2008-08-18

〔いんさいど世界〕 中国で「平和の祭典」 イラクで「地獄の血祭り」 「北京五輪」の影の下で……「米中蜜月」 互いの首都で「新大使館」をオープン イラクでは8日以降、米兵6人、イラク人200人が死亡

 「北京五輪」の熱い夏が続いています。世界新記録のラッシュ、代表選手のメダルの数……世界中の人びとの目が、オリンピックが続く中国に注がれています。

 そんな中、今朝は「北京五輪」の陰に隠れて、日本のわれわれに届かなかった(いまだに届いていない)重要なニュースを2つ、お届けしたいと思います。

                  ◇

 最初の「知られざる大ニュース」は、8月8日の開会式当日、開会のちょうど12時間前、北京であったことです。

 開会式が始まったのは午後8時8分(末広がりのゲンをかついだわけですが)、その朝、午前8時8分、アメリカのブッシュ大統領がテープカットの鋏を入れました。

 何のテープカットだったか、というと、これがアメリカの新大使館。
 地上8階建て、総床面積50万平方フィート、日本円で450億円もの工費をかけた新しい北京大使館にこけら落としだったんですね。

 このアメリカの新大使館のオープンがなぜ、注目すべき出来事だったかというと、この建物、アメリカの在外公館としては、バグダッドの新大使館に次ぐ規模なんだそうです。

 バグダッドのそれは要塞をして建てた半軍事施設ですから、アメリカの「純粋な」(?)大使館としては、世界1の規模。国務省のほか、20を超す連邦政府機関を含む、700人のスタッフが常駐、10月から業務を開始するそうですが、これでも足りなくて、別館新築工事に間もなく着手するんだそうです。別館にはさらに10機関、230人のスタッフが入る予定。

 一方、中国の方は一足早く、先月(7月)末、ワシントンに、新しい大使館をオープンしました。述べ床面積25万平方フィート。
 ワシントンの在外公館の中で、最大のものだそうです。

 この米中「新大使館」の「エール交換」は何を意味するか?
 これはもう、分かり切ったことですね。

 「米中蜜月」……このレンズを通して見れば、北朝鮮に対するアメリカの「友好」姿勢の理由がハッキリわかります。中国に気兼ねしてるんですね。

 米中大接近の中で、日本はどうするのか?
 ここは考えどころでしょう……。
                  
                  ◇

 もうひとつの「知られざるニュース」は、「イラク」です。

 北京では平和の祭典が続いているわけですが、酷暑のイラクでは血みどろの殺し合いの日常が続いている。
 「オリンピック」のニュースの陰で、完全に忘れ去られた形ですが、目をそむけてばかりはいられません。

 開会式が行われた8日以来、イラクでどれだけの人が戦闘で命を落としているかというと、これは17日までの数字ですが、イラクの人びとが少なくとも199人以上、米兵は6人、亡くなっているのです。

 開戦以来の米兵の死者数は、これで「4142人」。(これもまた「記録」です……)

 この間、女性の自爆テロも2件、起きています。
 
 メソポタミヤの夏は、世界1の猛暑の夏。そこでこれだけの地が流れてしまった……。
 イラクの人びとは「北京五輪」をテレビで楽しむ余裕なんてないと思いますよ。

 要塞のようなアメリカの新大使館は5月に一応、完成し、7月から移転・入居が始まっています。

 そのアメリカ大使館のインターネットのホーム・ページにアクセスしてみたら、バグダッド動物園にベンガル虎が2頭、アメリカからやって来たという記事が写真つきで紹介されていました。

 写真は水浴びするトラの写真で、「観客」は写っていません。

 イラクでは動物園のトラの方が、イラクの一般市民より、よほど快適な生活を送っているのではないでしょうか?

 2頭のトラのうちの1頭の名前は、なんと「ホープ(希望)」。

 悪い冗談でしかないような気がしますが、さすがに「平和(ピース)」とは付けられなかったのでしょう。

 「北京五輪」の陰で「イラク忘れまじ」……オリンピックの盛り上がりの中で「8・6」「8・9」「8・15」を迎えた、われわれ日本人だからこそ、肝に銘じなければならないことですね。 
 
  

