〔コラム いんさいど世界〕 「世界の反対側で会おう!」 留守電遺して自殺したイラク帰りの米軍兵士
イラクの戦場から復員し、南部アラバマの田舎町で暮らすダグラス・バーバーさん(35歳)がショットガンで自分の命を断ったのは、1月16日のことだった。
友だちに別れのメールを送ったあと、留守録を吹き替えた。
「ダグ〔ダグラスの愛称〕を探してるなら無駄だよ。ぼくはいま、この世からチェックアウトしているんだ。世界の反対側で会おう!(If you're looking for Doug, I'm checking out of this world. I'll see you on the other side.)」
それから警察に電話して、ショットガンを抱え、パトカーが来るのをポーチで待った。
警察官と対峙したあと、ショットガンを自分の顔に向け、引き鉄を引いた。即死だった。
ダグラスさんはイラク戦争の悪夢に深く傷ついていた。
オハイオ州兵の技術兵として、イラクに送られたのは、米軍侵攻後の2003年夏。7ヵ月、戦場にいて復員した。
生還はしたが、戦争体験が彼の生を狂わせた。復員はしたが、日常生活に復帰できなかった。
11年間、連れ添った妻と別れ、アラバマ州リー郡でひとり暮らしを始めた。
イラク帰りのダグラスさんにとって、この2年間は、イラクで見てしまった世界と、イラクから帰って来た世界との断絶に苦しむ時間だった。
忘れようとしても、忘れられない、戦場体験。ダグラスさんは、アラバマの平和団体によるインタビューに対し、ひとこと「それは想像を超えたことでした」と答えた。
ダグラスさんは「イラク戦争に反対する復員兵」という団体のメンバーにもなっていた。
心的傷害を負った復員兵に対する理解を求めて、オンライン・ジャーナルなどでアピールして来た。
「復員兵はしばしば、自分が後に残して戦地に出発した同じ世界に戻って、適応できないことがあるのです」
「復員兵は帰国したとき、何をしていいか分からなくなるものなのです」
ダグラスさんはそういう自分をわかっていながら、自覚していながら、自ら命を断ってしまった。
「世界の反対側で会おう!」と言い遺した、その「世界の反対側」とは何処なのか?
戦争のある「この世」に耐え切れず、ダグラスさんは自分の命と引き換えに、別の世界に旅立って行った。
⇒
http://www.scoop.co.nz/stories/HL0601/S00146.htm
http://www.springerontheradio.com/node/6805
http://news.independent.co.uk/world/americas/article340826.ece

















