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2005-11-01

〔NEWS〕 石油資源、枯渇へ サウジ 原油増産能力に疑問符 NYT紙が報道

 人類による現代文明を発展させてきたエネルギー資源、石油が枯渇へのフィナーレへ向けて、坂道を転げ落ちはじめたようだ。

 原油生産で唯一、余力を持つとされて来た、世界最大の産油国、サウジアラビアの原油増産能力に疑問符が付いた。

 米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版、10月27日付け)が報じた。
 

 「サウジの石油増産の約束に疑念(Doubts Raised on Saudi Vow for More Oil)」と題する、ジェフ・ガース(Jeff Gerth)記者のレポート。

 ガース記者は、米政府の「秘密諜報レポート」を入手し、米国ならびにサウジの当局者、専門家に取材してレポートをまとめた。

 戦略資源である原油は、機密のヴェールに隠されており、埋蔵量や生産余力など不透明な部分が多い。

 サウジについても、採掘可能な原油埋蔵量や増産余力などの正確なデータについては、ほとんど知られていないのが現実の姿で、石油価格が暴騰し、世界経済に影響を広げるなか、信頼すべき実態報告が求められていた。
 

 ガース記者のレポートは、こうした期待に応えるもの。

 それによると、サウジアラビアの増産余力は、ことし2月時点のサウジ石油省高官の言明で、日産1200万B(バレル)から1500万Bは可能であることがわかった。

 これは、それまで言われていた増産余力、300万BDの半分以下の数字だ。

 サウジはこの増産余力をもとに、4月になって、アブドラ王子(当時)がテキサスでのブッシュ大統領との階段で、2009年まで向こう4年間に、日産1250万Bレベルまで、最終的に14%近く増産することを約束していた。

 しかし、ガース記者の調査によると、この約束は空手形で、サウジの現在における石油日産量は950万バレルにとどまっており、増産余力とされる日産150万Bについても、ヘビーな油質で先進国用には不向きなものであることがわかった。

 つまり、サウジの増産余力は今時点で、ほとんどないに等しいわけだ。

 そうなると、未利用・未確認のの埋蔵原油を開発し、生産につなげるしかないが、サウジ側が確認済みの未利用埋蔵路油の2600億Bに加え、1500億Bあるとする未確認埋蔵量(推定値)についても、首をかしげる向きが多い。
 2000年の米国による全世界地質調査では、サウジの未確認石油埋蔵量は、わずか870万Bに過ぎないとされている。

 ガース記者によれば、こうしたサウジの実情は、サウジとともにその増産余力に期待が集まっていた、アラブ首長国連邦についても同じ。

 ブッシュ政権が期待をかけたサウジに次ぐ世界第2の石油資源国、イラクについても「希望は失望に変わった」という。
 
 (大沼 注)

 〔「ピーク・オイル」説、現実のものに〕

 以上が、ガース記者のレポートの概要だが、ここで明らかにされた事実の持つ意味合いはきわめて大きい。

 世界の石油生産がそのピークを過ぎ、枯渇期に入って、加速度的に生産量を減らしていくという、いわゆる「ピーク・オイル」説を裏付けるものだからだ。

 米国のブッシュ政権は、カスピ海周辺の石油資源埋蔵量が予想外に少なかったことから、急遽、中東の石油資源確保策に戦略を再転換し、それがイラク侵攻につながったといわれている。

 その中東の石油資源もまた、実は枯渇期に入っている!

 こうなると、好戦的なブッシュ政権としては、イラク占領をできるかぎり長引かせ、石油資源を確保するとともに、サウジの石油についてもその支配権を強化する一方、イランの石油資源についても確保に動き出す可能性がある。

 こうしたなかで、日本の石油資源戦略はどうなっているのか、気になるところだ。

Posted by 大沼安史 at 01:41 午後 |

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