⇒ http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/08/07/AR2008080700568.html 
 
 http://2008games.nytimes.com/olympics/story.asp?i=20080808071404100000101&&scp=4&sq=U.S.Embassy,China&st=cse

  http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/n/a/2008/08/04/international/i113406D42.DTL&type=printable

  http://www.csmonitor.com/2008/0424/p01s04-wome.html

  http://www.guardian.co.uk/world/2008/feb/29/usa.iraq/print

  http://iraq.usembassy.gov/prt_080808.html

  http://wiredispatch.com/news/print/?id=288789

  http://wiredispatch.com/news/print/?id=288793

  http://wiredispatch.com/news/print/?id=292252

  http://wiredispatch.com/news/print/?id=296426

  http://wiredispatch.com/news/print/?id=297486

Posted by 大沼安史 at 04:30 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2008-08-10

〔いんさいど世界〕 半ズボン COOL! 夏の男性ファッションの主流に 

酷暑です。地球「温暖化」どころの騒ぎじゃありません。「暑熱化」の夏です。

 これだけ暑くなると、「夏のファッション」も変わります。変わらざるを得ないし、事実、変わっている。で、今朝は真夏のファッションの話題を……。

 といっても、女性のファッションの話ではありません。男性ファッション。それも短パン(ショーツ)。

 ニューヨーク・タイムズ(電子版、7月31日付け)に「短パン、掟破り」って記事が出ていました。「スライド・ショー」付きの読みごたえ、見ごたえのある特集記事です。

 「短パン。掟破り」の「掟(服装コード)」とは、やはり職場とか、フォーマルなシーンでは長ズボン、穿きましょうよ――っていう長年の習慣。

 そんな「長ズボン」の掟に対し、短パンで挑戦する男たちが、2008年のこの夏、アメリカで増えているんだそうです。

 女性が「OKミニ・スカート」なのに、男が「NO短パン」なのはおかしい、短パンでオフィスに来て何が悪いんだ――ってヤンキー野郎が増殖してるんだそうです。

 つまり、男ども、「短パンでドレスアップ」って感覚ですね。

 ニューヨーク・タイムズの記事についた「写真」を見て驚きました。  足は素足、短パン……とここまではまあ、理解できるのですが、ノーネクタイなものの、ちゃんと長袖の背広の上着を着こなした若者が、カメラに向かってポーズを決めている。

 日本で言えば、ピカピカの1年生が、そのまま大人になったような、おかしな感じ。

 でも、第一印象としては衝撃であっても、見慣れれば(そう30秒くらい眺めれば)、別に何とも……。短パンに背広、なかなかイケルじゃん!……てな訳です。

 では、なぜ、アメリカの男たちは長ズボンを脱ぎ始めているか? 答えはかんたん、暑さ対策ですね。

 それから、もうひとつは、SEXアピール。女性って、短パン姿の「ふくらはぎ」とか、「くるぶし」に魅力を感じるそうなんです。 ホントだろうか?

 ま、SEXアピールは横に置いといて、たしかに長ズボンは暑苦しいですね。仕事の能率も上がらない。そこで、アメリカのソレトレークシティーって西部の盆地の都市では、「社内長ズボン禁止」なんてオフィスが登場したそうです。 「震度7」っていう宣伝会社の英断です。タイムズの記事についた「スライド・ショー」に同社のオフィスの様子が出てきますから、ごらんになってください。

 「スライド・ショー」には、90歳代でいまなお、弁護士として活躍している、ニューヨークのハイマン・グロスさんの颯爽たる短パン姿も収録されています。

 ハイマンさんは15年前、マンハッタンの職場の上司に、夏は短パンにしようと提案したことがあったそうです。そのときの上司の答えは「ビーチにでも行きな」。

 でも、この15年間に、時代は大きく様変わり。 ハイマンさんは短パン姿で、オペラにもバレエにも行くのですが、周囲の人は今や、誰も気にもとめないそう。もはや職場でも劇場でも、違和感がなくなってるんですね。

 「スライド・ショー」を見て、もう1個、びっくりしたことがあります。 「プラダ」など有名ブランドの、2009年(つまり来年)の春・夏ものの男性ファッションショーがミラノなどですでに行われているのですが、モデルが着ているのはすべて短パン・ルックなんですね。

 中には、日本の学生たちの就活スーツの短パン版のようなのを着込んだモデルもいる。

 で、どうも欧米の来年の夏は、ことし以上に「短パンの夏」になりそうな感じです。

 こうした欧米のファッション状況に対し、日本の男たちは、こんごどう対応していくのか?

