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2005-09-30

〔NEWS〕 ペンタゴンのモール(モグラ)、有罪認め司法取引へ イスラエルの対米スパイ活動、明るみへ

 イスラエルに対する機密情報漏洩容疑で逮捕・起訴され、無実を主張していた米国防総省(ペンタゴン)の元アナリスト、ラリー・フランクリン被告が一転して、一部の罪状について有罪を認め、司法取引に応じることになった。

 ニューヨーク・タイムズ紙やAP通信が9月29日に報じた。

 フランクリン被告(58歳)は、ペンタゴンのナンバー3だった、ネオコンのファイス元国防次官の下で、中東、イラン問題に関する機密情報を取り扱ったこともあるベテランのアナリスト。

 イスラエルの在米ロビイスト団体である「AIPAC」のスティーブン・ローゼン、ケネス・ワイズマンの2人(ともに起訴済み)に対し、1999年以降、アルカイダやイランの核開発などに関する最高機密を提供したほか、イスラエルの政府関係者1名に対して直接、会って情報を漏洩した罪で、ことし6月、起訴された。

 起訴状には、フランクリン被告が「国家安全保障会議(NSC)」内のポスト獲得のため、ローゼン被告に協力を求め、ローゼン被告がこれに「ブッシュ大統領の肘の一押しがあればいい」と応じる、といった、生々しいやりとりも書かれている。

 フランクリン被告はこれまで自らの無罪を主張する一方、FBIに対して協力してきた。今回、一部罪状について有罪を認め、司法取引に応じることにしたのは、減刑の可能性を探るためとみられる。

 10月5日にバージニア州アレキサンドリアの連邦裁判所で行われる罪状認否で有罪を認める予定だ。

 イスラエル側にとって問題なのは、これにより、ローゼン、ワイズマン両被告が有罪判決を受ける可能性が強まったことだ。

 フランクリン被告が司法取引のなかでどこまで暴露するかは不透明だが、AIPACを通じたイスラエルによる対米スパイ活動の大筋が浮かび上がることは間違いないところだ。

 同被告の暴露が、事実の核心に切り込む可能性もないわけではない。

 ローゼン、ワイズマン両被告はことし4月、AIPACから解雇されている。

 
(大沼注)チェイニー副大統領側近のリビィー氏による漏洩疑惑の発覚といい、このフランクリン被告がからんだ対イスラエル機密漏洩疑惑の深まりといい、斜陽のブッシュ政権の末期の姿を象徴するようである。
 
 ブッシュ政権にとって事態はまさに深刻。ホワイトハウスと連係して米国政治をほしいままにしてきた連邦議会共和党の上下両院指導者が、政治スキャンダルにより相次いで信用を失墜する事態さえ同時並行的に生まれてもいる。
 
 米国の政治権力をコントロールする支配層主流による「ブッシュ離れ」「ブッシュ外し」がすでに始まっているのかも知れない。
 
 ペンタゴンのモール(モグラ)、ラリー・フランクリンについても、拙著『戦争の闇 情報の幻』(本の泉社)を参照していただければ幸いである。
 
 
 

Posted by 大沼安史 at 06:41 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「告発者の妻はCIAエージェント」 暴露したのは副大統領補佐官 NYT紙報道 「ニジェール・ウラン疑惑」捏造批判の外交官に報復 ジュディス・ミラー記者は釈放

 アフリカ・ニジェールを舞台とした、イラクによる「ウラン入手疑惑」が、他のさまざまな「WMD(大量破壊兵器)」疑惑同様、まったく根拠のないものだったことはすでに既定の事実になっているが、この「ニジェール疑惑」が裏づけのない捏造であることをニューヨーク・タイムズ紙に寄稿して「内部告発」した、米国の元外交官、ジョセフ・ウィルソン氏に対する、ブッシュ政権中枢による報復疑惑が、確定的なものになった。

 9月30日付けの同紙は、ウイルソン氏の妻、ヴァレリー夫人がCIAのエージェントであると、同紙のジュディス・ミラー記者に暴露していたのは、チェイニー副大統領の首席補佐官、ルイス・“スクーター”・リビィー氏であると報じた。

 ジュディス・ミラー記者は、ヴァレリー夫人の身分漏洩事件を捜査中のフィッツジェラルド特別検察官から、機密である同夫人の身分について、ブッシュ政権内の誰から漏洩されたか明らかにするよう求められたが、同記者は「ニュース源の秘匿」の原則を盾に法廷での証言を拒否し、法廷侮辱罪で7月6日以降、ワシントン近郊のバージニア州アレキサンドリアの拘置所に収監されていた。

 ミラー記者は、レビィー氏の側から、「自発的・個人的」な同意を得られたとして、漏洩者について法廷で証言することを決め、29日に釈放された。

 ミラー記者は、ヴァレリー夫人に関し、何も記事に書いていないが、フィッツジェラルド特別検察官は、身分漏洩事件の全容を解明する上で、同記者の証言が必要だとして、強硬な姿勢をとり続けて来た。

 CIA(米中央情報局)のエージェントの身分を暴露することは、エージェント本人の身に危険が迫ることがあり得るほか、国家安全保障上も多大な損害を招くため、法律で禁止されている。

 こうした重大な違反行為を、政権中枢の人物が犯した疑惑がほぼ確定したことで、ブッシュ政権はますます厳しい立場に立たされた。

 フィッツジェラルド特別検察官の捜査の手が、任期切れの来月(10月)までにどこまで伸び、政権内部から逮捕者が出るかどうか、注視すべき事態になった。

 ヴァレリー夫人の身分漏洩については、ほかに少なくとも4人のジャーナリストが証言に応じている。

 夫人の身分漏洩の背景には、イラク戦争開戦前に加熱した「WMD疑惑」に水差すように、「疑惑なし」の調査結果をまとめ、その事実を新聞への寄稿で明らかにしたウィルソン氏に対する、報復の意図があったと見られている。

 ウィルソン氏のニジェール行きは、「夫人の薦めによるもの」(同氏はこれを否定)、それなのに、ああした暴露までして、というのが、報復した側の論理だったらしい。

 釈放されたミラー記者は、イラク開戦前、サダム・フセインの「WMD疑惑」を次々に「スクープ報道」したが、根拠のないものだったことが開戦後、判明している。

 (大沼注)「ニジェール疑惑」の顛末については、拙著『戦争の闇 情報の幻』(本の泉社)に詳しく書いています。

Posted by 大沼安史 at 02:39 午後 | | トラックバック (0)

〔教育的な、あまりにも教育的な! NEWS解説〕 「アスベスト校害」と「低学力」

 文科省による全国「アスベスト校」調査の中間報告が9月30日に発表された。142の公立校で「飛散の恐れ」があるという。

 今朝の新聞で読んで、「あーあ、またか」と思った。

 「飛散する恐れ」(?)――たぶん、文科省のペーパーに書いてある通りの表現だろうが、正確には「これからも飛散する恐れ」であり、同時に、これまですでに「飛散した恐れ」であるだろう。

 もっと言えば、「すでに飛散したアスベストを、子どもたちや教職員、あるいは父母ら関係者が吸引した(&吸引する)恐れ」である。

 だからこそ、アスベストが緊急の、全国調査を要する問題だったではなかったか?

 危険なものの「危険性」を、するりと「安全性」と言い換える、あのやり方である。
 発表の記者会見の席で、どうしてこういうゴマカシを批判できないのか?

 報道によれば、「現段階で、文科省は健康診断の実施については各教委の判断に委ね、特に指示する予定はないとしている」(朝日)――だそうだ。

 そして「ただ、児童・生徒や卒業生から健康上の不安の訴えがあった場合には、保健所や労災病院などの健康相談窓口を紹介するよう指導している」とも。
 

 ちょっと待ってほしい。全国の142校でアスベストが「飛散した恐れ」がある、とわかったのだから、その学校だけでも即刻、健康診断を実施するよう通達するのが、公教育を預る政府機関としての筋ではないか。
 

 アスベスト問題については、「健康被害」という、誰が考えたかわからない巧妙な言い方もされている。
 健康被害?――いや、より正確には「人命被害」、あるいは無策な「官」による「公害」である。
 

 ことを「学校」に限れば、「アスベスト」問題とは、子どもたちの命を将来的に奪いかねない「アスベスト校害」というべきだろう。

 結局、文科省は日本の子どもの命と健康のことなど、ほんとうは何も心配していないのだ。

 「低学力」は心配しても、アスベスト被害は気にもかけない。学力にしろ何にしろ、こどもたち一人ひとりの命あってのものだねではないか。

 文科省は2007年度から、全国の公立学校の小6、中3の全員を対象に「全国学力テスト」を実施するそうだ。そのための事前準備に、来年度予算の概算要求で40億円以上もの「体制整備等予算」を計上している。

 日本の学力を診断するだけなら、世論調査と同じように、抽出調査で十分である。

 「学テ」予算を、「アスベスト診断」に回すべきである。

 
☆ 朝日新聞の報道は、以下で読むことができます。

http://www.asahi.com/special/asbestos/TKY200509290274.html

☆ アスベスト問題における「霞ヶ関」の混乱ぶりについては、以下の記事を参照してくだい。

http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/danmen/danmen2005/0721_2.html

Posted by 大沼安史 at 09:18 午前 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

2005-09-29

〔教育的(?)なNEWS〕 toto 累積赤字150億円 文科省所管法人 天下りが幹部ポストをほぼ独占 理事長(元文部省局長)給与 1900万円にも

 文科省が所管する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」が運営するサッカーくじ(toto)の累積赤字が、04年度決算で150億円に達すると、朝日新聞が9月29日付け夕刊で報じた。
 同様の内容を、共同通信も同日、報じた。
 
 これを受けて、当BLOGを開いている大沼は、同センターが法的義務に基づき、ネットで開示している役員の経歴と、04年度の「報酬等」支払い状況を調べた。

 その結果、以下のことがわかった。

(1)同センター理事長の雨宮忠氏は、元文部省学術国際局長で、04年度の「報酬等」は1919万9千円。

(2)4人いる理事のうちの2人も、文部省のOB(若松澄夫理事は文部省の審議官を、高杉重夫理事は文部省スポーツ・青少年統括官を務めた)。
(3)残る理事のうちの1人は、大蔵省出身。
(4)理事長を除く理事4人の、04年度における合計「報酬等」支給額は、6372万7千円に達する。1人平均、約1600万円。

 巨額の赤字を出しておきながら、ちゃっかり、報酬だけは懐にしていたということか?
 (異論があるなら、本BLOGまでご連絡を)

 こういうマネジメント能力のない天下りたちが、日本の教育を担っていたのか……だとするなら、なんとも情けないところだ。

 もちろん、そうは思いたくない。
 これだけの赤字を出したのだから、経営責任者として、きっと給与を返上したはず。

 そういうことだろうから、センターとして是非、事実を公表していただきたいものである。

☆ 共同通信の記事は、以下でごらんになれます。

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2005092901002988

☆ また、同センターの幹部名簿や天下り幹部の04年度の「報酬等」については、以下で確認できます。

http://www.naash.go.jp/

Posted by 大沼安史 at 08:26 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (1)

〔For the Record〕 テレビから反戦デモが消えた!

 9月24日に米国の首都ワシントンで行われた、30万人規模(主催者発表)のイラク反戦デモは、全米ネットのテレビ放送で、どのように、どの程度、報道されたか?

 この点に関する、米国のメディア・ウォッチャー、「FAIR」の調査レポートが、27日に公表された。

 「反戦プロテストが消えた――メディアが反戦の大衆運動を無視」と題された、そのレポートによると、3大ネットワーク(ABC、CBS、NBC)のうち、24日当日、ワシントンでの大規模デモを伝えたのは、NBC放送の「ナイトリー・ニューズ」のみ。それも、たった87語による、短い報道だった。

 
 (大沼注)3大ネットワークのテレビ報道は、アメリカの主流ジャーナリズムの中軸を形成するもので、影響力は大きい。

  その電波に、あれだけのワシントンのデモがほとんど乗らなかった、という事実は何を意味するか? 

