は実は、この「平行世界」の闇のなかでつくられるいるのだ。

 その冷厳な事実を、われわれは知らねばならない。

http://www.nytimes.com/2006/02/27/international/europe/27cnd-germany.html?hp&ex=1141102800&en=1fd8ba0cf87b98a1&ei=5094&partner=homepage

Posted by 大沼安史 at 11:32 午前 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イラク、「レバノン化」の危機

 イラクがレバノン化する恐れ―-米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版、2月26日付け)が、こんなバグダッド発の解説記事を掲載した。
 1990年代初めにようやく終息した、あの、15年も続いたレバノン内戦。あの軍事化した宗教宗派対立による流血の惨事が、イラクでいま再現されようとしている、との分析記事だ。
 それによると、武装勢力が群雄割拠し、レバノンにそれぞれの支配地を広げたように、イラクでも中央政府が手を出せない地域が生まれようとしている。
 たとえば、バグダッドのサドル・シティー。
 イラクの人口の実に10%が住む同地区では、黒衣のサドル師を指導者として仰ぐ武装勢力がコントロールしているという。
 ベイルート内戦を現地に取材したニューヨーク・タイムズ紙のトーマス・フリードマン記者(現コラムニスト)は、その著書『ベイルートからエルサレムへ』のなかで、当時のベイルートの荒廃ぶりを報告しているが、たしかにバグダッドの現状はそれと変わらない。
 当時のベイルートのホテルが、防衛のため武装民兵を抱えていたのと同じようなことが、きっとバグダッドでも起きているはずだ。
 イラクが「レバノン化」して、タナボタ的な安全保障の利益を得るのは、1980年代のレバノン内戦時と同様、イスラエルである。

http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-future26feb26,1,1330679,print.story

Posted by 大沼安史 at 11:09 午前 | | トラックバック (0)

2006-02-27

〔いんさいど世界〕 「全中東ジハード」回避を狙う 「イラクの9・11」 その意図と背景

 2月22日、イラク・サマラのイスラム教シーア派の聖地、「黄金のモスク」が何者かによって破壊されました。サマラはバグダッドの北にある、スンニ派の町です。
 ご存知のように、イラクは全体として、シーア派が多数派を占め、スンニは少数派なのですがバグダッドの北部、あるいは西部地区は、スンニ派が多数派を形成する地域。そうしたスンニ派支配地域のシーア派の聖地がテロ攻撃に遭ったわけです。

 シーア派はその日のうちに反撃に出ました。首都バグダッドなどのスンニ派モスク168ヵ所に対して銃撃などの攻撃を加え、この日だけで両派の犠牲者は130人にも達しました。
 スンニ派の宗教指導者10人が殺害され、15人が誘拐されています。
 昨年12月のイラク総選挙で44議席を獲得したスンニ派の有力政党は、シーア派主導の政権協議から離脱しました。

 おかげでイラク情勢は、一気に「液状化」し、すでに宗派対立の内戦状態に突入した、との見方も出ているありさまです。
 慧眼で鳴る国際政治コラムニスト、ウィリアム・ファフ氏などは、この事件の前から、「終戦なき《長い戦争》」が始まっている、と指摘しています。「終わりのない長い戦争」――ということはつまり「永久戦争」ということですね。

 2001年の「9・11」で蓋をあけた「テロとの戦い」は、「イラク戦争」を帰結し、それがせいぜい2、3年で終わるものかと思っていたら、とどまるところを知らずに、いまや「永久戦争」化している。とんでもないことです。

 こうしたなかで米国は、米軍の撤退どころか増強を検討する事態になっています。
 日本の自衛隊の撤退も、4月から始まる予定ですが、こうなると、米国からの圧力で、再派遣というか再派遣、もしくは駐留延長をせざるを得ない状況に追い込まれるかも知れません。

 つまり2月22日にサマラで起きた「黄金モスク」の爆破事件は、イラクにおける政治的・社会的混乱のエピソードのひとつにとどまるものではなく、イラク戦争の「永久戦争化」を招いたものとして歴史に残る、決定的な事件だったと、とらえるべきことなのです。

 こうしたことから、2月22日の事件を「イラクの9・11」ととらえるアナリストも出ています。
 あのサマラの「2・22」は、ニューヨークなどで同時多発した「9・11」同様、後戻りのきかない、新たな「永久戦争」モードを生み出したという見方です。

 ぼくはあの「9・11」に国際的な謀略の影を見るひとりですが、この「イラクの9・11」にも、同じような闇のようなものを感じざるを得ません。
 なぜ、この時期に、誰が、サマワの「黄金モスク」を爆破したのか?
 その動機と背景に、ある種のきな臭さを感じてしまうのです。

 「黄金モスク」を爆破したのは、スンニ派の過激派であるとの説が一般的です。「9・11」はアルカイダの単独犯行であるとの説が有力なように。
 しかし、実行犯がかりにスンニ派過激派だったとしても、国際政治はそれほど単純ではありません。
 そうしたテロ集団には、さまざまな国の諜報機関が「浸透」するのが常。陰で糸を引く黒幕がいたはずです。いない、と思うわけにはいかないのが、とくに中東をめぐる国際社会のきびしい現実なのです。
 そうすると、どういうことが言えるのか? 「イラクの9・11」は誰が何のために、引き起こしたものなのか?

 これをわかりきったことですが、この点に関してぼくは二つの点に注目すべきだと思います。
 ひとつはイラクの東、イランの動き。
 もうひとつはイラクの西、パレスチナ・イスラエル情勢です。

 ご存知のようにイランは「同じシーア派」をテコに、イラクの国内多数派であるシーア派主導の新政権との結びつきを強めようとしています。
 パレスチナでは、対イスラエル強硬派の「ハマス」が自治政府の権力を握ろうとしている。
 
 つまり、イラクをはさみこみかたちで、アメリカ(そしてイスラエル)によって、決定的に不利な情勢が生まれている。
 これは、中東における覇権の確立をねらってイラクに侵攻したアメリカ(イスラエル)にとって、きわめて危機的な状況です。
 アメリカがイランの「核施設」の攻撃に踏み切れば、この危機の構図はさらに深化することでしょう。

 そうした危機的状況のエスカレートにブレーキをかけるには、何をなすべきか?
 その答えのひとつとして出て来るのが、「イラクの内戦化=永久戦争化」です。
 イランと手を結びかねないイラク国内シーア派の力を殺ぐために、スンニ派による対シーア派テロを支援する。これはある意味で当然の戦略です。