 波に乗るのか、トレンドに背を向けるのか?  これはもう流れに身をまかせるしかないような気がします。

 だって、こんなに暑いんだもの。

 日本のクールビズって、今のところノーネクタイ程度にとどまっていますが、来年あたりは、背広(上着)に短パン、ノーソックス・ノーネククタイでないと、クールビズって言われなくなるかもしれませんね。

 でも、日本人としては、欧米のトレンドに流される一方だなんて、情けないですよね。

 政府が音頭をとって、お洒落な「ビジネス・ふんどし」なんてものの普及を図ってはいかがでしょう。 短パン以上に「クール」でることは間違いありません。 

 

⇒  http://www.nytimes.com/2008/07/31/fashion/31shorts.html?scp=1&sq=Shorts%20Crack%20the%20Code&st=cse

 http://www.nytimes.com/slideshow/2008/07/30/fashion/0731-SHORTS_index.html

Posted by 大沼安史 at 03:22 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2008-08-06

〔いんさいど世界〕 北京五輪 いよいよ開幕 仙台で国際メジャー・デビューを果たした天才ピアニスト、「ランラン」が開会式で演奏 & 検査にひっかからない走力超アップのスーパードラッグが登場

 いよいよ「北京五輪」が開幕します。世界が注目する真夏のスポーツの祭典。どんなドラマが待ち受けているのでしょう。楽しみですね。

 そこで今朝は、直前に迫った北京オリッピックをめぐる話題を2つ。

  明るい話題と、ちょっと厭な暗めの話題を1個ずつ(いすれも英紙インディペンデントの記事より)、お届けします。

 まずは、明るい方の話題から。

 開会式で、仙台ゆかりの天才・若手ピアニスト、ランラン(朗朗)さん(23歳)が記念の演奏を披露するのだそうです。

 「朗朗」とは、中国語で「輝き」の意味。
 「鳥の巣」のステージで、スタジアムのスポットライトと世界の注目を浴びながら、自慢の「真っ赤なスタインウェー」で何を弾くのか、注目されています。 

 仙台ゆかりのランランさんといいましたが、1995年、仙台で開かれた「若い音楽家のチャコフスキー国際コンクール」のピアノ部門で優勝、見事、国際メジャー・デビューを果たした人なんですね。

 当時、ランランさんは弱冠、13歳の少年。2年後、アメリカにわたり、15歳でシカゴ交響楽団と協演しました。

 でも、ランランさんに国際舞台への切符を手渡したのは、われわれ仙台でのコンクールだったわけです。

 で、ランランさんが五輪開幕式で何を演奏するかというと、たぶん、ピアノ協奏曲「黄河」になるのではないか、と見られています。

 Xian Xinghaiが1940年頃、作曲したカンタータ「黄河大合唱」をもとに、1970年頃、ピアノ協奏曲に編曲された作品。いかにも「中国のクラシック」という感じの名曲です。

 ランランさんの熱演に期待したいですね。

                     ◇

 一方、暗めの話題は、というと、ドーピング・テストにひっかからない、走力増強ドラッグがなんと2種類も出回っていて、北京五輪に影を投げかけているのだそうです。

 ドーピングでこれまで問題となっていたのは、筋肉モリモリのステロイド系ドラッグでしたが、今、問題になっているのは、ちょっと違ったタイプのドラッグです。

 その中のひとつには、「カウチ・ポテトの夢」ってあだ名がついているそうです。
 「AICAR」という、英国製のドラッグ。

 寝椅子でリラックスしながら、ポテトチップを口に放り込み、テレビなんかを楽しむ、あの「カウチ・ポテト」。そんな「体を動かさない」状態にいながら、何もしないでエクササイズでカラダを鍛える、そんな夢のドラッグなんだそうです。

 マウスによる実験では、カラダを動かさない「座ったきり」マウスに投与したところ、走るスピードがなんと44%も向上したそう。

 このドラッグ、細胞に直接命令を出し、脂肪を燃やし、血糖を下げるなどしてエネルギーの発散を促進する「効き目」があるんだそうです。

 もう1個は、アメリカで開発された「GW1516」ってドラッグ。「AICAR」と効能は同じですが、効き目はもっと凄い。

 エクササイズしているマウスより、なんと68%も走行距離をのばせるんだそうです。こっちは、マラソン向き、っていうことでしょうか?

