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2005-12-18

〔重要NEWS〕 「軍事情報帝国」アメリカ ペンタゴンの新設情報機関、CIFAが自国民に対してスパイ活動 その名を「TALON」 米NBC放送が400頁機密文書を入手して暴露

 米国でブッシュ大統領の秘密命令の下、NSA(国家安全保障局)が自国民に対して令状なしに盗視盗聴活動を続けたことがニューヨーク・タイムズ紙の暴露報道で問題になっているが、これより先に米3大ネットワークのひとつであるNBC放送のスクープ報道で、米国防総省(ペンタンゴン)が、新たに立ち上げた情報機関のCIFA(反諜報フィールド活動、Counterintelligence Field Activity)を使って、平和運動組織など米国市民グループ及び特定個人に対し、大規模なスパイ活動を行っていることが明らかになった。

 ペンタゴンによる自国民に対する情報収集活動は、TALON(脅威・地域監視通報、Threat and Local Obseravation Notice)と呼ばれており、2年前、ネオコンのリーダーで、当時、ペンタゴンのNO2、国防副長官だったポール・ウォロヴィッツにより、CIFAを実施主体として開始された。

 NBCの調査報道ユニットが入手した、CIFAデータベースのTALON文書は400頁に及んでおり、過去10ヵ月間に、全米各地であった、1500件もの「疑惑の出来事」について、その「評価」も含め、記録している。

 どのようなケースが「疑惑の出来事」か、というと、たとえば1年前、フロリダ州レーク・ワースで開かれた、平和主義のキリスト教派、クェーカー教徒たちが会堂で開いた集会もその一例。

 この集会では地元の高校に対する米軍の勧誘活動に抗議することが話し合われていた。

 CIFAはこの集会での協議内容を何らかの手段(大沼:盗聴か?)で傍受し、これを「脅威」と判定し、記録文書に盛り込んでいた。

 ペンタゴンが米軍基地に対する抗議デモなどを記録に残すのは当然のことだが、CIFAのTALON情報収集活動は、軍事施設から離れた、地域社会での「出来事」を監視し、記録している。

 NBCが入手した文書には、このクェーカーに対するケースのほか、ことし3月、ロサンゼルスのハリウッドやヴァインで行われたイラク反戦デモや、昨年12月、ボストンで計画された、軍の勧誘活動に対する抗議行動などが記録されていた。

 CIFAのTALONはさらに、抗議デモの準備会合など「疑惑の出来事」のほか、「米国市民・国民」をもターゲットにしており、NBCが入手した文書には、少なくとも20件の「市民・国民」についての「言及」が含まれているという。

 こうした反戦・平和運動に対するペンタゴンによるスパイ活動は、ベトナム戦争当時も大規模に行われていた。
 米陸軍の情報将校だったクリストファー・パイル氏(現・マウント・ホリヨーク大学教授)が1970年1月、「ワシントン・マンスリー」誌で内部告発したことで発覚したが、連邦議会の調査の結果、なんと10万人もの自国民をターゲットとしていたことが明らかになり、米国民の怒りに火を注いだ。

 ペンタゴンはこれをうけて、1982年12月に情報収集活動へのガイドラインを設け、自国民に対するスパイ活動を規制していたが、今回のNBCの暴露報道により、ガイドラインが無視され、規制の約束が反故にされていたことが確認された。

 NBCの報道によると、CIFAは米国の情報コミュニティーのなかでも屈指の、「データ・マイニング(データ採掘)」の「スーパーパワー」になっているという。

 データ・マイニングとはインターネットを通じ、ホームページその他の情報を発掘する手法で、CIFAは昨年3月以来、3300万ドルを投下し、ロッキード・マーティン社やユニシス・コーポレーション、コンピューター・サイエンス・コーポレーション、ノースロップ・グラマン社と契約を結んで、データ・マイニングによるデータベースのシステム構築を開始した。

 このうち、ノースロップ・グラマン社が開発を担当しているのは。「パーソン・サーチ(人物探索)」というシステムで、対象人物に関する「総合情報」を把握することができる。

 コンピューター・サイエンス・コーポレーションが受注したのは、「インサイダー脅威イニチアチブ」と呼ばれるシステムで、「内部関係者)インサイダー」による脅威を察知し、摘発する仕組みだ。

〔大沼 解説〕

 ペンタゴンのCIFAについては、ワシントン・ポスト紙の反骨の老記者、ウォルター・ピンカスさんも、ことし11月27日付けの記事で、その存在をあぶり出してしている。

 ピンカス記者によると、CIFAは3年前に創設され、当初はペンタゴン内のセキュリティ活動の調整を任務としていたが、その後、裏切り、テロ活動など活動範囲を一気に拡大した。

 CIFAが発注したデータ・マイニングのシステムが、どこまで実用化されているかは不明だが、この技術はかなり前に確立しており、稼動が開始されているとみるべきであろう。
 
 アメリカは、プロトタイプのソフトウェア、「プロミス」をベースとしたシステム構築により、NSAやCIFAなどが、米国内外の全情報を、2重にも3重にも傍受・分析し、一般市民を徹底的にマークする「軍事・情報帝国」化の道を急テンポで進んでいる。

 ジョージ・オーウェルの「1984年」状況が、米国を、世界を、覆い尽くそうとしている。

    

http://www.msnbc.msn.com/id/10454316/

Posted by 大沼安史 at 05:05 午後 |

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