 イラク国内シーア派指導者のサドル師は、テヘラン(イラン)やアンマン(ヨルダン)で、米軍による対イラン攻撃があった場合、イスラム世界を挙げて「聖戦」に立ち上げるべきだと呼びかけています。
 アメリカ(イスラエル)がもっとも恐れているのは、スンニ派とシーア派が団結した、アメリカ(イスラエル)に対する、「全イスラム・インティファーダ」あるいは「全中東ジハード」でしょう。
 それをイスラム内の宗派抗争で自壊に追い込む。イラクを内戦の坩堝を化し、パレスチナ・イスラエルに対する脅威の水位を低下させる。
 サマラの「黄金モスク」爆破は、そのような狙いのもとに実行された……それが「イラク9・11」説の見方です。

 米国の敏腕ジャーナリスト、セイモア・ハーシュ氏によると、イラクでの核施設周辺ではアメリカの工作員が大気中の放射性物質の観測を続けているそうです。
 この大気中の放射性物質の観測は、米国国内のモスクに対して行われていることが最近、暴露され、問題になっています。

 米軍によるイラン攻撃は、まさに秒読み状態。 
 2006年の世界もまた、「イラン危機」という時限爆弾を抱えながら、キナ臭さに包まれています。

Posted by 大沼安史 at 11:03 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2006-02-20

〔いんさいど世界〕 世界が認めた日本の天才デザイナー、Tokujin Yoshioka

 きょうは、久しぶりに日本人の話題を。世界が認めた日本人デザイナーのお話をしたいと思います。

 Tokujin Yoshioka、吉岡徳仁。
 1967年、佐賀県生まれの37歳。
 今月(2月)は、アメリカの首都、ワシントンでの展覧会に出品し、現地での衝撃的デビューを果たしました。
 何を出品したかというと、椅子なんです。それもなんと紙の椅子。紙でつくった一人がけの肘掛け椅子(アームチェア)を出品した。それが大評判なんだそうです。
 その展覧会のことを、現地のワシントン・ポスト紙で読んでびっくりしました。こういう天才的日本人デザイナーがいま、世界で活躍している。凄いな!……って。

 そのアームチェア、実は「ハニー・ポップ」と名づけられた有名な作品で、2002年にイタリアのミラノで開かれた「国際家具フェアー」に出品され、世界に衝撃派を広げたものだそうです。
 ポスト紙にその写真が載っているのですが、見ただけで、ハニー・ポップのニックネーム通り、恋人に後ろから、やさしくソフトに抱きとめられる、そんな座り心地のしそうな一人掛けの椅子です。
 素材が紙だから、そういう見た目にもそんな感じがするのでしょうね。
 そんな座り心地だけでなく、オブジェとしてもすばらしく、ポスト紙の女性記者は「紙の彫刻だ」とも表現しています。とにかく、紙の家具って、実は世界の家具の歴史のなかで初めてのことだそうです。

 で、これをデザインした吉岡徳仁さんのことですが、19歳で「桑沢デザイン研究所」を卒業し、三宅一生さんのデザイン事務所で力を蓄え、1992年にフリーランス・デビューした方だそうです。
 経歴を調べると、紙の椅子だけじゃないですね。
 店舗(ショップ)デザイン、ディプレー・デザインから始まって、デザインと名のつくありとあらゆる領域で創作活動を続け、大活躍されています。

 たとえば、紙に樹脂を染み込ませてつくる「デコラ」という素材でつくったキャビネット。
 一見なんでもない普通のキャビネットの扉を開けると、そこに「閉鎖的でない、もうひとつの空間が展開する」日常のなかの非日常を表現した作品です。
 10代の頃、有名な、「人の中に空がある」、あのルネ・マルグリットの絵を見て着想したそうです。

 あるいは、2万個ものクリスタルをつかった、シャンデリア。それもそのクリスタルのひとつひとつを映像の端子として、そこへ光ファイバーで映像を送りこむ。
 こうなると、シャンデリアが映像の劇場になるわけです。
 これまたすごいアイデアですね。
 膨大な数のクリスタルをどう組み合わせ、どう配置したらベストになるか、コンピューター解析を繰り返して制作したそうです。
 現代のデザイン革命の旗手は、最先端のテクノロジーをいともかんたんに駆使できる人、なんですね。

 Tofu(トーフ)という照明器具も実にユニークです。
 飾りを極限まで殺ぎ落としたミニマリズムの傑作。透明なクリアクリスタルの肉厚な板と、アルミ製灯具のふたつの要素だけから成り立っている。
 発想の源はその名の通り、豆腐。
 豆腐って仕込み、盛り付けが大切ですよね。そうして豆腐の存在感が生まれる。
 その仕込みの考え方を照明器具に適用し、クリアクリスタルな板を豆腐のように仕込んでカットして置く。その豆腐=クリアクリスタルに向かって、光が当てられ、クリスタル全体が発光する。
 つまりあくまで主役は、クリアクリスタルそのもの。外からの光はあくまでサブなんです。

 吉岡さんの腕時計も独特のデザインです。まるで金属そのものが時を刻んでいる感じがします。

 そんな吉岡さんの創造の秘密は、素材にものを言わせることにあるといいます。
 素材のなかからデザインが自然に生まれて来る。
 紙の椅子も、そんな創作プロセスから誕生したものだそうです。

 世界にはばたく日本人デザイナー、トクジン・ヨシオカ。
 2006年の注目株です。 
 

Posted by 大沼安史 at 11:29 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2006-02-16

〔NEWS〕 アブグレーブ収容所 新たな虐待写真を豪テレビ局が放映

 イラクのアブグレーブ収容所での、米兵によるイラク人拘束者虐待を撮影した、新たな証拠写真が出て来た。
 オーストラリアのテレビ局、SBSが2月16日に放映した。
 米国防総省は放映された16枚中、15枚は本物であることを確認した。
 
 (大沼 注)

 侵略戦争の本質がさらけ出されている。
 裸のからだに糞を塗りたくる狂気……。
 
 写真のセレクションは⇒

http://www.guardian.co.uk/gall/0,,1710396,00.html

 関連記事⇒
http://www.theaustralian.news.com.au/printpage/0,5942,18165332,00.html

Posted by 大沼安史 at 05:23 午後 | | トラックバック (0)

〔ジャック・天野の目が点丼〕 チェイニーにウズラの糞爆弾を!