 この2つの薬物、糖尿病などの実験治療に実際、使われているそう。合成も簡単にできるんだそうです。

 そうなると……やはり……。

 スピード社の水着だけでもやんなっちゃうのに、こんなの使って、男子100メートル、夢の8秒台へ、とか、男子マラソン、ついに1時間50分の壁、突破……なんてことになったら、厭ですよね。

 えっ、それも見てみたい……たしかに、それもその通り……なんですが―――
 

 
⇒  http://www.independent.co.uk/news/world/asia/why-chinas-first-olympic-superstar-will-be-a-pianist-called-lang-lang-882634.html

  http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-wellbeing/health-news/warning-to-beijing-olympics-over-pills-that-mimic-exercise-882608.html

Posted by 大沼安史 at 10:43 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2008-08-05

〔イラクから〕 戦場のブログの閉鎖 G中尉の沈黙

 ちょっと前のニュースだが、ワシントン・ポスト紙(電子版、7月24日付け)に、「沈黙のブログ(Silent Posting)」という記事が載っていた。

 一読してそのままにしていたが、このまま何も書かずにいるのは、やはり悔しい。遅ればせながら、記事の内容を書き留めておこう。

 ポスト紙によれば、イラク駐留米軍当局の命令で、「G中尉」こと、マシュー・ギャラガー中尉(25歳、米陸軍歩兵第25師団所属)の、イラク発のブログ、「カブーン(ドカーンの意)」が、「休止」したのは、ことし6月27日のこと。

 その一ヵ月前、5月28日に、昇進話を拒否したイキサツをブログに書いたことが咎められた。

 G中尉、最後のブログのタイトルは「戦術的休止」。
 「ぼくは何よりもまず兵士である。命令は命令。だから、こういう次第になった」と綴られたブログは、友人たちの手で、2007年12月の初回分以降、すべて回収され、ネット上で保守されているが、G中尉はそれ以降、ネットで発信する機会を奪われたままだ。

 G中尉こと、ギャラガー中尉は、ネバダ州の出身。裕福な弁護士の家に生まれ、大学の学費に困らないのに、親に頼ることを拒否、軍務に就くことを前提に学費を得て、地元の大学に進み、歴史学を学んだ。

 そして、2007年12月に、イラク入り。
 ブログ「カブーン」は、その月の30日から始まった。

 「上空から、さまざまな戦争の破壊を覆う真夜中の暗闇の毛布の下で、イラクの片田舎は、奇妙な静謐感を与えてくれる……」

 (原文は以下の通り、訳出は、最初のセンテンスのみ)
 From the air, and under a blanket of midnight darkness masking the various destructions of war, the countryside of Iraq offered an odd sense of tranquility. With the scattered lights of various townships all dotting a high desert landscape, I couldn’t help but think of rural Nevada. The steady crooning of the chopper’s blades quickly snapped me back to reality, though. 80-pounds worth of Army equipment on my back ensured I stayed there.

 あるいは、ことし3月4日のブログに書かれた、この自問自答。

 「戦争に行った少年がいた。彼の前に出かけた多くの少年のように。戦場で彼は男になるかも知れない。ならないかも知れない。すでに男なのかも知れないし、そうでないかも知れない。たぶん、それはどうでもいいことかも知れないし、まったくどうでもいいことであるかも知れないし、全部、どうでもよくないことかも知れない。たぶん……」 

 戦場で、こうした清明な文を書けるとは、書き続けられるとは、驚きである。
 
 さらには、アメリカから届いた小学生たちの「無垢な手紙」の紹介も。

 「戦争は算数よりひどい」……手にとって苦笑するG中尉の姿が目に浮かぶ。

 わたし(大沼)は、在イラクの兵士ブロッガーで、これだけの書き手を他に知らない。

 G中尉こそ、在イラク15万人の米軍兵士から生まれた、最高の戦場ライターではないか。

 ブログという発表の手段を奪われたG中尉だが、きっと今も、沈思黙考、イラクの空の下で、ノートに日記を書き続けているに違いない。

 G中尉には、ハンドル名を「シティー・ガール」という、ニューヨーク娘のフィアンセがいるそうだ。

 無事の帰国と、二人の幸せを祈る。 
  

⇒  http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/07/23/AR2008072303970.html

  http://kaboomwarjournalarchive.blogspot.com/

 http://kaboomwarjournal.blogspot.com/

Posted by 大沼安史 at 11:49 午後 5.イラクから | | トラックバック (1)

〔NEWS〕 モーガン・フリーマン氏 交通事故で重体

 英紙ガーディアンによると、米国の黒人俳優、映画『ショーシャンクの空に』のRED役で知られるモーガン・フリーマン氏(71歳)が8月3日、自宅のあるミシシッピー州チャールストンで横転事故を起こし、重体となった。

〔大沼・注〕 映画『ショーシャンクの空に』を、学生たちと一緒に観たばかり。感想文を書いてくれた学生もいた。
 老優の回復を祈る。
  

⇒  http://www.guardian.co.uk/film/2008/aug/04/morgan.freeman.seriously.hurt.in.crash

Posted by 大沼安史 at 04:12 午後 4.ミニNEWS | | トラックバック (0)

2008-08-01

〔いんさいど世界〕 イラク戦争の真実を写す 「ファルージャ自爆テロ」の現場を撮影! フリーの写真記者 ゾラーヤ・ミラー氏 イラク米軍が取材禁止・追放処分

 米国のフリーランス・カメラマン、ゾラーヤ・ミラー氏(32歳)をご存知だろうか?
 
