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2005-10-23

〔教育改革情報コラム 夢の一枝 ②〕 フィンランド・デンマーク・日本

 今朝(10月23日)の新聞を見て、うれしくなった。寝床で読み終わり、曇りガラスの窓を開けると、青空だった。気分爽快になった。
 朝刊(朝日)には、フィンランドの教育ルポが載っていた。大島大輔さんという記者が現地を訪ねて書いた報告記事だ。

 読みながら、なるほど、なるほど、と、ひとり頷いていた。
 朝日の読者には教育関係者が多いというから、いまごろ、きっと、大勢の日本の学校の先生たちも読んでいるはずだ。

  みんな、うらやましがっていることだろう。
 

 フィンランドは、OECD(経済協力開発機構)の国際学力調査(PISA、2000年・2003年実施)で、世界トップを行く「高学力の国」。

 大島記者の報告によれば、北欧のこの「森と湖の国」では、

 ・教科書も授業メソッドも学校が選ぶ。

 ・国のカリキュラムは削りこまれて、いまやガイドライン的なものに。自治体と学校は、このカリキュラムに基づいて、自前の「指導要領」をそれぞれつくっている

 ・ヘルシンキ市内の小中一貫校の4年生のクラスの週間の時間割には、教科が書き込まれていない×印の箇所が11ヵ所もある。全体の4割が×印。この×印のコマには、こどもたちの理解状況に応じて、やりたい教科をはめこむ。

 ・全国学力テストも行っているが、一定数を抽出して実施し、その結果も全国平均を公表するだけ。学校のランクづけはしない。

 ―― のだそうだ。
 

 「低学力」の日本と真逆。

 まるで「倒立した鏡像」を見ているようだ。
 

 学校の自治、教育の自由。
 

 文科省の「統制教育」で息の根をとめられていたものが、この国にはある。

 そのことを、この記事であらためて知って、うれしくなった。
 思わず、深呼吸したくなるような、酸素をいっぱいふくんだ、フィンランドからの新しい風……。

 この記事を、文科省の人たちがどう受け止めるのか、知りたいとも思った。
 「低学力」を克服するため、全国学力テストを、任意抽出ではなく、小6、中3の全員に対し、一人も残さず、悉皆調査で実施する、その意味はどこにあるんだ、と聞きたくもなった。

 教室を酸欠状態にして、教える・学ぶ喜びを根扱ぎにし、結果的に「低学力」をもたらしておいて、いまさら「学テ」もクソもないだろう。

 「統制教育」のこの国は、テスト、テストで明け暮れる、「試験の国」でもある。大学の入試センター試験を含め、膨大なテストの山を築いているのだから、この国の教育のどこに問題があるのかぐらい、とうに知っていなければらないはずだ。

 日本にとっていま最も大事なことは、「学力」を調査することではない。そんなことは、すでにPISAで、わかっていることでないか。

 調査すべきは「教育力」――この国の「低学力」をもたらした「低教育力」である。

 いったい何が、この国の学力を低下させているか、文科省の責任問題も含め、その「低教育力」を問うことである。

 何が問題か、学び取ることである。
 これ、すなわち「学ぶ力」――。
 

 文科省が「学ぶ」ことを放棄して、どうして子どもたちにだけ、「低学力」を問えるのか?
 
 先日の地震で、部屋の壁に積んでいた本の「柱」が崩れ、探していた1冊が偶然、出てきた。
 PISAの最初の調査(2000年)を受け、デンマーク政府が実施した点検調査報告書『デンマーク PISA2000からの教訓』(OECD刊)である。

 デンマークも日本と同様、「世界トップクラス」の教育力を自認していたが、PISAの第1回調査で、実は「高教育力」の国ではないことがわかった。

 たとえば読解力(平均点)でデンマーク(497点)は、フィンランド(546点)はもちろん、スウェーデン(516点)、ノルウェー(506点)を下回り、OECD全体の平均(500点)にも届かなかった。

 内村鑑三の『デンマルク国の話』(岩波文庫)にもあるように、日本と同じく、デンマークは無資源国。人材だけが資源とあって、公教育に力を入れ、その「高い教育力」を自らの誇りとして来た。

 それが、PISAで、このありさま。
 そのショックのほどは、日本以上のものだったろう。

 しかし、デンマーク政府は偉かった。人権と福祉のこの小国の文部省はさすがだった。

 なぜ、自分の国の教育はダメになったのか、国外の研究者たちの力も借りて、原因を突き止めようとしたのである。

 その、結果が、この点検調査報告書の『デンマーク PISA2000からの教訓』だった。

 内村鑑三が讃えたデンマルク国の政府には、「学ぶ力」が残っていたのだ。

 翻って日本の文科省の役人たちに、デンマークのような自己批判力、自己責任能力はあるのだろうか。

 諸君らに、自分たちが統括している日本の教育を、国際的な視野のなかで見つめなおす、デンマークのような気概はありや。

 来年、なにがなんでも「学テ」を全国の全小・中学校で行うというなら、せめて同時に、全国の小6、中3に対して、無記名のアンケート調査を実施し、この国の教育の何が問題なのか、どこが悪いのか、学習の当事者である子どもたちの意見を聞いてほしい。

 その結果が「低評価」であれば、その点につき、教育行政を改善していく。
 そのぐらいのことは、是非ともしてもらいたいものだ。

 そこにこそ、「低学力」克服を目指す「教育力向上」の道がある。

 

Posted by 大沼安史 at 10:42 午前 2.教育改革情報 |

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