 アメリカでもまた、日本同様、「御用(embedded)ジャーナリズム」がはびこり、事実上の報道管制を敷いている姿が、ここでも明らかになったといえる。
 

Posted by 大沼安史 at 05:48 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕イラク自衛隊 来年前半に撤収開始? 日本政府、検討始める 読売が報道

 読売新聞は9月29日朝刊で、日本政府がイラク南部サマワで活動している陸上自衛隊について、来年前半に撤収を開始する方向で検討に入った、と報じた。複数の政府筋が28日、明らかにしたという。

 同紙は「今年末にイラクの本格政権が発足する予定のうえ、サマワの治安維持を担当する英国や豪州軍が来年5月前後の撤収を検討していることを踏まえたもの」と、背景を説明している。
 
 (大沼注)この読売のスクープ記事は、先に本BLOGで伝えた、英紙「オブザーバー」のすっぱ抜き報道と響きあうものだ。

 英国のブレア政権が水面下で進めている「イラク撤退」が、オブザーバー紙の報道通り、来年5月に開始されれば、自衛隊の後ろ盾がいなくなるわけで、日本政府としては自衛隊を引き揚げるしかない。

 ただ、オブザーバー紙のスクープ報道後も、ブレア政権は表面上、(おそらくは米国から圧力がかかって)「撤退せず」を、ことさら強調しており、同政権として独自判断に基づき、いつ公式に「撤退」を打ち出すか、が今後の焦点になっている。

 しかし、英軍が「脱落」することは、米国のイラク戦略、さらには米英軍のイラク駐留で利益を得る勢力にとって大きな打撃であり、それを阻止する、謀略的な「事件」の発生が懸念される。

 英国民の「戦意」を高揚させ、「撤退」への流れを逆流させる、新たな「ロンドン・テロ」が起きないことを願うばかりだ。

 読売の記事は、以下で読むことができます。

   http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050929it02.htm

Posted by 大沼安史 at 05:12 午後 | | トラックバック (0)

2005-09-28

〔コラム 机の上の空〕 シンディーさんの 「大きな笑顔」

 「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんのBLOGを読むのが、日課になって来た。

  彼女が書いたことを、即、この「個人新聞」で紹介することも。

 風邪で寝込んだ布団から抜け出して、ハジャマの下の、ねばつくような汗を感じながら、ネット上の彼女のBLOGにアクセスしてみた。

 9月27日付けのタイトルは、「わたしが笑っていたわけ、と、ハリケーン・リタ」。

 一読して気分がよくなった。

 きょうも、いいこと、書いている。

 彼女が「大きな笑顔」を見せたのは、26日、ホワイトハウス近くの歩道に座り込んでいて逮捕されたときのこと。

 「逮捕されるとき、笑うなんて」と、そのときの「笑顔」が非難の的になったのだそうだ。

 そういう批判に対して、「わたしはなぜ笑ったのか」と、彼女は真正面から答える。

 理由は三つ。

 「何よりも、(そのとき)わたし自身、楽しかったからです」。それが、第一の理由。

 「わたしは、ユーモアがあって、陽気で、幸せな人々と一緒でした。そういう雰囲気を維持するために、わたし自身、陽気でなくちゃと思いました。トラブルが生まれるのは嫌でしたし、平和じゃないことをしたくもなかった」

 そして、第二の理由。「二つ目は、わたしが逮捕されたときのことです、警察官が私を抱え上げました。アメリカ中にわたしの下着がはみ出しているところを見られちゃう、そう思って、わたし、焦ってしまいました」

 なりふり構わない彼女にも、レディーの恥じらいがあったわけだ。あれっ、失礼なこと、言ってしまったかな。

 そんなふうに書き出したあと、シンディーさんは「もっと大事な」三つ目の理由を開示してみせる。

 それはワシントンにプロテストに来て、仲間と集い、「この国(アメリカ)を取り戻す」ため声をそろえることができたことで、ようやく初めて「ほんとうの笑い」を笑えるようになった、というのである。

 その笑いが、あの逮捕されたときの笑いだった。「わたしに希望が帰って来たこと、それは素晴らしく、奇跡的なことです。だから、わたしは、今も、微笑んでいる」

 なるほど、そういうことか……納得して、ますます気分がよくなって来た。身体にまだ、熱がこもっていて、油のような汗は引かないけれど、昨日ほどひどくはない。

 彼女のBLOGの後半部分、「ハリケーン・リタ」に関する部分は、アメリカの「主流(メーンストリーム)メディア=MSM」に対する痛烈な批判だった。

 ワシントンでこれだけイラク反戦運動が盛りあがっているのに、そしてイラク現地では先月だけで40人のアメリカの兵士が戦死し、数えきれないほどイラク人が殺されているのに、テレビがいま、エンドレスに伝えるのは、「リタ」のことばかり。この国のMSNって何なの、という批判である。

 ハリケーンが来なければ、マイケル・ジャクソンがどうしたとか、「逃げた花嫁」がどうのといった、イラク戦争以外の話題ばかり。これを笑って済ませることはできません。MSMの報道責任を問わねばならないときが来ています、と厳しい筆致で迫っているのだ。

 そう、その通り。ブッシュ政権によるWMD(大量破壊兵器)疑惑の捏造を無批判に受け入れ、「報道」の名の下にタレ流し、アメリカの世論を(そして、一部、日本の世論までも)イラク戦争開戦へと誘導していった、もうひとつのWMD問題、すなわち「ウェポン・オブ・マスディセプション(大量欺瞞兵器)」こそ、アメリカンの主流メディアが犯した大罪である。

 そういう主流メディアに巣くう金で買われた輩が、テレビのトーク・ショーにコメンテーターとして出て来て、シンディーさんの「大きな笑顔」を批判し、30万人が集まった首都プロテストを「無駄なこと」と嘲笑う………。

 こうした、シンディーさんへの下劣な個人攻撃は、これからますます強まることだろう。

 でも、彼女は負けはしない。

 希望と喜びを泉とする、あの素直な哄笑が、彼女に戻って来たからだ。

 風邪の具合はまだ悪い。早く治して、ぼくもまた、「大きな笑顔」を取り戻すことにしよう。

Posted by 大沼安史 at 05:55 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (1)

2005-09-27

〔For the Record〕「恥辱の宴に詩人の居場所なし」 女流詩人 シャロン・オールズさんがブッシュ夫人に公開状

 アメリカの女流詩人で「全米批評家協会賞」の受賞者でもある、ニューヨーク大学教授のシャロン・オールズ(Sharon Olds)さんの、ファーストレディー、ローラ・ブッシュ大統領夫人あての公開状が、発売中の「ネーション誌」(10月10日号)に、「恥辱の宴に詩人の居場所なし」の見出しの下、掲載された。

 シャロンさんは、イラク戦争反対の抗議行動日だった9月24日、ワシントンで開かれた「ナショナル・ブック・フェスティバル」に、大会長であるローラ夫人から招待されたが、出席を断った。

 大会で自作の詩を朗読し、記念の晩餐会でブッシュ夫人とともに食事をする栄誉を、彼女はなぜ退けたか?

 その理由を彼女は、公開状のなかで、次のように率直に述べている。

 (前略)けれど、わたしは、あなた(ローラ夫人)とともに麺麭をわけあうという思いに向き合うことができなかったのです。もし、あなたと一緒に食卓に座れば、ブッシュ政権の野蛮(wild)で傲慢(highhanded)な行為としか思えないものを、わたしがまるで見ぬふりしているように、わたし自身、感じるだろうことを、わたしは知っていたからです。

 わたしの心の前面に訪れ続けたもの、それは政権を代表するファーストレディーから、わたしは糧をいただくのだということであります。政権はこの戦争を始めました。そして、この驚くべきいい繕いを許すとしても、(大沼注・テロ容疑者される)人々を、われわれの利益のための拷問を受けに、ほかの国々へ飛行機で送り出し続けようとしています。

 このわたしたちの国にかつて誇りを感じていたあまりにも多くのアメリカ人が、いま、血と傷と炎の現体制に怒りと恥辱を感じています。わたしはあなたのテーブルの清潔なリネンと、光り輝くナイフと、蝋燭の炎のことを考えました。そして、わたしは、それに耐えられなかったのです。

  心から
  シャロン・オールズ

 (大沼・後記)拙訳ではありますが、こういうことがあったのだという「記録」として(For the Record)、紹介させていただきました。

Posted by 大沼安史 at 06:50 午後 | | トラックバック (0)

「裁判で闘います」 シンディーさんが表明

 9月26日、ホワイトハウス前で抗議行動中、逮捕されたシンディー・シーハンさんが同日のBLOGでのコメントで、罰金を支払わず、裁判で闘うことを表明した。

 「許可を得ずデモンストレーションをした」シンディーさんに科せられた罰金は75ドル。
 裁判は11月16日に行われる。

 シンディーさんはコメントのなかで、「わたしたちは歩道に座り込むこと以上に、もっともっと重大なことのためにプロテストしていました。犯罪者どもが、このホワイトハウスのなかにおらず、そこで働いていなければ、生きていたであろう、数万人のイラク人、アメリカ人の、悲劇的・不必要な死に対して抗議していたのです」と、プロテストの意味を改めて訴えた。

 シンディーさんのBLOGでの発言は、以下で読むことができます。

   http://www.huffingtonpost.com/cindy-sheehan/my-first-time_b_7923.html

Posted by 大沼安史 at 02:57 午後 | | トラックバック (0)

ホワイトハウス前 「平和の母」 逮捕される

 首都ワシントンでイラク反戦運動を続けていた「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんが9月26日、逮捕された。

 ワシントン・ポスト紙など現地発の報道によると、シンディーさんはホワイトハウスに近い、ペンシルヴァニア街の歩道で、他のプロテスターとともに抗議行動中、警官によって、まず最初に身柄を拘束された。

 彼女は立ち上がり、手錠をかけられ、警察の車両に乗せられた。「世界中が見ている」と、周囲のプロテスターから唱和の声が上がった。

 シンディーさんらはこの日、5時間近くにわたって、現場に座り込み、抗議を続けていた。ホワイトハウスに、イラク戦争の戦死者のリストを渡そうとしていたが、無視された。それで歌を歌い、スローガンを叫び続けていた。「平和的なプロテスト」だったと、ワシントン・ポストの記者は書いている。

 シンディーさんとともに、350人が、この日、現場で逮捕された。集会の許可を得ていない、のが逮捕の理由だった。罰金は50ドル。法廷で争うこともできる。
 
 
 

Posted by 大沼安史 at 09:15 午前 | | トラックバック (0)

2005-09-26

〔いんさいど世界〕海抜5000メートル 「世界の屋根」をまっしぐら チベット鉄道 総延長1900キロ 開通へ

 隣の巨人・中国が、現代版「万里の長城」プロジェクトとも言うべき、大事業に挑戦し、成功しつつあります。

 チベットのラサへ通じる、総延長1900キロの「チベット鉄道」新設事業。

 来月(10月)にレールの敷設が完了し、来年7月に試運転、再来年の夏ごろまでに営業運転を開始するスケジュールだそうです。

 海抜5000メートルを超す「世界の屋根」、崑崙山地に鉄道を通す難事業。これはもう、「万里の長城」など及びもつかない、とてつもないことですね。中国はすごいことをするものです。

 中国の最西部、青海省の省都、西寧(シニング)から、ゴルムドを経由して、チベット自治区の首都、ラサに通じる、この「チベット鉄道」。

 うち、西寧からゴルムド間、800キロは、1984年に完成していました。西寧は、中華文明の最西端に位置する拠点都市(人口27万人)。人民解放軍の基地もある軍都で、中印紛争ではここからシッキムの前線へ、部隊が送り出されていたそうです。

 この西寧ですでに、海抜2275メートル。その先のゴムルド(人口20万人)となると、さらに高地にあり、海抜2800メートル。このあたりまで鉄道を通すのは、現にもうできているわけですから、できないことではなかったわけですが、このゴルムドの先、ラサへ向かって、1100キロもの線路を延ばすことは、絶対に不可能と思われていました。

 ゴムルドからラサへは、1950年代につくられた道路が走っているのですが、人民解放軍の兵士たちがこの工事に従事したとき、1キロあたり3人が命を落としたと言われています。

 とんでもない難工事だったわけですね。ラサへの道は、5000メートル級の崑崙山地に分け入るルート。そういうところに、道路よりも手のかかる鉄道を敷設するなんて、ありえないことだったわけです。

 そんな「無謀」な鉄道工事に中国政府が取り組み出したのは、4年前の2001年のこと。7年計画でレールを敷設する予定でしたが、これまたすごいことに予定が3年も早まり、来月(10月)に完成することになりました。

 奇跡ですね、これは。線路は続くよ、ラサまでもの、この「チベット鉄道」、最も標高の高いのは、タングラ峠というところで、海抜5072メートル。

 これって、ヨーロッパの最高峰、モンブランの頂上よりも、天に近い。南米ペルーのアンデス山中を走る、世界最高の「アンデス鉄道」を、200メートルも上回る高さなんだそうです。

 それだけ、天に近いってことは空気が薄いってこと。で、レールの敷設作業にあたった中国の人たちは、酸素不足にあえぎながら、それでもがんばり通して、軌道を延ばしていった。たぶん、人海戦術で取り組んだのでしょうが、それにしてもすごい。

 標高がこれだけ高くなると、地面は永久凍土や氷河に覆われているので、地盤は不安定。溶け出すとぬかるんで軌道を支えることができなくなるため、中国の技術者たちは地中に冷却材を注入したり、高架化することで、この問題を克服したそうです。やりましたね。

 さて、気になるのは、この「チベット鉄道」をどんな列車が走るか、ということですが、カナダのボンバルディー社製のものになるそうです。361両が発注済み。

 紫外線シャッタウトのパノラマ窓、個室シャワーつき、という豪華列車で、牽引するディーゼル機関車は、酸素の少ない高地、海抜4000メートル・レベルでも、時速100キロを出せる高性能機関車だそうです。

 北京からだと、48時間の列車の旅。あたらしい「オリエント急行」が登場するわけですね。

 将来は、ラサからさらにレールを延長し、ネパールからヒマラヤを越え、インドに向かうこともありえるわけで、こうなると「天竺鉄道」が生まれるわけですから、玄奘法師もビックリしますよね。

 28のトンネル、286の橋(最長のものは全長11.7キロあるのだそうです)を、越えてはくぐりぬけ、ラサへ向かうこの「チベット鉄道」、鉄道ファンならずとも、一度は乗ってみたいところですが、歓迎する声ばかりではありません。