 インドネシア大津波など災害の現場やイラクなどの戦場に入り、撮影を続けているフリーの写真記者である。(日本にも来て、OKINAWAを撮影している)

 Zoriah(ゾラーヤ)……ファーストネームだけで呼ばれる気鋭のフォト・ジャーナリストだ。

               ◇

 その「ゾラーヤ」(以後、敬意を込めて「ゾラーヤ氏」と呼ぼう)が、イラク駐留米海兵隊から取材禁止の通告を受けていたことが、最近、分かった。

 イラクでの従軍取材は原則自由だが、「敵に攻撃の効果を知らせてしまう」という理由にもならない理由で、「追放」を言い渡されていた。

 米軍による、写真取材禁止が強化され、米国民、そして世界の人びとの目に、戦争の惨たらしい実像が届かないよう、徹底した報道管制が敷かれているのだ。かつての日本の、情報局による検閲を思わせる、厳しい報道規制である。

 アメリカのネット反戦放送局の「デモクラシーNOW」や、ニューヨーク・タイムズ紙などの報道によると、ゾラーヤ氏はことし6月26日、イラクのファルージャで、米海兵隊第3連隊に所属する「E中隊」に同行取材をしていた。

 「市議会」を取材しては、と誘われたが、パトロール部隊への同行を選んだ。そして間もなく、その市議会で爆発が起きた。

 ゾラーヤ氏もパトロール隊員とともに、現場に急行した。海兵隊員3人を含む20人が死亡した自爆テロの現場でシャッターを切った。

 身元も分からないほど、バラバラに飛散した人体の部位。下半身を吹き飛ばされた男。床に転がった手首……
 
 ゾラーヤ氏は、自爆テロのむごたらしさを記録した現場写真を、自分のウェブサイトに掲載した。
 すると、早速、イラク駐留海兵隊の司令官、ケリー少将から、取材禁止の申し渡しがあった。  

 ニューヨーク・タイムズによると、写真記者が撮影後、追放された事例は、同紙として、ほかに4件、確認しているそうだ。

 そのうちの1件は、2005年1月18日、「ゲティー・イメージ」に属するクリス・ホンドラス氏が、タル・アファールで撮影した、両親を米軍に殺されたイラクの少女が、血まみれになって泣き叫ぶ写真を撮影し、その後、米軍部隊から追い出されたケースである。
 (この少女の写真は、下記のニューヨーク・タイムズの電子版記事にも掲載されている)

 同紙によれば、イラク戦争の従軍写真取材はベトナム戦争時と比べ物にならないほど厳しく制限されており、ゾラーヤ氏に対しては、米軍は海兵隊取材ばかりか、イラク及び全世界での米軍同行取材を全面禁止する処分を行った。

 それだけ、「生写真」が出るのを恐れているのだ。

 ゾラーヤ氏はイラクを出たが、イラクで撮影した写真は、彼のウェブ・サイトに保存され、世界の人びとに目の当たりにされるのを待っている。

 まさに、百聞は一見に如かず。ゾラーヤ氏のサイトの「イラク写真館」に収録された写真の数々は、観る者に戦争の真実を告げ、戦争というものに対する態度決定を迫るものだ。 

 その中に、ちょっと変わったスナップが混じっているので、紹介しておこう。
 2007年にバグダッドで撮影した、米軍兵士のお腹の刺青の写真だ。

  “Walk peacefully on heavens streets, You’ve done your time in hell.”
 (「天国の通りを平和に歩きなよ。地獄でたっぷり時間を過ごしたんだから、さ」)

               ◇       

 ゾラーヤ氏はコロラド州デンバーの「デンバー・ヴァルドルフ」校の出身。つまり、シュタイナー教育を受けて育った人だ。

 同窓会のインタビューに、ゾローヤ氏は、こう答えていた。
 「ヴァルドルフ教育が教えてくれた重要なレッスンは、前へ進み続ければ、いつか、そこにたどり着く、ということ。途中、どこにいるか分からなくなることもあるけどね」

