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2006-01-20

〔いんさいど世界〕生きていた?ビンラディン 「長期停戦」呼びかけるメッセージ

 アルカイダのリーダー、ビンラディンの肉声メッセージとされる録音が1月19日、メディアを通じて全世界に流れた。
 例によって、カタールの衛星テレビ局、アルジャジーラが録音テープを入手して放送、それが世界各地のメディアによって転送され、行き渡った。

 ところで録音は、重体説とともに死亡説も伝えられるビンラデイン本人のものなのか?

 米CIAは本人のものと断定した。
 1996年にビンラデインとインタビューした、ジャーナリストのアブデル・バリ・アトワン氏も、「ほとんど間違いない」(英紙ガーディアン)と語った。
 ビンラディンと3回会見した英紙インディペンデントのロバート・フィスク氏も「ほとんど間違いない」との見解だ。

 となると、今回、流された肉声メッセージは本物と考えた方がいい。
 
 本物である、との前提に立つと、今回のメッセージはどんな意味を持つのか?
 インディペンデント紙のロバート・フィスク氏は、1月20日付けの同紙(電子版)の記事のなかで、またも「ナンセンス(茶番)」が繰り返されたと言い切った。
 
 フィスク氏はこんなふうに記事を書き出している。

 どうして音声だけのメッセージだったの? どうして(本人が映った)ビデオテープではなかったの? 病気ってこと? その通り、と、いつものアメリカ「情報筋」……同じ昔話がまたも繰り返された。語りかけるビンラデイン。洞窟の入り口から、あるいは洞窟の内部から、たぶん、洞窟の地下から。長距離電話で録音されたテープが語りかける。昨日のアルジャジーラによって放送されたメッセージは、病気ではなく、セキュリティー上の問題から、通信方法を選んだものと思われる。
 われわれはビンラディンを見つけにアフガニスタンに侵攻し、支持者を殺すため戦って来た。それなのに、ビンラディンに逃げられ、脅かされ、嘲笑されている。
 このナンセンスは、どれだけ続いていくのか?
 ――と。

 メッセージのなかで、ビンラディンは新たな(テロ)攻撃をにおわせながら、一方で「長期停戦」を呼びかけた。
 フィクス氏によれば、それも、ブッシュが拒否するのを見透かして。
 なおかつ、まるで、自分にすべての決定権があるような、米軍の最高司令官、ブッシュ大統領の向こうを張った言い方で。
 
 しかし、ビンラディンは、フィスク氏がいみじくも言うとおり、「いまやかなり現実とはかかわりのない」存在と化している。
 ビンラディンは、核兵器の量産に道をひらいた科学者であり、量産された核兵器ではない。問題は核兵器であって、いまさら科学者をつかまえてみても仕方がないだろう。
 そんなビンラディンのメッセージを、ことさら騒ぎ立てるナンセンスな茶番!

 わたし(大沼)が蛇足で付け加えれば、ビンラディンの挑戦的なメッセージが流れて、一番喜んでいるのは、ブッシュ大統領だろう。
 イラク戦争に対する米国民の批判が強まり、十字軍的な戦闘の意義そのものが揺らぎだしたときに、テロの黒幕から挑戦状が届いたのだから。
 「テロとの戦い」の継続を正当化する「根拠」をプレゼントしてもらったのだから。
 そういえばイラク戦争ってテロとの戦いだったんだ、などと、ブッシュ政権のプロパガンダを思い出すお人善しも現れてくれるかも知れないのだから。

 ともあれ、以下にインディペンデント紙が報じたメッセージの抜粋(停戦呼びかけ部分)を、英訳からの重訳で紹介することにしよう。
 

 〔For the Record〕
 
 ビンラディン録音テープの抜粋テキスト 
 

 あなたがたへの私のメッセージは、イラクとアフガニスタンの戦争に関することであり、それをいかに終わらせるかに関することであります……神のご加護で、わたしたちが直面する状況は、あなたがたの状況とは正反対に、良くなる一方です。
 
 しかし私は、あなたがたの圧倒的多数がイラクからの撤退を望んでいるという世論調査の諸結果に対するコメントで、ブッシュ大統領が繰り返し、過ちをおかしていることをお話しするつもりです。しかし、彼(ブッシュ)はこうした(米国民の)意志に反対し、撤兵することは敵に間違ったメッセージを送ることになると言ったのです。そして、自分たちの土地で、われわれを彼らと戦わせるより、彼らの土地で彼ら(ビンラデインの信奉者)と戦った方がよい、とも言いました。こうした過ちに対して、私はこう応えることができます。イラクでの戦争は休みなく荒れ狂っていきます。アフガニスタンの軍事作戦も、われわれに有利な方向でエスカレートしています。神のご加護の下に。そしてペンタゴンの人々は、あなたがたの死者、負傷者の数が増えていることを示している。大量の物質的損失は言うまでもありません……

 私たちは公平な条件の上に立った長期の停戦を提案することにやぶさかではありません。私たちはそれを守ります。私たちは神に嘘と欺瞞を禁じられてる人間なのです。だから、両陣営はこの停戦で安全と安定の恩恵にあずかり、こんどの戦争で破壊されたイラクとアフガニスタンを再建することができます。この解決策に恥辱はありません。それは、数十億ドルの寄付でもってブッシュの選挙戦を支えた影響力を持った人々や死の商人のところへ流れ去った数十億ドルの無駄遣いを防ぐものなのです。

  The text of excerpts from the Bin Laden tape

My message to you is about the wars in Iraq and Afghanistan and how to end them... Our situation, thank God, is only getting better and better, while your situation is the opposite.

But I plan to speak about the repeated errors your President Bush has committed in comments on the results of your polls that show that an overwhelming majority of you want the withdrawal of American troops from Iraq. But he [Bush] has opposed this wish and said that withdrawing troops sends the wrong message to opponents, that it is better to fight them [Bin Laden's followers] on their land than them fighting us [Americans] on our land. I can reply to these errors by saying that war in Iraq is raging with no let-up, and operations in Afghanistan are escalating in our favour, thank God, and Pentagon figures show the number of your dead and wounded is increasing not to mention the massive material losses...

We don't mind offering you a long-term truce on fair conditions that we adhere to. We are a nation that God has forbidden to lie and cheat. So both sides can enjoy security and stability under this truce so we can build Iraq and Afghanistan, which have been destroyed in this war. There is no shame in this solution, which prevents the wasting of billions of dollars that have gone to those with influence and merchants of war in America who have supported Bush's election campaign with billions of dollars.

Posted by 大沼安史 at 01:28 午後 1.いんさいど世界 |

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