 年賀状も来なかったので、病気でもしているのかと心配していたら、わが畏友、ジャック・天野から、またも怒りのメールが舞い込んだ。
 イラク戦争を仕掛けた「陰謀団」の黒幕、チェイニー米副大統領のことで頭に来て、キーボードをぶったたき、わたしのところにもメールを撃ち込んで来た。
 そう、副大統領が猟銃を誤射して、友人を負傷させた、あの事故のことで。 ジャック・天野はまたも目を点にして怒っている。

                    ●△●

 おい、大沼、読んだか? あのチェイニーの陳謝コメント。
 「わが人生最悪の日」だってさ。
 人間をウズラとまちがって、猟銃、ぶっ放して負傷させておいて、「わが人生最悪の日」だと。
 撃たれた相手の言う科白だろうが。

 イラク戦争だってそうだろ。
 イラクの人たちはみんなチェイニーを呪っているぜ。
 「人生最悪の日」を、この先、何年続けてくれるんだって。

 イラクで戦争させられているGIたちだって、頭に来てるぜ。
 俺たちも、人間狙うんじゃなく、ウズラぐらい撃ってみたいぜ、って。
 お前にゃ、たった一日のことかもしんないが、俺たちゃ毎日が「わが人生最悪の日」。
 テキサスなんかで遊んでいないで、イラクの戦場に来て、人間撃ってみなよ、って。

 
 イラク戦争、ブッシュとお前が始めやがったくせに、手を汚しちゃいないなんて顔してやがる。
 何?、「わたしは一人も殺しちゃいない。こんども怪我させただけだ」って?
 忘れちゃいけねぇ、戦争の「引き鉄」ひいたのはお前さんだろうが。
 お前が命令したから、GIたちがイラクで人間撃ちしてるんじゃねぇーか。
 GIに引き金ひかせてるのは、お前なんだぜ。

 お前は結局、見境のないトリガー・パッピー野郎さ。
 人間をウズラに見間違うなんて、よほどのウスラバカじゃないと出来っこない。

 何?、こんどはイラン?
 お前のおかげで、世界は「最悪の日」の繰り返し。
 天気予報は「明日も爆弾の雨、降るでしょう」だ。

 コラ、チェイニー、お前みたいやつは、ウズラの糞爆撃でも浴びて、どっかに引っ込んでろ!

Posted by 大沼安史 at 02:22 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イラン攻撃 秒読み 「史上最大のプロパガンダ」 ブッシュ政権 反イラン・キャンペーンで巨額の緊急予算要求 

 英紙ガーディアン(電子版、2月16日)が報じたところによると、米ブッシュ政権は2月15日、連邦議会に対し、反イラン・キャンペーンのプロパガンダ経費として、7500万ドルの緊急支出を予算要求した。すでに確保している1000万ドルに上乗せして、イラン政府を追い詰めるキャンペーンを展開する。
 具体的には「アメリカの声」の現地語放送を、現行の1日数時間から24時間態勢にするなど、イラン向けの宣伝ラジオ・テレビ放送を強化。イランの「民主化」を求めるグループへの支援も強める。
 これについて、ガーディアン紙は「史上最大のプロパガンダ」と指摘している。
 
⇒ 

http://www.guardian.co.uk/iran/story/0,,1710721,00.html

Posted by 大沼安史 at 11:53 午前 | | トラックバック (0)

2006-02-14

〔コラム 机の上の空〕 永い平和のために

 パリを拠点に活動する国際政治コラムニスト、ウィリアム・ファフ氏がこのほど、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に、「終戦なき《長い戦争》」と題するコラムを寄稿した。
 英語による原題は、A‘long war’designed to perpetuate itself、正確には「持続するよう設計された《長い戦争》」である。

 ファフ氏の見立てはいつものように鋭い。
 ブッシュの戦いは、もはや「テロとの戦い」ではない。「普遍的な敵」との、終わりなき戦いになっている。
 言い換えればつまり、ブッシュの戦争は、全世界の悪に対する永久戦争になっていて、自動機械のように終わることを知らない、という指摘だ。
 「長い戦争」、終わりのない戦争。普遍的な勝利を手にするまで、世界中を戦場=シアターと化し、軍事覇権を確立しようとする「ブッシュの帝国」。
 ファフ氏の指摘は、ブッシュ政権の虚飾を殺ぎ落とし、その好戦的な素顔をあらわにするものだ。
 
 持続するよう設計された戦争マシーンのアメリカは、イランの核開発施設に対する空爆準備を整えている。ブッシュ大統領の攻撃命令は、時間の問題だ。

 英紙デイリー・テレグラフ紙によれば、オックスフォードの研究レポートは、米軍の対イラン核施設攻撃で、最大10000人の犠牲者が出ると予測している。
 英国のブレア政権が米国に対し英国内の空軍基地、およびインド洋のディエゴ・ガルシア基地の発着許可を与えれば、B2爆撃機がイランを目指し、4万ポンドの精密誘導爆弾を投下する。その結果、イラン国内20の核施設は破壊され、科学者らが多数、死亡する、と警告している。

 一方、ニューヨーク・タイムズ紙がエルサレム電で伝えるところによると、米国とイスラエルは、パレスチナのハマス政権を崩壊させる陰謀を練っている。

 イラン空爆は全面的な「イラン戦争」にエスカレートしかねない。ハマス政権に対する軍事行動を含む陰謀は、中東の火薬庫に火をつけることになるだろう。
 米国はそれを知っていながら、なぜルビコン河を渡り続けるのか?
 
 答えはひとつ、ブッシュの米国が、ブレーキを内蔵しない「永久機関」としての戦争マシーンと化しているからだ。
 戦争屋=産・軍・資源複合体は、戦争するしかない。それが彼らの定めである。

 戦争をとめるには、彼らを権力の座から除去するしかない。
 そして、持続するよう設計された平和をグローバル規模で再構築する。
 終わろうとしない「長い戦争」ではなく、終わってはならない「永い平和」。
 その実現こそ、わたしたちが背負うべき、運命としての課題だ。
   

http://www.iht.com/articles/2006/02/10/news/edpfaff.php

http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2006/02/13/wiran13.xml&sSheet=/news/2006/02/13/ixworld.html

http://www.nytimes.com/2006/02/14/international/middleeast/14mideast.html?hp&ex=1139893200&en=1f2b1d7d475a81ff&ei=5094&partner=homepage

