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2005-12-14

〔For the Record〕 ウィリアムズ死刑囚 最後のインタビュー

 強盗殺人事件で市民4人を殺害したとして、死刑判決を受けていた黒人死刑囚、スタンリー・トゥーキー・ウィリアムズ氏が12月13日午前0時(現地時間、日本時間では同日午後5時)過ぎ、米カリフォルニア州サンフランシスコ郊外、サンクェンティン刑務所で、毒液注射により処刑された。51歳だった。

 ウィリアムズ氏は最後まで、自分は「無実」であると語っていた。

 同刑務所周辺には、死刑執行に抗議する2000人の市民らが集まり、祈り続けた。

 ウィリアムズ氏の遺骨・灰は、アパルトヘイト(人種隔離政策)を克服した南アフリカ共和国に撒かれる。

 ウィリアムズ氏は1953年12月29日、南部ニューオルリーンズの慈善病院に生まれ、5歳のとき、母親に連れられ、グレイハウンド・バスに乗って、ロサンゼルスに来た。

 18歳のとき、他のギャング団から地域を守るため、ギャング連盟を組織し、それが、のちに悪名を高める「クリスプ」ストリート・ギャング団に発展した。

 1979年に起きた強盗殺人事件の容疑者として逮捕され、81年に死刑囚として同刑務所に収監された。

 93年にはビデオによるメッセージで、黒人の青少年にギャングになってはならないと訴え、96年からは「トゥーキー(氏のニックネーム)、ギャングの暴力に反対して語る」という、子ども向けの本を執筆し、8巻、刊行するなど、模範囚として知られていた。

 2001年には、スイス政府によって、ノーベル平和賞候補にノミネートされた。

 ウィリアムズ氏の死刑執行を回避する努力は、米連邦最高裁の執行延期却下と、シュワツッェネッガー・カリフォルニア州知事の助命嘆願拒否でもって無に帰した。

 死刑執行は報道陣や遺族ら50人が見守るなか、行われた。

 執行直前に行われる、死刑囚の書いた声明文の読み上げは、なかった。

 ウィリアムズ氏はなぜか、声明を書き残さなかった。

 執行を目の当たりにした、ロサンゼルス・タイムズ紙のスティーブ・ロペス記者は、こう書いている。

 「わたしは彼が死んでいくのを、12フィート(3.6メートル)、離れたところから見ました。処刑チームは静脈に針を刺すのに、てこずっていました〔ロサンゼル・タイムズ紙の続報では、12分もの間、静脈を探っていたという〕。ウィリアムズは、彼らがちゃんとしてるか、問いただすようなそぶりで(ベッドから)顔をあげました。そして彼は支持者たちを見て、薬物が注入されて死ぬ直前に、最後の言葉を交わしました」

 そのロペス記者は、記事の最後にこう書いた。
 「わたしは、ひとりの人間が死ぬのを、今日、目撃しました。組織の決断により、カリフォルニア州政府の手で殺されたのです。わたしはそれによってわたしたちは何を得たのか、考え込みました」

                 For the Record

  ウィリアムズ氏は死刑執行数時間前、地元のラジオ局、パシフィカ・ラジオ・WBAIのキャット・アーロンさんによる、最後のインタビューに応じていた。

 以下は、その短いやりとりの全文(拙訳)である。

 スタンリー・トゥーキー・ウィリアムズ まぁ、いい気分だよ。わたしへの神の救い(救済 redemption)の兆しだね。今朝、起きて、顔を洗って、祈りを捧げた。運動もした。そして、いま、あなたに語りかけている。いえ、あなたの前に、母親と話した。もちろん彼女はとても励ましてくれて、スピリチャルだった。今、わたしも、そう。そして、あの野蛮な処刑法に恐怖を感じていない。わたしは信仰に依拠しているから。マッチョでもなければ、男らしさとも、昔のギャッグのストリートの掟もどきものとも関係ない。純粋な信仰だよ。わたしの救済にもとづくものだ。それだから、わたしは強く立っていられる。そして、あなたに、あなたのリスナーに、世界に対して、わたしは無実だと、言い続けている。たしかに、わたしは惨(みじ)めな男だった。しかし、わたしは自分を救済して来た。わたしは、あなたに、すべて聴取者に、わたしの話を聴いてくれるだろう人たちに、救済は、惨めな人々のために、あつらわれているものだ、と言いたい。わたしはかつて、惨めだった。さて、行く前に、もうひとつ、質問に答えるよ。

