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2005-09-12

米軍 核先制使用へ手続き文書を策定

 米国防総省が核先制攻撃の手続きを定める作業を進めていることが明らかになった。案文はすでに出来上がっており、現在、米軍・政府部内で大詰めの作業が続いている。

 最終調整が行われているのは、WMD(大量破壊兵器)を保有する国家、あるいはテロ組織に対して、核先制攻撃を実施するための大統領命令を、軍司令官が申請するための手順文書。

 ここでいう「WMD」の定義には核兵器のみならず、生物・化学兵器も含まれており、たとえば化学兵器を入手したテロ組織に対しても核先制攻撃が可能となる。

 ブッシュ大統領が2002年12月に打ち出した「先制攻撃ドクトリン」をさらに具体化するマニュアル文書で、米軍による核兵器の先制使用の恐れが現実のものになって来た。

 ワシントン・ポスト紙が9月11日に報じた。

 記事を執筆したのは、イラク戦争開戦に向かうプロセスのなかで、「サダムのWMD」の“存在”について、一貫して懐疑的な見方を示したことで有名な、同紙の敏腕ベテラン・ジャーナリスト、ウォルター・ピンカス記者。

 同記者によれば、「統合核作戦ドクトリン」と題された手続き文書は、マイヤーズ統合参謀本部議長の下で作成が進められ、ことし2005年3月15日付けですでに案文が出来上がっていた。

 核先制攻撃に踏み切る場合の事例として同文書は、①米軍、同盟軍、多国籍軍、非戦闘員に対して、WMD使用を意図した敵に対して、核兵器を先制使用する②敵の化学兵器を、核攻撃によって安全に処理する――ケースを想定している。

 現行の米軍の核兵器使用手続きは、クリントン政権下の1995年に策定されたもので、核の先制使用についての規定は含まれておらず、「ブッシュ・ドクトリン」を核兵器にも拡大・適用する上で、障碍になっていた。

 今回の新しい手続き文書は、この障碍を除去し、核先制使用に道を拓くもので、きわめて重大な危険性を秘めている。

 核の保有を自ら認めている北朝鮮に対する米軍による核の先制使用が可能になるほか、前述の②のシナリオのように、イラク戦争においても、武装抵抗勢力による「化学兵器」持ち込みを理由に、戦術核が使用される恐れが出てくるからだ。イラク戦争で米軍は苦戦を強いられており、戦況打開の切り札として、核の先制使用に踏み切らない保障はどこにもない。

 同文書は「同盟軍」への脅威に対しても核による先制攻撃があり得るとしているので、日本政府としてはブッシュ政権に対して、最低限、手続きの具体的な中身について開示を求める必要があろう。

 本来ならば日本は唯一の被爆国なのだから、今回の核先制攻撃手続きを撤回するよう米国に求めるのが、筋というものだ。

 ヒロシマ、ナガサキから60年――。米国こそ、唯一の核兵器使用国であるという事実を、われわれは一時も忘れてはならない。

Posted by 大沼安史 at 02:58 午後 1.いんさいど世界 |

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