Posted by 大沼安史 at 01:48 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

〔重要NEWS〕 身分漏洩のCIA女性エージェント イラン核情報を収集 

 米インターネット新聞、「ロウストーリー(Rawstory)」は2月13日、複数の現役、退職情報筋の証言として、ブッシュ政権による、いわゆる「ニジェール・イラク核疑惑」捏造暴露に絡んで、身分をマスコミに漏洩されたCIA女性エージェント、バレリー・プレイム氏が、イランの核開発に関する情報収集にあたっていたことを明らかにした。
 プレイム氏がCIAエージェントであることがマスコミで暴露された事件は、チェイニー副大統領のリビー補佐官が偽証などの罪で起訴されるなど、フィッツジェラルド特別検察官による捜査がなお続いている。
 プレイム氏のエージェントとしての活動は、これまで核拡散に関するものと観測されてはいたが、それがイランの核開発をターゲットとしたものだったとわかったのは、今回の「ロウストーリー」のスクープ報道が初めて。
 プレイム氏の身元が暴露されたことで、情報収集に協力した「アセット(財産、つまりスパイ)」が敵側によって一網打尽にされた可能性が指摘されていたが、今回、彼女の情報収集ターゲットが「イラン核開発」とわかったことで、事態はさらに深刻なものであることが確認された。
 
 (大沼 注)

 ブッシュ政権がプレイム氏が「イラン核開発」担当と知っていながら、敢えてCIAのエージェントであると身分を漏洩したならば、次のふたつのことが考えられる。

 ① マスコミへの漏洩を行った2003年7月の時点で、ブッシュ政権はイラン核開発に関する情報収集の限界を認識し、空爆による破壊を決定していた。(ニューヨーク・タイムズ紙のライゼン記者の調査報道を紹介した本ブログ既報の通り、CIAはその時点ですでに、イラン情報網の全容をイラン側に察知、破壊されており、プレイム氏のアセットもまたそのとき消滅していた。だから、身分を漏洩してもよかった)
 ②プレイム氏を潰す(イラン担当から外す)ことで、「イラン核開発」をめぐる情報収集活動の失敗などが、「ニジェール核疑惑」捏造を暴露した彼女の夫のジョセフ・ウィルソン氏を通じて、マスコミに流れることを阻止した。

 プレイム氏の身分漏洩事件では、ブッシュ政権がなぜ漏洩したか、動機がいまひとつ不明だったが、今回の「ロウストリー」の報道ではっきりしたような気がする。

 アメリカは本気でイランを攻撃するつもりだ。

⇒ 

http://rawstory.com/news/2005/Outed_CIA_officer_was_working_on_0213.html

Posted by 大沼安史 at 11:35 午前 | | トラックバック (0)

2006-02-13

〔NEWS〕 無抵抗のイラクの若者ら英軍兵士らが殴る蹴るの集団暴行 ビデオ、アラブ世界で放映

 無抵抗のイラクの若者に、英軍兵士8人がよってたかって殴る蹴るの暴行を加える。その現場をビデオに撮影した兵士が「このくそガキが、このくそガキが(You little fuckers. You little fuchers.)」とはやし立てる……英軍兵士によるイラクの若者たちへのこんな集団暴行シーンを撮影したビデオが、2月12日、衛星放送でアラブ世界全域に流され、怒りを買っている。
 英紙インデイペンデント紙によれば、ビデオは2004年1月、イラクのバスラで撮影されたもの。
 英軍兵士らによる、棍棒や軍靴による「殴る蹴る」は42発。
 その残虐な行為が放映され窮地に陥ったブレア政権は、英軍に調査を命じた。
 イラク戦争の(もともとあるわけがなかった)「正当性」が揺らいでいる。

⇒ 

http://news.independent.co.uk/uk/politics/article345115.ece

Posted by 大沼安史 at 02:05 午後 | | トラックバック (1)

〔NEWS〕 「死の谷」への旅路 英軍第一陣、アフガンへ

 英軍5700人がアフガニスタンに展開する。先頭をきって王立海兵隊が今週、現地入りする。
 それを報じる英紙、インディペンデント(電子版、2月13日付け)は「死の谷」への旅路、と見出しで表現した。
 イラク戦争終結への展望のないまま、こんどはアフガンへの配備。「2正面作戦」の前途には暗雲が漂う。
 同紙によれば、過去8日間の友軍戦死者数はイラクの54人に対し、アフガン89人で、アフガンの方がより危険な状況だ。
 イラクの泥沼に足をとられたまま、ブレア政権はアフガンにおいても深みにはまろうとしている。

http://news.independent.co.uk/world/asia/article345104.ece

Posted by 大沼安史 at 01:48 午後 | | トラックバック (0)

〔A Happy New Life!〕 アメリカ縁結びサイト事情 

 明日(14日)はバレンタインデー。チョコレートが愛を運ぶ日です。本命チョコをどう手渡そうか、まだ悩んでいる女性も多いはず。
 でも、迷っているだけでは、何も生まれません。思い切って告白したらどうですか? たった一度の人生、たったひとりの彼なのですから。

 というわけで、きょうはバレンタインにちなむ話題を用意しました。
 インターネットでの伴侶さがし、オンライン縁結びに関する話題です。
 アメリカの「アトランチック・マンスリー」の最新号に、先進地、アメリカの最新事情が出ていたので、中身をかいつまんで紹介したいと思います。

 アメリカの縁結びサイトって、単なる結婚相手のご紹介、といったレベルを超えて、科学的な知見を総動員した、とんでもなく「進化」したものになっているのですね。おまけにサイト同士の競争が激化して、どれだけ縁結びに成功したか、マッチングの成功し結婚に漕ぎ着けたカップルがその後、どれだけ幸せな新生活を送っているか、「結果」でもって激しく争っている。

 アメリカでも最初は、希望を聞いて、条件にあった人を紹介する「あっせん」業務が主体だったそうですが、それがいまや、脳科学や心理学、性科学などを駆使した「究極の理想のペア」探しの場になっているのだそうです。ご近所とか、知り合いの中からではなく、「世界」というか「人類」の中からお似合いの相手を選ぶ、そんなレベルに達しているそうです。

 そこでまず、アメリカのオンライン縁結びがどれだけマッチメーキングに成功しているか、というと、たとえば、eHarmonyというサイトの場合、1年間になんと3万3000人が伴侶をゲットしているそうです。結婚の件数ベースでいうと、1日あたり46件のペース。

 これってすごいですね。アメリカには同じようなオンライン縁組サイトがほかにもいっぱいありますから、相当な数(おそらく、年間で数十万人)のアメリカ人が縁組サイトでパートナーと出会っているわけです。
 
 昔、桐島洋子さんって方が「淋しいアメリカ人」ってベストセラーを書いて、読んだことがあるのですが、アメリカって地縁とかいうものが意外をなくて、愛に飢えた孤独な人が多いそうなんです。そういう社会的背景があるから、オンライン縁組サイトがこれだけ繁盛しているのかも知れませんね。

