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2005-12-06

〔NEWS〕 誕生日に届いた悲報 愛息を亡くした45歳、「平和の父」に

 カルロス・アレドンドさんは44回目の誕生日のその日、携帯を手に、イラクの戦地からの、お祝いの電話を待っていた。

 イラクの戦地にいる、息子のアレキサンダーさん、海兵隊上等兵からの「ハッピー・バースデー」の声を。

 昨年(2004年)8月25日のことだった。

 現在、マサチューセッツ州ロスリンデールに住んでいるカルロスさんは当時、フロリダ州のハリウッドに暮らしていて、その日はたまたま、庭に出てフェンスの修理をしていたという。

 そのときだった。一台のバンが来て停まり、中から軍人3人が姿を現した。
 海兵隊の制服姿だった。

 カルロスさんのところに来て、一人が言った。
 「遺憾ながら、アレキサンダー・アレドンド上等兵が戦闘中、戦死したことを申し上げます」

 それを聞いて、息ができなくなった。
 そんな馬鹿な、あるわけないじゃないか。

 家に駆け戻って、母親を探した。

 「神さま、いったい、どういうことなんです」

 カルロスさんは、そう思うしかなかった。

 海兵隊員にカルロスさんは、すぐに帰れ、と言った。
 でも、引き揚げようとしない。

 もう一度、言っても。

 カルロスさんは、ガレージからハンマーと取り出し、海兵隊のバンをぶっ壊そうと駆け寄って、思いとどまった。

 ハンマーを地面にたたきつけ、家のなかに閉じこもって、再び、神に救いを求めた。

 それから海兵隊員に、「もう、帰ってくれ」と、3回目、最後のお願いをした。

 聞き入れてくれなかった。

 カルロスさんはガレージに戻ると、5ガロンのガソリンと、プロパンのボンベとバーナーを持って、バンに駆け寄った。

 ハンマーを拾って、バンのウインドーにたたきつけた。勢いあまって、車の中に飛び込んで行った。

 カルロスさんの母親のルズさんがガソリンを遠ざけようとしたが、遅かった。

 ガソリンの缶を持ってバンの運転席に入って、閉じこもった。

 そしてカルロスさんは「息子の名前を呼び、息子を求めて叫んだ」。

 座席のハンマーを振るい、社内をめちゃくちゃにした。ダッシュボードを、パスコンを、リアウインドーを破壊した。

 それからガソリンを撒いた。バーナーに火をつけた。ガソリンのにおいで噎せ返った。

 母親に手をつかまれた。

 その瞬間に引火。車内は火の海になった。

 炎に包まれ、道路に転げ出た。
 

 2日後、カルロスさんは病院で意識を取り戻した。

 下半身を中心に全体の26%を火傷していた。

 戦死した息子のアレキサンダーが高校を卒業して、海兵隊に入ったのは3年前のことだった。17歳の選択。入隊にあたって、海兵隊から、1万ドルのボーナスが出た。

 湾岸のクウェートから、手紙を書いて来た。

 「こんなに青い海を見たことはない」

 手紙のあとの方に「死ぬのは怖くない」と書いてあった。

 イラクのナジャフに送られた。

 4階建てのホテルを掃討中、こめかみを狙撃され、死んだ。

 マサチューセッツのロスリンデールに引っ越して来てから、カルロスさんは息子の死を無駄にしない活動を始めた。

 戦争の無意味を訴え始めた。

 アレキサンダーさんの戦地からの手紙のコピーをいっぱいつくって配り、マサチューセッツ版(バージョン)のシンディー・シーハン、とも言われるようになった。

 「軍人の家族が発言する」という組織を、同じ境遇の遺族と立ち上げ、反戦運動を始めた。

 息子を失った思いを集会で話すようになった。

 「17歳の子を軍務に就かせてはならない。リクルーターの軍人を高校から追い返せ」

 45歳の父は、息子を戦争で亡くした悲しみを、平和運動の取り組みのなかに昇華させた。

 そんなカルロスさんのことを、マサチューセッツの地元紙、ボストン・ヘラルド(電子版、12月1日付け)の記事で読んだ。

 記事には、アレキサンダーさんの遺影を持って街頭に立つ、カルロスさんの写真が添えられていた。

 胸に十字架のネックレスが見えた。神父のような、黒っぽいスーツを着ていた。

  シンディー・シーハンさんが「平和の母(ピース・モム)」なら、カルロスさんは、さしずめ、「平和の父(ピース・ダッド)」か。

 カルロスさん、アレドンドさん。

 「平和の父」の祈りを、わたしたちもともに、祈ることにしよう。

http://www2.townonline.com/roslindale/localRegional/view.bg?articleid=378127&format=&page=1 

Posted by 大沼安史 at 04:04 午後 |

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