 キャット・アーロン 米国中の数百万の人々が、というより世界が、あなたの支援に立ち上がっています。あなたの助命をたしかなものにするために、できることは何でもしています。世界があなたが遺そうとしているもの(レガシー)を、どうイマジン(想像)してほしい、と思いますか? わたしたちがみな、今日、始まってほしくはないけれど、いろんなかたちで、今日から始まっていくものを。

 ウィリアムズ そう言ってくれて感謝します。同じことを、少し前、聞かれたことがあります。そのとき、わたしは、たったひとつの言葉でこたえた。たったひとつの言葉が、確固とした〔聞き取り不能〕かたちに、すべてを要約するのです。それは、そう、救済(redemtion)。それ以上、言いようがない。それが、世界がわたしを記憶してほしいと思うことです。それが、わたしが遺すものをみなさんに覚えていてもらいたい方法です。つまり、救済への移行(a redemptive transition)。わたしが信じるものは、聖職者やエリートだけが独占するものではありません。そうではなくて……それは、皮膚の色や人種、社会階層、あるいは宗教的なバックグランドに拠らないものです。そこに救済の美しさがある。他の人たちがわたしが自分を救ったのかどうか、どう思おうとも、わたしは気にしません。なぜなら、わたしがそれを知っていて、神がそれを知っているから。わたしが助け続けている若者たちも、それを知っている。そう思ってもらっていい。それがあるので、わたしは感謝しているのです。だから、わたしはこの(発言の)機会を与えてくれたあなたに感謝しています。そしてわたしは、あなたとすべてのみなさんに、神の祝福あれ、と言いたい。からだに気をつけて。

(原文テキストは以下の通りです)

STANLEY TOOKIE WILLIAMS: Well, I feel good, and my redemption signs, I got up this morning, I cleansed myself, I prayed, I exercised, and now I'm talking to you -- or prior to talking to you, I was talking to my mother. Of course, she is quite encouraging, spiritual, and so am I. And my lack of fear of this barbaric methodology of death, I rely upon my faith. It has nothing to do with machismo, with manhood, or with some pseudo former gang street code. This is pure faith, and predicated on my redemption. So, therefore, I just stand strong and continue to tell you, your audience and the world that I am innocent and, yes, I have been a wretched person, but I have redeemed myself. And I say to you and all those who can listen and will listen that redemption is tailor-made for the wretched, and that's what I used to be. So, I can answer one more before I go.

KAT AARON: There are millions of people all around the country and, indeed, the world who are standing in support of you and doing everything that they can to ensure that your life is spared. How would you like the world to imagine your legacy, one that we all hope does not begin tomorrow, but begins in many years from today?

STANLEY TOOKIE WILLIAMS: I appreciate you making that statement. But I have been asked the same query not too long ago, and I said just one word, just one word can sum it up [inaudible] in a nutshell, and that is: redemption. I can say it no better than that. That's what I would like the world to remember me. That's how I would like my legacy to be remembered as: a redemptive transition, something that I believe is not exclusive just for the so-called sanctimonious, the elitists. And it doesn't -- is not predicated on color or race or social stratum or one's religious background. It's accessible for everybody. That's the beauty about it. And whether others choose to believe that I have redeemed myself or not, I worry not, because I know and God knows, and you can believe that all of the youths that I continue to help, they know, too. So with that, I am grateful. So I thank you for the opportunity, and I say to you and everyone else, god bless. So take care.

Posted by 大沼安史 at 12:37 午後 |

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