 チベットでは昔から、中国からの独立運動が根強くあり、あのダライ・ラマも「(漢民族による)人口構成の変化を狙った政治的な動機に基づくもの」と非難しているそうです。

 また、中国の物質主義がチベットの精神主義を汚染するのではないか、と心配する声もあるそうです。

 実はこの「チベット鉄道」の話を、ぼくは英紙「ガーディアン」(9月20日付け)で読んで初めて知ったのですが、その記事の筆者であるジョナサン・ワッツという特派員氏が、この鉄路によって、中国の物質主義とチベットの精神主義が深く結ばれ、新しい、持続可能な文化を生んでほしい、という意味のことを書いています。

 そうなれば、ほんとうにいいですね。

 外のものを阻む「万里の長城」ではなく、自分にはないものを外から内へ取りいれる、摂取の回路としての「チベット鉄道」。

 同化の外延的な拡大ではなく、消化によって自らを高める融合のラインとしての「チベット鉄道」――

 中華の中国に、果たしてそれができますかどうか?………
 

Posted by 大沼安史 at 04:09 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

[重要ニュース]英軍 イラクから撤退へ 来年5月に開始 日本政府にも通知

 英紙オブザーバーは9月25日、英軍がイラクから来年5月、撤退を始める、と報じた。

 ブレア政権は詳しい撤退計画を来月(10月)に明らかにする。

 同紙によれば、来年5月からの撤退は「メジャー」なもの。現在、イラク南部に8500人、展開する英軍の「主力」を引き揚げる意味のようだ。

 さらに、同紙は、この決定はすでに、非公式(privately)に、日本政府に伝えられている、と報じている。

 英軍が撤退すれば、日本の自衛隊のサマワ駐留も不可能になる、と、TOKYOの政府高官たちは考えるだろう、とも、同紙は指摘している。

 オブザーバーは、確証あるスクープ報道で定評のある権威紙。
 日本のマスコミの確認報道を望む。
 

Posted by 大沼安史 at 07:53 午前 | | トラックバック (0)

2005-09-25

「30万人」がデモ行進 イラク開戦以来、最大規模の抗議行動 首都ワシントン デモ隊の「海」に

 米国の首都ワシントンが9月24日、「プロテスター(抗議者)の海」(ニューヨーク・タイムズ紙の表現)と化した。

  主催者の予想(10万人)を3倍も上回る、「30万人」(主催者推定。警察の推定でも15万人)もの参加者たちが、イラク戦争の中止を求めて、「ノット・ワン・モア(もう、これ以上、一人の犠牲者を出すまい)」のスローガンを叫んだ。

 BLOGジャーナリストによる現場からの報道によれば、今回の首都プロテストは、地元のケーブルテレビ「C-SPAN」の推計通り、実際は「50万人」規模の大デモンストレーションだった可能性もあるという。

 参加者数の正確な数はともあれ、「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんらが、実現へ向け最初の突破口を切り開いた今回の抗議行動は、ベトナム戦争当時を思わせる非常に大きな盛り上がりを見せた。

 おそらくはイラク戦争の終結を早める分水嶺的な出来事として記憶されることは間違いない。
 

 現地からの報道によると、ホワイトハウスに近い「エクリプス広場」で、この日午前11時半から始まった集会には、全米から、戦死者の遺族や復員兵を含む、さまざまは人々が駆けつけた。

 この8月の1ヵ月間、テキサス州クロフォードのブッシュ大統領の牧場近くでキャンプを張り、抗議行動を続けたシンディー・シーハンさんらも、反戦バスツアーを終えて合流した。
 

 集会で演説したシーハンさんは、「ノット・ワン・モア」の音頭を取った。会場を埋め尽くす人の海。「すごい。わたしたちは、歴史の中にいるんだ」と語った。

 デモ行進は当初、午後零時半の予定だったが、遅れて始まった。アムトラック(鉄道)でワシントン入りする人たちの到着を待って、出発時間をずらした。
 

 デモ隊は市内中心部の通りを埋め、延々4時間以上にわたって続いた。

 「Bush Lied,Thousands Died(ブッシュの嘘で、数千人が死んだ)」「堤防を築け、戦争を止めろ」――そんなプラカードの波が通り過ぎる。

 家族連れもいた。デモは初体験という人も多かった。

 8歳の男の子は貯金箱を手に、「ブッシュ大統領はこれを取り上げて戦争に使っている」と、参加した理由を説明した。

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、そんななかに、オハイオ州のケント州立大学の教授(教育学)、シェリー・リーフグレンさんの姿もあった。ケント州立大学は周知のように、ベトナム反戦運動で、学生が州兵に射殺された大学である。シェリーさんの手には、「ニューオルリーンズからイラクへ:貧しき人々への戦争をやめよ」のプラカードが握られていた。

 デモ行進には、ベトナム戦争時に反戦運動のシンボルだった歌手のジョン・バエズさんの姿も見られた。バエズさんは、クロフォードのシーハンさんのキャンプに支援に訪れるなど、再び運動の前面に立っている。
 デモ行進のあと、バエズさんらは反戦コンサートを開いた。

 この日、同市内では「イラク戦争賛成」の対抗集会も開かれたが、参加者は200人どまりだった。

 ブッシュ大統領はハリケーン被災地に出ていて、この日、ワシントンにはいなかった。

 この日はまた、首都ワシントンのほか、シアトル、ロサンゼルスなど全米各地で抗議行動が行われた。

 ベトナム戦争の頃、反戦運動の拠点だったサンフランシスコでは、主催者発表5万人(警察発表2万人)のデモが行われた。

 当時のプロテスト・ソング、エドウィン・スターによる「War」が復活し、合唱も生まれたという。
 

 “War,what is it good for?”(戦争って何かいいことある?)との歌詞がスピカーが流れると、デモ参加者たちは、“Absolutely nothing”(まったく何の意味もない)と合いの手を入れ、気勢を上げた。
 

Posted by 大沼安史 at 04:42 午後 | | トラックバック (0)

[For the Record]  シンディー・シーハンさんの   9・24演説

 以下は、「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんが9月24日、首都ワシントンで開かれた、イラク反戦集会で行った演説の、大沼による拙訳(部分訳=中略部分を除き、全訳)である。

 現代史に残るべき演説と思い、「記録」として訳してみました。

 嗚呼、きょうという日の午後の、この愛国的異議申し立てのこの匂い。それを、わたしは愛おしい。

 わたしたちはいま、建国の父であるジョージ・ワシントンに捧げられた、このモニュメントの広場にあって、その彼が、決して嘘をつけなかったという言い伝えで知られていることを思い出します。そして、休暇の間にだけこの街にいて、真実を語ることのできそうにない、同じジョージという名前の別の男がいることに、わたしはアイロニーを感じているのです。ジョージという名の両極端の2人の大統領が、正直であることにかけて、完璧に違っていることは、わたしたちにとって悲劇であります。

 わたしはまた、わたしの息子、ケイシーが、勇敢で背が高く、誇り高く、この国を愛し、計り知れないほど正直だった彼が、うちひしがれたひとりの母親に会おうともしない、卑劣な男によって、彼が生きる時代の、非合法で非道徳的な戦争に行き、戦ったばかりか、死へ、送り込まれたことにアイロニーを感じ、胸のつぶれる思いです。

 わたしたちは、わたしたちの「ベスト&ブライティスト」(大沼注・社会を担う最良の人材、の意味。ベトナム戦争当時、ノンフィクション・ライターのハルバースタムが書いた同名の本を下敷きにしているが、ハルバースタムのベスト&ブライティストが、有能な政府高官をさしているのに対し、シーハンさんはそれとは逆に、戦地に赴き戦っている、アメリカの若者たちの意味で使っている)を、わたしたちアメリカにとって脅威でもなんでもなく、しかもわたしたちが破壊している国で失い続けているのです。

 あの大量破壊的な兵器、大量破壊的な欺瞞は、そうこの街に巣くっています。操り糸をたぐるネオコンと、平気でどんどん財布の紐を緩め、いただけるものは頂戴し、ジョージとその仲間たちに白紙の小切手を切って、この国を財政的・道徳的破産に追い込んでいる、連邦議会の議員たちです。

 わたしたちは、わたしたち自身の国を呼び戻し、ほんとうのデモクラシーと正気とを、わたしたちの政治プロセスに復興するため、いまここに力となって立ち上がっているのです。その時が来ました。私たちはこの国を愛するがゆえに、ここにいます。わたしたちはとどまることを知らない狂人どもに、これ以上、この国を破壊させはしません。

 (中略)

 ジョージよ、お前の日々は終わった。わたしたちが今日、ここにいるのは、お前に告げるためです。わたしたちこそ、マジョリティー(多数派)であり、お前が中東から若者を帰還させるまで、お前が、お前のせいもあって自然の猛威が破壊し、お前の冷淡で人種差別的な経済政策が引き裂いた、われらの(大沼注・OURと大文字で強調しています)コミュニティーの再建に(連邦)資金を投入するまで、わたしたちが決して活動を止めないことを。

 わたしたちはわたしたちの社会保障プログラムから資金を奪い、湾岸被災地各州の再建のために「ハリバートン」(大沼注・チェイニー副大統領との関係が取りざたされる企業。イラク復興事業に絡んで、米政府から膨大な発注を受け、今回のハリケーン被災地の復興事業をも受注したといわれる)を潤すことを許しません。

 お金はないのです。わたしたちの銀行口座は空っぽです。ジョージよ、お前はわたしたちに対して大雨を降らせ、わたしたちを悲惨な目に遭わせている。戦争で儲ける輩のポケットにお金をつっこんだり、イラクに恒久基地を建設したりする浪費はやめにしなさい。わたしたちの数十億ドルを、イラクからこのアメリカに戻すときです。

 (中略)

 わたしたち、平和運動にあるものは、1点で合意しなけれなりません。たしかに出口プランは必要です、しかし、それは戦略ではなく、わたしたちに対するコマンド(絶対命令)なのです。6ヵ月以内にすべての軍人、金で買われたすべての殺人傭兵をイラクから出すこと、これを、すべての将軍たちが実行に移すこと――これが、そのコマンドです。かんたんなことです。別に脳外科手術を施す必要もありません。命令文書にサインするだけですから、ジョージ・ブッシュにとってさえも、それはかんたんなことでしょう。

 (中略)

 いま、最も大事なことは、まったくもって無意味に、嘘のために、イラクでは毎日、人々が死んでいるという事実です。わたしたちはNOW(いま、すぐに)と言わねばなりません。向こう側の人々はNEVER(もうごめんだ)と言っているのですから。

 わたしたちに妥協はなく、わたしたちにお願いはなく、わたしたちに譲歩はありません。わたしたちが引き下がれば、この国は終末を迎えます。わたしたちは、平和と正義の使命を全うすることで、わたしたちの愛する者たちの犠牲を誉れとしなければないません。いまがそのときです。わたしたちの兵士たちを帰国させなさい、NOW(いますぐ)!

☆☆☆ シーハンさんの演説の原文は、以下のサイトでごらんになれます。

http://www.huffingtonpost.com/cindy-sheehan/my-speech-at-the-antiwar_b_7823.html

Posted by 大沼安史 at 11:25 午前 | | トラックバック (0)

ワシントン反戦デモ 「10万人」 警察当局

 米国の首都ワシントンで始まった、イラク反戦プロテストの初日、9月24日の参加者数は、主催者側が見込んでいた「10万人」規模に達した模様だ。

 Yahoo!NEWSに掲載されたAP電は、ラムゼイ警察長官の「たぶん、(10万人の線に)達した」との発言を伝えた。

 (大沼・注)日本の一部の新聞(25日付け朝刊)は、「1万人前後に達したもよう」などとしている。

 であるなら、予想外に低調な集会・デモだったことになる。

 現時点で主催者側の発表は伝えられていない。

Posted by 大沼安史 at 08:34 午前 | | トラックバック (0)

ロバート・フィスク記者の米国入り、阻まれる

 英インディペンデント紙の中東特派員で、イラク戦争に対する批判的な見方で知られる著名なジャーナリスト、ローバート・フィスク氏が、米国当局によって入国を阻まれた。

 アメリカのフリージャーナリスト、ダグ・アイルランド氏が9月22日にBLOGで報じた。

 フィスク氏はカナダのトロントからデンバー経由で、米ニューメキシコ州サンタフェで開かれるイベントに出席する予定だった。

 米当局が入国を阻んだのは、「書類の不備」のため。

 フィスク氏は急遽、トロントから、衛星中継によるインタビューを通じ、イベント参加者らに向け、発言した。

 (大沼・注)ロバート・フィスク氏は、今回のイラク戦争で、ベイルートを拠点にバグダッドなど現地に足を運び、取材活動を続けている。バグダッドの「グリーンゾーン」内のホテルに閉じこもって「報道」する、いわゆる「ホテル・ジャーナリスト」とは違って、現場に自ら入って取材する記者として知られている。イラク戦争に対する批判的報道でも有名で、そのことが今回の米当局による「入国阻止」の背景にあるようだ。

Posted by 大沼安史 at 12:12 午前 | | トラックバック (0)

