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2006-01-03

〔NEWS〕 オーウェルの世界,米国で現実化 NSA(国家安全保障局)の傍受情報をもとにDIA(防衛情報局)が国内でターゲットをマーク ビッグ・ブラザー化する軍事・情報権力

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は1月1日、反骨の老記者、ウォルター・ピンカス氏によるスクープ記事を掲載した。

 米国最大、ということは世界最大規模の秘密情報機関、NSA(国家安全保障局)が米国外を対象とするとされていた世界規模の盗視・盗聴システム、「エシェロン」を米国内にも向け、自国民の通信を傍受していた問題での、ピンカス氏の本格追及の第一弾。

 それによると、NSAは米国内で傍受した情報〔ピンカス記者は、これを米国内と海外との間の通信、としている。実際は国内通信も傍受していた疑いが強いが、ピンカス記者はとりあえず国際通信に限定して記事を書いている〕を、CIAやFBIなど他の情報・捜査機関に応じ、提供して来た。

 このなかには、米国防総省の情報機関、DIA(防衛情報局)も含まれており、DIAはNSA情報に基づき、米国内の、「脅威」と思われるターゲットの監視活動を続けて来た。
 
 ピンカス記者はDIAに関するこの情報を、2人の情報源から得たとしている。
 これに対してDIAのスポークスマンは、そのような国内監視活動はしていないと否定したが、それ以上のコメントを拒否した。

 〔大沼 解説〕
 このピンカス記者による報道で注目されるのは、NSAが、DIAなど他の情報機関の「リクエスト」で、国内傍受情報を提供していた、というくだりである。

 注文を受けて、傍受に乗り出したか、もともと傍受していたものを注文に応じて提供したか、のどちらかだろうが、いずれにしろ、問題なのは、その傍受能力の高さと、情報機関同士、極めて緊密に連係している事実である。

 同じアメリカの情報機関だから、情報共有は当たり前だと言われればそれまでだが、そうであるならまたしても、「9・11」のミステリーが浮かび上がる。

 これだと、あの、われわれは情報を集めながら、せっかくの情報を共有できず、生かし切れなかった、だから、「同時多発テロ」を許してしまったという論法が成立しなくなる。

 ピンカス記者も記事のなかで指摘している通り、NSAの国内傍受は、ベトナム戦争当時の1960年代、広汎に行われていた。NSAが収集した反戦運動などに関する情報は、そのときから「共有」されていたのである。

 だとしたら、なぜ「9・11」前だけは、情報共有が「不全」状態に陥っていたのか?

 いい加減な報告書なるものをまとめた、「9・11調査委員会」のメンバーは、ブッシュ政権の取り巻きぞろい(1人だけ、抗議の辞任をした委員がいる)。

 今回のNSAスキャンダルの追及は、最終的に「9・11」の真相究明に向かうべきものである。

 NSAについて付言すれば、昨年(2005年)末、NSAのホームページにアクセスした人のコンピューターからファイルを盗み取る仕掛けをしていたことが、AP通信による暴露報道で発覚、NSA側も事実を認め、仕掛けを解除した事実がある。

 アメリカの軍事・情報権力は、ジョージ・オーウェルの小説「1984年」が描いた、ビッグ・ブラザーによる「監視社会」をすでに現実化させている。

 米政権中枢にとどまる良識派がディープスロートとして、さらなる内部告発を続け、それにマスコミの調査報道が呼応するかたちで、真相の解明と自浄作用が進むことを望む。

⇒  

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/12/31/AR2005123100808.html

Posted by 大沼安史 at 10:16 午前 |

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