 で、こうしたサイトがどのようなサービスを売りにしているか、というと、「科学的なお相手選び」なんだそうです。
 たとえば、eHarmonyでは、世界的に有名な、シカゴ大学のカール・ロジャース(故人)の薫陶を受けた弟子たちが、マッチメーキングのシステムを開発している。具体的には心理学、生理学、脳科学など関連諸科学の研究成果を動員し、436項目に及ぶ詳細な質問項目をつくり、それの回答結果を蓄積し、コンピューターでお似合いの候補者選びをしているんだそうです。
 436もの質問に答えるわけですから、花嫁、花婿探しも楽じゃないですね。

 eHarmonyの新顔ライバルのChemistry.com.は、少なめの146項目。ラトガース大学のヘレン・フィッシャー博士らその道の専門家を揃え、各種ホルモンの分泌に着目した、お似合いの「タイプ」絞込みシステムを開発しています。
 登録メンバーを「建設者」「探検者」「指示者」「交渉者」の4タイプに分け、その組み合わせで失敗のないお相手選びをサポートしているそうです。

 「アトランチック・マンスリー」の特集記事によれば、こうしたオンライン縁組サイトにほぼ共通するマッチメーキングのポイントは、similarity。
 日本語でいうと、似たもの同士。この似たもの同士が惹かれ合うケースが一番、多いんだそうです。
 相手のなかに自分を見る、ということなんでしょうか。
 これってたしかにそうですよね。

 でも、それだけじゃありません。このsimilarityを補強するのが、complementarity。つまり、相手のないものを互いに補う。
 つまり、similarityとcomplementarityを併せ持つカップルが、最強のベスト・カップルなんだそうです。

 まあ、これもそんなに驚きじゃないですね。
 別に科学的な所見を動員しなくたって、わかりそうなものですが……。
 
 とにかく、アメリカのオンライン縁組サイトでは、この「similarityとcomplementarity」を共有するカップルを結びつけることで、商売が大繁盛している。

 そうなると、人類はきょうだい、男女の問題に国境はないはずですから、結婚にあこがれる大和なでしこ、ニッポン男児にとって、戦略はひとつ。
 似たもの同士で、互いに自分にないものを補い合える相手を狙えばいい。
 そういう人にバレンタインチョコを贈ればいいわけです。

 周りにいませんか?、そういう理想のお相手。
 ことしはチョコ乱発はやめ、狙い撃ちで人生のパートナーをゲットしましょう。

 
 

Posted by 大沼安史 at 12:09 午後 | | トラックバック (0)

2006-02-08

〔NEWS〕 戦争のブラックホール イラク戦費、毎月45億ドル(5400億円)ペース

 イラク戦争の戦費が毎月45億ドルに達していることが、米国防総省(ペンタゴン)によって確認された。邦貨換算で5400億円弱。
  毎分あたりに10万ドル(1190万円)が使われている計算だ。

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版、2月3日、シアトル・タイムズ紙転載)が報じた。

 それによると、2003年3月の米軍進行以来のイラク戦争戦費は、2500億ドル(29兆7500円)に達している。
 2001年の「9・11」以来の関連経費を含めると、総額は5000億ドルに膨らみ、13年間に及んだベトナム戦争の戦費(インフレ調整値)に近づいているという。

 膨大な血税が流血のために使われる悲劇!
 

http://seattletimes.nwsource.com/cgi-bin/PrintStory.pl?document_id=2002780385&zsection_id=2002120029&slug=spending03&date=20060203

Posted by 大沼安史 at 02:53 午後 | | トラックバック (0)

〔A Happy New Life!〕ローファットの食事、がん、心臓病の予防につながらず

 低脂肪(ローファット)のダイエット(食事)は女性のがん、心臓病の予防につながらない--こんな研究結果が、米連邦政府の手でまとまった。
 ニューヨーク・タイムズ(電子版、2月7日)が報じた。
 50歳から79歳までの女性4万9000人を対象にした今回の調査は、過去最大規模。
 低脂肪ダイエットを続けた女性も、自分の好きなものを食べた女性と同率で、乳がん、結腸がん、心筋梗塞、脳卒中になることが確認された。
 このことは、女性の体重についてもあてはまり、低脂肪ダイエットをしたからといって、しない人より体重が減るわけでないこともわかった。
 ただ、心臓病と関係するLDLコレストロールの値は、高脂肪食を摂った女性の方がわずかに高かったが、心臓病のリスクを強めるまでには至らなかった。

 (大沼 注)
 ダイエット神話がまたひとつ、崩れた……。
 みのもんたさん、よろしく!

http://www.nytimes.com/2006/02/07/health/07cnd-fat.html?hp&ex=1139374800&en=9fdd8d6b9954745d&ei=5094&partner=homepage

Posted by 大沼安史 at 01:32 午後 | | トラックバック (0)

2006-02-07

〔NEWS〕 米軍、対イラン攻撃へ 「イラン戦争」の恐れ

 米軍がイラン攻撃の準備に入っている。国連安保理を舞台にした調停作業の失敗を見越して、臨戦態勢を整えている。
 英紙タイムズ(電子版、2月7日)が報じた。

 それによると、米軍はイランを三方から包囲している。西はアフガニスタン、東はイラク、トルコ、カタール、南はオマーン、ディエゴ・ガルシア。
 ペルシャ湾に空母艦隊が待機し、艦載機による空爆やトマホーク巡航ミサイルによる攻撃準備を終えている。
 米本土からは、B2ステルス爆撃機が攻撃に参加する。
 米軍の攻撃目標は12ヵ所。

 しかし、それに対する空からの攻撃は、容易ではない。
 ナタンズやエスファファンなど拠点施設は、対空防衛網によって取り囲まれており、地下化されてもいる。とくにナタンズの重要施設は、地下18メートルに造られて、厚さ2メートルのコンクリートで防護されており、これを破壊するのはかんたんなことではない。

 西側情報コンサルサントによれば、米軍の攻撃は、イスラエルが1981年、イラクのオシラク炉に対して行った空爆をはるかに上回るものになり、イラク侵攻前の連続空爆に近いものになる、と見られる。

 米国の退役空軍中佐は、核施設そのものに対する攻撃は1週間以内に終了すると予想する。しかし、それですべてが終わるのではない。そうではなくて、核施設への攻撃こそ、すべての始まりであると警告する。

 イランがイスラエルや中東の米軍施設に対しミサイルで報復すれば、一気に戦争状態にエスカレートする。
 イラン・イラク戦争当時のように、ペルシャ湾を航行するタンカーに対する攻撃も行われると、世界はふたたび、エネルギー危機に直面する。