2005-09-24

ロンドンでイラク反戦デモ 

 イギリスのロンドンで9月24日、イラク戦争の停止と英軍の撤退を求めるデモ行進が始まった。

 Yahoo!NEWSに掲載されたAFP電によれば、数千人が参加し、議事堂前からハイドパークへ向けて、行進を開始した。

 主催者は、最終的に10万人以上の参加者があるものと見込んでいる。

 米国の首都ワシントンでの抗議行動に呼応したもので、欧州ではこの日、ローマ、マドリッド、コペンハーゲン、オスロ、ヘルシンキでもデモが行われる。

 ロンドンではイラク戦争開戦の日の3月19日にもデモが行われ、主催者発表によると、このときは11万人が参加した。
 
 

Posted by 大沼安史 at 11:39 午後 | | トラックバック (0)

イラク帰り、28歳の米兵が良心的兵役拒否を決意するまで

 英紙インディペンデントの電子版(9月24日付け)に、イラク帰りの28歳の米兵の発言記録が出ていた。

  首都ワシントンのアメリカン大学でこのほど開かれた集会で、良心的兵役拒否を決意するまでの、自らの体験を語った。

 日本の自衛隊がいるサマワに対する攻撃のことも出ている。

 紹介しよう。

 ハート・ヴィージェス(Hart Viges)さん。「9・11」の翌日、米軍のリクルート・オフィスに行って、兵士になった。第82空挺団に所属し、2003年2月にクウェート入りし、翌3月、イラクに侵攻した。

 ヴィージェスさんの部隊は、サマワを攻撃した。

 「わたしたちの迫撃砲小隊は、その町(サマワ)に無数の砲弾を撃ち込みました。カイオワ攻撃ヘリがヘルファイア・ミサイルを次から次に撃ち込むところをわたしは見ました」

 「わたしが撃った迫撃砲弾で、どんなに多くの罪もない人々が知れません。想像してみるしかない。しかし、わたしには、ひとつ、はっきり覚えていることがあります……」

 ヴィージェスさんが覚えていることとは、無線による攻撃指令だった。

 「すべてのタクシーに対して青信号」――「青信号(グリーン・ライト)」とは、「撃ってよし」。タクシーを見つけたら、誰が乗っていようと、とにかくすべて撃破せよ、という命令だった。

 タクシーには急ぎの用のふつうの市民が乗っている可能性がある。

 狙撃兵のひとりが耳を疑って聞き返した。「よく聞こえなかったんだけど、すべてのタクシーに対して青信号、って言った?」

 武装勢力がタクシーで武器を運んでいる可能性がある。たったそれだけの理由による攻撃指令だった。
 いわば、タクシーと乗客に対する無差別テロ。

 あのサマワで、そういうことさえあったのだ。米軍に協力する日本の自衛隊の復興支援に対し「感謝」しているとされる、サマワの住民感情の底に、こういう事実があることを、われわれ日本人は忘れてはならない。

 ヴィージェスさんはその後、ファルージャ、バグダッドと激戦地を転戦した。

 バグダッドでのことだった。給水プラントの設置作業の護衛で、世にも美しい郊外の村に出かけた。

 と、そのとき、ラーンチャーから撃ちだされた手榴弾が飛んで来た。そして二人のイラク人男性が現れ、女子どもを盾にヴィージェスさんらと睨み合った。

 そのとき、ヴィージェスさんもライフルを構えた。銃口の先にいたのは、「ソフト・ターゲット」ではなく、ひとりの人間だった。同じ人間がそこにいる………結局、引き鉄を引くことができなかった。少なくとも、ヴィージェスさんだけは。

 その村を出たあと、攻撃ヘリなどの支援を受けながら、ある民家を捜索した。カラシニコフや爆薬などを探したが、出てきたのは護身用の小さなピストル一丁だった。そのピストルを理由に、イラク人の若者二人の身柄を拘束した。

 そのとき、だった。母親が出て来て、ヴィージェスさんの足にキスをした。「まるでその足がキスに価するかのうように」キスをした。アラビア語で叫んで、懇願した。「愛、不安、恐怖」がそこにあることは、アラビア語を知らなくてもわかることだった。

 攻撃ヘリ、ブラッドレー戦闘車両、レーザー・サイトつきのM4セミ・オート小銃……
 「わたしは第82空挺団の殺人者のひとり。そしてわたしは、このひとりの女性の苦悩を癒す力を持たない」

 イラクから復員してヴィージェスさんは、良心的兵役拒否を決意し、申請した。

 「ひとりのクリスチャンとして。汝の隣人を愛せよ。汝を迫害するもののために祈れ。汝、撃つなかれ」

 ヴィージェスさんは24日からワシントンで始まる反戦プロテストに参加するため、テキサス州のオースティンから出て来た。

 ワシントン大学でのヴィージェスさんの発言を聞き、記事にまとめたインディペンデント紙の特派員は、こう書いた。

 「イラク帰りのアメリカの若い元兵士はわたしたちに、なぜ、イギリス、アメリカの公衆がイラク占領に対して鋭く反対し始めたかを解き明かす、ひとつの洞察を与えてくれた」と。

 その洞察は、それだけで、イラク戦争をやめる、十分な根拠となりうる――記事を読み終えて、ほんとうにそうだと思った。

Posted by 大沼安史 at 11:22 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

イラクの母も知る「平和の母」

 反戦運動を続けるアメリカの「平和の母」シンディー・シーハンさんのことを、ふつうのイラクの人々が、実によく知っているのだそうだ。

  米紙ロサンゼルス・タイムズのバグダッド特派員、ボルゾウ・ダラガイ氏が、そう報じている(9月22日付け)。

 アルジャジーラ、アルアラビーヤなどの衛星放送を受信して録画したビデオが、受信設備を持たない貧しい人々の間にも出回っているという。

 ダラガイ特派員は、ことし4月のバグダッド・サドルシティーの戦いで、戦死したシーア派武装勢力の若者、マジッドさん(28歳)の母親に、シンディーさんのことをどう思うか、聞いた。

 4月のサドルシティーの戦いは、シンディーさんの息子のケイシーさんの命も奪った。

 52歳になる母親のカーラフさんは、こう語っている。

 「もちろん、彼女もひとりの母親。わたしたちと同じように悲しんでいる。そう、彼女も悲しんでいる」
 「彼女はイラクからの引き揚げを望んでいるだけ。それはわたしたちと同じ……」

 反米的な立場のイラクの日刊紙、「アザマン」のコラムニストは、シーハンさんのことを、こう称えているそうだ。

 「彼女は持てるすべての力と母性を振り絞り、世界で最強の大統領に立ち向かって、言いたいことを言い切っている」

 「平和の母」の思いは、敵味方を超えて普遍的であり、それはわれわれ日本人の胸にも強く響く。
 

Posted by 大沼安史 at 09:39 午前 | | トラックバック (0)

2005-09-23

24日から、ワシントンでイラク反戦行動 「10万人を超える」と主催者が予測 26日にはホワイトハウスを“包囲”

 9月24日から、米国の首都、ワシントンで行われるイラク反戦の抗議行動は、参加者が10万人を超える見通しだ。

 主催団体が22日に、米マスコミに対して明らかにした。

 予測通りの参加者が集まるとすると、イラク戦争開戦以来、最大規模の、首都におけるプロテストとなる。

 今回の抗議行動は3日間の日程で行われる。初日の24日は、集会、デモのほか、ジョン・バエズによるコンサートも開かれる。抗議行動が頂点を迎えるのは、最終日の26日で、ホワイトハウスを取り囲み、ブッシュ大統領に面会を求める。

 主催団体のひとつ、「ANSWER(戦争をやめ、人種差別をなくすため、いますぐ行動を、という英語の頭文字表記。全米1300の平和団体を抱えるアンブレラ組織)」では、3日間とも集会許可を得ている、としている。

 集会では「平和の母」、シンディー・シーハンさんや女優のジェシカ・ラングさんも発言する予定。

 主催者側は、ヒラリー・クリントン上院議員ら、連邦議会の民主党の議員にも参加を求めたが、ナイト&リッダー新聞連合の報道によると、断られた。

 ブッシュ大統領は、プロテスト初日の24日は、ハリケーン被災地を訪れることが決まっており、ホワイトハウスを留守にする。25、26日の行動予定は不明。

 主催者は新聞広告やテレビCMでもキャンペーンを張っている。

 地元紙、ワシントン・ポスト紙の22日付け紙面の広告は、見開き2頁。

 左面では、「彼らは嘘をついた」との見出しの下、ブッシュ大統領をはじめ政府高官らによる、数々の「大量破壊兵器」発言を列記し、右面では、「彼らは死んだ」の見出しの下、イラクでの戦死者の名前のリストを載せた。

 一方、テレビCMは、シンディー・シーハンさんと、戦死した息子のケイシーさんに絞った中身。

 今回の抗議行動で主催者側は、挑発に乗らない整然とした行動を参加者に求めている。

 ワシントン・ポスト紙によると、すでにワシントン入りした参加者たちは、初経験の人が多いらしい。ブルームバーグ通信は、インディアナ州からやって来た、デモ初体験の61歳の女性を紹介している。

 ベトナム戦争当時のワシントンでの反戦集会は、もっとも多いとき(1969・11・15)で60万人の人々が集まった。今回はそれを下回ると見られるが、米国民の世論は大きく、戦争反対に傾きだしており(16日ー18日に行われたUSAツデー紙とCNN、ギャロップの合同世論調査では、実に67%の人々がブッシュ大統領のイラク戦争の取り扱いを不容認)、アメリカはますますベトナム戦争当時に似てきた。
 
  

Posted by 大沼安史 at 04:34 午後 | | トラックバック (2)

アパルトヘイト化する公教育

 ジョナサン・コゾルが、「アメリカの恥(The Shame of the Nation:The Restoration of Apartheid Schooling in America)」という本を出した。

 そのことを、遅まきながら、米誌「エデユケーション・ウイーク(EW)」の電子版に載った、コゾルに対するインタビュー記事(9月21日付け)で知った。

 けっこうな年齢のはずなのに、へこたれずに、がんばっている………うれしくなって早速、「アマゾン」に注文を入れた。

 コゾルは20代でボストンのスラム街にある公立校で教師になり、その経験を1960年代の終わりに「子どものうちに死んでいる(Death at an Early Age)」という本にまとめて発表し、以来、反骨の教育ライターとして、活動を続けて来た。ぼくの最も尊敬する、教育改革者の一人である。

 そのコゾルにぼくはまだ、会ったことがない。一度、彼の「Free Schools」という本を翻訳しないか、という話が来たが、実現しなかった。ぼくにとってはいまなお、会ってみたい、訳してみたい人である。

 EW誌によれば、コゾルはこんどの「アメリカの恥」をまとめるにあたって、全米11州の60校に取材に入ったという。都市部の公立校の現場に立って、アパルトヘイト(人種隔離策)が事実として進む、アメリカの教育の現状を書いた。

 アメリカの公立校はいま、日本に似て(というより、その目にあまる先行事例として)「テスト、テスト」の成果主義、点数至上主義の波に呑み込まている。ブッシュ政権によるNCLB法(「一人の子どもも落ちこぼさない法」)が、全米の公立校に「標準テスト」(日本でいう学力テスト)を押し付けているせいだ。

 コゾルは、EW誌とのインタビューのなかで、このような現状を、「ノンストップ・テストという社会病理的な体制(レジーム)」と、一撃の下に批判し切る。

 「社会病理」? なるほど………このくだりを読んで、日本での「学テ」「低学力」をめぐる、あの気持ちの悪い狂騒の本質を、コゾルが抉り出してくれたような気がした。

 来日したあるミネソタのチャータースクール運動家が、ぼくらとの懇談の席で、NCLB法を、「あれは、一人の子どももテストから落ちこぼさない法だ」と皮肉っていたことも、ついでに思い出してしまった。

 コゾルはまた、アメリカの保守富裕層が、学力は金の問題じゃないといっていながら、現に私立校の高い授業料を支払って金で買っているじゃないか、という意味のことを、インタビューで語っていた。

 リッチな郊外の白と、崩壊する都市部の貧しい黒の対比。そのコントラストが、「逆コース」で強まるいまのアメリカに、「制度的な正義」はない、とコゾルは言うのである。

 しかし、この富と貧の二極化は、アメリカだけの風景ではない。アメリカの教育におけるアパルトヘイト的事態は、格差がますます開く、この日本の現実と重なることではないか。

 今日(9月23日)付けの朝日新聞に、この国の公教育の現場での、子どもたちによる対教師暴力の統計データが紹介されていた。

 小学生が先生に暴力を振るう。まさに学園、死なんとす。

 日本の学校は、自ら「学校」を名乗りながら、少なくとも「学園」――子どもたちの「学びの園」ではなくなっているのだ。

 インタビューの最後でコゾルは、こう言って、アメリカの若者たちに立ち上がるよう求める。

 「わたしは、自分たちの持つ現実を本当の名前で呼び、それを変革するために表へ出て本気になって戦う勇気を持つ、品位ある若者たちの決起をこの目で見たい」

 「学校」がもはや「学校」でなくなっているなら、そうハッキリ言い切り、新たに「学校」をつくり直す。そういう勇気は、日本のわれわれにも必要である。
 

Posted by 大沼安史 at 09:19 午前 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

2005-09-22

「平和の母」、首都ワシントン入り

 イラク反戦運動を続ける「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんは9月21日、首都ワシントン入りした。