 イラクでの米軍同行取材を禁止されたゾローヤ氏だが、イラク及びイラク米軍に対する取材はたぶん、今後とも続行するはずだ。

 前へ進み続けて、いつか、そこにたどり着く……ゾローヤ氏のこれからの取材活動の成功と身の安全を祈ろうと思う。 
  

⇒ http://www.zoriah.net/blog/suicide-bombing-in-anbar-.html

  http://zoriahphoto.com/Iraq/iraqintro.html

  http://www.democracynow.org/2008/7/14/embedded_photojournalist_accuses_us_military_of

  http://www.nytimes.com/2008/07/26/world/middleeast/26censor.html?_r=1&scp=1&sq=Zoriah%20Miller%20&st=cse&oref=slogin

Posted by 大沼安史 at 07:09 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2008-07-31

〔イラクから〕 「ぼくは212人、殺したんだ」 母が語る海兵隊伍長(23歳)の自死

 イラクの戦場に2度、送られ、カリフォルニアの基地に生還した黒人の海兵隊員(伍長)、ジェームズ・ジェンキンスさんがピストルで自殺した。2005年9月28日のこと。23歳だった。

 母親のシンシアさんが、「ANP」(アメリカ・ニュース・プロジェクト)制作のビデオ(⇒ )に出演、息子の死を振り返った。

 帰還後、東部、ニュージャージーに住むシンシアさんに電話をかけてきたジェームズさんは、母親にこう訴えた。
 「ぼくは212人を殺して来た、死ななくていい人まで……」

 悪夢に苦しみ、眠れずにカジノで徹夜プレーを繰り返し、借金の山を築いた。

 大学進学の学費を稼ごうとして入隊した海兵隊。
 生還を果たした若者に待っていたのは、イラクでの地獄の記憶との闘いの日々だった。

 とくに2度目の出征の体験がひどかったようだ。ナジャフの激戦に参加し、仲間が爆弾に噴き飛ばされるのを目の当たりにした。戦場で自殺した仲間もいた。

 ANPのビデオには、死んだ仲間のために膝まずいて祈るジェームズさんのスチール写真が載っている。

 母親への手紙で訴えた。「ここ(イラク)にいる必要なんかない」と。

 「帰国して戦争に反対するやつは死ね」と言われたと、電話で訴えた。

 埋葬された墓地は、ニュージャージーの地元の高校に通っていた頃、いつも通っていた墓地だそうだ。登校の途中、パン屋でドーナツ2個とオレンジジュースを買って、教室に向かっていた。

 思い出の通学路の墓地に彼は、無念の帰還を果たした。 
  

⇒ 
    http://www.alternet.org/blogs/waroniraq/93370/a_mother's_sorrow:_one_soldier's_suicide/

  http://www.woundedtimes.blogspot.com/2008/02/marines-left-behind-lance-cpl-james.html

Posted by 大沼安史 at 09:58 午後 5.イラクから | | トラックバック (0)

2008-07-30

〔NEWS〕ベルリン20万人集会 オバマ氏をドイツ女性記者がジムで直撃 & オバマ氏を「世界1の富豪」が支援

 ミーハーな「オバマリアン?」である小生(大沼)として、どうしても載せておきたい話題が2つある。遅ればせながら報告させていただく。

 【話題その1】 オバマ氏のベルリン演説(7月24日)になんと20万人もの人びとが集まったことはご承知のことと思われるが、その日、ベルリンのホテル(リッツ・カールトン)のジムで、同氏が独紙「ビルト」の女性記者に「直撃取材」されていたことはあまり知られていない。

 独誌「シュピーゲル」(英語版、ドイツ語版にも掲載)によると、ジムに網を張り、オバマ氏を待ち伏せしていたのは、ジュディス・ボネスキーという女性記者(27歳)。

 ジュディス記者はオバマ氏がジムに現れると、「記者」と名乗らず、「ファン」(なのかもしれない)のフリをして近づき、一緒に「2ショット」写真まで撮った。

 彼女によると、・「オバマって以外に背が高い(187センチ)」
          ・「32キロのダンベルを左右の手で10回ずつ持ち    上げても汗ひとつかいていなかった(「なんて人!」」
 ――とか。

 彼女の記事と写真は翌日付けの「ビルト」に載ったが、オバマ氏には同夜10時45分、ベルリン市内のレストランで遅い晩御飯を食べているとき、「ビルト」の編集人から、刷り上ったばかりの紙面が手渡された。

 厳しい「報道管制」をかいくぐっての快挙に拍手」!