 レバノンのシーア派ゲリラ組織、ヒズボラはイスラエルを攻撃し、イラン・シーア派のサドル師率いる武装抵抗勢力も決起するだろう。
 西側各都市で、テロの嵐が吹き荒れることもありうる。

 (大沼 注)
 英タイムズ紙が予想する「イラン戦争」シナリオは、絵空事ではない。
 戦争回避に向け、イランに石油権益を持つ日本の外交努力が求められる。
 小泉政権に、日本の外務省の特権キャリアたちに、状況に立ち向かう気概はありや?

http://www.timesonline.co.uk

Posted by 大沼安史 at 08:40 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 中東配備の米軍は「不安定要素」 米軍戦略当事者、認める 軍事基地の維持、「日本ほど長期化せず」とも

 英紙ガーディアン(電子版、2月7日)が報じたところによると、米軍戦略当事者のマーク・キミット将軍は2月5日、ロンドンの国際戦略研究所で演説し、米軍を主力とした中東地域配備の外国軍は、地域の不安定に「寄与する要素」であることを認めた。

 〔大沼:より直截に言えば、米軍がいるので中東は安定しない、ということである。それを米軍の責任者が国際戦略研で認めた! 同研究所は権威ある軍事・平和問題の研究機関である。そこでは米軍幹部も嘘をつくわけにはいかない〕

 キミット将軍はまた、エジプトからパキスタン(東西)、カザフスタンからウガンダ(南北)を結ぶエリア内で米軍を再配備していく構想を明らかにした。
 将軍まさらに、イラクにおける米軍基地の維持は、「ドイツや日本ほど長期化しない」と述べたが、バグダッド近郊に建設中の4つの大規模軍事基地の位置づけには触れなかった。

 〔大沼: 東京には横田があり座間があり、横須賀がある〕

 (大沼 注)
 たしかにそうだ。日本は米軍によって「部分占領」されているのだ!!

http://www.guardian.co.uk

Posted by 大沼安史 at 08:04 午後 | | トラックバック (0)

〔がんばれ、シンディー!〕 「数」が語り始めるとき

 「平和の母」、シンディー・シーハンさんが2月6日、ネット新聞、「コモンドリームズ」に、「数(Numbers)」と題するエッセイを寄稿した。
 そこに、イラク戦争の戦死者の「数」をめぐる、彼女の思いが記されていた。

 それを読んで、彼女が1月31日、ブッシュ大統領の「一般教書」演説を米連邦議会で傍聴して議会警察につまみ出された際、身に着けていた「2245」のナンバーが入った黒のTシャツの意味がわかった。

 シンディーさんが議会警察に逮捕され、傍聴席から連行されたことを、わたし(大沼)は本ブログで報じた。その際、彼女が着ていたTシャツの胸の数字、「2245」は、「プリント」されたものだと記した。

 間違いだった。Tシャツにプリントされていたもともとの数字は「2000」。
 昨年(2005年)9月25日、イラク戦争の戦死者が2000人に達したとき作ったオリジナルのシャツの数字部分に白いテープを貼り、新たに最新の戦死者数を書き込んだものだった。

 シンディーさんによれば、「一般教書」演説の傍聴に出かける前、彼女のTシャツに書かれた数字は「2242」だった。

 議場に入るギリギリに「2245」に書き直した。
 新たに3人の戦死が報じられたからだ。

 シンディーさんは2月6日、「シャローム平和センター」で預言者に与えられる賞をもらった。
 Tシャツの数字は5つ増えて「2250」に変わっていた。

 シンディーさんはエッセイにこう書いている。
 「5人の母親が新たに、正義に反して意味なく、苦悩の終身刑を宣告されました。5人の父親が沈黙を続ける、心痛の長い旅路に出かけることでしょう」

 戦死者を悼む黒のTシャツの上で、モノを言い始めた「数」。
 反戦グループ、「平和のための復員兵」によって、カリフォルニアのいくつかのビーチに、日曜日ごと戦死者の数だけ立てられる十字架の「数」。

 以前、数学の教師をしていたシンディーさんによれば、数というものは人々を理由もなく不安にするものだという。

 その「数」を背に――いや胸に、戦死者の無念と遺族の悲しみを抱きしめながら、シンディーさんの闘いは続く。

http://www.commondreams.org

  
 

Posted by 大沼安史 at 07:45 午後 | | トラックバック (0)

2006-02-06

〔いんさいど世界〕 グローバル化する「お化粧」 ターゲットは中国 欧米メーカーが構成 市場制覇は現地リサーチが鍵

 グローバル化がますます急速に進んでいます。ヒトやモノの移動だけでなく、技術や文化もどんどん国境を超えて、世界中に広がり、ぶつかり合って交響する時代になっています。

 そうしたなかで、「美しい」「きれいだ」といった美的感覚、さらには「美人」というコンセプトさえも、グローバル化されようとしています。
 そうした女性美のグローバル化の推進役になっているのは、言わずと知れた、欧米の巨大化粧品メーカー。

 とくに中国市場は、欧米メーカー激突の地となっていて、西欧流のお化粧が広がり出しているそうです。
 

  今日の話題は、女性美のグローバル化。欧米化粧品メーカーによる「お化粧のグローバル化」についてお話したいと思います。

 つい最近、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(2月4・5日号)に、こんな特集記事が出ていました。
 「面の皮の厚さ、しかし、厚く個人的に(Skin deep, but deeply personal)」という、パリ発の見出しの記事です。
 世界最大の化粧品メーカーである「ロレアル」社などの「世界戦略」が紹介されていて、男性であるわたしにも興味深く読める記事でした。

 世界ナンバーワン、ロレアル社の昨年の売上高は140億ユーロ。邦貨換算で2兆円近くに達しているそうですが、その3%、5億ユーロが世界市場のリサーチに使われているのだそうです。
 ある国の女性たちに化粧品を売り込むには、その国の女性のお化粧の性向、女性の身体性の特徴を知らねばなりません。そこで徹底した調査をする。

 たとえば「ロレアル」社は、日本女性のマスカラに関する調査を行っているそうです。
 大和なでしこがマスカラを装着する際、上向きになるようブラッシングする回数は、平均100回(ほんとですかねぇ?)。ヨーロッパの女性は平均50回なので、日本の女性はその倍もブラッシングしているわけですね。そういう事実を踏まえて、日本人向けの製品を開発していく。