 豪紙、ジ・オーストラリアンのワシントン特派員電によると、シンディーさんは約30人の支援者とともに、ホワイトハウスに向かってペンジルアニア街を行進。鉄格子越しにホワイトハウスのスタッフに、ブッシュ大統領あての手紙を託した。

 手紙は、米軍の即時撤退を求める中身。
 シーハンさんは同紙特派員に対して、「わたしたちはこの(ブッシュ)政権に対して、責任を取ってもらいたい」と語った。

 地元紙、ワシントン・ポストの報道によると、この日、シンディーさんらは連邦議会にも立ち寄り、「NOT ONE MORE!」(もう一人も死なせるな!)と叫んだ。
 (大沼・注 イラクでの米軍の戦死者は1900人を突破した)

 シンディーさんに同行したイラクからの復員兵は、「これは右(ライト)か左かの問題ではない。正しい(ライト)か間違っているかの問題だ」と、イラク戦争反対を訴えた。

 同紙によると、シンディーさんら(「兵士を帰せ、全米北コース」バス・ツアーの一行)はこの日朝、ワシントン入りに先立ち、ボルチモア市内中心部で反戦を訴えた。
 イースタン街のビストロ前では、バス・ツアーに参加した兵士の親たちの訴えに、聴衆は涙を拭いながら聞き入った。

 最後にシンディーさんがマイクを握ると、野外のテーブルに座っていた市民らは一斉に立ち上がり、拍手を贈った。

 シンディーさんは言った。

  「4月4日(息子のケイシーさんがバグダッドで戦死した日)にわたしが床に転がって叫び声をあげたあのとき、息子に向かって叫んだあのとき、わたしが失ったものに叫んだあのとき、これは(反戦運動に乗り出すことは)、ひとりの母親として担えることではありませんでした。しかし、ゲームはわたしを鍛えてくれたのです」

 反戦バス・ツアーの主催団体によると、シンディーさんらは23日夜、ワシントン市内のモールに設けられた運動拠点、「キャンプ・ケイシーDC」(DCは首都ワシントンの意味)で、キャンドル・サービスを行い、翌24日の土曜日、同市内で行われる、イラク開戦以来、最大規模のデモンストレーションに参加する。
 
  

Posted by 大沼安史 at 05:18 午後 | | トラックバック (0)

ふたつの言葉 ひとつの希望 明日に架ける学校、イスラエルに

 この学校の子どもたちの机の上にはきっと、やがて恵みの雨をもららす、希望の青空が広がっていることだろう。戦争のない、平和な空が、そこではすでに始まっている……心底、そう思える、ほんとうにうれしくなる小さな学校の物語が、イスラエルの新聞に出ていた。

  9月21日付けのハーレツ紙(英語電子版)の記事。「ユダヤの子が来てアラブの子から学び、それがうまく行っている」―そんな見出しのついた記事。

 紹介しよう。

 その学校の名は「手に手をとって、ワディ(涸れ谷)に橋を架ける学校」。たぶんあの、サイモンとガーファンクルの名曲、「明日に架ける橋(ブリッジ・オーヴァー・トラブルド・ウォーター)」を下敷きにした名前だ。

 イスラエルのワディ・アラ地区のカフール・カラにある。昨年9月に開校したばかり。できて2年目の新学期が、ただいま始まったばかりである。

 幼稚園児から小学4年生まで189人が学ぶこの学校は、ふたつのものがひとつにつながる学校だ。子どもたちも先生も、ユダヤ人とアラブ人が半分ずつ。それぞれひとつのクラスにまとまって、ヘブライ語とアラビア語で教え・学んでいる。そういうバイリンガルな学校である。

 中東では、そしてイスラエルでも、ユダヤ人とアラブ人(とくにパレスチナ人)は敵対を続けて来た。ヘブライ語とアラビア語はたがいに敵性語であり、民族の共生を阻むコミュニケーションの壁であり続けて来た。

 そういう言葉の壁を超え、相互理解を深めることで平和を築いていく、明日に架ける学校、それがこの「手に手をとって、ワディ(涸れ谷)に橋を架ける学校」だという。

 地元のユダヤ人、アラブ人の親たちが、イスラエルのNPO「ヤード・ビヤド(ヘブライ語で「手に手をとって」)」の支援を受け、学校づくりに取り組み出したのは、いまから5年前のこと。すぐ文部省の壁にぶちあたって跳ね返されたが、国会やメディアの応援で開校に漕ぎ着けた。

 NPO「ヤード・ビヤド」の支援によるこの種のバイリンガル校は、これで3校目。ただカフール・カラのこの学校がほかの2校と違うのは、ユダヤ人居住区ではなく、アラブ人の住む地域に開かれたことだ。つまり、ハーレツ紙の記事の見出しにあるように、ユダヤ人の子が来てアラブの子から学ぶ学校である。

 イスラエル国内に育ったアラブの子どもたちにとって、ユダヤ人の言葉のヘブライ語は「支配者の言葉」であり、ユダヤの子にとってアラビア語はアラブ系イスラエル人の「劣った文化の言葉」である。そういう偏見の涸れ谷を越えて、ユダヤの子がアラブ人だけの町に学びに来る……暴力と憎悪の血にまみれたイスラエル・パレスチナの歴史を知るものにとって、これ自体、実に驚くべきことである。

 小さな学校が、ふたつの言葉をつなぎ、ひとつの希望を実らせた奇跡、といってもいいだろう。

 たがいの言葉を学んでいるのは、子どもたちに限らない。教師も親もワークショップを開いて学んでいる。学校が分裂したふたつのコミュニティーをひとつにつなげているのだ。

 イスラエルがガザ地区から撤退したことで、イスラエル・パレスチナ問題に一筋の光が射し込み始めた今、このような学校の持つ意義はますます大きい。

 子どもたちという社会の明日をつくる苗木のなかに、平和が宿るわけだから。

 「手に手をとって、ワディ(涸れ谷)に橋を架ける学校」は、幼稚園児から第12学年まで、800人が学ぶ学校に成長する。400人のユダヤの子と、400人のアラブの子と。

 自爆テロのあとを絶たないこの中東の地が、一日も早く、乳と蜜の流れる共生の大地に生まれ変わることを祈る。
 
 
 

Posted by 大沼安史 at 11:45 午前 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2005-09-21

ペンタゴンが2軍人の上院での証言を阻止

 米国防総省(ペンタゴン)は9月20日、米軍将校2人による米上院司法委員会での証言を阻止した。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、証言を封じられたのは、米海軍、陸軍の将校各1人で、21日に上院司法委に出席する予定だった。

 ペンタゴンのスポークスマンは「証言することは適切ではない」とする声明を発表した。詳しい証言阻止の理由は盛られていない。

 証言を予定していた2人はそれぞれ、ペンタゴン内に設けられた情報機関「エイブル・デインジャー」に所属していたことを自ら明らかにしたうえで、同情報組織が、アタ容疑者ら「9・11」の実行犯4人のテロ計画を事前に察知したにもかかわらず、FBIへの通報を、ペンタゴン内の法律家によって妨害されたと内部告発していた。

 これに対してペンタゴンは、2人の主張を裏付ける記録文書は存在しないとして、これを否定してした。

 ペンタゴンによる今回の証言のブロックについて、上院司法委員会のスペクター委員長は驚きの念を表明する一方、「アメリカの国民はいったい何があったのか知るべきである」と、ペンタゴンによる「口封じ」を批判した。

Posted by 大沼安史 at 04:49 午後 | | トラックバック (1)

「平和の母」の集会 警察が中断

 シンディー・シーハンさんを迎え、9月19日、ニューヨーク・マンハッタンのユニオン・スクエアで開かれる予定だった反戦集会が、警察官が主催者を逮捕したことで中断した。

 市警の介入は、集会主催者がマイク使用許可を事前に得ていなかったため。

 約20人の警察官は、シーハンさんが演説中、マイクを奪った。シーハンさんは支持者の車の中に逃れ、無事だった。

 AP通信に対してシーハンさんは、「私が話をしていたら、誰かがわたしの背中のバックパックをつかんで、わたしを乱暴に引っ張った。わたしは振り回された」と、当時の模様を語った。

 
 

Posted by 大沼安史 at 11:22 午前 | | トラックバック (0)

2005-09-20

カーン博士をCIAが泳がせる オランダ元首相が言明

 北京での6者協議で9月19日、北朝鮮が核開発を放棄する方向が生まれた。

 破棄の時期など具体的なことは何一つ、決まらなかったのに、米国が譲歩し、北朝鮮の体制の「護持」を約束したことで、朝鮮半島の非核化に第一歩が印された。

 米国が譲歩した背景には、イラク(アフガン)戦争の泥沼化と、ハリケーン・カトリーナによる大規模被災がある。

 米軍は、同時に2つの戦争を戦う「2正面作戦」ができるはずだったが、イラク戦争のベトナム化と、強力なハリケーンの直撃によって、それが机上の作戦計画に過ぎないことが暴露された。

 イラク・アフガンの「1正面」を守りきるのが精一杯で、北朝鮮とことを構える余裕のないことが、はっきり示された。

 本BLOGですでに指摘した通り、今回の6者協議に合わせ、パキスタンのムシャラフ大統領は、日本の共同通信社と米紙ニューヨーク・タイムズ紙に対して、「イスラムの核の父」、カーン博士が北朝鮮にウラン遠心分離器を輸出し、核開発のお先棒をかついでいたことを明らかにした。

 その一方で米国は「核先制使用」の手続き策定を進めることで、北朝鮮に対し核攻撃も辞さない強い姿勢を示したが、結局、腰砕けとなった。

 米国が強硬姿勢を弱めたことは、朝鮮半島の緊張緩和にとってプラスの要素であり、歓迎したい。
 
 そんな米国に関し、この際、一言、言っておきたいことがある。それは、北朝鮮のウラン爆弾開発に道を開いた、パキスタンのカーン博士と米国との関係である。

 権威あるドイツの週刊紙、「ツァイト」によれば、オランダのルッバース元首相はことし8月9日、オランダのラジオで、1975年以降、数度にわたって、当時、オランダ国内の「ウレンコ」でウラン濃縮技術を学んでいたカーン博士の身柄を、スパイ容疑で拘束しようとしたところ、その都度、米国のCIAから圧力がかかり、みすみす見逃してしまったことを明らかにした。

 CIAはカーン博士を10年もの間、オランダ国内でカーン博士の監視を続けていたが、泳がせるだけで結局、何もせず、核の拡散を許してしまった。

 これはオランダ元首相の言明である。日本の報道機関には確認報道の義務があるだろう。

 (大沼・「ツァイト」の記事のコピーが必要なら、電子版のプリントアウトですが提供します)

 それにしても、米国のマッチ・ポンプぶりにはあきれてしまう。
 「核の火遊び」を許した罪は大きい。
 

Posted by 大沼安史 at 02:27 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2005-09-19

米軍、シリア侵攻か? 米国大使がオフレコ発言

 米国のインターネット新聞、ハフィントン・ポストは9月18日、米国の駐イラク大使、ザイマイ・カリザード氏が先週末、コロラド州アスペンで開かれた、ビジネス・グループの集まりでオフレコ発言し、イラク駐留米軍が、武装勢力を追撃するかたちでシリアに侵攻するだろう、との見通しを述べた、と報じた。

 (大沼・注)ハフィントン・ポストはことし5月から、ネット上で発信を続けている。
 米国のイラク大使のこの予言が現実のものになるかどうか、今後の状況の推移が注目される。
 詳しくは、http://www.huffingtonpost.com へ。

Posted by 大沼安史 at 09:31 午後 | | トラックバック (0)

「平和の母」、NY入り ヒラリー批判も

 イラク反戦運動のシンポル的存在、「平和の母」ことシンディー・シーハンさんがニューヨーク入りし、9月18日夜、ブルックリンの教会で開かれた集会に参加した。 

  ニューヨーク・タイムズ紙によると、シーハンさんは500人の参加者を前に演説し、地元選出のヒラリー・クリントン上院議員について、「彼女はイラク戦争が嘘によるものだということを知っており、そのことを明言する時を待っている。そう明言するか、それとも(上院議員という)職を失うかのどちらかだ」と、同議員に明確な態度の決定を迫った。

 集会が開かれた教会の地下にあるトンネルは、南部の黒人奴隷の脱出を支援する「地下鉄道」活動に使われたことがあるという。

Posted by 大沼安史 at 09:16 午後 | | トラックバック (0)

グアンタナモ収容所で200人がハンストで抵抗

 キューバにある米軍グアンタナモ基地に設けられた強制収容所で、米当局により逮捕・拉致された、200人ものイスラム教徒が数週間にわたってハンガーストライキを続けていることが、9月18日の米ニューヨーク・タイムズ紙の報道で確認された。
 
 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、ハンガーストライキに入っているのは、収容者の3分の1以上にあたる、約200人。
 裁判さえもないまま、無期限に拘束が続く非人道的な扱いに抗議している。

 この「約200人」という数は、収容者の弁護士らによるもの。
 米軍当局者はこの数を「105人」としており、うち状態が悪化した20人について病院に収容し、手錠などをかけた状態で、点滴による栄養補給を行っている。

