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2005-12-19

〔いんさいど世界〕 中国官憲、抗議の住民らに発砲 「私は知っている」 魯迅サイトを通じて広がる「東州(ドングゾウ)事件」 100人近い犠牲者? 第2の「天安門事件」の様相

 中国広東省汕尾(シャンウェイ)市で12月6日、風力発電所の建設をめぐる、土地収用に抗議する住民(農民)に対し、警官隊が発砲し、少なくとも20人が死亡し、60人が生死不明のまま消息を絶つ、とんでもない事件が発生しました。

 日本でもすでに報じられており、ご存知の方も多いと思います。

 1989年の、あの「天安門事件」以来の、中国官憲による武力弾圧として、世界中から抗議の声が上がっています。

 事件が起きたのは、汕尾(シャンウェイ)市東州(ドングゾウ)鎮の紅海湾開発区で、6日夜、発電所の建設を阻止しようとした6000人以上の住民が500人前後の武装警官隊(治安部隊)と衝突し、武装警官隊が武力で鎮圧しました。

 武装警官隊が出動し、発砲したということはつまり、実弾を装填した部隊を配備し、射撃を命じた誰かがいるということ。
 その誰か、とは、現地の公安当局、つまり中国共産党の支部の責任者です。

 農民を射殺して弾圧する中国官憲……。中国共産党も堕ちたものです。

 この事件について、中国当局は「封印」して、ニュースが流れない、水も漏らさぬ体制をとっています。
 現地の支部がやったこととはいえ、人民のための党が人民を殺したわけですから、これはもう「なかった」ことにしなければならない。

 「ニュース」を流しているのは、香港や西側のメディアだけで、中国のメディアは沈黙を続けています。
 だから、一般の中国人はほとんど、「事件」を知らない。知らされていないんですね。

 
 しかし、そうしたなかでも、真実を同胞に伝えようと、懸命に活動している中国人たちがいる。

 規制と検閲の網をかいくぐりながら、インターネットを通じて、事件に関する情報を共有する一方、当局に抗議の意志を表明する人たちがいるのですね。

 負けない人たちがいる。いまの中国には。
 なんとなく、うれしくなってしまいます。

 で、そうした「負けていない中国人」たちはどんな活動をしているか?

 米ワシントン・ポスト(電子版)が17日に伝えたところによると、たとえば四川省にはWang Yiという有名なブロッガーがいて、中国最大のブログサイト、Bokeeで、抗議の公開状を発表した。

 公開状は数日で削除されたのですが、削除される前に読んだ人の口から、噂となって広がっています。

 このBokeeの開設者は、公開状を全面削除すると、サイトにアクセスする人に見離されてしまうことから、「東州の殺害に関する声明」という、公開状のタイトルだけはそのまま残している。

 こういうところから、「事件」の噂がネットを通じて、じわっと広がっているようです。
 
 もちろん、中国の公安当局も「火消し」に躍起です。

 同じワシントン・ポスト紙の報道によると、SinaとかBaiduといった検索エンジンに「東州」などのキーワードを入れても、「検索結果ゼロ」としか出ないんだそうです。

 当局が、そうしろと命じているですね。

 ネット検閲による情報統制を徹底的にやっている。
 有名な「インターネット警察」が徹底して取り締まっているわけですね。

 そういうなかで、中国の人たちってすごいなと思うのは――これも、ポスト紙に出ていたことですが――、あの作家の魯迅の作品サイトの書き込みを利用して、「東州事件」にはっきりふれないまま、それとわかるかたちで、意見・情報の交換をしているんだそうです。

 魯迅には、北京で軍閥が抗議の人々に発砲した現実の事件を題材とした作品があって、その作品にひっかけて、情報・意見が共有されている。

 (この作品は、「リウ・ヘゼン夫人の思い出」というもので、魯迅が1926年、発砲事件のあった直後に書いたものだそうです。「天安門事件」のときも、魯迅のこの作品が、当局に対する抵抗の「拠り所」になったようです)

 それから、ブログ上に「フォーラム」が設けられ、そこに以下のような短いメッセージを、匿名でどんどん書き込んだりしている。

 「彼らが知ってほしくないことを、わたしは知っている」

 「知っても仕方ないが、わたしは知っている」

 「知らないふりをしているが、わたしは知っている」

 中国の北京では、文革の嵐が吹き荒れたあと、例の「4人組」が失脚したとき、喜びを口に出して表せない人たちは、蟹を4匹(メス蟹(江青)1匹とオス蟹3匹)を食べて、御祝したといいます。

 そういう、中国の人たちの、したたかな抵抗が、こんどの「東州事件」でも、かたちを変え、インターネットを通じて、続いている。
 

 ここに、新しい中国の希望がある。
 中国の希望の赤い星は、ネットの世界の「解放区」にある。
 そんな気がします。

 中国政府のトップには、「事件」の真相を調査・公開し、関係者を処罰してもらいたいですね。
 

ポスト紙の記事は ⇒

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/12/16/AR2005121601709.html

Posted by 大沼安史 at 12:12 午後 1.いんさいど世界 |

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