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2005-12-25

〔イラクから〕 米空母発進の艦載機、イラクの住宅地を空爆 民間人に多数の犠牲者

 米軍の空からの攻撃で、イラクの一般住民に多数の犠牲者が出ていることが、米紙ワシントン・ポスト紙(電子版、12月24日付け)の調査報道で、あらためて確認された。

 米空母を発進した艦載機が住宅地を攻撃し、民間人に多数の死傷者が出ている。

 米空母に港を提供している、私たち日本人としても、「知りませんでした」ではすまない事態が、海の彼方で進行している。 

 同紙のエレン・ニックメーヤー記者による調査報道は、11月5日から17日間にわたって、イラク西部、アンバール州や、シリア寄りのユーフラテス川沿岸地区で行われた、米軍による「鉄のカーテン」作戦の実態に、現地のイラク人に対する聞き取り調査や、米海兵隊などへの取材を積み重ねて迫ったもの。

 それによると、フサイバの町では、作戦開始ほぼ1週間の間に97人の一般住民が米軍の空爆により殺された。

 現地の小学校に臨時の救急病院を開設し、他の医師4人と看護師1人とで治療・救命活動にあたったザーヒド・ラウィ医師が証言した。

 「何も罪を犯していないのに、と神に不満の言葉を言いながら、静かに死んで行きました」

 ラウィ医師によれば、武装勢力も少なくとも38人が殺害された。

 どうして一般住民が殺戮されたのか?
 民間人の住む住宅地が、武装勢力の潜伏地区にもなっていて、そこを米軍機が攻撃したからだ。

 フサイバの住宅地、カマリヤート地区では11月7日、こんな悲劇が目撃されている。

 (武装勢力との)銃撃が、米軍機の空爆で沈黙したあと、破壊された民家から、生き残った近所の人々が、母親と父親、14歳になる少女、11歳と5歳になる少年の、一家5人の遺体を運び出した……。

 その一部始終を、建物の屋上から目撃した現地の人びとが、同紙に対して証言した。

 作戦が始まって間もないころ、現地の部族長5人が集まって、情報を持ち寄ったことがあった。婦女子を含む、少なくとも80人以上の民間人が空爆で殺されていた。

 「鉄のカーテン」作戦が始まる以前の10月16日、アンバール州の州都ラマディーで、米軍のF15が爆弾を投下した。

 米軍によると、武装勢力が道路に爆薬を仕掛けているところをパイロットが視認し、爆撃を敢行した。命中したので、「犠牲を防ぐことができた」(米海兵隊)。

 現地の住民は、別の真実を同紙に告げた。

 子どもたち18人を含む、多数の民間人らが爆撃で殺された。

 病院の外に、身元の知れない婦人と3人の子どもの遺体が寝かされているのを目撃した。

 ただし、死者のなかには、武装勢力も含まれていた。
  

 同紙によれば、イラク周辺海域の空母からの艦載機の出撃回数は、年初の1月に25波前後(1日1派弱)だったのが、11月には120回へと、5倍に急増した。

 つまり、「鉄のカーテン」作戦当時は、1日あたり4派も、艦載機による攻撃が加えられていたわけだ。
 
 国防次官補を務めたことのある、ハーバード大学人権政策センターのプログラム・ディレクター、サラ・セウォールさんは、同紙に対し、「都市部への攻撃で民間人の殺傷を避けるのはほとんど不可能なこと」と語った。

 一方、米海兵隊の幹部はラマディーの米軍支配地のカフェで、狙ったらこのテーブルを外さないと、米軍の爆弾の精密さを語った。
 だから、民間人の犠牲を最小限に抑えられる、と。
 (大沼:しかし、爆弾の爆発はテーブルの範囲内に収まらない)

 これに対して、セウォールさんが言った。
 「問題は(民間人の犠牲を最少に抑えたと)どうやって知ることができるか?」

 (大沼:セウォールさんの言う通り。爆弾を投下してしまえば、それですべては終わりを告げる……)

 米軍の空爆による、イラク民間人の不可避的な殺戮のメカニズムを、当事者の証言で明らかにした、エレン・ニックメーヤー記者に敬意を表したい。

⇒  

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/12/23/AR2005122301471_pf.html

Posted by 大沼安史 at 12:05 午後 |

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