 ハンスト実行者の数は、弁護士と米軍当局者によって違いがあるが、ハンストが行われていることを、米軍が事実として認めたことの意味は大きい。

 グアンタナモでは、ことし7月にもハンストが行われた。そのときは、米軍側が収容者から苦情を受け付ける委員会を設けることで事態を収拾したが、すぐ委員会を解散したことで、収容者をハンスト再開に追い込んだらしい。

 グアンタナモでは2002、2003年にもハンストが決行されたようだが、その時点では収容者に弁護士がつくことが許されておらず、闇に葬られたものとみられる。

 同紙によると、グアンタナモ現地の米軍当局者もまた、ハンストの広がりを、「最も深刻な挑戦」と受け止めている。

(大沼・注)8月から始まった、グアンタナモでの大規模ハンストは、英紙インディペンデントやフランスのAFP通信によって報じられていたが、米国の主流ジャーナリズムが遅まきながら事実を「追認」したことで、今後さらに、国際的な関心を呼ぶことは必至だ。

 それにしてもアメリカは、いつ「人権の国」の看板を下ろしたのだろう。
 これでは「拉致問題」の北朝鮮と、変わらないではないか?………
 

Posted by 大沼安史 at 12:05 午後 | | トラックバック (0)

2005-09-18

「被災バウチャー」で子どもたちを救済

 米連邦政府は「ハリケーン・カトリーナ」で南部の居住地からの脱出を強いられた子どもたちの教育を支援するため、「被災バウチャー」を支給することを決めた。
 2005-2006年度に限った緊急措置だが、対象となる児童生徒は30万人以上に達する見通し。
 
 米教育誌「エデュケーション・ウィーク」が、発売中の9月21日号で伝えた。

 連邦政府がバウチャー(学習クーポン)のかたちで支出する額は、19億ドルに上る見込み。児童生徒1人あたりの支給額は最大7500ドル。州政府による教育支出の90%以下の線に抑える。

 ハリケーン被災家庭の子を受け入れた公立学校には、受け入れ児童生徒数に応じて(つまりバウチャー枚数分の連邦資金が投入される。
 ふつうの公立校のほか、チャータースクールへの転校生も対象。
 私立学校や宗教学校への転校生にも、総額4億8800万ドルのバウチャー支給枠が設けられている。

 マーガレット・スペリングス連邦教育長官は16日、「われわれは前例のないことに取り組んでいる」と、今回の「被災バウチャー」支給が画期的なものであることを強調したが、民主党のケネディー上院議員は、公立校での実施については称賛したものの、私立・宗教学校にも適用されることについては批判的な姿勢を示した。

 
 (大沼・注)ハリケーン被害により難民化した子どもたちの教育支援に、「バウチャー」が適用されることになった。
 「バウチャー」は最終的に、公立学校(教育委員会)に支払われるが、仕組みとしては子どもたち(家庭)に交付され、その子が転校先に持ち込むことで、学校・教委側は初めて連邦資金を得ることができる。
 つまり、「バウチャー」とはあくまで、子どもたち(家庭)自身について回るもの。
 今回のような大規模災害の場合、被災者の避難先を把握するのは時間のかかることであり、「連邦政府―州政府―学区教育委員会―各学校」という「上意下達」式で、対策を資金を配分・交付することはきわめて難しい。
 その点、バウチャーは被災児童生徒とそれを受け入れた学校による「下意上達」方式であって、事前の配分作業など必要がなく、そうした使い勝手のよさが、転校を余儀なくされた子どもたちを支えることになった。
 
 
 

Posted by 大沼安史 at 02:28 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

2005-09-17

平面化する世界と数学教育

 世界はフラット(平ら)である――米ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマン氏が好んで使う表現だ。それはまた、氏の新著のタイトルでもある。

 地球はたしかに丸い。けれど世界はすでに平面化し、「海の彼方」はなくなってしまった。ひとつの平面となった世界には境界がなく、標準化され、個性を失ったものは交替可能となり、代理され、どこにでも移転してしまう。職(ジョブ)も金(マネー)も、平面の上を軽々と移動するグローバル化した世界。グロバリゼーションとはつまり、空間の平面化……どうやら、そういうことを言いたいらしい。

 そのフリードマン氏が、9月16日の同紙のコラム(Still Eating Our Lunch)で、数学教育について書いていた。題名のStill Eating Our Lunchとは、そのまま読めば、「まだ、自分たちのランチ(昼食)を食べている」だが、「ばかなこと、まだやっている」という自嘲、あるいは自己批判がこもった言い方だ。

 世界を股にかけて自分の判断で飛び回る(ことを、ニューヨーク・タイムズ紙から許されている)、フリードマン氏のこのコラムの発信地は、世界トップレベルの数学教育を誇る、シンンガポール。ばかなことを、もうやっていない、アジアの小国である。

 なにが、ばかなことなのか?
 中学校の女性校長は、フリードマン氏にこう語ったという。

 シンガポールは、丸暗記の詰め込み教育をすでに退けた。生徒をドリル漬け、することはない。アメリカのよさをさらに伸ばすのが、われわれの狙いだ。シンガポールの生徒と教師を、より進歩的(innovative)、創造的(creative)にする。
 わたしたちは教師に対する規制を緩め、自分自身のアイデアを育てることを許している――。

 シンガポールの教育はいま、どうやらこんなふうに変わっているらしい。「低学力」が叫ばれ、暗記だ、ドリルだ、テストだとヒステリーになっている、同じアジアのどこかの国と、まるで反対の方向を向いている。「ばかなことを、さらにやろうとしている」例の極東の島国と、正反対の針路をとっているのだ。

 平面化した世界で創造的であることを忘れれば、シンガポールは水没し、消えてなくなる。そうあってはならない、という危機感が、この国の教育者をして、「ばかを、やめる」選択に踏み切らせたのだろう。宮台真司氏流の言い方をすれば、「もう、バカをうつさない」決断をさせたのだ。

 フリードマン氏のコラムで、もうひとつ教えられたのは、シンガポールが「ヘイマス(HeyMath)」という、新しい数学教育プログラムを導入しはじめていることだ。165校中、すでに35校が採用している。

 この「ヘイマス(HeyMath)」は4年前、若い2人のインド人バンカー(銀行家)により、インドのシェンナイという土地で生まれたもので、インド、イギリス、中国の数学者、教育者によるチームが開発した、オンライン・プログラムである。ケンブリッジ大学のミレニアム数学プロジェクトの推薦を受けてもいる。

 それは、どんなプログラムか?
 プログラムの生みの親の一人、ニルマラ・サンカラン氏は、こう説明している。「わたしたちのレッスンは、アニメを含んでいます。それで、コンセプトにつきまとう抽象性を除去します。生徒たちに、自ら手を下し、現実世界のコンテキストに接続する相互性を提供することで、学びを意味あるものにします」

 「ヘイマス(HeyMath)」が目指すは、数学教育における「グーグル(Google)」。あらゆる数学のコンセプトについて、世界を検索し、それに関する「ベスト教師」を探し出して紹介するシステムをつくるのだそうだ。

 しかし、そうは言われても、このフリードマン氏のコラムだけでは、「ヘイマス(HeyMath)」の中身は、よくわからない。内実を知りたいところだが、数学の素養のない当方としては手も足も出ない。
 でも、文科省の数学調査官や、日頃、「低学力」を叫び続ける数学教育関係者は違うはず。専門家だし、数学教育の責任者であるのだから、ぜひとも実地に調べ、評価すべきところは評価し、この国の数学教育に生かしてほしいものだ。
 そう、それがあななたがたの責務というものではないですか。「ゆとり教育」をたたいてばかりいないで、もっと前向きの仕事をするのが……

 世界はすでにフラットで、国家統制による「教育鎖国」はもはや通じない。この極東の島国でほんとうに問題なのは、「低学力」ではなく「低教育力」であり、「ばかを続ける」お代官さま教育行政の惰性である。
 
 

 

 
 

Posted by 大沼安史 at 03:00 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2005-09-16

9・11実行犯、アタ容疑者のファイルを2年前、命令で破棄 ペンタゴン職員、告発証言へ

 2001年の「9・11」同時多発テロの中心的な実行犯、アタ容疑者に関する、米国防総省(ペンタゴン)の調査ファイルが、テロ事件の2年前の時点で、命令により破棄されていた疑いが急浮上している。
 Yahoo!NEWSに掲載されたAP電(15日付け)によると、疑惑はウェルデン下院議員(共和党)によって明らかにされた。
 同議員によれば、事実を告発しているのは、ペンタンゴンのある職員で、来週にも上院司法委員会で証言する予定。
 職員は、アタ容疑者関係の情報の破棄を命じたペンタゴン内の人物を名指しするものと見られる。
 同議員によれば、ペンタゴンでは「エイブル・デインジャー」という情報組織が、1999年時点で、アタ容疑者を含む4人のテロ計画者を特定した。
 この事実は、「エイブル・デインジャー」に所属した2人の職員が証言しているが、「9・11調査委員会」は「エイブル・デインジャー」による情報提供の事実を否定している。
 
 (大沼・注)ペンタゴン内部の情報組織、「エイブル・デインジャー」はインターネット上の情報をデータ・マイニングという手法で収集解析し、アタ容疑者らのテロ計画を突き止めたといわれる。
 こうしたせっかくの事前情報は、ペンタゴン内でなぜか握りつぶされたほか、「9・11調査委員会」のスタッフにも伝えられたが、これまたどういうわけか、活かされることはなかった。

 まるで、アタ容疑者らのテロ計画を成功に導くかのような「失態」を演じ続けた米政府当局。
 そこになんらかの「意図」が働いていたとしたら――?
 「9・11」から「イラク戦争」にいたる闇の深さは底知れない。

 「エイブル・デインジャー」をめぐる経過については、近々、このBLOG上で詳細な報告を行いたい。
 

Posted by 大沼安史 at 03:47 午後 | | トラックバック (0)

米中、関係改善へ カーライル・グループが中国に投資

 米国の保守富裕層とつながる「カーライル・グループ」が、中国に4億ドルもの巨額投資をすることが明らかになった。
 英フィナンシャル・タイムズ紙や米ウォールストリート・ジャーナル紙がこのほど報じた。
 グループの投資先は、上海に本拠をおく「チャイナ・パシフィック生命保険」。
 同生保は中国の国営企業で、取締役会が株式の25%をブループに売却することに合意した。
 グループはパートナーである米保険会社の「プルーデンシャル」とともに、最大49%までの株式を取得することも可能となった。

 「カーライル」が中国に巨額の投資をすることを決めた意味は、単なるディールの域を超えて、大きな政治的な意味を持つものとみられる。
 周知のように「カーライル」は、米共和党のブッシュ一族をはじめ、米保守富裕層と密接な関係を持っており、2001年の「9・11」事件をめぐっては、サウジ王家との関係や、サウジのビンラディン一族とのつながりも取りざたされた。
 こうした投資グループが中国に本格的に進出することは、現在のブッシュ政権の対中国政策を反映、もしくは決定するものであり、この点からも今後の米中関係は、さまざまな軋轢をはらみながらも、基調として友好的なものになることは間違のないところだ。

 米中急接近のなかで、日本の対中外交の在り方が問われる事態になっている。
 

Posted by 大沼安史 at 03:02 午後 | | トラックバック (0)

2005-09-15

 「南京1937」 

 本日(9月15日)付けのインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の文化欄に、「南京:記憶とともに踊る死のダンス」という北京発の記事(シャイラ・メルヴィン記者)が出ていた。今月7、8の両日、北京の劇場で上演された舞踊劇、「南京1937」を紹介する、やや長めの記事である。

 8月に南京で初演され、北京で再演された。演出・振り付けは、トン・ルイルイ、音楽はズオ・ロン。60人のダンサーが出演する、中国国立歌舞団の舞台。
 主演は、女性2人。

 ひとりは、中国系アメリカ人で、ベストセラー、『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』の著者であるアイリス・チャン(昨年、カリフォルニアの山中で死亡。36歳。ピストル自殺、とされているが、フランスの民間情報機関は、在米ヤクザの手で殺害されたとの見方を伝えている)に扮する中国人女性ダンサー、イェ・ボ。

 もうひとりは、南京事件当時、宣教で同市内にいたアメリカ人女性、ミニー・ヴォートリン役の、中国在住アメリカ人舞踊家、アリイ・ローズ。

 ミニー・ヴォートリンは、南京市内のジンリン・ウィメンズ・カレッジの構内に避難した10000人もの中国人婦女子を、日本軍による略奪・暴行から守ったことで知られているが、彼女もまた、アイリス・チャンと同様、自死を遂げている(1941年)。

 舞台は、いまは亡きアイリス・チャンが1937年の南京にワープし、街をひとりさまようところから始まる。行く手をはばむ壁が消えたあとに、ミニー・ヴォートリンが現れる。二人の出会いから始まる、南京の悲劇。

 フィナーレは、アイリスとミニーの二人だけのダンス。
 踊り続けた二人は舞台にしつらえられた階段を、一緒に上って消えていく………

 メルヴィン記者によれば、2時間に及ぶ舞踊劇は「日本軍の占領による恐怖をあますことなく」描き出すものだったという。とくに若い北京の観客に間に、「南京虐殺」に関する意識を育てるのに成功した、とも。
 観客は一様に涙を流しながら、舞台を見続けたそうだ。
 
