〔NEWS解説〕 第2のウォーターゲート事件に? CIAエージェント身分漏洩事件(パルメゲート事件) ブッシュ大統領に直接関与疑惑 10月中に「Xデー」の恐れ
10月2日に全米放映された、ABCテレビのニュース討論番組、「ジス・ウィーク」で、同テレビの看板記者であるジョージ・ステファノポーラス氏が、CIAエージェント身分漏洩事件(パルメゲート事件)にブッシュ大統領、チェイニー副大統領が直接関わっていた、との見方を示した。
同事件に詳しい情報源が、同記者に対して明らかにしたという。
ブログ新聞の「ハフィントン・ポスト」が同日、報じた。
「パルメゲート」事件とは、イラク戦争開戦前、イラクのWMD(大量破壊兵器)開発・保有疑惑の根拠とされた「ニジェール・ウラン疑惑」をめぐり、同疑惑が捏造であることを告発した元米外交官の妻、バレリー・パルメさんの、CIAエージェントとしての身分が、ブッシュ政権筋の意図的な情報漏洩で、暴露されたスキャンダル。
ニューヨーク・タイムズのジュディス・ミラー記者らの証言で、漏洩したのは、チェイニー副大統領の首席補佐官である、リビィー氏らであることが明るみに出ていた。
ABCの花形であるステファノポーラス記者の発言は、リビィー氏らの情報漏洩工作に関する謀議の一部に、正副大統領が加わっていたという衝撃的なもの。
ブッシュ大統領自身からも1時間以上にわたって事情聴取したといわれる、事件捜査の総指揮官、フィッツジェラルド特別検察官の今後の動きがきわめて注目される。
同特別検察官の任期は、今月(10月)28日。これまで2年間にわたって捜査を続けてきたフィッツジェラルド氏が「ブッシュ政権」の犯罪立件に果たして踏み切るかどうかが、米国の内政面の最大の焦点になって来た。
この点に関する、ワシントン・ポスト紙のベテラン、ウォルター・ピンカス記者らの報道(10月2日付け)は、「パルメゲート事件」の構図を知る上で、示唆的である。
ピンカス記者らによれば、ジュデス・ミラー記者が名指ししたリビィー氏だけでなく、ブッシュ大統領の首席補佐官であるカール・ローブ氏の、漏洩に果した役割もますます明らかになっているという。
正副大統領の首席補佐官が情報漏洩の中心にいたことがハッキリしたとなれば、次にくるのは、それぞれのボス、すなわち、ブッシュ、チェイニー両氏の関与の度合いである。
こうした点に関し、フィッツジェラルド特別検察官が証拠をどこまで握っているのか、については、ピンカス記者らも詰め切っておらず、なお「ミステリー」だとしている。
ただ、ピンカス記者らは、かりに特別検察官が立件に踏み切る場合、「情報アイデンティティー保護法」を適用するのでなく、一般的な「犯罪謀議」として事件を組み立てるのではないか、との観測を紹介している。前者の場合、CIAエージェントがどのような機密活動に従事しているかを、漏洩者が認識していなければらならず、その点の立証が難しいことから、後者を選ぶのではないか、という見方だ。後者なら、謀議を企てた者の意図に犯罪性があれば、漏洩行為そのものに犯罪性がなくても立件できるという。
問題は、こうした政治的な苦境のなかで、ブッシュ政権が政治的な指導力を維持するため、どのような巻き返し策を図るかだが、内政的な手詰まりを対外的に解決しようとする可能性も否定できない。
だから、この10月中に、なんらかの「Xデー」的展開が起こりうる、と警戒した方がいい。
「モニカゲート」で追い詰められたクリントン政権が、イラクを巡航ミサイルで攻撃して国民の目を逸らした、あのやり方である。
今月(10月)の「予定」のうち、ブッシュ政権にとって最も気がかりなのは、15日にイラクで行われる予定の憲法制定の国民投票である。これが目論みどおり、うまく行かないと、イラク戦争そのもの正統性の根拠が崩れることになりかねない。
この国民投票が混乱し、状況がさらに混沌化するとなれば、ブッシュ政権として、「次の一手」で事態の打開を図る誘惑にかられるだろう。
「次の一手」は、いくつか考えられる。
ひとつは、シリアへの侵攻である。
米軍はシリアを武装勢力の基地と非難し、イラクの対イラク国境に戦力を増強している。
シリアの関与疑惑もある、ことし2月にベイルートで起きた、レバノンのハリリ首相暗殺事件の、国連調査団の報告書が、この12日にまとまる予定(遅れるとの見通しもある)。
この調査結果が暗殺の黒幕としてシリアを名指すことなれば、米軍のシリア侵攻に新たな名目が生まれる。
以上が、ブッシュ政権は「シリア」への戦線拡大で、内政面の苦境脱出を図るのではないか、という説の根拠である。
このシリア侵攻説について筆者(大沼)は、かりにあったとしても、イラク国境付近で限定的・局地的なものにとどまるのではないか、と考えている。
イスラエル紙「ハーレツ」の報道(10月3日付け)によれば、米国とイスラエル当局者が、シリアのアサド体制を打倒したあとに据える、新たな指導者を誰にすべきか協議しているが、親米・親イスラエル政策をとる候補者はおらず、結局のところ、アサド大統領の力を弱める程度に抑える程度の暫定的な結論しか出ていないらしい。
軍事力によるシリア政権打倒がないとすると、次に考えられる「次の一手」は、対イラン攻撃である。核開発を中止させる名目で、核施設を空爆する筋書きだ。
米軍筋に強い、米紙「ワシントン・タイムズ」(9月30日付け)によれば、イスラエルの超党派の議員団がこのほどワシントンを訪れ、米軍と同盟国による対イラン軍事行動を迫った。もちろん、米軍が攻撃しなければ、1981年にイラクのオシラク原子炉を破壊したように、イスラエル単独でも行う、という強い意思表示があったらしい。
この対イラン攻撃は、イランの勢力圏である、バスラを中心としたイラク南部から英軍主力の撤退を検討している英国のブレア政権を思いとどまらせる意味でも、ブッシュ政権にとって「使いで」のある「次の一手」になるだろう。
ブッシュ政権が対イラン攻撃にふみきれば、まさに天下大乱、石油価格はさらに暴騰し、世界経済は大きな打撃を受けることだろう。
「パルメゲート」は、ブッシュ政権の崩壊につながる、第二の「ウォーターゲート」になるのか。
イラク戦争が泥沼化するなかで、米軍による対イラン攻撃はあるのか。
2005年の、この10月という月が、大きな歴史の岐路であることだけは間違いない。
Posted by 大沼安史 at 04:24 午前 | Permalink
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