 同社ではまたパリとその近郊に住む女性の髪を、人種別というか、出身地別にリサーチし、その特徴を地理的に分類、「世界ヘア地図」なるものをつくったりしているそうです。

 ところで当然といえば当然のことですが、ロレアル社など欧米の化粧品メーカーがいま、リサーチの矛先を向けているのが、中国。
 15歳から64歳、お化粧適齢期(?)の中国人女性は、なんと4億5100万人。化粧品市場はすでに80億ドル規模(年間)に達しているそうです。市場の拡大速度も超高速で、過去5年間に売上が倍近く伸びているありさま。
 そんな中国人女性をターゲットに、ロレアル社はもちろん、エステーローダー社といった有力メーカーが上海などにリサーチの拠点を置いて、研究開発をはじめているそうです。
 これもロレアル社のケースですが、毎年3万5000人の中国人女性にインタビューして、中国人女性の美的ニーズを探り続けている。

 そんななかから、どんな中国人女性向の商品が開発されているか?
 シャンプーで言えば、泡切れとすすぎのいいものが投入されました。
 なぜかというと、中国人の女性って節水で盥で髪を洗う人が多いんだそうです。だから、少量の水で洗い落とせるシャンプーじゃないといけない。そうじゃないシャンプーは中国じゃ売れないんだそうです。
 それから中国人女性の髪の質についてもリサーチを続けている。

 研究に協力しているのは、上海に住む女性で、白髪3千丈ではありませんが、髪の長さが実に4メートルもあります。なぜ、この女性を調べるのが大事かというと、髪の毛の老化を時間的に見ることができるからだそうです。

 現在、世界の化粧品メーカー上位10社(トップ10)のうち、9社までが欧米勢(唯一の例外は、日本の資生堂で8位に食い込んでいます)。
 そういう巨大メーカーが中国に進出するということは、「白人女性」向けの化粧品をベースにしたものが、中国人女性に売り込まれるということですね。
 いくら現地女性の好みをリサーチして商品開発につなげても、西洋流のお化粧であるということには変わりありません。
 ファウンデーションを塗って、マスカラをつけて、世界の流行色のルージュに引いて、爪にマニキュアを塗る……

 そのうちに、アフリカやアマゾンの先住民族も、西洋流のお化粧に支配されてしまうかも知れませんね。
 現にロレアル社などは、2年前、アメリカのシカゴに研究開発拠点を設け、有色人種向けの化粧品開発に本腰をいれているそうです。

  
 

Posted by 大沼安史 at 02:19 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔重要NEWS〕 昨年7月のロンドン同時多発テロ サウジが詳細情報を伝え、英国側に事前警告 

 英紙オブザーバー(ガーディアン日曜版、電子版)は2月5日、昨年(2005年)7月7日のロンドン地下鉄同時多発テロについて、サウジアラビアが同年初め、6ヵ月以内に4人のテロリストが攻撃を行うと英国政府に事前警告していた、と報じた。

 同紙は昨年8月、サウジ情報機関が2004年12月、リヤドで、英米情報機関に「7・7テロ」を事前警告したことをスクープしていた。今回の報道は、その第一報を、米政府筋の確認によって確証したもの。

 サウジが英米に伝達した情報は具体的で、4人のテロリストがロンドンの地下鉄、もしくはナイトクラブを攻撃する計画を進めている、との内容だった。

 サウジ筋は、「7・7テロ」と直接関係する情報だった、と言明しているという。
 また、複数の米政府筋によれば、米国の「国家安全保障会議」の高官(複数)が昨年の早い時期に、サウジより事前警告があったことを確認したという。

 サウジ情報部はこの情報を、逮捕したサウジの武装抵抗勢力メンバーから入手した。逮捕された男は、尋問に対し、シリアのある電話番号を自白、その電話で指令を受けることになっていたと供述した。
 男はまた、英国のイスラム過激派に資金提供しているのは、「リビアのビジネスマン」とされる人物だと証言した。

 こうした確度の高い事前警告を通告されていながら英国政府は、「7・7」の3週間前、厳戒態勢を解いていた。

 英政府が事前警告を受け止めていれば、「7・7」は阻止されたかも知れないわけで、テロ犠牲者の遺族から、真相究明を求める声が出ている。

 (大沼 注)

 「7・7」も、「9・11」と同じだった。
 事前情報、事前警告がありながら、テロの「実行」を許してしまった。
 それは反テロ情報当局の「ミス」ではなく「意図」であったとしたら? 
 「7・7」をめぐるミステリーに、新たにもうひとつ、謎が生まれた。
 「闇」深し、である。
 

http://observer.guardian.co.uk/uk_news/story/0,,1702660,00.html

Posted by 大沼安史 at 11:10 午前 | | トラックバック (0)

2006-02-03

〔コラム 机の上の空〕 くわえタバコのミラー上等兵 「沈黙の目」が語る戦争の非道

 2004年11月、米軍がイラクのファルージャに侵攻した際、ロサンゼルス・タイムズ紙のカメラマン、ルイス・シンコ氏が、若い米海兵隊員の顔をアップでとらえた。くわえタバコで放心するその表情には、イラク戦争に従事する米軍兵士の苦悩がまぎれもなく映し出されていた。

 イラク戦争最大の悲劇の地、ファルージャで撮られた一枚のポートレートは、同紙だけでなく、世界各地のメディアによって転載された。

 ブレイク・ミラー上等兵の肖像写真。
 「マールボロー・マン(マールボローを加えた男)」のポートレートとして、世界中の新聞や雑誌などに登場したこの報道写真は、イラク戦争の現場で撮影された、写真ジャーナリズムの傑作である。

 そのミラー上等兵の近況を、英紙インディペンデント(電子版、2月2日付け)が伝えていた。
 ミラー上等兵は1年後の昨年(2005年)11月、除隊し、帰国を果たしていた。

 無事の生還――ではなかった。外見は元通りだが、心に傷をもって帰って来た。
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)。
 「悪夢と不眠、そして、自分がどこにいて何をしているのか、頭が真っ白になってわからなくなる時間帯」が、いまなお続いている。

 「ぼくがイラクの話をすれば、みんなきっと逆毛が立つだろう」
 「そこ(ファージャ)にいなかったら、ほんとうのことはわからない」
 身の毛もよだつ、よほどの戦場体験だったに違いない。

 米軍最高司令官(ブッシュ大統領)の言うがままに戦闘に従事した、ミラー上等兵というひとりの海兵(マリーン)は、いま、戦争を批判する人に変わった。「戦争神経症」に苦しみながら、戦争を問う人間に変わった。