 記事を読み終え、思った。「南京虐殺」を「幻」としてしまいたい人たちがこの舞台を観たなら、どんな反応をするか、と。
 デタラメだ、デッチアゲだ、政治的なプロパガンダだ、と言って、切って捨ててしまうのだろうか。

 「南京1937」を、たとえば来年の8月、ヒロシマでもいい、ナガサキでもいい、この日本で、観たい。幻と化しかけた歴史の真実を、この目でたしかめたい。

 日本公演の実現を望む。

Posted by 大沼安史 at 02:00 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2005-09-14

同時多発テロ 米連邦航空局 3年前に警告受ける

 9・11同時多発テロの3年前、1998年の時点ですでに、連邦政府機関のFAA(連邦航空局)の情報組織が、「民間航空機をハイジャックして、米国内のランドマークに体当たりする」可能性があることを把握し、報告書にまとめて警告していたことがわかった。
 ニューヨーク・タイムズ紙が9月14日に報じた。
 それによると、FAA情報組織は、翌99年にも警告を出していたが、結果的に生かされなかった。
 FAAに対しては、2001年9月のテロ事件発生以前、1日あたり、実に200件もの「可能性のある脅威」情報が、米政府の他の情報機関から寄せられていたことも確認された。
 他の情報機関からのハイジャックに対する文書による警告も52件に達していた。
 こうした新事実は、「9・11調査委員会」が、この13日に連邦政府が「連邦アーカイブ」のウェブサイトで部分的に開示した、FAAに関する記録を分析して突き止めたもの。
 同委員会の中心メンバーであるトーマス・キーン氏らは声明を発表、「すべての記録が開示されるべきだ」と述べた。

 (大沼・注)「9・11」が突発的なものではなく、事前に予想されながら、みすみす決行を許してしまったものであることが、これでますます明らかになった。真相は依然、闇の中。全面解明が待たれるところだ。
 
   

Posted by 大沼安史 at 04:52 午後 | | トラックバック (1)

「平和の母」 ハリケーン被災地入り

 米国のイラク反戦運動のリーダー、「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんが9月13日、ハリケーン被災地のルイジアナ州入りした。
 同州コヴィングトンには、バグダッドで戦死したシディーさんの愛息、ケイシーさんを記念する「キャンプ・ケイシーⅢ」が同2日に開設され、被災者への救援活動の拠点になっている。
 シンディーさんらは、8月の一カ月間、テキサス州クロフォードのブッシュ大統領の牧場前にキャンプをはり、抗議行動を続けてきた。
 その野営の装備、備蓄の物資をそっくりそのまま被災地に運び込み、これまで食料など100トンを被災者に配っている。
 シンディーさんの被災地入りは、連邦政府の無策による犠牲になった被災者らと連帯するのが狙い。
 ニューオルリーンズ郊外にも足を運んで、救援活動にあたる。

Posted by 大沼安史 at 04:07 午後 | | トラックバック (0)

2005-09-13

シンディー・シーハンの〈9・11〉

 アメリカのイラク反戦運動のシンボル、「平和の母(ピース・モム)」こと、シンディー・シーハンさんは、〈9・11〉の同時多発テロ記念日に、どこで何をしていたか?

 気になって調べると、彼女はこの日、カリフォルニア州のオークランドにいた。

 市内の公園で開かれた集会に参加していた。

 集会の様子を、東部、ピッツバーグの新聞(Pittsburgh Post-Gazette)の記者(Nate Guidry氏)が報じていた(12日付け)。

 記事を読むと、アメリカにおける草の根反戦運動がどういうものなのか、よくわかる。

 記事のあらましを紹介しよう。

 集会が開かれた公園の一角に、イラクで戦死した、ひとりの兵士を悼むメモリアルが設けられていた。「キャンプ・ニイル」。ニイル・サントリエロ中尉を記念する場所である。

 シンディーさんは、この夏、テキサス州クロフォードにあるブッシュ大統領の牧場近くで、息子のケイシーさんの戦死を悲しんで、抗議行動を続けた。その場所は「キャンプ・ケイシー」と呼ばれるようになり、イラク反戦運動の聖地となった。

 「キャンプ・ケイシー」は全米に飛び火して、各地に地元の戦死者を悼む「キャンプ」ができた。「キャンプ・ニイル」も、そうした拠点のひとつだ。

 その「キャンプ・ニイル」でこの日、開かれた集会には、約300人が参加した。

 マイクを握って、シンディーさんは叫んだ。

 「ブッシュの演説を聞くたびに、辞任すべき男だと思う。(ブッシュ政権の)弱虫(チキン)のタカ派(ホーク)たちは、わたしたちの子どもたちのように、この国に貢献していない」

 アメリカ国民に対して、「戦え、戦え」と迫る、ブッシュ大統領も、チェイニー副大統領も、ラムズフェルド国防長官も、わたしたちの息子、ケイシーやニイルのように、戦場で戦ったことのない人たちじゃないか、戦争に行ったこともないチキンのくせに、お前たちは何を言っているのだ……

痛烈な批判を投げつけた。

ニイルさんの母、ダイアナさんもマイクを取って、参加者に語りかけた。

「かれらはわたしたちの兵士を裏切りました。戦争を切り上げる戦略もなく、十分な装備も用意せず、抵抗勢力への対策さえなかった。政府は最悪のケースへのシナリオを持たなかったのです」

ダイアナさんの手元には、イラクの子どもたちに囲まれたニイルさんの写真があるという。「この子どもたちうち、何人が生き残っていることやら……」。そう思うと胸が痛くなるという。

集会には、シンディーさんの息子、ケイシーさんとともに昨年4月、バクダッドのサドル・シティーで戦死したマイケル・ミッチェル軍曹の父、ビルさんも駆けつけた。

「この戦争は非合法であり、非道徳的なものです」

この日、9月11日、首都ワシントンでは、ペンタゴン(米国防総省)が主催する「フリーダム・ウォーク(自由のための行進)」が行われた。

9・11の記憶を戦意発揚に結びつけるブッシュ政権の露骨な意図に、地元紙、ワシントン・ポストが共催団体から降りた、いわくつきのイベントである。

「ペンタゴンは9・11の行事をイラク戦争に結びつけた」――仏紙、ル・モンドは、率直な表現でこう指摘した。

そのワシントンに、シンディーさんら反戦活動家たちが、この24日に集まる。

平和運動の秋が始まる。

 

 

Posted by 大沼安史 at 05:24 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

ニューヨーク チャータースクール建設費の3分の2を補助

 米ニューヨーク市のクライン教育長はこのほど、チャータースクールの建設費を最大3分の2まで公費補助する方針を明らかにした。

 補助金の総額は、2億5000万ドル。チャータースクールの校舎建設費に対する、これだけの公費補助は、全米でも例がなく、同市におけるチャータースクール運動の進展に弾みをつけるものと見られる。

 これに対して、同市内でチャータースクールを4校、運営するNPOKIPP(「知識は力プログラム」)の代表者は、「必要性がようやく認められた」と、歓迎の意を表明した。

 クライン教育長はまた、ニューヨーク州が設けている「州内100校」のチャータースクール開設枠について、撤廃するよう働きかけていくことを言明した。

 ニューヨークでは昨年、チャータースクールが9校、開校し、ことしはさらに15校が誕生しており、同市内ではこれで47校を数えるに至った。

 州内のチャータースクール数は、現在、同市内分を含め85校。

 チャータースクールは全米各地で、校舎の確保難と資金不足に苦しんでおり、今回のニューヨーク市の決定は、こうした「壁」を突き破るものとして注目されている。

 

Posted by 大沼安史 at 03:10 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

病院で45人の遺体を確認 ニューオルリーンズ

 ハリケーン「カトリーナ」の直撃を受けた米内部の都市、洪水で水浸しになったニューオルリーンズ市内の病院から9月12日、入院患者45人の遺体が見つかった。

 病院関係者によれば、そのうちの何人かは救助を待つ間に、停電などによる状況の悪化で亡くなったようだ。

 ニューオルリーンズの死者数は、当初の15000人以上から、10000人を下回る線に下方修正されているが、大惨事であることには変わりない。

 こうしたなかで、指導力低下に悩むブッシュ大統領は同日、威信の回復のため、被災地を視察した。

  

 

Posted by 大沼安史 at 02:32 午後 | | トラックバック (0)

北朝鮮核開発 ウラン遠心分離器、提供を確認

 パキスタンのムシャラフ大統領は9月12日、国連総会出席のため滞在中のニューヨークで、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じ、「イスラムの核の父」、カーン博士が北朝鮮に対し、ウラン遠心分離器を「おそらくは1ダース」輸出したと思う、と言明した。

 同紙が13日に報じた。

 それによると、1ダース、12基のウラン遠心分離器は、兵器級の濃縮ウランを製造するのに十分な数。米政府関係者によれば、北朝鮮は入手した遠心分離器をもとに、自前のものを増産した可能性もある。

 ムシャラフ大統領のこの発言は、先月行った、日本の通信社(共同通信)に対する言明を確認するもの。

 カーン博士は現在、イスラマバードで軟禁状態にあり、大統領の今回の言明は、同博士に対する尋問に基づくものとみられる。

 その一方でムシャラフ大統領は、カーン博士に対する2年間の取り調べのなかで、同博士が北朝鮮に対し、中国オリジナルの核の設計図を提供したことを裏付ける証拠は得られていない、と述べた。

 

Posted by 大沼安史 at 02:08 午後 | | トラックバック (0)

2005-09-12

高校を分割し、「テーマ・スクール」群に

  米国東部のボストン市で、公立高校2校がそれぞれ3-4校の「テーマ・スクール」に分割され、このほど再出発した。

 学習テーマ別に大規模校を分割・小型化し、よりパーソナルな高校教育を行うのが狙い。

 ボストン・ヘラルド紙が9月8日に報じた。

 それによると、分割されたのは、ウェスト・ロクスベリー高とハイド・パーク高の2校。

 ロクスベリーは4分割、ハイド・パークは3分割された。

 新しいテーマ校はそれぞれ300名から400名規模。

 採用されたテーマは、「サイエンス」「健康」「エンジニアリング」「社会正義」の4つ。

 「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」からの寄付をもとにした高校再生プロジェクトだ。

Posted by 大沼安史 at 04:01 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

米軍 核先制使用へ手続き文書を策定

 米国防総省が核先制攻撃の手続きを定める作業を進めていることが明らかになった。案文はすでに出来上がっており、現在、米軍・政府部内で大詰めの作業が続いている。

 最終調整が行われているのは、WMD(大量破壊兵器)を保有する国家、あるいはテロ組織に対して、核先制攻撃を実施するための大統領命令を、軍司令官が申請するための手順文書。

 ここでいう「WMD」の定義には核兵器のみならず、生物・化学兵器も含まれており、たとえば化学兵器を入手したテロ組織に対しても核先制攻撃が可能となる。

 ブッシュ大統領が2002年12月に打ち出した「先制攻撃ドクトリン」をさらに具体化するマニュアル文書で、米軍による核兵器の先制使用の恐れが現実のものになって来た。

 ワシントン・ポスト紙が9月11日に報じた。

 記事を執筆したのは、イラク戦争開戦に向かうプロセスのなかで、「サダムのWMD」の“存在”について、一貫して懐疑的な見方を示したことで有名な、同紙の敏腕ベテラン・ジャーナリスト、ウォルター・ピンカス記者。

 同記者によれば、「統合核作戦ドクトリン」と題された手続き文書は、マイヤーズ統合参謀本部議長の下で作成が進められ、ことし2005年3月15日付けですでに案文が出来上がっていた。

 核先制攻撃に踏み切る場合の事例として同文書は、①米軍、同盟軍、多国籍軍、非戦闘員に対して、WMD使用を意図した敵に対して、核兵器を先制使用する②敵の化学兵器を、核攻撃によって安全に処理する――ケースを想定している。

 現行の米軍の核兵器使用手続きは、クリントン政権下の1995年に策定されたもので、核の先制使用についての規定は含まれておらず、「ブッシュ・ドクトリン」を核兵器にも拡大・適用する上で、障碍になっていた。

 今回の新しい手続き文書は、この障碍を除去し、核先制使用に道を拓くもので、きわめて重大な危険性を秘めている。

 核の保有を自ら認めている北朝鮮に対する米軍による核の先制使用が可能になるほか、前述の②のシナリオのように、イラク戦争においても、武装抵抗勢力による「化学兵器」持ち込みを理由に、戦術核が使用される恐れが出てくるからだ。イラク戦争で米軍は苦戦を強いられており、戦況打開の切り札として、核の先制使用に踏み切らない保障はどこにもない。

 同文書は「同盟軍」への脅威に対しても核による先制攻撃があり得るとしているので、日本政府としてはブッシュ政権に対して、最低限、手続きの具体的な中身について開示を求める必要があろう。

 本来ならば日本は唯一の被爆国なのだから、今回の核先制攻撃手続きを撤回するよう米国に求めるのが、筋というものだ。

 ヒロシマ、ナガサキから60年――。米国こそ、唯一の核兵器使用国であるという事実を、われわれは一時も忘れてはならない。

Posted by 大沼安史 at 02:58 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2005-09-10