 【話題その2】 10日間にわたる中東・欧州歴訪から帰ったオバマ氏、早速、ワシントンでの「経済サミット」に臨んだ(7月28日)。

 英紙「ガーディアン」によれば、この「サミット」(シンポジウム)には、元FBR議長のポール・ヴォルカーや、ルービン元財務長官ら錚々たる経済リーダーが顔を揃えたが、その中に、富豪「世界1」のウォーレン・ビュフェット氏が含まれていたという。

 同紙の電子版の見出しは、「ビュフェット、経済危機解決でオバマに加担」。

 投資家として財を成したビュフェット氏は、ビル・ゲイツ財団に私財の寄付を申し出ているなど、慈善家としても知られている。

 「オマハの賢人」として有名な同氏の「投資先」は「オバマ」!

 さすが、ちゃんと人を見ている。

⇒ http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,568532,00.html

http://www.guardian.co.uk/world/2008/jul/29/barackobama.uselections2008

Posted by 大沼安史 at 06:32 午後 4.ミニNEWS | | トラックバック (0)

2008-07-27

〔ジャック天野の目が点丼〕 日の丸・変態・教育界 

 畏友・ジャック天野より、「暑中、怒りのお見舞い」メールが届いた。夏休みで、大分の湯布院に来ているそうだ。

 温泉につかって、のんびりしてりゃいいものを、またまた怒髪天を衝く、お腹立ちのよう。「日本の変態教育界」にはもうガマンならないと、いきり立っておられる。

 ま、いま注目の「大分」にいる以上、仕方ないか……。

 以下は、例によって、彼のメールの全文である。

     ◇△◇ ⇒ @△@ ⇒ *△* ⇒ ・△・

 おい、大沼、まだ死んでないよな。お前、このクソ暑さの最中、クーラーなしでガンバッテるそうじゃないか? 何? 地球環境を守る? 電気代、ケチってるだけじゃないのか?

 オレ、いま大分だ。湯布院、いいとこだ。天国だぜ。エアコンも効いてるし。
 夜なんか、窓を開けると、ひんやりした風が入ってくる。

 東京を脱出して来て、ほんとによかった。命と垢の洗濯だぜ。湯船につかって、よ。

 東京から、脱出したのにはわけがある。薄汚くて、うっとうしいんだよ。
 何? そんなのいつものことだろ、って?
 そうだよ、その通りだよ。でも、今度ばかりはオレも切れた。

 新聞の「読者の声」欄、読んで、ある、とんでもないことを投書で教えられて、オレ、もうすっかり、東京のこと、やになっちゃたんだ。

 どんな投書か、って? 「痴漢の副校長 処分軽減とは」ってやつだ(朝日、7月25日付)。

 「電車で痴漢をして昨年1月に懲戒免職処分となった都立高校の副校長が、今春の都人事委員会の採決で停職6カ月と処分を軽減された。そして先月から教員として復職したという。君が代斉唱時に不起立だった教師と痴漢の管理職が同じ処分で良いのだろうか」

 卒業式の「君が代」に「不起立」で応えた教師は、憲法で保障された思想・信条の自由を貫いた人間だよな。それと、たぶん「起立」しながら痴漢した、憲法に保障されない破廉恥行為をした教師が、まったく同じ処分。

 投書した高校の先生は「(軽減の)理由は、痴漢が悪質とは言えないのだとか。開いた口がふさがらない」「人事委員会などとの癒着があったと思われても仕方ない」と書いているが、これ、まったく同感だな。

 この痴漢野郎はきっと、卒業式で「起立!」とか何とか声をかけ、立たない教師を無理矢理立たせていたやつだぜ。そうじゃなければ、いとも軽々、現場に復帰できるわけ、ないじゃないか。

 それにしても何だな、「痴漢」って行為と、こういう痴漢教師どもがしてる「教育」と、似すぎるほど似ているぜ。

 閉鎖空間で(満員電車の、または文科省=教委からの)圧力を背に、弱い者(女性、または子ども=生徒)に対し、その人格・権利・関心を無視し、無理矢理、手を突っ込む……。

 似ているどころか、これはもう、まったく同じ、だな。

 ま、そんなこんなで、薄汚い東京ってところをオサラバして来た訳だが、オレ、大分に来て失敗した、と今、思い始めている。
 湯布院は空気がきれいだし、いいとこだが、ここの教育界も東京と同じ、変態教育界だ。腐臭が漂っているぜ。