 アメリカの市民、ブレイク。ミラー氏は、インディペンデント紙の記者にこう語った。
 「ぼくの一番の疑問はね、ある国のひとにぎりの連中がテロを続けているからといって、どうしてその国と、まるごと戦争しなきゃならないってことなんだ。それって、ニューヨークのギャングがイラクに行って爆破事件を起したという、ただそれだけのことで、イラクの国がぼくら全員に対して戦争をしかけていると同じことじゃないか」

 ファルージャで1日、5箱吸っていたマールボロは、いま1箱に減った。
 最近、結婚して、新生活のスタート台に立っている。

 そんなインディペンデント紙の記事を読み終えたあと、もう一度、ミラー上等兵の戦場ポートレートを見てみた。

 右の唇から斜め下に伸びた、火をつけたばかりの1本のマールボロ。鼻筋の一筋の血糊。右目じりの擦過傷。
 そしてなにより、印象的なのは、前方の一点に視線をなげる、細いふたつの目である。

 ロサンゼルス・タイムズのシンコ写真記者がとらえたミラー上等兵のまなざしには、フランスの写真家、故ブレッソンが映像として固定してみせた「心の沈黙」があった。
 おそらくは、シンコ記者がカメラを向けたことにも気づかず、そのシャッター音にも、周囲の騒音にも気づかずに、この世の現実に悲しい目を向ける、無言の視線があった。

 そういう目をした人だからこそ、ミラー氏はファルージャで心に傷を負い、帰国後、戦争反対を語り始めたのだろう。  

 放心し、くわえタバコで戦場にたたずむミラー上等兵の両の目には、戦争の悲劇を一瞥のもとに見切った兵士の深い沈黙がある。

 イラク戦争のすべてを物語る、一枚の写真。

 一日も早い停戦と、ミラー氏の新生活の幸福を祈りたい。

 ミラー上等兵の写真は

 ⇒
 http://www.commomdreams.org/headlines06/0202-07.htm

  

  

Posted by 大沼安史 at 11:26 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2006-02-02

〔がんばれ、シンディー!〕 Tシャツで「アメリカの現状」に抗議 「平和の母」、議事堂で逮捕 ブッシュの悲しき「一般教書(アメリカの現状)」演説当夜 

 「平和の母」ことシンディー・シーハンさんが1月31日、ブッシュ大統領の「一般教書(State of Union=米国の現状)」演説の当夜、演説場所の米連邦議会議事堂内で逮捕された。
 愛息のケーシーさんをイラク戦争で亡くしたシンディーさんは、ブッシュ政権の責任を追及する抗議行動を続けている。
 彼女の地元のカリフォルニア州選出の下院議員から、「教書演説」傍聴の招待状をもらったシンディーさんは、この日、「2242(人) DEAD(戦死者)」とプリントされたTシャツを着用し、議場に入る予定だ。
 目撃者によると、シンディーさんは傍聴席(ギャラリー)に着席したところを、議会警察に逮捕された。
 Tシャツを着用しての傍聴が不法行為とされた。(その後、無実として釈放。議会警察が陳謝した)

 そんな逮捕劇をよそに、議場ではブッシュ大統領が「米国の現状」演説を行った。
 52分の演説の半分以上が外交政策の失敗の釈明に費やされた。
 「アメリカの指導がなければ、世界は劇的により危険で不安なものになるだけだ」
 
 スピーチライターがこねあげた、ブッシュ大統領の演説より、シンディーさんのシンプルなメッセージ、「2242 DEAD」の方が、強烈な印象を残した。

http://www.bradblog.com/archives/00002355.htm

Posted by 大沼安史 at 10:17 午前 | | トラックバック (0)

2006-02-01

〔コラム 机の上の空〕 劇作家、ダリオ・フォー氏、伊ミラノ市長選出馬……敗北

 英紙ガーディアンの電子版をのぞいていたら、イタリア・ミラノ市の市長選に、ノーベル賞受賞の劇作家、ダリオ・フォー(Dario Fo)氏が出馬したという記事が出ていてびっくりした。

 ダリオ・フォー氏は昨年12月、英国のロンドンで上演された、アメリカの反戦運動家、シンディー・シーハンさんを題材とした「平和の母」という一人芝居の作者(本ブログ既報 下記リンク参照)である。
 そんなこともあって興味を覚え、ダリオ・フォー氏のことをいろいろ調べてみた。
 そして驚いた。

 わたしは、イタリアの劇作家といえば、ピランデッロしか知らなかった。それも、ピランデッロの家庭的な悲劇のことだけを。

 (彼の妻は精神病に苦しみ、彼女の死後、ピランデッロはその看病が彼の演劇をつくった、と感謝の言葉を述べている)

 ダリオ・フォー氏は同じくノーベル賞を受賞した、そのピランデッロに勝るとも劣らない劇作家だった。

 ダリオ・フォー氏は1926年、鉄道員の息子として生まれ、建築を学んだあと役者として演劇に関わり、脚本を書くようになった。
 現在79歳(来月、3月で80歳)。女優のフランカ・ラーメさんを人生のパートナー兼同志として、半世紀近く、演劇活動を続けて来た。
 「富と権力」を痛烈に風刺する作風。
 代表作は英訳もされている“Morte accidentale di un Anarchico (Acciedntal Death on an Anarchist)”〔「アナーキストの偶然死」〕。
 イタリア政府が関与した疑いのある虐殺事件を扱ったこの演劇は、2年間の国内巡業で50万人の観客を動員したという。

 1月29日に行われたミラノ市長選の予備選挙でフォー氏は、ライバルの同士警視総監に敗れたが、その選挙公約は同氏らしいものだった。
 高層ビルを建てるため市外中心部を破壊する都市計画に反対し、疲弊した郊外の復興を目指すものだった。
 そんなフォー氏が選挙運動でフランカ夫人とミラノの通りを練り歩く写真が、ガーディアン紙に載っていた。
 80歳一歩手前という高齢を感じさせない若さ。フランカ夫人も女優らしくゴージャスだった。

 二人の年譜を読んでびっくりした。
 フォー氏の演劇を憎むイタリアのファシストらが1974年3月、フランカ夫人を誘拐し、レイプまでしたというのだ。
 夫人は事件後、わずか2ヵ月で舞台に復帰した。
 彼女自身の意志の強さはもちろんだが、きっとフォー氏の励ましも大きかったはずだ。

 二人の強さを思い、あらためて写真を見直した。
 そこには、ともに人生を最後まで生き抜き、挑戦し続けようとする、しぶとく明るい笑顔があった。


 

http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,1698483,00.html

http://books.guardian.co.uk/news/articles/0,,1697812,00.html

http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/6/

Posted by 大沼安史 at 01:12 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)