二都物語

ニューオルリーンズとファルージャは、いまや双子の都市である――米国のベテラン・ジャーナリスト(UPIエディター)、マーティン・ウォーカー氏の指摘である。

 ニューオルリーンズは言うまでもなく、ハリケーン「カトリーナ」に襲われた、湾岸地帯(ガルフ)の街。ファルージャとは、昨年(2004年)11月、米軍が侵攻し、徹底した掃討作戦を展開した、バグダッド西方のイラクの都市だ。

このふたつの都市がまるで双子のように、そっくりである……。そう、ウォーカー氏の言うように、たしかにその通りである。

ニューオルリーンズでも、ファルージャでも、大量の犠牲者、難民が出た。それも、数十万人規模で。

一方は、ブッシュ政権の予防・救援対策の無策のなかで、暴風と洪水により壊滅し、他方は、ブッシュ大統領を最高司令官に仰ぐ米軍の「鉄の嵐」によって破壊された。

ニューオルリーンズに投入された、イラク帰りのアーカンソー州の州兵は、死臭漂う現場を見て、「まるでイラク。まだ、バグダッドの方がましだ」と語った。

収容した遺体を入れるボディー・バッグは、2万人分用意されているが、捜索作業は遅々として進んでいない。それがニューオルリーンズの現状である。

「カトリーナ」が直撃したその日、6000人ものルイジアナ、ミシシッピー両州州兵が、イラク、アフガンで戦闘に従事していた。本来、地元を守る(ガードする)のが、州兵、すなわちナショナル・ガードの務めである。

家族、友人が暮らす地元を、いま、猛烈なハリケーンが襲っている。守ってあげたいのに、何もすることができない……彼(女)らはどのような思いで、戦地での任務に就いていたのだろう。

ブッシュ政権の下、イラク戦争の戦費を捻出するため、ニューオルリーンズの防災対策経費が削られていたことも明るみに出た。

強大なハリケーンが来たら、ひとたまりもないと、地元の大学が警告を発していたにもかかわらず、予算は大幅にカットされていた。

その予算の5倍もの経費を、誰も住んでいないアラスカの橋の建設プロジェクトに使われていたこともわかった。

深南部は黒人貧困層が集中する地域。連邦政府のお粗末な対応に、ジェシー・ジャクソン師ら黒人指導者から非難の声が上がった。

そんなニューオルリーンズは、ファルージャ同様、いま米軍の事実上の戒厳令下にある。街に踏みとどまった市民らを強制的に退去させる措置を取り始めている。洪水被害を免れた高台に住む人まで追い出そうとしている。

いったい、何のための戒厳令なのか。

連邦政府当局は疫病対策などをその理由に挙げているが、最大の目的は1万5000人以上になると見られる、おびただしい収容遺体を、国民の目に晒さないことだろう。

イラクでの戦死者の遺体の映像、負傷者の悲惨な姿を、ペンタゴンは報道規制を通じて隠し続けてきた。それと同じことを、ニューオルリーンズでも狙っているのである。

腐乱した遺体が大量に出て来る光景がメディアを通して流れれば、ブッシュ政権に対する非難は頂点に達するだろう。それをなんとしても阻止する。それが危機に立つ政権の最重要課題である。

イラクのゲルニカといわれたあのファルージャの悲惨が主流メディアを通じてほとんど流出しなかったように、ニューオルリーンズを封鎖してしまおうとしているのだ。

英紙「ガーディアン」に、女性コラムニストのナオミ・クライン氏が書いていた。「ニューオルリーンズの人々に権力を!」。

ファルージャの市民と同様、ニューオルリーンズの民衆にも、土地にとどまり、生活を立て直す権利がある。(2005・9・10)

Posted by 大沼安史 at 11:36 午前 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2005-09-09

チャータースクール 3343校に

 米国のNPO「教育改革センター」のまとめによると、全米のチャータースクールは2004-2005年度時点で、3343校に達している。

 在籍する子どもたちの数はおよそ100万人。

 今年度の新規化開校は459校(在籍者数、約76000人)。

 州別で最も多いのはカリフォルニアで533校。以下、アリゾナ509校、フロリダ301校、オハイオ255校、テキサス234校――の順になっている。

 新年度の2005-2006年度に開校が決まっているチャータースクールは、全米で236校。

Posted by 大沼安史 at 09:54 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

公立チャータースクールと呼ぼう!

 米国のチャータースクール推進団体のひとつである「チャータースクール・リーダーシップ協会」(本部=ワシントン)はこのほど、会の名前を「パブリック・チャータースクール・リーダーシップ協会」に変更した。

 教育誌の「エデュケーション・ウイーク」が8月31日に報じた。

 会名に「パブリック(公立)」を冠したのは、チャータースクールがあくまでも公立学校であることを強調するため。

 協会はまた、「量より質を」など、チャータースクールが取り組むべき7原則を盛り込んだ「声明」を発表した。

Posted by 大沼安史 at 09:51 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

「平和の母」らが全米反戦バス・ツアー

 イラク、アフガニスタンからの兵士の即時帰還を求める全米バス・ツアーが始まった。8月31日、米テキサス州クロフォードのブッシュ大統領の牧場前を出発した反戦ツアーは、北部・中部・南部コースの三手に分かれ、各地で集会・デモを行いながら首都ワシントンに向かっている。

 ワシントンには9月24日に到着し、26日まで3日間の日程で行われる反戦平和運動に合流し、イラク戦争の即時停止を訴える。

 バス・ツアーは、夏休み中のブッシュ大統領に面会を求めて、クロフォードでキャンプを張っていたシンディー・シーハンさんら、イラクやアフガンで戦士した兵士の遺族らが続けている。

 カリフォルニア在住のシンディー・シーハンさん(48歳)は息子のケーシーさん(24歳)をことし4月、バグダッドで亡くした。その後、イラク戦争をめぐるブッシュ大統領の現実離れした言辞に怒りを覚えるようになり、「息子がノーブル(高貴)な大義のために死んだというなら、どういうノーブルなのか聞かせほしい」と、大統領との直談判を求め、活動を続けている。

 8日付のシカゴ・サン・タイムズ紙によれば、「平和の母(ピース・モム)」として、今や全米の平和運動のシンボルとなったシンディーさんは、この7日夜、北部コースのシカゴ近郊で行われた、平和のためにキャンドルの祈り集会に出席し、参加者たちに対して、「あなた方のような人たちがアメリカにはまだいる。それで私は、この国をまた好きになりました」と語りかけた。

Posted by 大沼安史 at 09:45 午後 | | トラックバック (0)

パウエル前長官 WMD演説 「わが生涯の汚点」

 パウエル前米国務長官は9月9日、全米に放映されたABCテレビのニュース番組で、長官在任中の2003年、国連で自ら行った「イラクWMD(大量破壊兵器)保有演説」を振り返り、「消えない人生の汚点だ」と、演説を深く後悔していることを明らかにした。

 前長官の国連演説は、サダム・フセイン政権によるWMD保有の明言し、イラク戦争開戦に向け、国際世論を喚起しようとしたものだが、戦争開始後、イラクのWMD保有疑惑は根拠にないものであることがわかった。

 バーバラ・ウォルター女史の質問に対してパウエル前長官は、「辛かったし、いまなお辛い」と、ことし1月の辞任以来、初めて胸のうちを語った。

 国連演説の時点ですでに、その演説内容の信頼性のなさを認識している情報当局者が存在していたことについてパウエル長官は、「ひどいことだ」と述べたあと、「打ちのめされた」と付け加えた。

 前長官のこの発言は、ブッシュ政権によるイラク戦争開戦理由の正当性を根底から覆すもので、ブッシュ政権による「情報操作」疑惑を決定づけるものといえるだろう。

 (イラク戦争開戦へ向けての世論操作の詳細については、拙著、『戦争の闇 情報の幻』を参照していただければ幸いである=大沼)

Posted by 大沼安史 at 09:40 午後 | | トラックバック (0)

2005-09-08

ママ・ブッシュの差別発言に批判の声

米国南部を直撃したハリケーン、「カトリーナ」をめぐり、防災・救援の両面におけるブッシュ政権の対応の悪さに批判が出ているが、ブッシュ大統領の母、バーバラ夫人の被災現地における“失言”にも怒りの声が上がっている。

ニューヨーク・タイムズ紙が9月7日、報じたところによると、バーバラ夫人の発言は、5日の月曜日にラジオで放送された。

バーバラ夫人は、被災者が集まる、米テキサス州ヒューストンの「アストロドーム」を視察した際、ラジオのインタビューに応え、「ここのアリーナには、ずいぶんたくさんの人がいるわね。この人たちはとにかく、恵まれない(underprivileged)人たちだわよね。ということは、その人たちにとっては、ここは結構な場所じゃないの」などと語った。

「カトリーナ」が襲った南部、ルイジアナ。ミシシッピー両州は黒人貧困層の集中する地域。着のみ着のまま逃れ、見知らぬ土地で難民同様の毎日を送る被災者たちを見下した発言として批判が集まっている。

ブッシュ政権下、貧富の格差がさらに広がり続けるアメリカ。

夫人の発言は、この国の自由とデモクラシーの実相を端的に示すものとして、独誌「シュピーゲル」が大きく報じるなど、国際的な波紋を広げている。

Posted by 大沼安史 at 03:20 午後 | | トラックバック (0)

2005-09-01

小泉純一郎は日本のゴルビー?

9・11決戦に向けて、列島が燃えています。
「平成の関が原」――天下分け目、というか、時代の岐路に、この国は立っているんだな……そんな感じのする選挙戦です。
今回の総選挙ほど、世界が注目する選挙戦はありません。事実上、世界最大の銀行である、「ジャパン・ポスト」の行方が決まる、歴史的な戦い。海外からの関心も高まるわけです。「〒」の旗印を、小泉さんがゲットするのかどうか?――

そんな「9・11選挙」を、世界のメディアはどう見ているか。今日はその辺に焦点を当てて、お話したいと思います。

インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)という、英語の国際紙があります。アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が発行している高級紙で、世界の各地で印刷されています。本社はパリ。
そのIHT紙が今回の総選挙を「サムライ・エレクション(侍選挙)」と書きました。
なるほど、言えていますよね。
なにしろ「刺客」があらわれたり、「くのいち」が差し向けられたり、まるで戦国もの時代小説。
おまけに、小泉さんが「過半数を1つでも割れたら、即退陣」と、早々に「ハラキリ宣言」を行うなど、首をとるかとられるかの死闘になっている。「国とり物語」とか「首とり物語」といった方がいいかも知れません。

世界的な経済紙、フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、「ホリエモン」に注目した東京特派員電を掲載しています。
ホリイはアンチ・エスタブリッシュメント、つまり「反体制」的な人間で、そこのところが一般の人々の人気を呼んでいると。
ぼくなんか、小泉さんが「信長」だとすると、ホリエモンは平民あがりの「秀吉」じゃないか、なんて思うんですけど、どんなものでしょうか。

で、小泉さんが平成の信長だとすると、今回の選挙は関が原じゃなくて桶狭間ってことになるわけですが、こんな果敢な戦いに決起した小泉さんいついて、ドイツの高級誌、「ツァイト」は、なかなかユニークは見方をしています。
Japans Gorbi……つまり、小泉さんは日本のゴルバチョフだというんですね。

ゴルビーはもちろん、ソ連の支配政党だったKPdSU(ソ連の共産党)の断末魔のなかで最後の救世主として現れ、いったんは権力の座についたあと、共産党独裁支配が崩壊するなかで、ついにクレムリンを明け渡した、あの政治家ですが、小泉さんもまた、日本の支配政党、LDP(自民党)の救世主であると同時に、自らの支配政党の崩壊に立ち会う運命の星の下にある――といった見方です。

日本のことをよく「世界でもっとも成功した、官僚支配と1党支配による社会主義国家」と見る人がいますが、そうだとすると、この「小泉=ゴルビー」論、ますます説得力を帯びて来ますよね。

今回の総選挙は、日本の旧支配体制の崩壊の第一歩になるのでしょうか。
ぼくは今回の総選挙で最大の見所は、政界大再編につながるのかどうか、という点だと思います。

カギは、小泉さんと岡田さんが奇しくもそろって言い切った、「過半数をとれなかったら降りる」発言。
ふたりで降りてどうするかという選択肢のひとつが――というか最大の狙いに、自民党と民主党の改革派による大同団結がある――というのが、ぼくの読みです。
つまり、小泉さんと岡田さんが握手をして、政権を握る。そして岡田新首相が生まれる。
この場合の岡田さんは、日本のエリツィン、といった役回りでしょうか。

そう熾烈な権力闘争のなかから、良くも悪くも、これからの日本を担う、新しい権力構造が生まれてくる。
ドイツの「ツァイト」誌は小泉さんを日本のゴルビーと言いましたが、ぼくに言わせれば、岡田さんと手を組み、民主党の一部を取り込んだ小泉さんは、負け犬に終わったゴルビーではなく、勝ち組の「日本のプーチン」の座を狙っているような気がします。
日本的に言えば、信長ではなく家康ですね。
小泉さんは、ほんとうのところ、家康になりたいのかも知れません。その場合、岡田さんは「直参旗本」になるわけですね。

そういう意味では、今回の総選挙を「平成の桶狭間」ではなく、やはり「平成の関が原」と呼ぶ言い方が正しいことになるわけです。 (2005・9・1) 

Posted by 大沼安史 at 04:55 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)