〔コラム いんさいど世界〕 「忘れろ」と、ブッシュは言った!
アジア歴訪を前にブッシュ大統領が11月8日、日中韓の報道機関との会見に応じた。
朝日新聞、新華社、朝鮮日報の特派員が合同でインタビューした。
「日中関係」をめぐる質問に、ブッシュ大統領は言った。
「日米も一時は不倶戴天(ふぐたいてん)の敵だったが今では友人だ……過去を忘れることは難しいが、可能だ」
過去を忘れることはできる。
だから忘れたらどうか。
日米関係のように。
アメリカの大統領の中韓へのアドバイスだった。
「忘れる」――それは、たしかに可能だ。
少なくとも、われわれ日本人にとっては。
日本にとってアメリカは、かつて「鬼畜」。
その「鬼畜」にいまなお、国土の一部を「占領」され、「軍事基地」としての使用を認めている。
「グローバルな同盟」の「パートナー」などと言っている。
「靖国」の「英霊」たちが知ったら、「特攻」で「散華」した者が気づいたら、憤るに違いないことを平気でしている。
それもこれも、わたしたち、戦後の日本人が戦争の過去を「忘れた」から、だろう。
アメリカとの戦争を忘れてしまったついでに、わたしたちは、中国との戦争を、朝鮮半島の植民地化を忘れてしまった。
正確には、忘れさせられた。
戦前から続く、この国の支配権力にとって、好都合な状況が意識的につくられた。
戦争を知らず、歴史に関心のない、したがって思い出すこともなく、忘れることもない、「戦後意識」が定着した。
それはアメリカにとっても都合のいいことだった。ヒロシマもナガサキも、まとめて水に流してくれたのだから。
そうした、日本が「忘れてしまっていること」、それこそが「忘れていない」中韓が、きびしく指摘し、問題としている点だ。
そういう「忘れていない」中韓に向かって、「忘れることは可能だ」とアメリカの大統領が言う。
これはいったい、どうしたことか?
戦争の過去は「忘れる」べきものではなく、直視すべきことである。
つまり、決して忘れてはならない。
忘れずに、過去を直視し、和解のため全力を挙げる。
だから、大統領は会見で、ほんとうはこう言うべきだった。
「過去を忘れることは難しいが、和解は可能だ」と
〔For the Record〕
★ 朝日新聞(11月10日朝刊の「会見要旨」より)
日米も一時は不倶戴天(ふぐたいてん)の敵だったが今では友人だ。過去を忘れることは難しいが、可能だ。
★ ヘラルド朝日より(11月10日付け)
The United States and Japan at one time were sworn enemies. And now here we are sitting down as friends. In other words, it's possible to forget the past, it's difficult, but it is possible.
★ 新華社電(英文)は、この大統領発言を取り上げていない。
朝鮮日報(英語電子版)は、紹介している。

