 お前(小生=大沼のこと)、前に『緑の日の丸』(仙台・本の森・刊)って売れない小説を書いてバラしていたけれど(そして、オレは、いくらなんでも、日本の教育界、そんなに腐っちゃいないだろう、って思っていたけど)、アレ、ほんとだったんだな。

 教育界に閥が出来て、金権支配が生まれ、3Kヒラメ教師ばかりがのさばるようになる……

 で、オレ、昨日、大分県警に出向いて、お前が書いた『緑の日の丸』、参考にしてください、って捜査本部に一冊、差し入れして来たぜ。

 今のところ、金を貢いだ・懐に入れた贈収賄事件だが、お前さんが小説に書いたように、今に背任・横領って線が出てくるかも知れないな。
 学校の公費、もしくは出入り業者からピンハネした金、生徒(の親)から徴収した金に手をつけ、それで上司に貢いだ線も大ありだからな。

 しかし、それにしても、お粗末な話だな。
 お前さんの言うように、日本は、文科省を頂点とした、北朝鮮と世界一を争う、統制教育のメッカ。
 官僚教育制度のピラミッドの第2列には都道府県教委があり、その何段か下の最底辺には学校という「現場」があり、そこには調教役の教師がいて、子どもたちの好奇心をおしつぶしている。

 全国一律の「金太郎飴教育」。
 「大分」は、腐った日本の統制教育の断面に過ぎない。
 全国、どこを切っても、腐臭を放った膿が飛び出て来るはずだぜ。

 大分で捕まった連中は皆、「不起立」を通すような骨のある教師ではなかったはずだ。全員そろいもそろって、卒業式で教師や子どもたちを「起立」させ、自分も「起立」した「管理職教員」だったはずだ。

 なぜ、「起立」を命じ、自分も「起立」しているのか? 
 それは彼ら・彼女らが「起立」を命じる者(文科省・教委)対して「立つ」ことがないからだよな。
 思想・信条の自由を、学問(学び)の自由を侵す者に対して、「立つ」ことがないからだよな。

 マゾ的に「立たされた」者が、サド的に下位の者を「立たせている」。
 これって、ひどいことだぜ。こういうのを、ホントの「汚職」っていうんだな。

 日本の教育現場に自由と自立があり、教師に誇りと自立心があれば、ロボットのように「起立」はしないだろうし、変態振る舞いには及ばないはずだ。

 「福祉」と「労働」に続いて、「教育」もついに陰湿な、「本性」が暴露されたな。

 大分に来る前、東京で読んだ「朝日」の「声」欄の「かたえくぼ」に、こんな「コント」が載っていたぜ。

  『先生への暑中見舞い』

   昔 お元気ですか
   今 大丈夫ですか
    ――生 徒
   (静岡県・カワセミ氏)

 笑えそうで笑えない、傑作コントじゃないか。 

Posted by 大沼安史 at 01:00 午前 7.目が点丼 | | トラックバック (0)

2008-07-24

〔For the Record〕 金融バブル崩壊 ブッシュ大統領 「ウォールストリートは酔っ払っちまった。二日酔い、してるぜ」だと

 英紙インディペンデントによると、ブッシュ大統領は先週、テキサス州ヒューストンでの共和党資金集めパーティーでスピーチし、「景気後退の瀬戸際にある」(同紙)米経済の元凶をウォールストリートだと名指しして、次のようにコメントした。

 「ウォールストリートは酔っ払っちまった。こういうこと、言うつもりだったから、テレビカメラは入れるなと頼んだわけさ。あそこは酔っ払って、いま、二日酔い、してるぜ。問題はいつ素面になるかだ。それから、ヘンテコリンな金融商品、やめないとヤバイぜ」
 
  "Wall Street got drunk, that's one of the reasons I asked you to turn off the TV cameras. It got drunk and now it's got a hangover. The question is how long will it sober up and not try to do all these fancy financial instruments."

 同紙によれば、ブッシュ大統領はダラス市の高級住宅街で、新しいマイホーム探しをしているそうだ。米国民が「住宅ローン地獄」にあえいでいるのに……

 ブッシュ氏よ、君もバブル酒、飲んで、相当、酔っ払ったんじゃないの?…… 

⇒  http://www.independent.co.uk/news/world/americas/bush-wall-street-got-drunk-and-now-its-got-a-hangover-875780.html

Posted by 大沼安史 at 12:57 午後 8.For the Record | | トラックバック (0)