「南京1937」
本日(9月15日)付けのインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の文化欄に、「南京:記憶とともに踊る死のダンス」という北京発の記事(シャイラ・メルヴィン記者)が出ていた。今月7、8の両日、北京の劇場で上演された舞踊劇、「南京1937」を紹介する、やや長めの記事である。
8月に南京で初演され、北京で再演された。演出・振り付けは、トン・ルイルイ、音楽はズオ・ロン。60人のダンサーが出演する、中国国立歌舞団の舞台。
主演は、女性2人。
ひとりは、中国系アメリカ人で、ベストセラー、『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』の著者であるアイリス・チャン(昨年、カリフォルニアの山中で死亡。36歳。ピストル自殺、とされているが、フランスの民間情報機関は、在米ヤクザの手で殺害されたとの見方を伝えている)に扮する中国人女性ダンサー、イェ・ボ。
もうひとりは、南京事件当時、宣教で同市内にいたアメリカ人女性、ミニー・ヴォートリン役の、中国在住アメリカ人舞踊家、アリイ・ローズ。
ミニー・ヴォートリンは、南京市内のジンリン・ウィメンズ・カレッジの構内に避難した10000人もの中国人婦女子を、日本軍による略奪・暴行から守ったことで知られているが、彼女もまた、アイリス・チャンと同様、自死を遂げている(1941年)。
舞台は、いまは亡きアイリス・チャンが1937年の南京にワープし、街をひとりさまようところから始まる。行く手をはばむ壁が消えたあとに、ミニー・ヴォートリンが現れる。二人の出会いから始まる、南京の悲劇。
フィナーレは、アイリスとミニーの二人だけのダンス。
踊り続けた二人は舞台にしつらえられた階段を、一緒に上って消えていく………
メルヴィン記者によれば、2時間に及ぶ舞踊劇は「日本軍の占領による恐怖をあますことなく」描き出すものだったという。とくに若い北京の観客に間に、「南京虐殺」に関する意識を育てるのに成功した、とも。
観客は一様に涙を流しながら、舞台を見続けたそうだ。
記事を読み終え、思った。「南京虐殺」を「幻」としてしまいたい人たちがこの舞台を観たなら、どんな反応をするか、と。
デタラメだ、デッチアゲだ、政治的なプロパガンダだ、と言って、切って捨ててしまうのだろうか。
「南京1937」を、たとえば来年の8月、ヒロシマでもいい、ナガサキでもいい、この日本で、観たい。幻と化しかけた歴史の真実を、この目でたしかめたい。
日本公演の実現を望む。
Posted by 大沼安史 at 02:00 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink

















